建設コンサル、測量、地質調査、建築設計を、登録、顧客、積算、年度の波、資格で整理。工事会社とは異なる受託業務と成果物が分かります。

「建設コンサルタント」「設計職」と書かれた求人には、道路や河川の計画を立てる技術者、橋の設計をする技術者、地盤を調べる技術者、航空機で地形を測る技術者、ビルを設計する建築士まで幅があります。この記事で扱う職種は、工事そのものではなく、工事の前後に調査・計画・設計・監理を担います。

同じ「コンサル」という言葉でも、企業の経営やITの課題を扱うコンサルティング会社とは別の仕事です。この記事の建設コンサルタントは、主に国や自治体から、道路・河川・上下水道などのインフラの調査・計画・設計を受託する技術の仕事を指します。経営やITのコンサルティングは「コンサルティングの業界地図」で扱います。

この記事では、土木系の建設コンサルタント・測量業・地質調査業と、建築系の建築士事務所を扱います。それぞれの登録と資格、顧客と受託の決まり方、受託の値段、1年の中の仕事の波、会社の例、変化が届く仕事を順に確かめます。

建設業の全体の中での位置は「建設・住宅・プラントの業界地図」で整理しています。年収や給与の数字は示しません。

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建設コンサルタントは、工事をせずに調査・計画・設計を受託する

道路や建物ができるまでには、工事の前にいくつもの仕事があります。土地の位置や形を測る測量、地盤の性質を調べる地質調査、何をどこに造るかを決める計画、工事に使う図面をつくる設計です。工事の段階では、建物が設計どおりにつくられているかを確かめる工事監理などがあり、完成後には点検や診断があります。

公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)は、国・特殊法人など・地方公共団体が発注する「測量、地質調査その他の調査(点検及び診断を含む。)及び設計」を「公共工事に関する調査等」と呼んでいます(第2条第2項)。工事とは別の契約として発注される仕事です。

工事の前後の調査・計画・設計は、工事とは別の契約で、登録の性格が違う会社が受託する

上は発注者、中は工事の前後の主な業務と、それを受託する会社の登録・置く人。業務の順番は一例で、案件によって前後したり重なったりする。

発注者:国・特殊法人など・自治体(公共)、民間の企業・建築主。調査や設計の契約と、工事の契約は別々に結ぶ
1 測る測量測量業者登録は義務・大臣営業所ごとに測量士を1人以上
2 調べる地質調査地質調査業者登録は任意・大臣登録するなら技術管理者を置く
3 計画・設計(土木)計画・調査・設計建設コンサルタント登録は任意・大臣21部門ごとに技術管理者(技術士など)
3 設計・監理(建築)設計・工事監理建築士事務所登録は義務・知事専任の管理建築士。一定の建物は一級建築士
4 造る工事建設会社。工事自体の詳しい比較は本記事の対象外
5 守る点検・診断品確法の「調査等」に含まれる。完成後の維持管理の業務
読み方:赤は登録しないと営業できない義務の登録、緑は登録しなくても営業できる任意の登録。1つの会社が複数の登録を持つことが多い(建設コンサルタントの登録業者の72.9%は測量業にも登録)。工事の段階の支援(建築の工事監理など)を受託することもある。CM/PMを国内の成長分野に挙げる会社もある(建設技術研究所の例)。
出典:公共工事の品質確保の促進に関する法律 第2条第2項、測量法 第55条・第55条の13、建築士法 第3条・第23条・第24条(e-Gov)、建設コンサルタント登録規程・地質調査業者登録規程(国土交通省告示)、国土交通省近畿地方整備局「建設コンサルタント登録の要件」、国土交通省「建設関連業 登録業者数調査(令和7年度)」。

