「建設」と書かれた求人は、ビルや道路の工事を束ねる施工管理から、電気・空調の設備工事、住宅の営業や設計、道路や河川の計画を立てる建設コンサルタント、工場や発電所を一括で造るプラントの仕事まで幅があります。同じ建設業界でも、発注者から直接仕事を受けるのか、元請の会社から一部の工事を受けるのか、工事ではなく設計を受託するのかで、仕事の相手も責任の範囲も変わります。
この記事では、建設の仕事を「発注者」「計画・設計」「元請」「下請(専門工事・設備)」の4つの役割に分けて地図にします。そのうえで、大きさを測る物差しの違い、法律が求める許可と資格、会社の稼ぎ方、制度の変化が届く仕事を順に比べます。
扱う範囲は、建設業法の「建設工事」(土木と建築の工事で、法律が29の種類に分けたもの)を請け負う仕事と、その前の調査・計画・設計です。不動産の開発・販売、建設機械の製造・レンタル、セメント・鋼材などの資材の製造、完成した建物の運転・点検・清掃は扱いません。不動産会社は、工事を頼む発注者としてだけ地図に置きます。
各分野の会社比較や仕事の詳しい流れは、分野ごとの業界地図で扱います。この記事は、次にどの地図を読むかを決めるための全体図です。
工事を束ねる元請は「ゼネコンの業界地図」、住宅を建てて売る会社は「住宅建設の業界地図」、専門工事は「電気工事・空調設備工事の業界地図」、工事の前後の調査・設計は「建設コンサルタント・設計事務所の業界地図」で確認できます。
発注者・設計・元請・下請の4つの役割で、求人の位置が分かる
建設の仕事は、役割で4つに分けられます。工事を頼んでお金を払う発注者、工事の前に調査・計画・設計をする会社、発注者から工事を直接請け負う元請、元請から工事の一部を請け負う下請です。役割は会社の格付けではなく、誰と契約し、何に責任を持つかの違いです。1つの会社が工事によって元請にも下請にもなるため、下の図では会社を主な位置に置いています。
建設の仕事は、発注者・計画と設計・元請・下請の4つの役割で分かれる
- 総合工事業:70.7%
- 職別工事業(とび・鉄筋・内装などの専門工事):28.4%
- 設備工事業:51.7%
発注者は、国・自治体、民間の企業や不動産会社、家を建てる個人です。道路・河川・ダムなどの土木は、国や自治体などの政府の投資が多く、オフィス・工場・住宅などの建物は、民間の投資が多くを占めます(2026年度の建設投資見通し。詳しくは次の章)。
計画・設計の会社は、工事を請け負わず、調査・計画・設計の業務を受託して委託料を受け取ります。道路や河川などの土木では建設コンサルタント、建物では設計事務所が主な担い手です。ゼネコンやハウスメーカーにも設計の部門があります。詳しくは「建設コンサルタント・設計事務所の業界地図」で扱います。

元請は、発注者と工事の請負契約を結び、工事全体に責任を持ちます。ビルや道路の工事を束ねるゼネコン(総合建設会社)、家を建てるハウスメーカーや工務店、設備の工事を直接受ける設備工事会社、工場や発電所の設計・調達・建設を一括で請け負うプラントエンジニアリング会社がここにいます。建設業法は、元請・下請などの名前にかかわらず、建設工事の完成を請け負う営業を「建設業」と呼びます(建設業法 第2条)。請け負った工事をそのまま一括して他社に請け負わせることは、原則として禁止されています(第22条)。
下請は、元請から工事の一部を請け負う会社です。とび・土工、鉄筋、内装などの専門工事業者や、電気・空調・給排水の設備工事業者がここにいます。
誰が主に元請になっているかは、国土交通省の建設工事施工統計調査の業種別の数字で分かります。2024年度(令和6年度)の完成工事高(その年度に完成させた工事の金額)のうち、元請として受けた分の割合は、総合工事業で70.7%、職別工事業(とび・鉄筋・内装などの専門工事)で28.4%、設備工事業で51.7%でした。専門工事の会社は下請として施工する割合が大きく、設備工事の会社は元請と下請の両方で仕事をしています。この業種の区分は統計の産業分類で、建設業法の29の許可の業種と1対1では対応しません。
