土地を仕入れて建物をつくり、分譲するか保有して貸すデベロッパーを、開発の工程と宅建業の免許が要る場面、総合・住宅中心・鉄道グループ・物流施設などの会社の型、用途ごとの着工と工事費の動き、セグメント利益で見る分譲と賃貸の比重で整理します。用地取得・開発企画・リーシング・販売の仕事が、工程のどの節目で忙しくなるかも確かめられる内容です。

「デベロッパー」の求人には、土地を探して買う用地取得、何を建てるかを決める開発企画、オフィスや商業施設に入居する会社を探すリーシング、マンションの販売まで幅があります。同じデベロッパーでも、建てた建物を売って利益を出すのか、持ち続けて賃料で稼ぐのか、オフィス・住宅・物流施設のどれを多く手がけるのかで、仕事の中身も配属の可能性も変わります。

この記事では、自ら土地を取得し、企画し、建設会社に工事を発注して建物をつくり、分譲するか、保有して貸す会社を扱います。保有した建物を貸して賃料を得る「不動産賃貸」も、この記事に含めます。開発の工程と免許が要る場面、会社の型、用途ごとの開発の量、分譲と賃貸の稼ぎ方、工程ごとの仕事を順に確かめます。会社の数字は2026年3月期の決算短信(日本基準)、国の統計は2025年(暦年)または2025年度の値です。

不動産業全体の免許・登録の区分は「不動産の業界地図」で整理しています。工事を請け負う側は「ゼネコンの業界地図」、注文住宅と分譲戸建は「住宅建設の業界地図」、中古住宅の売買や賃貸住宅の仲介は「不動産仲介の業界地図」、入居後の建物の管理は「不動産管理の業界地図」、REIT・ファンドの運用は「不動産ファンド・REITの業界地図」、ホテルの運営は「宿泊の業界地図」で扱います。鉄道会社の稼ぎ方は「鉄道の業界地図」で扱い、この記事では駅ビル・沿線開発を、開発する会社の型の1つとして取り上げます。

デベロッパーは、土地を仕入れて建て、売るか持って貸す

デベロッパー(不動産開発会社)は、建物の工事を請け負う会社ではありません。自ら土地を買い、何を建てるかを決め、設計事務所や建設会社に設計と工事を発注する側です。完成した建物の使い道は、大きく3つです。マンションなどを個人に売る(分譲)、持ち続けてオフィスや店舗を貸す(保有賃貸)、賃料を生む建物を投資家やREIT(不動産投資信託)に売る、の3つです。

開発・賃貸を仲介・管理・運用と分けると、不動産業界の中での責任範囲が見えます。 不動産業界の地図

デベロッパーの発注と、ゼネコンの工事請負・施工管理を分けて確認できます。 ゼネコン業界の地図

デベロッパーは土地を仕入れて建て、売るか持って貸す。免許が要るのは売る場面

上は開発の工程、中は各工程の主な仕事、下は宅建業の免許との関係。仕事の名前は仕事の中身で、各社の職種名ではない。

開発の工程
1用地取得土地を探し、値段と条件を決めて買う
2企画何を建て、売るか持つかを決める
3設計・工事を発注設計事務所・建設会社へ。デベロッパーは発注者
4竣工・引渡し完成した建物を受け取る
分譲:マンションなどを個人に売る
保有賃貸:オフィス・店舗などを貸す
売却:賃料を生む建物を投資家・REITへ
主な仕事
用地取得土地の持ち主・仲介会社
開発企画・事業計画工事費と売値・賃料の見込み
プロジェクトマネジメント設計と工事の工程・品質・費用
販売・リーシングの準備引渡し・開業までに購入者や入居する会社を決める
販売・リーシング・売却購入者、入居する会社、投資家
宅建業の免許との関係(宅建業法第2条第2号・第3条)
免許が要る:自ら売主として売るマンションの分譲は「売買」。個人の買主には、契約前に宅建業者が宅建士に重要事項を説明させる(第35条第1項)。投資家への建物の売却も売買に当たる。買主が宅建業者なら、説明は要らず書面の交付だけ(同条第6項)
免許は要らない:自ら貸主として貸す自分が貸すことは宅建業の定義に入らない。入居者の募集を仲介会社に頼めば、その会社が媒介として宅建業を行う
出典:宅地建物取引業法(e-Gov、第2条第2号・第3条・第35条第1項・第6項)、三井不動産「2026年3月期決算短信」(報告セグメントの定義)。工程と仕事の分け方は本記事での整理。

