銀行の免許と業務、銀行の型、資金利益と手数料、顧客別部門を整理。求人で顧客、配属範囲、収益源、再編や金利変化の影響を確認できます。

「銀行」と書かれた求人には、支店で企業や個人を担当する営業、店頭や本部の事務、債券などを運用する市場の仕事、システムやデータの仕事、経営企画やリスク管理まで幅があります。同じ銀行でも、海外の企業も顧客にするメガバンクなのか、国内の利息の収入が中心の地方銀行なのか、年金や不動産の手数料も稼ぐ信託銀行なのか、インターネットでの取引を中心にするネット銀行なのかで、稼ぎ方も配属の可能性も変わります。

この記事では、銀行法の免許を受けて預金・融資・為替(送金や振込)を営む銀行を扱います。銀行の業務の範囲、型ごとの違いと数え方、資金利益と手数料の稼ぎ方、会社の中の顧客別の部門、仕事の種類、地方銀行の合併と国の支援制度、変化が届く仕事を順に確かめます。地方銀行は独立した記事にせず、この記事の1章で扱います。

金融全体の中で銀行がどこにいるか、銀行・証券・保険・カード・リースを持つ金融グループの形は、「金融の業界地図」で整理します。銀行が窓口で保険や投資信託を売って手数料を得ることと、銀行のカードローンは、銀行の稼ぎ方と融資としてこの記事で扱います。銀行の勘定系システム(預金や融資の記録を担う中心のシステム)を受託するIT企業は、「SIer・システム開発の業界地図」で扱っています。

あわせて読みたい金融業界の地図|銀行・証券・保険・カードの役割と稼ぎ方銀行・証券・保険・その他金融の中での位置を確かめるとき

信用金庫・信用組合は後半の章で違いだけを示し、詳しい比較はこの記事では扱いません。年収や給与の数字も示しません。

銀行は、国の免許を受けて預金・融資・為替を営む会社

銀行法では、銀行業は、預金の受入れと資金の貸付け(または手形の割引)を併せて行うこと、または為替取引を行うことを指します(第2条第2項)。銀行業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ営めません(第4条第1項)。銀行は株式会社で、取締役会や会計監査人などを置きます(第4条の2)。

銀行の業務は、3つの段に分かれています。

  • 固有業務:預金の受入れ、資金の貸付けと手形の割引、為替取引(第10条第1項)
  • 付随業務:債務の保証、有価証券の売買、両替、デリバティブ、ファイナンス・リース、地域の活性化などにつながる業務など(第10条第2項に列挙)
  • そのほかの業務:固有業務の遂行を妨げない限度で行える投資助言などの業務(第11条)

銀行は、これらと、ほかの法律で認められた業務のほかは営めません(第12条、他業禁止)。銀行が自由に新しい商売を始められないのは、この規定があるためです。

ほかの法律の登録を受けて行う業務もあります。銀行の窓口で保険を売るのは、保険業法の登録にもとづく保険募集です(第275条第2項)。投資信託を売るのは、金融商品取引法の第33条の2の登録を受けた「登録金融機関」としての業務です。信託の業務は、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(兼営法)の認可を受けて営みます(第1条)。信託銀行は、銀行の免許に、この兼営の認可を加えた銀行です。この認可を受けた金融機関は信託銀行だけではなく、金融庁の認可一覧には61の機関が載っています(2026年6月17日現在)。りそな銀行も、この認可を受けて信託の業務を営んでいます。

銀行のカードローンは、銀行法にもとづく融資の一つです。貸金業法は、ほかの法律に特別の規定がある者が行う貸付けを「貸金業」から除いており(第2条第1項第2号)、銀行のカードローンは貸金業ではなく銀行の貸付けです。カードローンの保証を引き受ける会社の事業は、「クレジットカード・信販・消費者金融の業界地図」で扱います。

銀行の周りには、銀行法の別の手続きで動く会社もあります。銀行を子会社に持つ銀行持株会社は内閣総理大臣の認可(第52条の17)、銀行の代わりに預金や融資の契約の代理・媒介をする銀行代理業は許可(第52条の36)が必要です。メガバンクの「フィナンシャルグループ」は、銀行持株会社です。