同じ発注者でも、調査や設計の契約と、工事の契約は別々に結ばれます。この記事は、工事の前後の技術の仕事を受託する側から見ます。

土木系の3つの登録:建設コンサルタントと地質調査は任意、測量は義務

土木系の仕事には、国土交通大臣の登録の制度が3つあります。ただし、登録が「任意」か「義務」かが違います。

建設コンサルタントの登録は任意です。建設コンサルタント登録規程(国土交通省の告示)は、登録部門に係る営業を営む者は登録を「受けることができる」と定めています(第2条)。国土交通省の近畿地方整備局の登録の要件の資料も、登録の有無に関わらず建設コンサルタントの営業は自由に行えると説明しています。登録は、主に土木に関する21の部門ごとに受けます。登録には、部門ごとに常勤で専任の技術管理者(技術上の管理をつかさどる人)を置くこと、資本金500万円以上かつ自己資本1,000万円以上であることなどが必要です。有効期間は5年です。

地質調査業の登録も任意です。地質調査業者登録規程は、地質や土質を調査・解析・判定し、設計などに必要な資料を提供する営業を地質調査業とし、登録を「受けることができる」と定めています(第2条)。

測量業の登録は義務です。測量法は、測量業を営もうとする者は登録を「受けなければならない」と定めています(第55条)。測量業者は、営業所ごとに測量士を1人以上置かなければなりません(第55条の13)。

国土交通省の建設関連業 登録業者数調査によると、2026年3月31日(令和7年度末)時点の登録業者数は、測量業が1万924、建設コンサルタントが3,917、地質調査業が1,229です。測量業は22年連続で減っています。建設コンサルタントと地質調査業の数は、登録した業者だけの数です。登録が任意なので、登録しないで営業する会社は数に入りません。

建設コンサルタントの登録業者3,917のうち、72.9%(2,858業者)は測量業の登録も持っています。1つの会社が、建設コンサルタントと測量の両方を営む形が多いのです。登録業者の77.9%は、資本金5,000万円未満の法人か個人です。

21の部門のうち、登録業者が多いのは、道路(1,759業者)、鋼構造及びコンクリート(1,358業者)、河川・砂防及び海岸・海洋(1,220業者)です。1つの部門だけに登録している業者が45.5%で、平均の登録部門数は2.68です。部門の技術管理者のうち86.4%は技術士(都市計画及び地方計画部門では一級建築士を含む)で、残りは国土交通大臣の認定を受けた人です。

登録は、会社の種類というより、業務ごとの看板に近いものです。たとえば非上場のパシフィックコンサルタンツは、建設コンサルタントの21部門すべてと、地質調査業者・測量業者に登録し、8都道府県で一級建築士事務所の登録も持っています(会社概要)。

建築系:建築士事務所の登録は義務で、一定の建物は一級建築士でなければ設計できない

建物の設計は、建築士法で決まりが定められています。土木系の建設コンサルタントと違い、登録は義務です。

建築士やその建築士を使う者が、他人の求めに応じて報酬を得て、設計や工事監理などを業として行うときは、建築士事務所を定めて都道府県知事の登録を受けなければなりません(第23条)。有効期間は5年です。建築士事務所には、事務所ごとに専任の管理建築士を置きます。管理建築士は、建築士として3年以上の業務に従事した後、講習を修了した建築士です(第24条)。

建物によっては、一級建築士でなければ設計も工事監理もできません(第3条)。学校・病院・百貨店などで延べ面積500㎡を超える建物、鉄筋コンクリート造や鉄骨造などで延べ面積300㎡を超えるか高さ16mを超えるか地上4階以上の建物、延べ面積1,000㎡を超え2階以上の建物などを新築する場合です。増築・改築や大規模の修繕・模様替えをする場合も、その部分を新築とみなして同じ基準が当てはまります(第3条第2項)。

設計の契約にも決まりがあります。

  • 再委託の制限:委託者の許諾を得ても、受けた設計・工事監理を、建築士事務所の開設者以外に任せてはならない。延べ面積300㎡を超える新築の設計・工事監理は、一括して他の建築士事務所に任せてはならない(第24条の3)
  • 重要事項の説明:契約の前に、管理建築士などが、作成する設計図書の種類、担当する建築士の氏名、報酬の額と支払の時期などを書いた書面を渡して説明する(第24条の7)
  • 契約の書面:延べ面積300㎡を超える新築の設計・工事監理の契約は、決まった事項を書面に書いて互いに渡す(第22条の3の3。2026年10月時点の現行の規定)
  • 報酬の基準:国土交通大臣は、建築士事務所が請求できる報酬の基準を「定めることができる」(第25条)。義務の規定ではない