ゼネコンが専門工事業者を下請として束ねる仕組みと、元請の責任は「ゼネコンの業界地図」で、家を建てる会社の売り方と建て方は「住宅建設の業界地図」で、設備工事の会社が元請と下請の両方で働く形は「電気工事・空調設備工事の業界地図」で扱います。


建設の規模の見え方は、物差しによって変わる
建設の大きさを示す数字は、何を数えるかで変わります。国の推計である建設投資、工事を完成させた会社の統計である完成工事高、許可を持つ業者の数、働く人の数は、それぞれ範囲も数え方も違います。足し合わせたり、差し引いたりして「建設業界は○兆円」とすることはできません。
| 物差し | 値 | 何を数えたか | 読むときの注意 |
|---|---|---|---|
| 建設投資 | 81兆4,700億円(2026年度の見通し) | 国内のすべての建設活動を、工事が進んだ分(出来高)で推計した投資額 | 見通しの推計。最新の実績は2023年度の71兆8,547億円 |
| 元請完成工事高 | 90兆7,638億円(2024年度) | 施工統計の対象の業者が、元請として完成させた工事の金額 | 調査対象の業者の実績。建設投資とは推計の方法が違う |
| 下請完成工事高 | 63兆7,315億円(2024年度) | 下請として完成させた工事の金額 | 元請の工事の内側の取引。元請の値と足すと同じ工事を二重に数える |
| 建設業許可業者数 | 48万3,823業者(2026年3月末) | 建設業の許可を持つ業者の数 | 2024年度に実際に工事の実績があった業者は38万5,392業者で、別の数 |
| 建設業の就業者 | 478万人(2025年平均) | 労働力調査で建設業に分類された就業者 | 施工統計の就業者488万4千人(7月1日に在籍する人)とは定義が違う |
令和8年度(2026年度)建設投資見通しによると、2026年度の建設投資は81兆4,700億円の見通しで、2025年度の見込みより2.9%多くなります。お金の出どころで分けると、政府の投資が26兆6,000億円、民間の投資が54兆8,700億円です。工事の種類で分けると、建築が52兆9,500億円、土木が28兆5,200億円です。
建設のお金は、土木は政府、建物は民間から多く出る
建築の合計は52兆9,500億円で、政府8兆200億円・民間44兆9,300億円(いずれも政府・民間の合計から土木を引いた計算値)。建築補修は機能を高める改装・改修の投資で、維持・修理を含む修繕のすべてではない。見通し・見込みは推計値で、最新の実績は2023年度の71兆8,547億円。
帯の色の意味は、上のパネル(政府・民間、工事の種類)と同じではない。調査対象の業者が元請として完成させた工事の金額。割合は国土交通省の公表値。下請として完成させた工事(63兆7,315億円)は元請の工事の内側の取引で、ここには足さない。「公共・民間」は発注した人の区分で、建設投資の「政府・民間」(投資の出どころ)とは別の区分。
建築と土木では、お金の出どころが違います。土木は政府の投資が18兆5,800億円で、民間の9兆9,400億円を上回ります。政府の投資26兆6,000億円から土木の分を引くと、建築への政府の投資は8兆200億円(計算値)で、建築の多くは民間の投資です。建築は、住宅が18兆4,800億円、住宅以外の建物(非住宅)が17兆1,800億円、建物の改装・改修(建築補修)が17兆2,900億円です。建築補修は、政府が2兆7,000億円、民間が14兆5,900億円です。
ただし、建設投資の「建築補修(改装・改修)」は、建物の機能を高める改装・改修の投資で、維持や修理を含む修繕のすべてではありません。工事を完成させた会社の側から見た施工統計では、2024年度の元請完成工事高のうち、新設が62兆6,178億円(69.0%)、維持・修繕が28兆1,459億円(31.0%)です。2つは推計の方法も範囲も違う統計で、同じものとして比べられません。