銀行の型は、統計と免許の一覧で数え方が違う

銀行の型を数える資料は、主に2つあります。業界団体の全国銀行協会(全銀協)の統計と、金融庁の免許の一覧です。同じ「都市銀行」「信託銀行」でも、入っている銀行が違います。

資料区分と数基準日読むときの注意
全銀協「全国銀行の2025年度決算の状況」全国銀行107行=都市銀行5、地方銀行61、地方銀行Ⅱ35、信託銀行4、SBI新生銀行・あおぞら銀行2025年度(2026年3月期)都市銀行に、りそな銀行と埼玉りそな銀行が入る。信託銀行は三菱UFJ信託・みずほ信託・三井住友信託・野村信託の4行。ネット銀行、ゆうちょ銀行、セブン銀行などは入らない
全銀協「預金・貸出金速報」106行(地方銀行Ⅱが34行)2026年9月末2026年5月2日に福井銀行と福邦銀行が合併したため、1行少ない
金融庁「銀行免許一覧(都市銀行・信託銀行・その他)」36行=都市銀行4、信託銀行13、その他192026年9月24日現在都市銀行は、みずほ・三井住友・三菱UFJ・りそなの4行。「その他」に、ゆうちょ・セブン・楽天・ソニー・PayPay・auじぶん・イオン・ローソン・ドコモSMTBネット・みんなの銀行などが並ぶ
金融庁「地方銀行」「第二地方銀行」の一覧地方銀行61、第二地方銀行34地方銀行は2026年5月26日、第二地方銀行は5月2日現在第二地方銀行の一覧の「その他」に、埼玉りそな銀行が1行ある。一覧ごとに基準日が違うため、足して1つの時点の数にしない

この記事で業態ごとの稼ぎ方を示す数字は、全銀協の「全国銀行」の数字です。全国銀行には、ネット銀行、ゆうちょ銀行、セブン銀行などは入っていません(全国銀行の2025年度決算の状況の注)。ネット銀行やATMの銀行の稼ぎ方は、会社の開示で確かめます。

応募先の銀行はどの型で、誰を顧客にし、何で稼ぐか

銀行の型ごとの主な顧客と稼ぎ方、この記事で確かめた例、全銀協の「全国銀行」に入るかどうか。型の大きさや順位は示していない。

型
主な顧客
主な稼ぎ方
例(この記事で確かめた会社)
全銀協の「全国銀行」
メガバンク
主な顧客国内の個人・企業、海外の企業
主な稼ぎ方資金利益が中心。国際業務部門の資金利益と手数料も大きい(都市銀行の業態合計)
例三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行
全銀協の「全国銀行」入る(都市銀行)
りそな
主な顧客個人・法人(法人部門に信託を活用した資産運用・不動産・企業年金)
主な稼ぎ方資金利益と手数料に加え、信託報酬も得る
例りそな銀行、埼玉りそな銀行
全銀協の「全国銀行」入る(都市銀行)
地方銀行・第二地方銀行
主な顧客国内の企業・個人
主な稼ぎ方国内業務部門の資金利益が中心。2025年度は債券の売却損が大きい
例八十二長野銀行、福井銀行(2026年の合併の例)
全銀協の「全国銀行」入る(地方銀行・地方銀行Ⅱ)
信託銀行
主な顧客年金・資産を預ける投資家、不動産の顧客、個人・法人
主な稼ぎ方手数料(信託報酬を含むと読める)が資金利益より大きい(信託銀行の業態合計)
例三井住友信託銀行(三井住友トラストグループ)
全銀協の「全国銀行」入る(信託銀行4行)
ネット銀行
主な顧客インターネットで取引する顧客
主な稼ぎ方この記事では内訳を確かめていない
例楽天銀行、ドコモSMTBネット銀行
全銀協の「全国銀行」入らない(金融庁の一覧では「その他」)
ATMの銀行
主な顧客ATMを使う人と、手数料を払う提携先の金融機関など(国内と海外)
主な稼ぎ方ATM受入手数料(連結経常収益の72.4%、計算値)
例セブン銀行
全銀協の「全国銀行」入らない(金融庁の一覧では「その他」)
読み方:ゆうちょ銀行も、金融庁の一覧では「その他」で、全銀協の「全国銀行」に入らない。金融庁の一覧の都市銀行は4行(埼玉りそな銀行を含まない)、信託銀行は13行で、全銀協の数え方(都市銀行5行・信託銀行4行)と違う。主な顧客は各社の報告セグメントの区分から整理した。
出典:全国銀行協会「全国銀行の2025年度決算の状況(単体ベース)」(2026年6月30日)、金融庁「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」(銀行免許一覧は2026年9月24日現在、地方銀行は5月26日・第二地方銀行は5月2日現在)、三菱UFJフィナンシャル・グループ・三井住友フィナンシャルグループ・みずほフィナンシャルグループ・りそなホールディングス・三井住友トラストグループ・セブン銀行の2026年3月期有価証券報告書、ドコモSMTBネット銀行(旧 住信SBIネット銀行)の発表(2025年10月1日)。ATM受入手数料の割合は本記事で計算。