免許が要るかどうかは、この使い道で変わります。宅地建物取引業法(宅建業法)の「宅地建物取引業」は、宅地・建物の売買・交換と、売買・交換・貸借の代理・媒介を、業として行うことです(第2条第2号)。宅地は、建物の敷地に使う土地などをいいます。自分が売主となってマンションを分譲することは売買に当たり、宅建業の免許が要ります。2つ以上の都道府県に事務所を置くなら国土交通大臣、1つの都道府県だけなら知事の免許で、有効期間は5年です(第3条)。

分譲では、宅建業者は、契約が成立するまでに、宅地建物取引士(宅建士)に重要事項を書いた書面を渡して買主に説明させなければなりません(第35条第1項)。投資家に建物を売る場合も売買に当たりますが、買主が宅建業者であれば、宅建士による説明は要らず、書面の交付だけになります(同条第6項)。宅建業者は、事務所ごとに、業務に従事する人の5分の1以上の数の専任の宅建士を置く義務があります(第31条の3、宅建業法施行規則第15条の5の3)。

一方、宅建業の定義には、自分が貸主となって貸すことは入っていません。持っているオフィスビルや商業施設を自ら貸すことだけなら、宅建業の免許は要りません。ただし、入居する会社や人の募集を仲介会社に頼めば、その仲介会社は貸借の媒介として宅建業を行います。

3つの使い道は、1社の中でも組み合わさります。三井不動産は、報告セグメント(事業の区分)の「賃貸」をオフィスビルや商業施設等の賃貸、「分譲」を個人向けのマンション・戸建住宅の分譲と、投資家向けの賃貸住宅・オフィスビル等の分譲と定義しています(2026年3月期決算短信)。同社の「分譲」には、個人に売る住宅と、投資家に売る賃貸用の建物の両方が入っています。

会社の型で、多く手がける建物と、売るか持つかの比重が違う

デベロッパーは、どの建物を多く手がけ、売ることと持つことのどちらに重心があるかで、いくつかの型に分けて見ることができます。型は、会社が開示する事業の区分から整理したもので、会社どうしの大きさの順ではありません。

デベロッパーの型は、多く手がける建物と、売るか持つかの重心で分かれる

上の5枚は、各社が開示する事業の区分から整理した型(会社どうしの大きさの順ではない)。中の段はREITとの関わり方、下の段はデベロッパーと似て見えるが別の記事で扱う形。

総合デベロッパー三井不動産・三菱地所・住友不動産
建物
オフィス・商業施設・住宅・ホテルなど
稼ぎ方
賃貸と分譲を両方持つ。重心は会社で違う
グループ
三井不動産リアルティ(仲介)、住友不動産ステップ(売買仲介・販売代理)など
住宅の分譲の比重が高い野村不動産ホールディングス
建物
マンション・戸建住宅。都市開発でオフィス・商業・物流施設
稼ぎ方
分譲が大きく、都市開発でも賃貸と販売
グループ
野村不動産ソリューションズ(仲介)、野村不動産パートナーズ(管理)、野村不動産投資顧問(資産運用)
開発に仲介・管理も大きい東急不動産ホールディングス
建物
オフィス・商業施設・住宅。戦略投資で再エネ・物流施設
稼ぎ方
都市開発のほか、不動産流通(仲介・買取再販・賃貸住宅の管理)
注意
鉄道を運行する東急株式会社とは別の上場会社
鉄道グループ鉄道会社と、そのグループ
建物
駅ビル、沿線の住宅・商業施設
稼ぎ方
駅や沿線に持つ土地を開発して売るか貸す
詳しく
利益の割合は「鉄道の業界地図」
物流施設総合デベロッパーの事業の一部としても
例
三菱地所(コマーシャル不動産)、野村不動産HD(都市開発)、東急不動産HD(戦略投資)の区分の説明に物流施設
詳しく
物流の会社が自ら開発する形は「3PLの業界地図」
型ではなく稼ぎ方の関わり
REITとの関わり三井不動産と日本ビルファンド投資法人
関係
三井不動産は資産運用会社の株式の46%を持つ親会社。物件移管業務なども受託
詳しく
運用は「不動産ファンド・REITの業界地図」
似て見えるが別の記事で扱う形
似て見えるが別の形:賃貸住宅の建築と一括借上大東建託は、土地の持ち主から賃貸住宅の工事を請け負い、グループ会社が一括で借り上げて入居者に貸す。土地を持ち工事を発注するのは土地の持ち主→「不動産管理の業界地図」「住宅建設の業界地図」
似て見えるが別の形:工事の請負建設会社は、デベロッパーなどの発注者から工事を請け負う側→「ゼネコンの業界地図」。注文住宅・分譲戸建は「住宅建設の業界地図」
出典:三井不動産・三菱地所・住友不動産・東急不動産ホールディングス・野村不動産ホールディングス「2026年3月期決算短信」、大東建託「2026年3月期決算短信(訂正後)」、日本ビルファンド投資法人「有価証券報告書 第50期」。型の分け方は本記事での整理。