政府と民間の区分も、統計によって違います。建設投資の「政府」「民間」は投資の出どころの区分で、施工統計の「公共」「民間」は工事を発注した人の区分です。施工統計では、元請完成工事高のうち民間の発注が73.5%、公共の発注が26.5%でした。
住宅は、戸数でも測ります。国土交通省の建築着工統計調査では、2025年度(令和7年度)に新しく着工した住宅は71万1,171戸で、前の年度より12.9%減りました。種類別では、貸家(賃貸住宅)が30万8,906戸で最も多く、分譲住宅が20万563戸、持家(自分で住むために建てる家)が19万5,111戸です。
許可業者の数では、2026年3月末の建設業許可業者数調査で48万3,823業者でした。最も多かった2000年3月末より19.5%少ない数です。個人と資本金1億円未満の会社が98.9%を占めます。1つの業者が複数の業種の許可を持つため、業種別の数を足すと総数を超えます。
働く人の数では、総務省の労働力調査で、2025年平均の建設業の就業者は478万人でした。2015年の503万人より少なくなっています。
求人や会社案内で「市場規模○兆円」という数字を見たら、投資の推計か、工事を完成させた会社の実績か、元請だけか下請も含むか、いつの年度の数字かを確かめます。
許可と資格は、役割ごとに付き方が違う
建設の仕事では、会社として受ける許可・登録と、人に求められる資格が、役割ごとに違います。工事を請け負う会社には建設業の許可が、建物の設計をする事務所には登録が要る一方で、土木の建設コンサルタントの登録は任意です。
どの仕事に、どの許可・登録と資格が要るか
義務建設業の許可(建設業法第3条)。29の業種ごと、大臣か知事、一般か特定。5年ごとに更新
例外1件500万円未満(建築一式は1,500万円未満など)の軽微な工事だけなら許可は要らない
義務工事ごとに主任技術者。下請代金が大きい特定建設業の元請は監理技術者(第26条)
試験施工管理技術検定(第一次・第二次)。指定建設業7業種(施行令第5条の2)の特定建設業の営業所の技術者は合格者などに限られる(法第15条第2号ただし書)
義務電気工事業の登録(電気工事業法)。建設業の許可を持つ会社は登録の章が適用されず、みなし登録として届出(自家用だけなら通知)
作業の資格電気工事の作業には、原則として電気工事士(電気工事士法第3条)。施工管理技士とは別の制度
義務報酬を得て業として行うなら、建築士事務所の登録(知事)と専任の管理建築士(建築士法第23条・第24条)
業務独占一定の規模・構造・用途の建物の設計・工事監理は、一級・二級・木造の建築士だけ(第3条〜第3条の3)
任意建設コンサルタント登録(21部門)。登録がなくても営業できる
義務測量を請け負うなら測量業者の登録(測量法第55条)
登録の要件建設コンサルタント登録を受けるなら、部門ごとに専任の技術管理者
義務基本測量・公共測量の技術者は測量士・測量士補(測量法第48条)
工事を請け負う会社は、建設業の許可を受けます(建設業法第3条)。許可は、土木一式・建築一式の2つの一式工事と、とび・土工、電気、管(空調・給排水など)、内装仕上などの27の専門工事を合わせた29の業種ごとに受け、5年ごとに更新します。2つ以上の都道府県に営業所を置く会社は国土交通大臣の、1つの都道府県だけに置く会社は知事の許可を受けます。どちらの許可でも、工事をする地域に制限はありません(国土交通省 建設業の許可とは)。
許可には、一般建設業と特定建設業の区分もあります。発注者から直接請け負った工事で、下請に出す金額が大きい元請は、特定建設業の許可が要ります。金額の線は、建設業法施行令で決まっています。
| 決まっていること | 金額の線 | 主な条文 |
|---|---|---|
| 許可がなくても請け負える軽微な工事 | 1件の請負代金が500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満か、延べ面積150㎡未満の木造住宅) | 施行令第1条の2 |
