住宅着工の持家・貸家・分譲と、注文住宅・分譲住宅・賃貸住宅の請負を整理。営業、設計、施工管理、アフターの仕事と会社の収益構造が分かります。

「ハウスメーカー」「住宅営業」と書かれた求人には、展示場で家を建てたい人を迎える営業から、図面を描く設計、職人と工事を進める現場の管理、引渡し後の点検まで幅があります。同じ住宅会社でも、建てる家が施主の注文住宅なのか、会社が土地を仕入れて建てて売る分譲住宅なのか、土地のオーナーが建てる賃貸住宅なのかで、営業の相手と仕事の進め方が変わります。

この記事では、一戸建てを中心に、新しい住宅を設計して建て、売る事業を扱います。新設住宅の着工戸数の中身、注文・分譲・賃貸の3つの売り方、始めるのに要る許可と資格、2025年4月の制度の変化、住宅会社の稼ぎ方の広がり、契約から引渡しまでの仕事を順に確かめます。

建設の分野の中では、住宅は「建設・住宅・プラントの業界地図」で示す「住宅」の枠に当たります。この記事は、その枠の中を深めます。企業や官公庁から建物や土木の工事を元請けする会社は「ゼネコンの業界地図」、建物の設計を受託する設計事務所は「建設コンサルタント・設計事務所の業界地図」、電気・空調・給排水の工事を請け負う会社は「電気工事・空調設備工事の業界地図」で扱います。

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住宅市場の金額の大きさや、会社の売上の順位は示しません。

住宅の着工は2025年度に71.1万戸。貸家が4割強で、持家・貸家・分譲のどれも1割以上減った

新しく建つ住宅の量は、国土交通省の建築着工統計で数えます。統計は、建てた住宅を誰がどう使うか(利用関係)で4つに分けます。建築主が自分で住む「持家」、賃貸住宅の「貸家」、会社が社員に貸す「給与住宅」、建てて売る「分譲住宅」です。分譲住宅には、主にマンションと一戸建てが入ります。統計の「マンション」は、分譲住宅のうち、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造の共同住宅です。

2025年度の新設住宅は71.1万戸。持家・貸家・分譲のどれも1割以上減った

上は利用関係別の新設住宅着工戸数(2024年度と2025年度)。下は2025年度の内訳の割合。統計には建てた会社の区分がない。

利用関係別の新設住宅着工戸数(年度)
持家前年度比12.6%減
2024年度223,167戸
2025年度195,111戸
貸家前年度比13.5%減
2024年度357,074戸
2025年度308,906戸
分譲住宅前年度比12.6%減
2024年度229,541戸
2025年度200,563戸
給与住宅社宅など
2024年度6,606戸
2025年度6,591戸
帯の右端は40万戸。合計は2024年度816,388戸(前年度比2.0%増)、2025年度711,171戸(12.9%減)。
2025年度の内訳(合計711,171戸を100%とした割合) 持家27.4%、貸家43.4%、分譲住宅28.2%(マンション11.7%・一戸建て16.2%・その他0.3%)、給与住宅0.9%
出典:国土交通省「建築着工統計調査報告(令和7年度計)」資料7・資料7-1。割合と「その他の分譲」(分譲住宅からマンションと一戸建てを引いた2,482戸)は本記事の計算値。統計の定義(資料7-2の注)では、マンションは分譲住宅のうち鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造の共同住宅、一戸建ては分譲住宅のうち建て方が一戸建てのもので、残りは長屋建てと、木造などそれ以外の構造の共同住宅に当たる(その内訳の戸数は確かめていない)。2023年度以前は、資料の表を時系列で読み直していないため載せていない。

建築着工統計調査報告(令和7年度計)によると、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の新設住宅着工戸数は711,171戸で、前年度より12.9%減りました。内訳は、持家195,111戸(12.6%減)、貸家308,906戸(13.5%減)、分譲住宅200,563戸(12.6%減)です。分譲住宅のうち、マンションは82,881戸(21.2%減)、一戸建ては115,200戸(5.9%減)でした。