1つ目は、オフィス・商業施設の賃貸と住宅の分譲を両方持つ総合デベロッパーです。三井不動産は、賃貸・分譲に加えて、建物の管理や仲介・アセットマネジメントの「マネジメント」、ホテル・リゾートやスポーツ・エンターテインメントの「施設営業」を報告セグメントにしています。三菱地所は、大手町・丸の内・有楽町地区のオフィスビルを中心とする「丸の内」と、それ以外のオフィスビルを中心に商業施設・物流施設・ホテル・空港などを手がける「コマーシャル不動産」を分け、ほかに住宅・海外などの区分を持ちます(2026年3月期決算短信)。住友不動産は、不動産賃貸・不動産販売のほか、売買の仲介と販売代理を受託する「ステップ」を区分にしています(2026年3月期決算短信)。

物流施設を開発して貸す側と、荷物を保管・荷役する倉庫事業者では、収入と運営責任が異なります。 倉庫業界の地図

2つ目は、住宅の分譲の比重が高い型です。野村不動産ホールディングスでは、住宅部門の野村不動産がマンション・戸建住宅の開発・分譲や賃貸マンションの開発・販売を、都市開発部門がオフィスビル・商業施設・物流施設等の開発・賃貸・販売を担います。資産運用(REIT・私募ファンドの運用)、仲介・CRE、運営管理の部門も、それぞれ区分として開示しています(2026年3月期決算短信)。

3つ目は、開発に加えて、仲介と管理の事業が大きい型です。東急不動産ホールディングスは、オフィスビル・商業施設の開発・賃貸と住宅分譲の「都市開発」、再生可能エネルギー発電施設・物流施設の開発やREIT・ファンドの運用の「戦略投資」、マンション・ビルの管理やホテルなどの運営の「管理運営」、売買仲介・買取再販・販売代理や賃貸住宅の管理運営の「不動産流通」の4つの区分を持ちます(2026年3月期決算短信)。同社は、鉄道を運行する東急株式会社とは別の上場会社です。

4つ目は、鉄道会社のグループです。駅や線路沿いに持つ土地を使い、駅と一体の建物(駅ビル)や沿線の住宅・商業施設を開発して、売るか貸します。たとえば阪急電鉄は、事務営業職の配属先の1つとして、自社が持つ土地の利活用と沿線のまちづくりを担う「沿線まちづくり推進部」を挙げています(阪急電鉄 採用情報)。鉄道会社の利益のうち不動産がどのくらいを占めるかは、「鉄道の業界地図」で会社ごとに見ています。

5つ目は、物流施設の開発です。物流施設は、会社の型というより建物の用途で、総合デベロッパーの事業の一部としても開発されています。三菱地所の「コマーシャル不動産」、野村不動産ホールディングスの「都市開発」、東急不動産ホールディングスの「戦略投資」の説明には、物流施設が入っています。三井不動産の総合職キャリア採用の募集要項は、職務内容にロジスティクスを挙げています。物流の会社が自ら倉庫を開発して売る形は「3PLの業界地図」で扱います。

デベロッパーと似て見える会社もあります。大東建託は、土地の持ち主に賃貸住宅の建築を提案して工事を請け負い、完成した住宅をグループ会社の大東建託パートナーズが一括で借り上げて入居者に貸します(2026年3月期決算短信(訂正後))。土地を持ち、建物の工事を発注するのは土地の持ち主で、会社は建てる側と、借りて貸す側に立ちます。この形は「不動産管理の業界地図」と「住宅建設の業界地図」で扱います。