メガバンクは、銀行を中心に、信託銀行・証券会社・カード会社などを持つ金融グループの銀行です。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の有価証券報告書は、銀行・信託銀行・証券を中心に、クレジットカード・貸金、リース、資産運用の業務を行うと説明しています。顧客は、国内の個人と企業、海外の企業までにわたります。

りそなは、全銀協の統計では都市銀行に入ります。りそなホールディングスの報告セグメント(事業の区分)は個人・法人・市場の3部門で、法人部門には、企業向けの貸出に加えて、信託を活用した資産運用、不動産業務、企業年金が含まれます(有価証券報告書)。銀行の業務と信託の業務を、同じグループの中で提供している型です。

地方銀行・第二地方銀行は、全銀協の統計では「地方銀行」「地方銀行Ⅱ」です。稼ぎ方の数字と合併の動きは、後の章で詳しく見ます。

信託銀行は、お金や不動産などの財産を預かって管理・運用する信託の業務を、銀行の業務と一緒に営みます。三井住友トラストグループでは、年金や資産管理の「投資家事業」、「不動産事業」、「運用ビジネス」が、それぞれ報告セグメントになっています(有価証券報告書)。

ネット銀行・ATMの銀行などは、金融庁の一覧では「その他」の銀行です。楽天銀行やドコモSMTBネット銀行のように、インターネットでの取引を中心にする銀行(ネット銀行)があります。セブン銀行は、ATMの手数料が稼ぎの中心です(後の章で数字を示します)。ネット銀行の収益の内訳は、この記事では確かめていません。

全銀協の業態別集計では、銀行の稼ぎの中心は資金利益。信託銀行は役務取引等利益が資金利益を上回る

銀行の稼ぎは、主に2つに分かれます。1つは資金利益です。貸出や有価証券から得る利息などの収益から、預金の利息などの調達の費用を差し引いたものです。もう1つは役務取引等利益です。サービスの対価として受け取る手数料から、支払った手数料を差し引いたものです。この2つに、市場での売買の利益などを加えたものが、銀行の本業の粗利である業務粗利益です。

全銀協の集計では、全国銀行107行の2025年度(単体)の業務粗利益は13兆7,480億円で、前年度より17.1%増えました。資金利益は10兆7,539億円(17.8%増)、役務取引等利益は3兆5,123億円(12.9%増)です。その他業務利益は8,470億円のマイナスでした。全銀協は、国内業務部門で国債などの債券の売却損が増えたことなどを理由に挙げています。業態別では、地方銀行の国内業務部門が8,791億円のマイナスです(後の章で示します)。当期純利益は6兆295億円(32.3%増)です(全国銀行の2025年度決算の状況)。

全銀協の4業態の集計では、銀行は資金利益が中心。信託銀行は役務取引等利益が資金利益を上回る

上は全国銀行107行の業務粗利益の内訳。下は業態ごとの資金利益と役務取引等利益(国内+国際をこの記事で足した計算値)。帯の長さは都市銀行の資金利益を最大にした金額の比。行数が違うため、1行あたりの大きさではない。

全国銀行107行(2025年度・単体、億円)
業務粗利益137,480
資金利益107,539
役務取引等利益35,123
特定取引利益3,288
その他業務利益△8,470

