給与の入金がなく会社とも連絡が取れないときは、支払予定日と実際の入金を照合し、勤務と賃金の記録を残します。会社の状況を確認する作業、未払いの相談、当面の生活と再就職の準備を並行して進めましょう。
倒産した会社の賃金には未払賃金立替払制度が使える場合があります。連絡不能や未入金だけで制度の対象と決まるわけではありません。この記事では架空の給与記録を使い、相談へ持参する一覧と申請経路を確認します。
未払いを支払日と賃金の種類で分ける
雇用契約書、給与明細、勤務記録、通帳や入出金明細を確認します。会社から届いた休業・事業停止・破産等の案内も原本を残してください。会社用のシステムへ入れなくなる前でも、顧客情報や無関係な社内資料を一括で持ち出すことは避けます。
給与明細の差引支給額と銀行の入金額を比べ、未入金の有無を確かめます。制度の確認では控除前の賃金なども必要になるため、差額だけで明細を捨てずに保管しましょう。
| 記録すること | 使う資料 |
|---|---|
| どの期間の仕事か | 勤務記録、シフト、契約書 |
| いつ支払う予定だったか | 給与規程、明細、会社の案内 |
| 何の賃金か | 基本給・残業代等の定期賃金、賞与、退職手当の内訳 |
| いくら支払われたか | 入金記録、現金払いの受領記録 |
| 会社といつ連絡したか | メール、電話日時、返答内容 |
退職手当は会社の規程や契約による支払根拠も確認します。見込みの賞与や予想した退職金を確定額として加えず、不明なものは相談時に確認する項目へ残します。
架空例:2か月分の給与が未入金の場合
次は全額が未払いという架空の例です。32歳のBさんは9月・10月の定期賃金が各25万円、9月30日支払予定の賞与が10万円でした。3件とも入金がなく、10月31日に会社から事業停止のメールが届きました。退職日の通知は未確認です。
| 対象 | 支払予定日 | 明細の控除前額 | 入金 | 相談メモ |
|---|---|---|---|---|
| 9月分の定期賃金 | 9月30日 | 25万円 | なし | 明細と勤務記録あり |
| 10月分の定期賃金 | 10月30日 | 25万円 | なし | 明細と勤務記録あり |
| 賞与 | 9月30日 | 10万円 | なし | 支給額記載の明細あり |
未払いとして相談する合計は25万円+25万円+10万円=60万円です。一方、立替払制度では賞与が対象外なので、定期賃金の50万円と賞与の10万円を分けます。対象賃金50万円の8割は40万円ですが、これは算術上の試算にすぎません。事業主や本人の対象要件、退職日、証明される額などを確認する前の受給見込みには使いません。
Bさんの完成メモは「定期賃金50万円と賞与10万円が未入金。事業停止メールあり。退職日と倒産手続の状況は未確認。会社・管財人等への連絡先と監督署への相談に必要な資料を確かめたい」です。自分の支払日・賃金種類・一部入金・退職日へ置き換えてください。
会社の状況に応じて相談先と証明の経路を確認する
会社から連絡が来ている場合は、未払額と支払予定、退職日、手続きの担当者を尋ねます。破産管財人等の案内があれば、その連絡先と未払賃金の届出方法を確認します。連絡できなかった日時も記録しましょう。
会社と連絡が取れない場合は手元の記録を持って事業場を管轄する労働基準監督署へ相談します。連絡不能だけで自分から「倒産確定」と決める必要はありません。雇用終了や退職への合意など労働紛争もある場合は総合労働相談コーナーも相談先になります。
立替払の申請経路は会社の状況で変わります。法律上の倒産では管財人等から証明を受け、事実上の倒産では所轄監督署による認定と未払額等の確認を経て、労働者健康安全機構へ請求する流れです。書類の様式や提出先は担当者の案内と照合し、提出前に控えを残します。
未払賃金立替払の対象・限度・期限を確認する
労働者健康安全機構のQ&Aでは、対象となる定期賃金と退職手当、立替払額、認定と請求の手順を案内しています。賞与や解雇予告手当等は対象外で、対象となる未払賃金総額が2万円未満の場合も制度の対象になりません。
立替払額は対象額の8割で、退職日の年齢による上限があります。
| 退職日の年齢 | 対象となる未払賃金総額の限度 | 立替払の上限 |
|---|---|---|
| 30歳未満 | 110万円 | 88万円 |
| 30歳以上45歳未満 | 220万円 | 176万円 |
| 45歳以上 | 370万円 | 296万円 |
賃金の対象期間と本人の退職時期や申請期限は区別します。
- 対象事業は労災保険の適用事業として1年以上事業活動を行った企業です。会社が未加入・保険料未納でも、そのことだけで対象外とはなりません。
- 対象となる退職時期は、破産手続開始等の申立日または事実上の倒産認定の申請日の6か月前から2年間です。
- 対象賃金は退職日の6か月前から機構への請求日前日までに支払期日が来たものです。
- 事実上の倒産認定は中小企業についての制度で、認定申請は退職翌日から6か月以内に行います。その後の機構への立替払請求は認定翌日から2年以内で、未払額の確認もそれに間に合うよう進めます。
法律上の倒産も機構への請求に期限があるため、管財人等に開始決定等の日と請求期限を確認します。自分の退職日、申立日・認定申請日、決定日・認定日を窓口へ伝え、どの手続きをいつまでに行うか確かめてください。
支給を待つ間の生活と再就職を別に進める
生活費は立替払が未確定の状態で考えます。手元の資金、家賃・食費など直近の支払い、次の入金予定を並べ、支払いが難しいものは期限前に相手や自治体の相談窓口へ連絡します。制度の受給や入金日を前提に新しい支出を決めないことが大切です。
離職票等が届かない場合もハローワークへ状況を伝え、雇用保険の手続きに必要な対応を確認できます。再就職に向けた経験の整理や求人探しは、会社への賃金請求の相談と並行して進められます。
給付については雇用保険の確認と手続き、離職後の順序は意図しない離職時の生活と再就職の進め方を参考にできます。まず未払い一覧と未確認の日付を用意し、期限のある手続きから相談しましょう。