どの型でも、仲介・管理・資産運用は、グループの別の会社が担うことがあります。たとえば三井不動産では三井不動産リアルティが仲介を、住友不動産では住友不動産ステップが売買仲介と販売代理を、野村不動産ホールディングスでは野村不動産ソリューションズが仲介を、野村不動産パートナーズがマンション・オフィスビル等の管理を、野村不動産投資顧問がREIT等の資産運用を担います。求人を出しているのが、開発する会社か、グループの会社かで、仕事の中身は変わります。

開発の量は、建物の用途で動きが違う

どれだけ建物がつくられているかは、国土交通省の建築着工統計で確かめられます。着工統計は、工事が始まった建物の量で、デベロッパーが建てたものだけではありません。持家は個人が、貸家は土地の持ち主などが建てたものも入ります。

2025年の着工は、分譲マンションと事務所が減り、店舗と倉庫は増えた。工事費の指数は2025年度(暫定)で2020年度の約1.2倍

上は2025年(暦年)の着工と前年比。着工は工事が始まった量で、デベロッパー以外の建て主(個人・土地の持ち主など)も含む。下は工事費の物価の指数。上の2段の帯は段ごとの最大値に対する長さ、工事費の段は130を右端とした長さ。

新設住宅の着工戸数(2025年、前年比)
貸家324,991戸5.0%減
持家201,285戸7.7%減
分譲・一戸建115,935戸4.3%減
分譲・マンション89,888戸12.2%減
新設住宅の合計は740,667戸(6.5%減、3年連続の減少)。濃い色はこの記事で主に扱う用途。
民間非居住用の着工床面積(2025年、前年比)
倉庫960万㎡0.7%増
工場583万㎡18.5%減
事務所418万㎡20.7%減
店舗381万㎡4.6%増
民間非居住用の合計は3,308万㎡(5.7%減)。
建設工事費デフレーター(建築総合、2020年度=100)
2020年度100基準
2024年度118.9暫定
2025年度122.1暫定
帯の右端は130。2025年度(暫定)は住宅総合122.6、非住宅総合121.6。工事費の物価の指数で、各社の原価そのものではない。
出典:国土交通省「建築着工統計調査報告(令和7年計)」(2026年1月30日)、同「建設工事費デフレーター(2020年度基準)[年度別]」(2026年10月30日付け)。

2025年(暦年)の新設住宅の着工は740,667戸で、前年より6.5%減り、3年続けて減りました。デベロッパーが多く手がける分譲マンションは89,888戸で、前年より12.2%減りました。分譲の一戸建ては115,935戸(4.3%減)、貸家は324,991戸(5.0%減)です。

住宅以外の民間の建物(民間非居住用)の着工床面積は、2025年に3,308万㎡で、前年より5.7%減りました。用途ごとの動きは同じではありません。事務所は418万㎡で20.7%減、工場は583万㎡で18.5%減った一方、店舗は381万㎡で4.6%増、倉庫は960万㎡で0.7%増でした。いずれも2025年(暦年)の前年比で、1年の動きです。

建てるための費用も上がっています。国土交通省の建設工事費デフレーター(工事費の物価の指数。2020年度=100)は、建築総合で2024年度が118.9、2025年度が122.1です(いずれも暫定値)。2025年度は、住宅総合が122.6、非住宅総合が121.6です。これは工事費の物価の指数で、個々のデベロッパーの原価そのものではありません。

デベロッパーにとって、工事費は事業計画の大きな部分です。工事費の水準が上がると、建てる前に、売る値段や見込む賃料と工事費の釣り合いを確かめ直す必要が出てきます。開発企画や事業計画の仕事は、この見直しを担います。

分譲と賃貸のどちらで稼ぐかは、会社で比重が違う

会社がどこで稼いでいるかは、決算短信のセグメント利益(事業の区分ごとの利益)で見ることができます。下の図は、各社の2026年3月期のセグメント利益から、各区分が合計に占める割合を本記事で計算したものです。分母は、調整額を差し引く前の報告セグメントの合計です。帯の長さは割合だけを表し、会社の大きさは表しません。

同じデベロッパーでも、利益の重心は分譲・賃貸・仲介と会社で違う

各社の2026年3月期のセグメント利益の割合(各社の報告セグメントの合計を100%とした本記事の計算値)。色は区分のおおまかな性格(緑=開発・賃貸、橙=分譲・住宅・販売、紫=仲介・管理・運用、灰=海外・ホテルなどその他)で、区分の定義は会社ごとに違う。並びは本文の会社の型の順。利益の定義と区分の切り方が違うため会社どうしの順位には使えず、帯は会社の大きさを表さない。