業務粗利益=資金利益+役務取引等利益+特定取引利益+その他業務利益。ネット銀行・ゆうちょ銀行・セブン銀行などは入らない。

業態ごとの資金利益と役務取引等利益(億円、計算値)
都市銀行5行/業務粗利益79,179
資金利益54,648
役務取引等利益20,847
地方銀行61行/業務粗利益37,248
資金利益40,326
役務取引等利益6,031

国内のその他業務利益が△8,791億円(債券の売却損)。そのため資金利益が業務粗利益より大きい。

地方銀行Ⅱ35行/業務粗利益7,155
資金利益8,254
役務取引等利益893

国内のその他業務利益が△1,784億円。

信託銀行4行/業務粗利益11,882
資金利益2,600
役務取引等利益6,957

役務取引等利益には信託報酬が含まれると読める(全銀協の勘定科目の説明。信託報酬だけの額は確かめていない)。

出典:全国銀行協会「全国銀行の2025年度決算の状況(単体ベース)」(2026年6月30日公表)の本文と(参考)業態別損益状況、同「全国銀行財務諸表分析(2025年度決算)」の勘定科目の説明。業態ごとの資金利益・役務取引等利益は、国内業務部門と国際業務部門の値を本記事で足した計算値。業態の前年度比は八十二長野銀行の合併による遡及調整がある。

業態ごとに見ると、稼ぎ方の違いがはっきりします。下の数字は、全銀協の業態別の表の国内業務部門と国際業務部門を、この記事で足した計算値です(単位は億円、2025年度)。

業態(行数)資金利益(計算値)役務取引等利益(計算値)業務粗利益読むときの注意
都市銀行(5行)54,648(国内34,359+国際20,289)20,847(国内11,131+国際9,716)79,179国際業務部門の資金利益と手数料が大きい
地方銀行(61行)40,326(国内37,012+国際3,314)6,031(国内5,953+国際78)37,248国内のその他業務利益が8,791億円のマイナスのため、資金利益が業務粗利益より大きい
地方銀行Ⅱ(35行)8,254(国内7,661+国際593)893(国内889+国際4)7,155国内のその他業務利益が1,784億円のマイナス
信託銀行(4行)2,600(国内4,089+国際△1,489)6,957(国内6,641+国際316)11,882役務取引等利益が資金利益より大きい

都市銀行は、資金利益が大きいうえに、国際業務部門でも資金利益と手数料を稼いでいます。地方銀行と地方銀行Ⅱは、資金利益の大部分が国内業務部門です。信託銀行は、4つの業態の中で唯一、役務取引等利益が資金利益を上回っています。全銀協の勘定科目の説明によると、決算状況表では信託報酬(信託の業務で受け取る報酬)が役務取引等収益に含まれるため、この表の手数料には信託報酬も入っていると読めます。信託報酬だけの額は、この記事では確かめていません。

業態ごとの合計は、行数の違いも映しています。都市銀行は5行、地方銀行は61行の合計なので、合計の大きさは1行あたりの大きさではありません。

銀行は、窓口で保険や投資信託を売ることでも手数料を得ています。保険は、保険業法の登録を受けて、保険会社の保険契約の締結を代理・媒介する「保険募集」として売ります(保険業法第2条第26項・第275条第2項)。投資信託は、金融商品取引法の第33条の2の登録を受けた登録金融機関として、販売会社になって売ります。どちらも、銀行が自分で保険を引き受けたり、投資信託を運用したりするのではなく、ほかの会社の商品を顧客に届けて手数料を受け取る仕事です。

全銀協の勘定科目の説明では、役務取引等収益は、為替の手数料(受入為替手数料)と、保証料や代理業務の手数料などの受入手数料(その他の役務収益)からなります。窓口で保険や投資信託を売って得る手数料がどれだけあるかは、全銀協の業態別の表からは分からず、この記事でも額は確かめていません。

金利の引き上げで、貸出の利息も預金の利息も増えた

2025年度の全国銀行の国内業務部門では、貸付金の利息が7兆2,402億円で33.0%増えました。一方、預金の利息を含む資金調達費用は3兆414億円で、170.4%増えています。全銀協は、預金利回りの上昇などを理由に挙げています。

貸出の金利と預金のコストの差を表す預貸金利鞘は、国内業務部門で0.36%と、前年度より0.07ポイント広がりました。貸出金利回りが1.24%、預金などのコストを表す預金債券等原価が0.88%です。

