自営業やフリーランスの経験は、受託した仕事と自分の担当範囲を分けて説明すると雇用求人へ伝えやすくなります。顧客名や売上だけでなく、何を任され、どこを自分で進め、他の人とどう分担したのかを整理しましょう。

この記事では架空の制作案件から職歴の記載例を作ります。事業の売上・経費・所得を分ける方法と継続案件を踏まえて入社可能日を確認する方法も扱います。就職するために必ず事業を廃止するという前提は置きません。

顧客と雇用上の勤務先を分けて経歴を並べる

まず事業を始めた年月、事業内容、主な案件、現在も続いている仕事を確認します。それ以前に雇用されていた期間があれば、勤務先と在籍期間を別に並べてください。受託した顧客をすべて入社・退社の形で書くと、雇用されていた経歴と区別しにくくなります。

履歴書では「2021年4月 個人事業としてWeb制作業を開始」「現在に至る」など、事業を営んできた期間が分かる形にします。職務経歴書には事業概要と案件の内容をまとめ、顧客との関係が業務委託であることを明確にします。書類の指定がある場合はその様式に合わせましょう。

職務経歴書の構成と書き方では、整理した材料を職務要約・職歴・実績へ配置する方法を確認できます。

自分の担当と他の人の寄与を分ける

案件ごとに目的、期間、体制、担当、工夫、結果を並べます。本人が営業から納品まで一人で行ったのか、デザインや実装を外注したのかも書き分けます。案件全体の成果と自分の行動を分ければ、外注がある実績でも自分が担った調整や判断を説明できます。

サイボウズのプロダクトデザイナー募集では、チーム開発経験等に加えてポートフォリオへの担当範囲の記載を求めています。このような求人には完成画面だけでなく、誰と何を検討したかという材料が必要です。これは同社の一職種の例であり、すべての仕事で作品提出が必要なわけではありません。

顧客との契約や公開許可は成果物ごとに確認します。顧客名を伏せても非公開画面や取引情報を自由に使えるとは限りません。公開できる範囲が狭い場合は、許可された一般的な業務内容と自分の担当を説明します。判断に迷う資料は提出せず、取引先や権利者に確認しましょう。

架空例:複数顧客の実績を職歴へまとめる

次はすべて架空の例です。Cさんは個人事業で企業サイトを制作し、雇用求人のWebデザイナーを検討しています。2025年の案件記録にはA社とB社があり、どちらも業務委託です。

案件の入力A社の採用サイトB社のサービスサイト
期間2025年4〜7月2025年9〜11月
本人の担当要件整理、構成、画面デザイン、顧客との確認既存画面の整理、画面デザイン
他者の担当実装は外部エンジニア1名コピーは顧客、実装は顧客側チーム
確認できる結果合意した10画面を公開指定された6画面のデザインを納品
説明できないこと応募数の変化は未取得売上への効果は未取得

Cさんは応募求人の「関係者との要件検討」に近いA社の経験を先に置きます。職歴の完成例は次のとおりです。

2021年4月〜現在 個人事業としてWeb制作業を運営。企業サイトの要件整理と画面デザインを担当。2025年4〜7月の採用サイト制作では顧客との打合せで応募導線の要望を整理し、10画面の構成・デザインを作成した。実装担当1名へ画面仕様を共有し、公開前の表示確認を共同で実施。実装は担当外。応募数への効果は未測定。

実際の書類では期間・対象・人数・担当・結果を自分の原記録へ置き換えます。依頼元を勤務先として列挙せず、業務委託の案件としてまとめましょう。未測定の成果は改善率などへ置き換えず、確認できる納品や公開の結果を使います。

売上と給与を同じ金額として比べない

国税庁の事業所得の説明では、総収入金額から必要経費を差し引いて事業所得を計算します。事業の売上だけを会社員の額面年収と並べると、外注費など事業を続けるための支出が比較から抜けます。

架空の単純例として、年間売上600万円、必要経費200万円なら差額は400万円です。600万円−200万円=400万円であり、これをそのまま手取りとは呼びません。実際の所得区分や経費、控除は申告資料等で確認します。

雇用求人と比較するときは、事業の売上・経費・所得、求人の基本給・手当・賞与の条件、本人が負担する費用を別に並べます。所得400万円と額面給与400万円でも手取りや労働時間が同じとは限りません。必要なら税務や保険の窓口へ確認し、毎月の生活で使える金額を別に見積もります。

継続案件と入社可能日を確認する

進行中の案件は納品日、検収、修正対応、定期保守など入社後も残る可能性がある仕事を確かめます。受託済みの義務を自分だけの判断で外注や終了へ変更せず、契約と取引先への確認を基に調整します。

Cさんに12月15日の納品と12月末までの修正対応がある場合、1月入社の可否は作業量と合意できる終了時点を確認してから伝えます。「現在の案件は12月末まで対応予定です。追加作業の有無を確認し、1月入社が可能か11月10日までに回答します」と、確定前は回答予定を示せます。

事業を継続する場合は応募先の副業・兼業の扱い、勤務時間、競業や秘密保持なども確認します。就職と廃業を同じ判断にせず、働く条件と契約上の義務を両方見てください。

経験材料はまず事業期間と代表案件を事実に沿って整理し、応募する職種で活かせる担当を選びます。書類全体の準備は転職の応募書類を準備する順番、情報の扱いは転職活動で守秘義務を守るための確認で詳しく確認できます。