三井不動産事業利益賃貸34.9%分譲38.1%(固定資産売却損益と投資家向けの分譲を含む)マネジメント15.9%施設営業9.1%その他2.0%
三菱地所営業利益コマーシャル不動産37.5%(保有物件の売却を含む)丸の内27.0%住宅15.8%海外15.8%投資マネジメント0.4%設計監理・不動産サービス3.5%
住友不動産営業利益不動産賃貸63.9%不動産販売23.2%(マンション管理を含む)ハウジング4.1%ステップ(売買仲介・販売代理)7.2%その他1.7%
野村不動産HD事業利益住宅38.2%都市開発33.4%(賃貸と販売)海外1.7%資産運用6.5%仲介・CRE11.8%運営管理8.4%
東急不動産HD営業利益都市開発41.8%(賃貸と住宅分譲)戦略投資7.4%管理運営15.1%不動産流通35.8%(仲介・買取再販・賃貸住宅の管理)
出典:三井不動産・三菱地所・住友不動産・野村不動産ホールディングス・東急不動産ホールディングス「2026年3月期決算短信」(日本基準・連結)。割合は本記事で計算し、帯の幅は小数2桁の計算値。分母は各社の報告セグメントの合計で、調整額(三菱地所・野村不動産HDは「その他」も)を除く。三井不動産5,076億07百万円、三菱地所3,616億61百万円、住友不動産3,288億79百万円、野村不動産HD1,616億13百万円、東急不動産HD1,800億33百万円。利益の定義が違うため、分母を会社どうしで比べない。三井不動産の事業利益は営業利益+持分法投資損益+固定資産売却損益、野村不動産HDの事業利益は営業利益+持分法投資損益+企業買収に伴う無形固定資産の償却費+海外のプロジェクト会社の持分売却損益。凡例の値は四捨五入のため、足すと100.1%になる会社がある。

利益の定義は会社ごとに違います。三井不動産と野村不動産ホールディングスは、会社独自の「事業利益」を使います。三井不動産の事業利益は、営業利益に持分法投資損益と固定資産売却損益を加えたものです。三菱地所、住友不動産、東急不動産ホールディングスは、営業利益を基にしたセグメント利益です。区分の切り方も、三井不動産は賃貸・分譲という稼ぎ方、三菱地所は地域と用途、というように違います。割合は、それぞれの会社の中で利益の重心がどこにあるかを見るために使い、会社どうしの順位には使えません。

三井不動産は、賃貸が34.9%、分譲が38.1%で、ほぼ並びます。ただし、分譲の事業利益1,931億82百万円には、固定資産売却損益517億54百万円が入っています。分譲の内訳は、国内住宅分譲が1,120億05百万円、投資家向け・海外住宅分譲等が811億77百万円で、後者が分譲の約42%です(本記事の計算値)。同社の「分譲」は、個人にマンションを売ることだけを指すわけではありません。

三菱地所は、コマーシャル不動産が37.5%、丸の内が27.0%で、合わせて64.5%です。ただし、コマーシャル不動産の営業収益6,169億59百万円のうち、1,987億20百万円(約32%、本記事の計算値)は、保有物件の売却を含む不動産販売です。オフィスを中心とする区分でも、収益は賃料だけではありません。

住友不動産は、不動産賃貸が63.9%で、利益の6割強を占めます。不動産販売は23.2%です。同社は2026年3月期に区分の名前と範囲を変え、マンションの管理を不動産賃貸から不動産販売の区分へ移しています。

野村不動産ホールディングスは、住宅が38.2%、都市開発が33.4%です。都市開発には、オフィスビルや物流施設の賃貸だけでなく販売も入ります。東急不動産ホールディングスは、都市開発が41.8%、不動産流通が35.8%です。不動産流通には、仲介のほか、買い取った不動産を売る買取再販や、賃貸住宅の管理が入っています。

持って貸している建物を、投資家に売ることも稼ぎ方の1つです。国土交通省の推計では、令和7年度(2025年度)にREITと不動産特定共同事業(出資を集めて不動産に投資する事業)の対象として取得された資産は約2.8兆円(REIT約2.3兆円、不動産特定共同事業約0.5兆円)、譲渡された資産は約1.1兆円でした(不動産証券化の実態調査)。売り手はデベロッパーに限りません。