日本銀行は、短期の金利の目安となる無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を、2026年6月16日の決定で1.0%程度に変更し、9月18日の決定で1.25%程度に引き上げました(9月24日から適用)。10月30日の会合では、1.25%程度を維持しています。上の決算は2026年3月までの1年間なので、9月の引き上げの影響は入っていません。

預金と貸出の量も増えています。2026年9月末の全国銀行(106行、国内の全店舗の概算)は、実質預金が前年同月末より3.0%増え、貸出金は4.5%増えました(預金・貸出金速報)。この速報は国内店の概算で、海外の支店を含む決算の預金・貸出金の残高とは範囲も時点も違います。

会社の中では、顧客ごとの部門で稼ぎ方が違う

この記事で見た大きな銀行グループ(MUFG・SMFG・みずほ・りそな・三井住友トラスト)は、銀行・信託・証券といった会社の単位ではなく、個人・法人・海外などの顧客の単位で部門を分けています。各社の部門の利益は、社内管理の計数で、名前も段階(経費や与信費用を差し引くかどうか)も会社ごとに違います。ここでは、それぞれの会社の中で、どの部門が稼いでいるかだけを見ます。会社どうしの大きさは比べません。

同じ会社の中でも、顧客の部門で稼ぎ方が違う

各社の部門の数字を、その会社の中の割合にしたもの(2026年3月期、割合は本記事で計算)。利益の名前と段階は会社ごとに違うため、会社どうしの大きさは比べていない。

りそなホールディングス個人部門と法人部門の小計を100%とした割合(市場部門・その他を除く)
業務粗利益個人45.8%、法人54.2%
与信費用控除後業務純益個人41.0%、法人59.0%
三井住友フィナンシャルグループ4つの事業部門の小計を100%とした割合(本社管理等を除く。四捨五入のため合計が100%にならない)
連結粗利益ホールセール24.8%、リテール30.8%、グローバル30.7%、市場13.8%
連結業務純益ホールセール38.5%、リテール16.5%、グローバル25.3%、市場19.6%

社内管理会計で、部門が協働して得た収益をそれぞれの部門に計上している。

三井住友トラストグループ実質業務粗利益の合計(960,250百万円)を100%とした割合
実質業務粗利益個人25.9%、法人32.5%、投資家18.4%、不動産8.4%、運用ビジネス11.7%、マーケット0.7%、その他2.4%。投資家・不動産・運用ビジネスの3つで38.5%
セブン銀行連結経常収益(220,025百万円)を100%とした割合
連結経常収益ATM受入手数料は合計72.4%(国内52.9%、海外19.4%。四捨五入のため内訳の和は72.3%)。残りは、クレジットカード・電子マネーの事業などの収益
出典:りそなホールディングス・三井住友フィナンシャルグループ・三井住友トラストグループ・セブン銀行の2026年3月期有価証券報告書(セグメント情報)。割合は本記事で計算。りそなの市場部門は部門間の収益の振り分けの変更(△61,796百万円)を含みマイナス。三井住友トラストグループは持分法適用会社の損益を持分割合で反映した社内管理ベース。

MUFGの報告セグメントは、リテール・デジタル、法人・ウェルスマネジメント、コーポレートバンキング、グローバルコマーシャルバンキング、受託財産、グローバルCIB、市場の7つの事業本部です(有価証券報告書)。7つのうち2つが海外の事業本部です。MUFGの2026年3月期の営業純益(日本基準、社内管理の計数)では、7つの中でコーポレートバンキングが最も大きくなっています。部門とは別の範囲ですが、三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行の単体を合わせた計数では、金利収支と非金利収支の合計のうち、金利収支が60.8%(計算値)です。

三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)では、リテール事業部門の連結粗利益は、グローバル事業部門とほぼ並んで、4つの事業部門の中で最も大きくなっています。一方、経費を差し引いた連結業務純益では、ホールセール事業部門が最も大きく、リテール事業部門はその半分以下です(有価証券報告書)。SMFGのセグメントは、部門が協働して得た収益をそれぞれの部門に計上する社内管理会計の数字です。