| 特定建設業の許可が要る元請 | 発注者から直接請け負った工事で、下請代金が5,000万円(建築工事業は8,000万円)以上 | 法第3条、施行令第2条 |
| 元請が施工体制台帳(下請の会社と技術者の一覧)をつくる工事 | 下請代金が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上 | 法第24条の8、施行令第7条の4 |
| 技術者を、その工事の専任として置く工事 | 国や自治体が注文する工事のほか、学校・病院・事務所・共同住宅・工場など政令が挙げる施設の工事で、請負代金が4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上。一定の条件で兼務を認める | 法第26条第3項、施行令第27条 |
特定建設業の金額の線は、2025年2月1日に引き上げられました。2026年3月末の許可業者のうち、一般建設業の許可を持つのは45万7,617業者、特定建設業は5万511業者です。1つの業者が業種ごとに一般と特定を持てるため、2つを足すと総数を超えます。
人に求められるものでは、工事を請け負った会社は、工事ごとに主任技術者(現場で施工の技術上の管理をする技術者)を置きます(第26条第1項)。特定建設業の元請で、下請代金の総額が政令で定める額以上の工事では、監理技術者を置きます(同第2項)。建設業法に基づく試験として、施工管理技術検定(施工管理技士の試験)があり、第一次検定と第二次検定に分かれます(第27条)。土木・建築・電気・管など7つの指定建設業では、特定建設業の営業所に置く技術者は、技術検定の合格者などでなければなりません(第15条第2号ただし書、施行令第5条の2)。
建物の設計では、一定の規模・構造・用途の建物の設計と工事監理(工事が設計図どおりに行われているかを確かめること)は、建築士でなければできません(建築士法 第3条〜第3条の3)。建築士は一級・二級・木造に分かれ、扱える建物の範囲が違います。報酬を得て設計や工事監理を業として行うには、建築士事務所として知事の登録を受け、事務所ごとに専任の管理建築士を置きます(第23条・第24条)。国土交通省の資料では、2023年(令和5年)時点の一級建築士事務所は約7万です(建築分野の担い手の動向について)。
土木の調査・計画・設計では、建設コンサルタントの登録は任意です。道路・河川など主に土木の21部門について、要件を満たせば国土交通大臣の登録を受けられますが、登録がなくても営業はできます(国土交通省 建設コンサルタント登録制度とは)。2025年度末の登録業者は3,917業者です(建設関連業 登録業者数調査)。一方、測量の仕事を請け負う会社は測量業者の登録を受けなければならず(測量法 第55条)、2025年度末の登録業者は1万924業者です。同じ「登録」でも、任意か義務かが違います。

稼ぎ方は、請負・受託・販売と管理・一括請負で違う
建設の会社は、何に対してお金を受け取るかで稼ぎ方が違います。下の4つの例は、役割と稼ぎ方の違いを示すためのもので、会社どうしの大きさは比べていません。決算期もそろっていません。
請負では、発注者から工事の請負代金を受け取り、材料・労務・外注(下請への支払い)などの原価との差が利益になります。受注した時の見積もりと、工事中の資材や人件費の動き、設計の変更に伴う追加の契約が、利益を左右します。鹿島建設の2026年3月期は、土木の売上総利益率(当社の建設事業)が前の期の15.4%から24.6%に上がり、会社は原価の低減や追加変更契約の獲得などを理由に挙げています(2026年3月期決算短信)。これは鹿島の当期の値で、土木の工事がいつも利益率が高いことを示すものではありません。
受託では、調査・計画・設計の業務に対して委託料を受け取ります。工事は請け負いません。建設コンサルタントの建設技術研究所では、2025年12月期の国内建設コンサルティング事業の売上高が697億円で、地方自治体からの受注が増えたと説明しています(2025年12月期決算短信)。
