固定残業代を含む月給は基本給と固定残業代の金額を分けて読み、何時間のどの労働が対象かを確かめます。

月給の総額が同じでも内訳と勤務実態が違えば、働く条件は同じになりません。書かれた時間数だけで残業の多さや会社の適法性を決めず、支給の説明と実際の働き方をそれぞれ確認しましょう。

この記事では同額の架空条件を比べ、超過分や実際の残業について尋ねる質問まで作ります。

総額から固定残業代を分けて読む

厚生労働省の固定残業代に関するQ&Aは、通常の労働時間の賃金と割増賃金に当たる部分を区別し、法定の計算による割増賃金が固定額を上回る場合は差額の支払いが必要と説明しています。

月給に含まれると書かれているのに内訳が分からない場合は、基本給の額と固定残業代の額を尋ねます。「職務手当」など別の名前で示されていても、何に対する手当なのかを確認してください。名前だけで固定残業代と判断しないことも必要です。

ハローワークの求人情報の入力方法でも、固定残業代は残業の有無にかかわらず支給することと、超過分を追加支給することの明示を求めています。自分の提示書面で同じ点が分かるかを確かめましょう。

同じ月給35万円でも基本給と対象時間が違う例

次は金額の内訳を読むための架空例です。両社とも月給総額は35万円で、表に示した以外の手当はありません。賞与や昇給の条件は未確認とします。額と時間の組み合わせから個別の適法性を判定する例ではありません。

提示項目A社B社
基本給30万円28万円
固定残業代5万円7万円
合計30万円+5万円=35万円28万円+7万円=35万円
対象として示された時間時間外労働20時間分時間外労働30時間分
超過分別途支給との記載あり記載を確認できていない

この表から分かるのは、同じ35万円でも基本給と固定残業代の内訳が異なることです。A社が毎月20時間、B社が毎月30時間の残業を求めると確定したわけではありません。提示された対象時間と実際に働く時間は別に調べます。

候補者がB社へ確認したい内容は「7万円には何が含まれるか」「時間外労働が対象時間を超えた場合にどう支払うか」「実際の勤務時間はどの程度か」です。単に「残業は多いですか」と聞くより、制度と勤務実態を分けて質問できます。

対象と超過分の計算を確認する

固定残業代の対象には何が含まれるのかを尋ねます。時間外労働だけなのか、休日・深夜の労働分も含む説明なのかで、内訳の確認が変わります。対象がまとめて書かれている場合は、それぞれの金額や計算方法を説明してもらいましょう。

架空例のB社へ送る質問です。

月給35万円の内訳は基本給28万円と固定残業代7万円と理解しております。固定残業代は時間外労働30時間分のみが対象でしょうか。休日労働や深夜労働分の取り扱いと対象時間を超えた場合の計算・支給方法も教えていただけますか。

返答が「残業代は月給に含まれています」だけなら、超過分への回答になっているかを確かめます。どの時間をどう計算し、いつ支払うかが分からなければ質問を絞って聞き直してください。

自分の書面では金額と対象時間を実際の内容に置き換えます。提示がない時間数を推測したり、固定額を時間数で割った値だけで賃金が適切かを判定したりしないでください。個別の計算には所定労働時間や賃金の内訳なども関係します。

実際の残業は配属予定の仕事について聞く

勤務実態を尋ねるときは、会社全体の平均だけでなく自分が配属される予定の部署や仕事を確認します。平均が示されても、どの期間と人を対象にした数字かが分からないと繁忙期の状況をつかめません。

  • 配属予定先の通常月と繁忙期には、どの程度の残業があるか
  • 忙しくなる時期とその理由は何か
  • 勤務時間をどの方法で記録し、残業の申請や承認をどう行うか

制度の説明は人事へ、業務量や繁忙期は現場の責任者へ確認する方法があります。現場の話を聞けなかった場合は、分かったふりをせず未確認と残します。固定残業代の対象時間が短いことだけで負担が軽いとは判断できません。

内訳が分かった後に報酬全体と自分の条件を比べる

架空例でB社から超過分は追加支給すると回答があっても、それだけでA社よりよい条件とは決まりません。賞与の算定基礎や支給条件、実際の勤務時間など、まだ分かっていないことが残っています。

基本給や手当、変動給は対象条件を確認し、会社が提示した額で比べます。今後の交渉や昇給で増えると見込んで、足りない金額を埋めないでください。自分が受け入れられる報酬と働く時間を満たすかで判断しましょう。

説明が得られない、実際の支払いに疑問があるといった場合は、提示書面とやり取りを保存し、公的窓口へ相談します。固定残業代があるという理由だけで違法とも問題がないとも断定できません。厚生労働省の総合労働相談コーナーで相談内容に応じた窓口を確認できます。

先に知っておきたい内定後の条件確認から承諾・辞退までの進め方賃金以外の仕事内容や勤務条件も含め、回答までに確認することを整理できます。