2026年7月31日には、建築士法の改正法(令和8年法律第74号)が公布されました。国土交通省の改正の概要によると、書面で契約を結ぶ義務を、300㎡を超える新築などから、建築士が行う設計・工事監理のすべての契約に広げます。建築士事務所には、見積書の作成などの努力義務を課します。在学中の建築士試験の受験、二級・木造建築士の資格の要件の緩和、建築設備士の登録の制度の創設も含まれます。e-Gov法令検索の改正履歴では、この改正法の一部は公布の日に施行され、残りは2027年4月1日と、「公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日」の2段階で施行される版として収録されています。e-Govの2027年4月1日の版では、契約の書面の規定(第22条の3の3)が延べ面積や新築の条件を外した形になり、見積書の規定も入っています。2026年10月時点の現行の条文は、まだ300㎡を超える新築の契約が対象です。ほかの改正事項がどの日に施行されるかは、この記事では書きません。

建築士事務所の数は、国土交通省の建築分野の担い手の動向の資料によると、令和5年時点で一級建築士事務所が約7万です。近年は減る傾向にあります。登録が義務なので、報酬を得て設計などを業とするには登録が必要です。登録が任意の建設コンサルタントの数とは、数え方の性格が違います。

「組織設計事務所」「アトリエ事務所」という呼び方は、業界の呼び方で、法律の区分ではありません。たとえば日建設計は、建築の設計監理や都市デザインを行う非上場の会社で、2026年4月1日時点の役員・職員2,831名のうち、一級建築士が1,111名です(会社概要)。

土木系は任意と義務の登録が混ざり、建築系は義務の登録。大手50社の契約では、土木系は公共、建築設計は民間の建物が中心

4つの業種の制度と、大手50社の契約で見た公共の比重。業者数は数え方が違い、建築設計は金額ではなく延床面積の集計なので、列どうしを足したり比べたりしない。

項目建設コンサルタント土木系測量業土木系地質調査業土木系建築士事務所建築系
根拠建設コンサルタント登録規程(告示)測量法地質調査業者登録規程(告示)建築士法
登録任意・国土交通大臣。21部門ごと義務・国土交通大臣任意・国土交通大臣義務・都道府県知事
置く人部門ごとに専任の技術管理者(技術士、一級建築士〈都市計画及び地方計画部門〉、大臣認定者)営業所ごとに測量士専任の技術管理者事務所ごとに専任の管理建築士
業者・事務所の数3,917
登録した業者だけ(2026年3月末)
10,924
2026年3月末。22年連続で減少
1,229
登録した業者だけ(2026年3月末)
約7万
一級建築士事務所(令和5年時点)。減少傾向
大手50社の公共の割合:契約金額(令和7年度)82.5%
国内の契約金額のうち
78.7%
国内の契約金額のうち
66.4%
国内の契約金額のうち
金額の集計はない
大手50社の公共の割合:延床面積(令和7年度)延床面積の集計はない延床面積の集計はない延床面積の集計はない15.7%
実施設計に着手した延床面積のうち(別の尺度。上の行の割合とは比べない)
読み方:建設コンサルタントと地質調査業の数は登録した業者だけで、登録しないで営業する会社は入らない。建築士事務所は登録が義務の制度で、数え方の性格が違う。公共の割合は本記事の計算値で、建築設計の延床面積の割合は、金額の割合と比べられない。登録は業務ごとの看板で、たとえばパシフィックコンサルタンツは4つすべての登録を持つ。
出典:国土交通省「建設関連業 登録業者数調査(令和7年度)」、同「建設関連業等の動態調査報告 令和8年9月」(第1〜5表。各業種とも原則年間売上高の多い50社)、同「建築分野の担い手の動向について」、建設コンサルタント登録規程・地質調査業者登録規程、測量法・建築士法(e-Gov)、パシフィックコンサルタンツ「会社概要」。割合は本記事で計算。