デベロッパーは、REITの資産運用会社の親会社として関わることもあります。日本ビルファンド投資法人の資産は、資産運用会社の日本ビルファンドマネジメントが運用し、三井不動産はその資産運用会社の株式の46%を持つ親会社です。三井不動産は、オフィスマネジメント業務や物件移管業務の受託者でもあります(日本ビルファンド投資法人 有価証券報告書 第50期)。REITの運用の仕組みと仕事は「不動産ファンド・REITの業界地図」で扱います。

用地取得からリーシングまで、仕事は工程に沿って分かれる

デベロッパーの仕事は、開発の工程に沿って分かれます。下の表の「仕事」は仕事の中身の名前で、各社の採用の職種名ではありません。

仕事主な相手主な仕事の例仕事が集まりやすい節目
用地取得土地の持ち主、仲介会社土地の情報を集め、何が建てられるかを調べ、買う値段と条件をまとめる売り手が買い手を決める期限、契約の前
開発企画・事業計画社内の各部門、設計事務所何を建て、売るか持つかを決め、工事費と売る値段・賃料の見込みを組み立てる着工前の計画の確定、工事費の見直し
プロジェクトマネジメント設計事務所、建設会社発注者として、設計と工事の工程・品質・費用を管理する着工、竣工(建物の完成)と引渡しの前
販売(分譲)購入する個人、販売を受託する会社販売の計画、購入者への説明と契約、引渡しの準備販売の開始、引渡しの前
リーシング入居する会社、仲介会社入居する会社を探し、賃料と契約の条件を交渉する開業の前、入居している会社の退去や入れ替え
売却・資産運用投資家、REIT・ファンド保有する建物を売る、運用会社と取引の条件を決める売却の時期

開発は、用地の取得から完成まで、工程の節目ごとに期限があります。土地の売り手が期限を決めて買い手を選ぶ場面では、その日までに値段と計画をまとめる必要があります。竣工と引渡しの前は、工事の確認と販売・入居の準備が重なります。オフィスや商業施設では、開業の日までに入居する会社を決めておく必要があります。担当する建物が複数あり、それぞれが違う工程にあると、節目が重なる時期が出てきます。忙しさは、担当する工程と、同時に持つ建物の数で変わります。

採用の区分は会社ごとに違います。三井不動産のキャリア採用には「総合職キャリア採用」と「エキスパート職(IT系)」の区分があります(三井不動産 キャリア採用)。総合職の募集要項は、募集職種を「正社員・総合職掌」とし、職務内容にオフィスビル・商業施設・ホテルリゾート・すまいとくらし・ロジスティクスなどの企画・開発・営業・運営を挙げています(三井不動産 キャリア採用 募集要項)。求人票では、職種名とあわせて募集している部署を確かめると、用地取得・リーシングなどのどの仕事に近いかが分かります。

マンションの販売は、デベロッパー自身のほか、グループの仲介会社が受託することもあります。売主に代わって売る販売の代理も、宅建業法の「代理」に当たり、宅建業の免許が要ります(第2条第2号)。三菱地所は住宅事業に不動産受託販売を、住友不動産はステップ事業に販売代理受託を含めています。東急リバブルは、新卒の総合職の初任配属部門として「売買仲介」「不動産ソリューション」「不動産開発」「新築販売受託」を挙げています(東急リバブル 新卒採用 よくある質問)。

求人票では、会社の型・担当する工程・売るか持つかを確かめる

デベロッパーの仕事は会社の型と担当工程によって、主な相手と担当業務が変わります。求人票では、次の点を確かめます。

  • 会社の型:総合、住宅の分譲が中心、仲介・管理の事業も大きい会社、鉄道グループのどれに近いか。多く手がける建物の用途は何か(オフィス・住宅・商業施設・物流施設など)
  • 担当する工程:用地取得、開発企画、プロジェクトマネジメント、販売、リーシング、売却のどこを担うか。総合職なら、配属の可能性がある部署はどこか
  • 売るか持つか:会社の利益が分譲と賃貸のどちらに重心があるか。セグメントの名前だけでなく、区分の説明に投資家への売却が入っているかも読む
  • 宅建業との関わり:分譲や販売の仕事では、宅建士が重要事項を説明する場面がある。自ら貸すだけの仕事なら、宅建業の免許は要らない
  • 求人を出している会社:開発する会社か、グループの仲介・管理・資産運用の会社か

建設会社の側から見た工事の請負は「ゼネコンの業界地図」、中古住宅の売買や賃貸の仲介の仕事は「不動産仲介の業界地図」、完成後の建物の管理は「不動産管理の業界地図」で確かめられます。