請負に、販売と管理を組み合わせるのが住宅の会社です。注文を受けて家を建てる請負のほか、土地と建物をまとめて売る分譲、建てた賃貸住宅の管理やリフォームでも稼ぎます。積水ハウスの2026年1月期は、戸建住宅・賃貸住宅などの「請負型」の売上高が1兆3,461億円、賃貸住宅の管理とリフォームの「ストック型」が9,006億円でした(会社の参考資料の区分。2026年1月期決算短信)。
一括請負は、プラントで使われる形です。工場や発電所などの設計(Engineering)・資材や機器の調達(Procurement)・建設(Construction)をまとめて請け負い、EPCと呼ばれます。日揮ホールディングスの総合エンジニアリング事業は、2026年3月期の受注高が4,092億円で、そのうち海外が2,504億円でした(2026年3月期決算短信)。
新設だけでなく、改修の工事で稼ぐ会社もあります。設備工事会社のダイダンでは、2026年3月期の連結の完成工事高のうち、リニューアル工事が1,088億円(42.5%)でした(2026年3月期決算短信。工事の種類ごとの集計で、ほかの区分と重なりがあります)。これはダイダン1社の値で、設備工事業全体の割合ではありません。完成した建物の運転・点検は工事ではなく、施設の管理の仕事として、この記事では扱いません。
働き方と取引の制度の変化は、どの仕事に届くか
建設では、2024年から働き方の規制と取引のルールが続けて変わっています。下の図は、主な変化と、それが届く仕事を結んだものです。義務・努力義務・指針の区別も書きました。採用数の増減や、制度の効果は予測していません。
働き方と取引の制度の変化は、施工管理・積算・設計の仕事に届く
2024年4月から、建設の事業にも時間外労働の上限が適用されました。上限は原則として月45時間・年360時間で、臨時の特別な事情があっても年720時間以内などに限られます。これまで建設の事業には適用の猶予があり、2024年3月31日で終わりました。災害の復旧・復興の事業では、当分の間、一部の上限(月100時間未満、2〜6か月の平均80時間以内)は適用されません(労働基準法 第36条・第139条)。工程と人員を組む施工管理の仕事に直接かかわる変化です。
休日の取り方も、発注者の運用で変わっています。関東地方整備局は、2024年度から、発注する工事(港湾・空港・官庁営繕を除く)で、原則として月単位の週休2日を発注者が指定する方針を示しました(令和6年度の主な取り組み)。これは国の1つの発注機関の運用で、自治体や民間の工事全体の実施状況ではありません。設備工事では、日本電設工業協会が2026年3月の指針で、電気設備工事は建築工事の後の工程になることが多く、工期のしわ寄せが長年の課題だと書いています(適正な工期確保に向けた対応指針)。業界団体の指針で、法的な拘束力はありません。
取引のルールでは、2025年12月に全面施行された改正建設業法を反映した現行の条文で、次のことが決まっています。今の建設業法は、注文する側が取引上の地位を不当に利用して、通常必要な原価に満たない金額で契約することを禁じ、受注する側の建設業者にも、正当な理由のない原価割れの契約を禁じています(第19条の3)。材料費・労務費などを書いた見積書の作成は努力義務で、その金額を通常必要な額より著しく低くしてはいけません(第20条)。建設業者は、資材価格の高騰など、工期や請負代金に影響するおそれのある事情を、契約の前に注文する側へ通知しなければなりません。その事情が起きたときに変更の協議を申し出ると、注文する側は誠実に協議に応じるよう努めます(第20条の2)。積算・見積、契約交渉をする営業、資材を買う購買の仕事にかかわる変化です。中央建設業審議会は、工期や労務費に関する基準を作成し、その実施を勧告することができます(第34条第2項)。