土木系と建築系では、顧客も違います。国土交通省の建設関連業等の動態調査は、業種ごとに、原則として年間売上高の多い50社を選んで、契約の動きを集計しています。令和7年度(2025年4月〜2026年3月)、建設コンサルタントの大手50社の国内の契約金額のうち、公共は82.5%でした(計算値)。建築設計の大手50社は、金額ではなく、実施設計に着手した建物の延床面積で集計されていて、公共は15.7%でした(計算値)。単位が違うので、2つの割合は比べられません。建築設計の大手50社では、延床面積で見ると民間の建物が大半だと分かる程度です。

公共の業務は、技術提案・総合評価・価格のどれかで受託先が決まる

国や自治体の業務は、入札や選定で受託先が決まります。品確法は、発注者が競争に参加する者に技術提案を求めるよう「努めなければならない」と定めています(第15条)。努力義務なので、すべての業務で技術提案が求められるわけではありません。

国土交通省のプロポーザル方式及び総合評価落札方式の運用ガイドラインは、直轄の業務について、選び方を3つに分けています。

選び方どんな業務に使うか決まり方
プロポーザル方式技術的に高度な業務や専門的な技術が求められる業務で、受注者の技術提案をもとに仕様をつくる方がよい成果を期待できるもの。標準的な歩掛(作業量の目安)がなく、予定価格の半分を超える部分を見積もりで決める業務や、協議・地元説明などへの理解が品質に関わる業務でも選ぶ評価のテーマへの技術提案と実施方針を求め、技術的に最も適した者を特定する
総合評価落札方式(標準型・簡易型)事前に仕様を決められるが、入札者の技術で品質の向上が見込める業務入札者の技術と価格を合わせて評価する
価格競争(ガイドラインでは参考の扱い)上の2つによらない業務で、参加の条件に一定の資格や成績を付ければ品質を確保できるもの価格で決める

このガイドラインは国土交通省の直轄の業務の運用です。自治体の選び方は自治体ごとに違います。どの方式が何件あるかの割合は、この資料にはありません。

動態調査の大手50社では、契約の大半が公共です。大手50社の令和7年度の契約金額は、建設コンサルタントが7,367億円で、うち国内の公共が5,725億円、国内の民間が1,210億円、海外が432億円でした。測量業の大手50社は国内の契約金額の78.7%、地質調査業の大手50社は66.4%が公共です(いずれも計算値)。これは大手50社の契約の集計で、業界全体の市場の大きさや売上ではありません。

受託の値段は、技術者の日数と単価で積み上げる

公共の業務の値段は、どう決まるのでしょうか。国土交通省は、設計・測量・地質調査などの業務の予定価格を積算する(見積もる)ときに、設計業務委託等技術者単価を使います。技術者の職階ごとに決めた、1日(所定労働時間内の8時間)当たりの全国一律の単価です。業務に必要な技術者の日数に、この単価を掛けたものが、積算の人件費の部分になります。

国の業務の積算は、技術者の日数と職階ごとの1日単価で人件費を積み上げる。単価は給与ではない

上は積算の考え方、中は設計業務の7つの職階の基準日額(2026年3月から適用)、下は誰から受託するかの1社の例。

技術者の日数業務に必要な職階ごとの人数×日数
職階ごとの1日単価設計業務委託等技術者単価(全国一律、8時間当たり)
積算の人件費の部分国の予定価格を見積もるときの額。ほかの費目は図では扱わない
設計業務の職階ごとの基準日額(2026年3月から適用)
主任技術者
90,300円
理事・技師長
82,800円
主任技師
70,900円
技師(A)
62,600円
技師(B)
49,300円
技師(C)
42,500円
技術員
36,700円
帯の右端は10万円。設計業務7職階の平均は62,157円。測量・航空・地質調査を含む20職種の単純平均は51,715円で、前年度より4.3%高い(14年連続の引き上げ)。職階の名前は積算の区分で、会社の役職名や求人の職種名とは限らない。
単価に含むもの基本給に相当する額、諸手当、賞与に相当する額、事業主の負担額(社会保険料など)
単価に含まないもの・拘束しないもの残業・休日・深夜の割増賃金は含まない。外注の単価や、技術者に払う賃金を拘束するものではない。年収や月給に換算しない
誰から受託するか:建設技術研究所の例(2025年12月期)
連結売上高1,010億円のうち、主要な顧客「日本国」への売上高が307億円(計算値30.4%)。日本国は国の直接の発注で、自治体は含まない。1社の例で、業界の平均ではない。
出典:国土交通省「令和8年3月から適用する設計業務委託等技術者単価について」(2026年2月)、建設技術研究所「2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(関連情報・主要な顧客)。割合は本記事で計算。