みずほフィナンシャルグループは、顧客別の5つのカンパニーで銀行・信託・証券を一体で運営しています。業務粗利益(ETF関係損益等を加えた値)ではリテール・事業法人カンパニーが5つの中で最も大きく、業務純益(同)ではコーポレート&インベストメントバンキングカンパニーが最も大きくなっています(有価証券報告書)。

りそなホールディングスでは、個人部門と法人部門を合わせた業務粗利益のうち、個人部門が45.8%、法人部門が54.2%です。与信費用控除後業務純益(与信費用=貸出が返ってこない場合に備える費用などを差し引いた業務純益)では、個人部門が41.0%、法人部門が59.0%になります(いずれも計算値)。市場部門は、部門間の収益の振り分けの変更もあり、マイナスでした。

三井住友トラストグループでは、実質業務粗利益の合計のうち、投資家事業・不動産事業・運用ビジネスの3つで38.5%(計算値)を占めます。この会社では、貸出や預金に加えて、年金・資産管理、不動産、運用の事業も稼ぎの柱になっています。

セブン銀行では、2026年3月期のATM受入手数料が1,592億円(国内1,165億円、海外428億円)で、連結経常収益2,200億円の72.4%(計算値)にあたります。億円の値は億円未満を四捨五入しています(有価証券報告書)。預金を集めて貸す差ではなく、ATMという決済の設備の手数料で稼いでいる銀行です。

仕事は、営業・事務・市場・IT・企画とリスク管理に分かれる

全国銀行107行の2025年度末の職員数は264,295人、店舗数は出張所を含めて13,682店です(全銀協の集計)。ネット銀行やゆうちょ銀行の職員と店舗は、この数に入っていません。

銀行の仕事は、顧客と向き合う営業と、それを支える事務・審査・市場・IT・企画の仕事に分かれます。職種の呼び方は銀行ごとに違うため、下の表では、この記事で採用ページを確かめた三菱UFJ銀行とりそなグループのキャリア採用(中途採用)の職種名を、会社名と一緒に示します。

仕事の領域(この記事の整理)主な相手主な仕事の例確かめた職種名(会社)
法人営業企業の経営者・財務の担当者融資や決済の提案、事業承継やM&Aの相談法人営業・RM(リレーションシップ・マネージャー)(三菱UFJ銀行)、営業店での営業(法人)、M&A、プライベートバンカー、承継(りそなグループ)
個人営業個人の顧客住宅ローン、資産運用や相続の相談営業店での営業(個人)、M&A、プライベートバンカー、承継、不動産、アパマン、ローン(りそなグループ)
事務支店の顧客、営業の担当者預金や融資、為替の手続き事務(本部・支店)(りそなグループ)
融資の審査営業の担当者貸出の可否と条件の判断この記事では職種名を確かめていない
市場・運用金融市場、運用の顧客債券などの運用、資産の運用アセットマネジメント・運用(三菱UFJ銀行)、運用(市場、アセットマネジメント)(りそなグループ)
信託・年金企業年金、資産を預ける顧客年金や信託財産の管理・運用年金、信託(りそなグループ)
IT・デジタル社内の各部門、システムの会社システムの企画と管理、データの活用、決済のデジタル化IT・システム、データサイエンティスト・マーケティング、FinTech・DX推進(三菱UFJ銀行)、DX、決済、システム(りそなグループ)
企画・管理経営、当局経営の計画、リスクの管理、経理、法令の順守経営企画・事業企画、リスク管理、経理・財務・法務(三菱UFJ銀行)、経営企画、リスク、コンプライアンス、内部監査、経理・財務(りそなグループ)

出典は、三菱UFJ銀行がMUFGキャリア採用サイトに載せる代表的な職種例と、りそなグループのキャリア採用ページの職種の区分です。どちらもキャリア採用の区分で、新卒採用のコースの名前ではありません。みずほ銀行、三井住友銀行、地方銀行、ネット銀行の職種名は、この記事では確かめていません。応募先の採用ページで確かめてください。りそなグループの採用ページには、りそなアセットマネジメントなど、銀行以外のグループ会社の求人も入っています。

銀行の仕事には、法律で決まった顧客への義務もあります。金融サービス提供法は、銀行業の業務を行う人とその役員・使用人に、顧客の最善の利益を考えて、誠実かつ公正に業務を行うことを義務づけています(第2条第1項・第2項第3号)。預金や融資の窓口の仕事も、この対象です。