公共工事の積算に使う人件費の単価も上がっています。2026年3月から適用する公共工事設計労務単価は、全国の全職種の単純平均で前の年度より4.5%高く、14年連続の引き上げです。全職種の加重平均は2万5,834円でした。これは公共工事の費用を見積もるための単価で、実際に支払われている賃金の平均ではありません。
資格の取り方も変わりました。2024年度から、1級の施工管理技術検定の第一次検定は、受検する年度の末に19歳以上であれば受けられます(国土交通省 受検資格の見直し)。第二次検定は、第一次検定に合格した後の実務経験などで受けられます。2028年度までは、見直し前の受検資格で第二次検定を受けることもできます。
住宅では、2025年4月から、原則としてすべての新築の住宅・建物に、省エネ基準への適合が義務付けられました。この義務は建築主に課されます(建築物省エネ法 第10条)。同じ時期に、建築基準法の改正で、木造の戸建住宅の建築確認の手続きも見直されています(国土交通省 2025年4月からのルール改正)。住宅の設計や、確認申請の書類をつくる仕事にかかわる変化です。
建設業法は、建設業者に、担い手の育成・確保と適正な賃金などの処遇の確保に努めるよう求めています(第25条の27。努力義務)。
求人票では、役割・工事の種類・新設か改修か・許可と資格を確かめる
同じ「建設」の求人でも、役割によって主な相手と仕事が違います。
| 役割 | 主な相手 | 仕事の例 | 次に読む地図 |
|---|---|---|---|
| 元請(建物・土木の工事を束ねる) | 国・自治体、民間の企業・不動産会社 | 施工管理、積算・見積、設計、営業 | ゼネコンの業界地図 |
| 元請(住宅を建てる) | 個人、賃貸住宅を建てる土地の所有者 | 営業、設計、施工管理、引渡し後の点検 | 住宅建設の業界地図 |
| 元請・下請(設備工事) | 発注者、ゼネコン | 電気・空調・給排水の工事の施工管理、設計 | 電気工事・空調設備工事の業界地図 |
| 下請(専門工事) | 元請の会社 | 担当する工事の施工、工程と品質の管理 | 電気・空調などは電気工事・空調設備工事の業界地図 |
| 計画・設計 | 国・自治体、建物の建築主 | 調査、計画、設計、工事監理 | 建設コンサルタント・設計事務所の業界地図 |
| 元請(プラントの一括請負) | エネルギー・化学などの会社 | 設計・調達・建設の管理 | 本記事の対象外 |
職種の名前は会社によって違います。鹿島建設の新卒採用は、事務系、土木系、建築技術系、建築設計系、設備技術系などの区分で募集しています(鹿島 新卒採用)。設備工事のダイダンの新卒の技術系の募集職種は「施工管理・設計」です(ダイダン 募集要項)。住宅のタマホームは、営業、工務、設計、事務の職種を挙げています(タマホーム 採用情報)。建設コンサルタントのパシフィックコンサルタンツは、新卒の総合職を技術部門・営業部門・事務部門に分けています(パシフィックコンサルタンツ 募集要項)。求人票では、職種名よりも、担当する役割と工事の種類、相手を確かめます。
求人票では、次の4点を確かめます。
- 役割:応募先は発注者から直接受ける元請か、元請から受ける下請か、工事ではなく設計を受託する会社か。1社が両方の場合は、募集する部門がどちらか
- 工事の種類:建物(建築)か、道路や河川など(土木)か、電気・空調などの設備か、住宅か、プラントか
- 新設か改修か:新しく建てる工事か、使われている建物の改装・改修か
- 許可と資格:応募先が持つ許可の業種と、仕事に求められる資格(施工管理技士、建築士、電気工事士など)。入社後に取ることが前提か
この4点が分かったら、次はその分野の業界地図で、会社ごとの違いと仕事の流れを確かめます。
工事を請け負う建設会社と、不動産を開発・保有・販売する会社では、契約上の役割、所有責任、収益源が異なります。 不動産業界の地図
建物をつくる工事の前後には、土地取得・企画・販売・賃貸を担うデベロッパーの仕事があります。 デベロッパー業界の地図