2026年3月から適用されている単価は、20の職種(職階)の単純平均で5万1,715円です。前の年度より4.3%高く、14年続けて引き上げられました。設計業務の7つの職階の平均は6万2,157円で、主任技術者の9万300円から技術員の3万6,700円まであります。職階は、担当する業務が定型か非定型かなどで定義されています。たとえば技師(C)は、上司の包括的な指示のもとで一般的な定型業務を担う職階です。

この単価は、働く人の給与ではありません。基本給に相当する額、諸手当、賞与に相当する額に加えて、社会保険料などの事業主の負担額を含みます。一方で、残業・休日・深夜の割増賃金は含みません。国土交通省は、この単価は会社の外注の単価や、雇用契約で技術者に払う賃金を拘束するものではないとしています。主任技術者や技師といった職階の名前も、積算のための区分で、会社の役職名や求人の職種名とは限りません。

単価が上がれば、同じ日数の業務でも、積算の人件費の部分は大きくなります。ただし、それが会社の利益や社員の給与にどれだけ回るかは、会社ごとに違います。

誰から受託するかは、会社によって違います。建設技術研究所は、2025年12月期の決算短信で、主要な顧客として「日本国」への売上高307億円を開示しています。連結売上高1,010億円の約3割(計算値30.4%)です。日本国は国の直接の発注で、自治体などは含みません。これは建設技術研究所の例で、ほかの会社でも同じ割合とは限りません。

契約は4月と3月に多く、納期は年度末に寄りやすい

公共の仕事には、国や自治体の会計年度(4月〜翌年3月)の波があります。ただし、「契約する月」と「納める月」は別の統計で確かめる必要があります。

契約は4月と3月に多い。納期は3月に集まる例がある

上は「契約した月」、下は「納める月(履行期限)」。別々の統計で、対象も違う。上の山から、納期の時期は読み取れない。

契約した月:建設コンサルタントの大手50社の月別契約金額(令和7年度)年度の合計7,367億円を100%とした割合(計算値)。国土交通省「建設関連業等の動態調査」
4月
14.7%
5月
7.9%
6月
11.8%
7月
11.7%
8月
6.8%
9月
8.5%
10月
6.3%
11月
5.1%
12月
4.8%
1月
3.6%
2月
5.3%
3月
13.5%
帯の右端は16%。濃い色は多い月(4月・3月)、薄い色は最も少ない月(1月)。業界全体の契約ではなく、大手50社の集計。
納める月:国総研が発注した土木関係コンサルタント業務の履行期限(令和6年度、216件)国土交通省 国土技術政策総合研究所の1機関の例。国全体や自治体の割合ではない
4〜12月 18件(8%)1〜2月 61件(28%)3月 101件(46%)翌年度へ繰越 36件(17%)
3月の履行期限の割合:令和4年度 54% → 令和5年度 51% → 令和6年度 46%
帯の幅は件数から計算。割合の表示は資料の表記で、足しても100%にならない。
出典:国土交通省「建設関連業等の動態調査報告 令和8年9月」(建設コンサルタントの月別契約金額。割合は本記事で計算)、国土技術政策総合研究所「令和8年度の入札・契約実施方針」(2026年3月、港湾空港関係を除く土木関係コンサルタント業務)。

動態調査の建設コンサルタントの大手50社の契約金額を月ごとに見ると、令和7年度は4月が1,081億円で年度の14.7%と最も多く、3月の994億円(13.5%)が続きます。最も少ないのは1月の266億円(3.6%)でした(割合は計算値)。年度の初めと終わりに、契約が集まっています。この統計は契約した月の集計で、いつ納めるかは示していません。

