提示年収を比べるときは、月給の内訳と賞与の支給条件を確かめ、固定部分と見込額を分けて計算します。
同じ年収表示でも初年度の賞与や残業代が含まれるかで比較できる金額が変わります。提示書面にある金額を同じ期間へそろえれば、どこまで見込めるかと何を会社へ確認するかが分かります。
この記事では架空の2社を年間の同じ期間にそろえ、現年収と比べる際の未確認事項まで整理します。計算するのは税金や社会保険料を引く前の支給額で、手取り額ではありません。
月給の内訳と支給される条件を先に読む
月給として示された金額に何が含まれるかを確認します。基本給のほかに固定残業代や手当が含まれる場合、月給へもう一度加算しないよう内訳を分けます。
| 項目 | 会社へ確認すること |
|---|---|
| 基本給・毎月の固定手当 | 金額、対象となる条件、試用期間中の違い |
| 固定残業代 | 月給に含まれる金額と対象時間、超過分の取り扱い |
| 賞与・歩合などの変動給 | 計算方法、評価や業績による変動、初回支給の対象期間 |
| 通勤費や住宅手当 | 対象条件と上限、立替費用の精算か給与としての支給か |
メルカリの募集要項でも、月給の基本給と固定残業代の内訳を示し、賞与は業績や本人評価によると説明しています。これは1社の制度例です。自分の提示条件を同じ金額や仕組みと考えず、実際の書面を確認してください。
年俸制の場合も、年俸に何が含まれ、何回に分けて支払われるかを確認します。たとえば賞与相当分を含む年俸を月額へ分けているなら、同じ賞与をもう一度足しません。歩合や残業代を含む表示なのかも、提示資料で確かめましょう。昇給の予定が書かれていても、最初の適用時期と評価条件が未確定なら現在の提示額へ加えないでください。
求人票の年収上限と個別に提示された額も分けます。対象条件を満たしていない手当や、交渉で上がるかもしれない金額は、支給が決まった額へ加えません。
月給が高いA社と賞与も固定のB社を比べる
次はすべて架空の条件です。両社とも1年間を通して在籍する場合を想定し、固定部分は12か月変わらないものとします。通勤費は実費精算のため比較から外し、その他の手当はない設定です。
| 項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 基本給 | 月30万円 | 月30万円 |
| 月給に含む固定残業代 | 月5万円 | なし |
| 毎月の固定支給額 | 35万円 | 30万円 |
| 賞与 | 業績連動。提示資料に参考額80万円、支給保証なし | 年間60万円を固定額として提示。通年在籍等の支給条件を満たす設定 |
| 時間外労働の別途支給 | 固定残業代の対象を超えた分。金額は未確定 | 実際の時間外労働分。金額は未確定 |
A社の固定部分は35万円×12か月=420万円です。参考賞与80万円を加えると500万円になりますが、賞与の支給が保証されないため500万円を確定額とは扱いません。
B社は30万円×12か月+固定賞与60万円=420万円です。この例の条件を満たす通年の固定部分は両社とも420万円になりました。A社の方が毎月の入金は多い一方、B社はその一部を賞与の時期に受け取る設定です。B社の条件を一般的な賞与制度へ広げないでください。
| 比べる金額 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| この例で条件を満たす通年の固定部分 | 420万円 | 420万円 |
| 参考賞与を含む表示 | 500万円。ただし80万円は未確定 | 420万円 |
| 上記に含まない額 | 固定残業代の対象を超えた残業分など | 実際の時間外労働分など |
固定残業代を含む月給と含まない月給では働く時間との関係も異なります。固定部分が同じという計算結果だけで待遇が同等とは決めず、通常の残業の状況や、仕事の内容も確認します。
初年度の額を通年の額と分けて計算する
B社の固定賞与60万円は通年在籍の条件を満たす設定でした。途中入社で初回の支給額が変わる場合、そのまま初年度へ加えることはできません。入社日と賞与の対象期間を会社へ確認します。
架空例として、B社へ1月1日に入社し、最初の12か月の固定賞与は初回分が対象外となるため30万円になると正式に説明された場合を考えます。この条件なら最初の12か月の固定部分は30万円×12か月+30万円=390万円です。翌年以降の通年420万円とは別の欄へ残します。
この計算は会社から初回支給条件を確認した設定であり、すべての途中入社で半額になるという意味ではありません。何か月を初年度として比べるかも明確にしてください。年の途中で入社する場合は、暦年の残りの期間と入社後12か月で金額が変わります。
現年収も同じ期間と内訳で並べる
現職の直近12か月が、基本給などの固定支給360万円、賞与50万円、実際の残業代30万円で合計440万円だったとします。この440万円は過去の実績です。残業時間や業績が変われば翌年も同額とは限りません。
架空例の比較をまとめると、現職は過去実績440万円、A社は通年固定420万円と未確定賞与、B社は通年固定420万円ですが入社後最初の12か月は390万円となります。数字の性質を付けずに「440・500・420」だけを並べると、A社の未確定賞与とB社の初年度差が隠れます。
自分の比較では、給与明細や源泉徴収票などで現職の対象期間と金額を確かめます。手当を受け取れる条件や一時金が含まれていないかも見直し、転職先の固定部分、変動部分、初年度の額を別々に記入しましょう。
金額の差が判断を左右するなら、未確定条件を尋ねる
会社へは「年収はいくらになりますか」とだけ聞くより、不明な項目を指定します。たとえば「提示年収500万円のうち、固定部分はいくらでしょうか」「初回賞与の対象期間と私の支給条件を教えていただけますか」と尋ねられます。
求人に給与の幅がある場合は、自分に提示された等級や担当する役割と金額の関係を尋ねます。経験の説明だけで上限額が認められるとは限らず、提示できる金額は企業の給与制度や予算、判断にもよります。
賞与額や残業代が確定しない場合は、不明のまま残します。そのうえで毎月の生活に必要な金額を固定部分で賄えるか、変動給が少ない場合でも受け入れられるかを考えます。固定部分が生活に必要な下限を下回るなら、未確定賞与や将来の昇給で埋まると見込まず、別の候補や現職で働き続ける場合も比較します。この記事の計算は支給額の比較なので、手取りの見通しは税・社会保険など自分の条件に合わせた確認が必要です。
条件書面をそろえた後の作業は内定後の条件確認から承諾・辞退までの進め方で確認できます。報酬比較では同じ期間へそろえた固定部分を先に出し、見込額を加える場合は支給条件と不確実な範囲が分かる形で残してください。