地方銀行は、国内の資金利益が中心。合併を支える国の制度が延びた

金融庁の一覧では、2026年5月26日現在で地方銀行が61行、5月2日現在で第二地方銀行が34行あります。全銀協の統計では、それぞれ「地方銀行」「地方銀行Ⅱ」と呼ばれます。

全銀協の業態別の数字では、地方銀行61行の2025年度の資金利益は4兆326億円(計算値)で、その大部分の3兆7,012億円が国内業務部門です。役務取引等利益は6,031億円(計算値)です。国内のその他業務利益は、主に国債などの債券の売却損により、8,791億円のマイナスでした。このため、資金利益が業務粗利益の3兆7,248億円を上回っています。地方銀行Ⅱの35行では、資金利益が8,254億円、役務取引等利益が893億円(いずれも計算値)、国内のその他業務利益が1,784億円のマイナスです。

地方銀行どうしの合併も続いています。2026年1月1日には八十二銀行と長野銀行が合併して八十二長野銀行に、5月2日には福井銀行と福邦銀行が合併して福井銀行になりました(全銀協の決算と速報の注記)。

合併を支える国の制度もあります。2026年6月25日に施行された改正金融機能強化法では、合併などの組織再編を含む経営基盤の強化の計画について、2031年3月31日までに国に認定を申請できます(第34条の10第1項)。これは「申請できる」という規定で、地方銀行に合併を義務づける制度ではありません。金融庁の法案の概要によると、合併や経営統合をする地域の金融機関に、追加でかかる初期コストの一部を国(預金保険機構)が交付する資金交付制度は、申請の期限が2026年3月末から2031年3月末に延びました。市場で株式を取得して子会社にする場合も対象に加わりました。法案の概要では、交付の上限額も引き上げるとしています。中小の地域の金融機関のシステムの共同化を支援する枠組みも示されています。

地方銀行の求人では、合併や経営統合の予定がある銀行かどうかを、銀行や持株会社の発表で確かめます。

金利・再編・ネット銀行・IT統合の変化が届く仕事

2025年から2026年にかけて、金利、地方銀行の再編、ネット銀行、IT子会社のそれぞれで変化がありました。

金利・再編・ネット銀行・IT統合の変化は、銀行のどの仕事に届くか

左は2025〜2026年の主な変化、右はそれが届く仕事。職種名は三菱UFJ銀行・りそなグループのキャリア採用で確かめたものだけを会社名と一緒に示す。効果や採用数の増減は予測していない。

2025年度決算・2026年9月金利の上昇(貸付金利息33.0%増、資金調達費用170.4%増。政策金利は6月に1.0%程度、9月に1.25%程度へ、10月30日は維持)
→↓
営業:貸出と預金の金利の条件を顧客と話す。法人営業・RM(三菱UFJ銀行)、営業店での営業(法人、個人)(りそなグループ)
市場・運用:保有する債券などの運用。アセットマネジメント・運用(三菱UFJ銀行)、運用(市場、アセットマネジメント)(りそなグループ)
2026年1月・5月/6月施行地方銀行の合併と、金融機能強化法の改正(合併等の計画の認定を2031年3月31日まで申請できる。資金交付制度の期限延長、システム共同化の支援)
→↓
地方銀行の企画・システム:合併・統合の計画、システムの共同化(地方銀行の職種名はこの記事では確かめていない)
2026年8月(商号変更)ネット銀行の再編(住信SBIネット銀行がNTTドコモの連結子会社になり非上場に。ドコモSMTBネット銀行へ商号変更)
→↓
応募先の確認:ネット銀行は、銀行と親会社のグループを一緒に確かめる(ネット銀行の職種名はこの記事では確かめていない)
2026年4月みずほ銀行がIT・リサーチの子会社を合併
→↓
IT・デジタル:ITの機能を銀行本体に置く形の例(みずほ銀行の職種名は確かめていない)。IT・システム、FinTech・DX推進(三菱UFJ銀行)、DX、決済、システム(りそなグループ)
出典:全国銀行協会「全国銀行の2025年度決算の状況(単体ベース)」、日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年6月16日・9月18日)・「当面の金融政策運営について」(2026年10月30日)、金融機能の強化のための特別措置に関する法律(e-Gov)、金融庁「金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案の概要」、全国銀行協会「預金・貸出金速報(2026年9月末)」、住信SBIネット銀行(現 ドコモSMTBネット銀行)「組織変更・役員異動等について」(2025年10月1日)、みずほフィナンシャルグループ・2026年3月期有価証券報告書、MUFGキャリア採用サイト、りそなグループ キャリア採用ページ。