納める時期の例として、国土交通省の国土技術政策総合研究所(国総研)が令和8年度の入札・契約実施方針で示した数字があります。国総研が発注した土木関係のコンサルタント業務(港湾空港関係を除く)では、令和6年度に発注した216件のうち、履行期限が3月の業務が101件(資料の表記で46%。件数から計算すると46.8%)でした。1〜2月が61件(28%)、翌年度への繰越が36件(17%)、4〜12月は18件(8%)です。3月の割合は、令和4年度の54%から、51%、46%と下がってきました。これは国総研1機関の発注の例で、国全体や自治体の納期の割合ではありません。

年度末に納期が集まると、報告書の取りまとめや成果の確認が同じ時期に重なります。品確法は、発注者が講じなければならない措置の1つに、計画的な発注や、翌年度にわたる期間の設定などによる実施時期の平準化を挙げています(第7条第1項第10号)。国総研は、発注時期と履行期限の平準化を2017年4月から続け、2026年4月から複数年にわたる契約方式の試行を始めるとしています。建設コンサルタンツ協会も、2025年12月の国総研との意見交換で、年度末の業務の集中の緩和を求めています。

会社の例:同じ「建設コンサル」でも、受託先と事業の組み合わせが違う

建設コンサルタントや設計の会社は、上場している会社が少なく、決算の期や会計の基準もそろっていません。ここでは、会社ごとの事業の組み合わせを示します。会社どうしの大きさや順位は比べません。

  • 建設技術研究所(2025年12月期):国内と海外の2つのセグメントを開示している。国内建設コンサルティング事業のセグメント利益は86億円、英国のWaterman Groupなどの海外建設コンサルティング事業は5億円だった。国内の成長分野に、エネルギー、情報提供サービス、CM/PM(コンストラクション・マネジメント/プロジェクト・マネジメント)を挙げている
  • オリエンタルコンサルタンツホールディングス(2025年9月期):受注高977億円のうち、国内市場が655億円、海外市場が321億円。企画・調査・計画・設計などの知的サービスのセグメントのほかに、工事施工・解体工事などを含む環境マネジメント事業を持つ(決算短信)
  • 応用地質(2025年12月期):地質調査の会社だが、地震計・火山監視のシステムや非破壊検査・物理探査の機器の開発・製造・販売も手がける。セグメントは、被災箇所の調査や点検・診断を含む防災・インフラ事業、土壌汚染の調査や洋上風力の事業化支援を含む環境・エネルギー事業、海外の機器などの国際事業の3つ(決算短信)。地質調査業の典型ではなく、機器メーカーの面も持つ会社の例
  • アジア航測(2025年9月期):航空レーザ計測や車に載せた計測機器(MMS)による測量、地理情報システム(GIS)、3D都市モデルなどを手がける。自治体のデジタル化の交付金の拡充で、3D都市モデル・GIS・道路や下水道の台帳の電子化などの案件が増えたと説明している(決算短信)
  • パシフィックコンサルタンツ(非上場):第74期(2025年9月期)の売上高は638億円。建設コンサルタント・地質調査・測量・一級建築士事務所の登録を持つ。2025年10月1日時点で、社員2,460人のうち技術士(建設部門)が871人、RCCMが100人、一級建築士が105人、測量士が82人
  • ID&Eホールディングス(日本工営グループ):2025年に東京海上ホールディングスの公開買付けで同社の子会社になり、その後上場を廃止した。上場していた最後の通期(2024年6月期)の決算短信では、コンサルティング・都市空間・エネルギーの3つの事業を開示していた。最新の決算は公開されていないため、数字は示さない

建設コンサルタントの会社が工事の事業を持っていたり(オリエンタルコンサルタンツホールディングス)、地質調査の会社が機器を売っていたり(応用地質)、測量の会社が航空機で計測したり(アジア航測)と、同じ分野の会社でも稼ぎ方の中身は違います。応募する会社の事業の組み合わせは、決算短信のセグメントや会社概要で確かめます。