ネット銀行では、住信SBIネット銀行がNTTドコモの連結子会社になって上場をやめ、2026年8月3日にドコモSMTBネット銀行へ商号を変えました。同行は2025年10月1日の発表で、ドコモの連結子会社化や非上場化を受けて組織を改めたと説明しています(同行の発表)。通信会社のグループに入ったネット銀行の例です。ネット銀行の求人では、銀行そのものに加えて、親会社がどのグループかも確かめます。

みずほ銀行は、2026年4月1日に、グループのIT・リサーチの会社であるみずほリサーチ&テクノロジーズを合併しました(みずほフィナンシャルグループの有価証券報告書)。ITの機能を、子会社ではなく銀行本体に置く形の例です。勘定系システムを受託する側の会社の仕事は、「SIer・システム開発の業界地図」で扱っています。

信用金庫・信用組合は、会員・組合員のための協同組織

預金を受け入れて貸す金融機関には、銀行のほかに、信用金庫・信用組合・労働金庫などの協同組織の金融機関があります。株式会社の銀行とは、根拠の法律と、誰のための組織かが違います。

区分根拠の法律誰のための組織か数(金融庁の一覧)
銀行銀行法(株式会社、内閣総理大臣の免許)顧客を限らないこの記事の2章の表のとおり(一覧ごとに基準日が違う)
信用金庫信用金庫法(内閣総理大臣の免許)会員。地区の中に住所や事業所がある人など。従業員300人超の個人事業者と、従業員300人超かつ資本金などが政令の額を超える法人は会員になれない254金庫と連合会1(2026年10月27日現在)
信用組合中小企業等協同組合法など組合員。地区の中の小規模の事業者、住所がある人、勤労者など143組合と連合会1(同日現在)
労働金庫労働金庫法(内閣総理大臣と厚生労働大臣の免許)会員。地区の中の労働組合や消費生活協同組合など13金庫と連合会1(2023年8月14日現在。一覧が古い)

働く人の数では、令和6年経済センサス‐基礎調査(2024年6月)で、銀行業の民営事業所の従業者が371,399人、信用金庫・信用組合・労働金庫などの協同組織金融業が163,077人です。経済センサスは「銀行業」に分類される民営の事業所の従業者の数で、全銀協の107行に限らない分類です。全銀協の107行の職員数(264,295人)とは数える範囲が違います。

信用金庫・信用組合は、全銀協の全国銀行の統計にも入っていません。協同組織の金融機関の稼ぎ方や仕事の詳しい比較は、この記事では扱いません。

求人票では、銀行の型・稼ぎ方・部門・職種名を確かめる

銀行の仕事は、銀行の型と、配属される部門の顧客によって、相手と成果物が変わります。求人票では、次の4点を確かめます。

  • 銀行の型:メガバンク、りそなのような信託を併せ持つ銀行、地方銀行・第二地方銀行、信託銀行、ネット銀行、ATMの銀行のどれか。全銀協の統計の「全国銀行」に入る銀行かどうかで、業界の数字の当てはめ方も変わる
  • 稼ぎ方:資金利益(利息)が中心か、手数料や信託報酬が大きいか。金利の上昇で何が増え、何が減るか
  • 部門:個人・法人・海外・市場・信託など、どの顧客の部門に配属される仕事か。会社の部門の利益は、その会社の中の比率で読む
  • 職種名:求人の職種名が、応募先の採用ページの職種の区分のどれに当たるか。キャリア採用の区分と新卒のコースは別のもの

地方銀行に応募するときは、合併や経営統合の予定と、国の資金交付制度を使う計画があるかも確かめます。銀行の窓口で売る保険、投資信託の販売、カード会社、リース会社の仕事に関心がある場合は、それぞれの業界地図で、銀行とは別の法律の登録と稼ぎ方を確かめてください。