BIM/CIM・防災と点検・建築士の確保が、仕事に届く

設計の道具と、仕事の中身にも変化があります。

国土交通省の直轄の土木の業務と工事では、2023年4月1日以降に入札・契約の手続きを始める業務・工事から、BIM/CIMが適用されています(実施方針)。BIM/CIMは、建設事業で扱う情報をデジタル化し、調査・測量・設計・施工・維持管理の各段階で、発注者と受注者がデータを使い、共有しやすくする取り組みです。業務・工事ごとに発注者が3次元モデルの使い方を決め、受注者が3次元モデルを作成します。決められた「義務項目」は、原則としてすべての詳細設計と工事で活用します。対象は測量、地質・土質調査、土木設計などの業務と土木工事で、小規模なものや災害復旧などの緊急のものは除かれます。ただし、契約の設計図書は2次元の図面で、3次元モデルは参考資料として渡されます。3次元モデルの作成に必要な経費は、発注者が必要と認める場合に、受注者の見積もりで計上されます。これは国の直轄の土木の話で、自治体の発注や建築の設計にそのまま当てはまるわけではありません。

防災やインフラの維持管理も、受託の仕事です。品確法は、公共工事に関する調査等に点検・診断を含めています。応用地質は、被災箇所の調査・復旧設計やインフラの点検・診断を防災・インフラ事業に含め、アジア航測は航空レーザ計測で森林や国土保全の業務を手がけています。

建築では、建築士法の改正で、在学中の受験や資格の要件の緩和など、将来の建築士を確保する仕組みが加わります。契約の書面の拡大が施行されると、延べ面積300㎡以下の建物や新築以外の設計・工事監理でも、書面で契約を結ぶ必要があります。建築士事務所には、見積書の作成などの努力義務がかかります。

資格と求人票で確かめること

建設コンサルタントや設計の仕事では、資格が業務の範囲と会社の登録に関わります。ただし、資格の性格は法律ごとに違います。

資格根拠性格仕事との関係
技術士技術士法名称独占(技術士でない者が名乗ることを禁止)。業務独占ではない登録部門に対応する部門の技術士は、建設コンサルタント登録の技術管理者になれる。登録業者の技術管理者の86.4%が技術士等
RCCM建設コンサルタンツ協会の資格民間の資格。22部門。登録者は3万4,953人(2025年3月末)合格後5年以上の実務経験などで、技術管理者になるための国土交通大臣の認定を受ける道がある。発注の要件にどう使うかは発注者ごとに違う
測量士・測量士補測量法基本測量・公共測量に技術者として従事するのに必要(第48条)測量業者は営業所ごとに測量士を1人以上置く
一級建築士建築士法一定の規模・構造の建物の設計・工事監理は一級建築士でなければできない(第3条)3年以上の実務と講習で管理建築士になれる

建設コンサルタンツ協会は、技術士やRCCMが、管理技術者として必要とされる能力を評価する指標として使われていると説明しています(協会の現況)。RCCMの2024年度の試験の合格率は31.7%でした(建設コンサルタント白書 資料編)。

仕事の種類によって、相手と成果物が変わります。下の表の仕事の分け方は編集部の整理で、会社の職種名ではありません。

仕事主な相手主な成果物の例確かめること
計画・設計の技術者国・自治体の発注担当、地元の関係者計画書、設計図、報告書担当する登録部門、主な発注者、年度末の納期の量
測量の技術者国・自治体、民間の発注者測量の成果、地図・3次元のデータ測量士の資格の要否、航空機や計測機器の有無
地質調査の技術者設計の担当、発注者地盤の調査・解析の報告書現場の調査と解析の比重
建築の設計者建築主(民間が中心)設計図書、工事監理の報告一級建築士の要否、設計と工事監理の範囲
営業官公庁、民間企業技術提案の準備、契約公共と民間の比重、プロポーザルへの関わり方

職種の名前は会社によって違います。たとえばパシフィックコンサルタンツは、新卒の総合職を技術部門・営業部門・事務部門に分けて募集しています(募集要項)。

求人票では、次の4点を確かめます。

  • 登録と部門:応募先が持つ登録(建設コンサルタントの部門、測量、地質調査、建築士事務所)と、配属される部門
  • 主な発注者:国・自治体・民間のどこから受託する仕事が多いか。海外の業務はあるか
  • 資格:入社後に求められる資格(技術士・RCCM・測量士・一級建築士)と、取得の支援や資格手当
  • 年度の波:納期が集まる時期と、その時期の働き方。発注者の平準化の取り組みが届いているか