最も多いのは貸家で、全体の約43%を占めます。持家と分譲住宅は、それぞれ約27%と約28%です(割合は本記事の計算値)。ただし、統計には住宅を建てた会社の区分がありません。どの種類の住宅を、どんな会社がどれだけ建てたかは、この統計からは分かりません。

2024年度の着工戸数は816,388戸で、前の年度より2.0%増えていました。2025年度はそこから再び減っています。国の資料は増減の理由を書いていません。住友林業は2025年12月期(2025年1〜12月)の決算短信で、この期間の国内の新設住宅着工戸数が、建築物省エネ法などの改正に伴う駆け込み需要の反動減や資材価格の高騰などで減ったと説明しています。

注文・分譲・賃貸で、売る相手と売り方が違う

統計の区分と、住宅会社の事業の区分は、1対1では対応しません。統計の「持家」の多くは、施主が会社に建築を頼む注文住宅です。分譲住宅の一戸建ては、会社が土地を仕入れて家を建て、土地と家を合わせて売ります。貸家は、土地を持つ人などが賃貸住宅として建てます。

統計の区分と会社の売り方は、1対1では対応しない

左は着工統計の区分(2025年度)、右はその区分を主に建てる会社の売り方と例。線は「主にこの区分を建てる」という関係で、会社ごとの戸数は割り当てていない。

統計の区分(着工戸数)会社の売り方(例)
持家195,111戸建築主が自分で住む
注文住宅の請負個人の施主と請負契約を結んで建てる。例:積水ハウス(戸建住宅事業)、住友林業(住宅事業)、タマホーム(住宅事業)、積水化学工業(ユニット住宅)。ハウスメーカー・工務店と呼ばれる会社
分譲住宅(一戸建て)115,200戸建てて売る
戸建分譲土地を仕入れ、家を建て、土地と合わせて売る。例:飯田グループHD(戸建分譲事業)、大和ハウス工業(戸建住宅の分譲)、タマホーム(不動産事業)。ビルダーと呼ばれることがある
貸家308,906戸賃貸住宅
賃貸住宅の請負土地のオーナーに賃貸住宅を提案して建てる。例:大和ハウス工業(賃貸住宅の開発・建築)、積水ハウス(賃貸・事業用建物事業)。借上げと管理は不動産管理の地図へ
分譲住宅(マンション)82,881戸建てて売る
この記事では扱わない開発・販売は本記事の対象外、施工は「ゼネコンの業界地図」
読み方:持家の多くは注文住宅だが、統計の区分と会社の区分は同じではない。統計には建てた会社の区分がなく、どの会社がどの区分をどれだけ建てたかは分からない。同じ会社が複数の売り方を持つことも多い。給与住宅(社宅など、6,591戸)と、分譲住宅のうちマンション・一戸建て以外は省いた。
出典:国土交通省「建築着工統計調査報告(令和7年度計)」、積水ハウス「2026年1月期決算短信」、大和ハウス工業・飯田グループホールディングス・積水化学工業「2026年3月期決算短信」、住友林業「2025年12月期決算短信」、タマホーム「2026年5月期決算短信」(各社のセグメントの定義)。

注文住宅の会社は、家を建てたい個人の施主と建築の請負契約を結びます。積水ハウスは、戸建住宅事業を「戸建住宅の設計、施工の請負、販売」と定義しています(2026年1月期決算短信)。タマホームの住宅事業は、戸建住宅・集合住宅の建築請負とリフォームです(2026年5月期決算短信)。注文住宅を請け負う会社のうち、広い地域で展示場などを構えて営業する会社は一般に「ハウスメーカー」、地域で注文住宅を請け負う会社は「工務店」と呼ばれます。どちらも法律上の区分ではなく、決まった定義もありません。

分譲住宅の会社は、自ら土地を仕入れ、家を建てて売ります。飯田グループホールディングスは、戸建住宅のほか宅地などを含む「戸建分譲事業」を中心にしています(2026年3月期決算短信)。分譲住宅を建てて売る会社は「ビルダー」、多くの戸数を供給する会社は「パワービルダー」と呼ばれることがあります。これも法律上の区分ではなく、一般的な呼び方です。

分譲と注文の両方を手がける会社もあります。大和ハウス工業の戸建住宅セグメントは「戸建住宅の注文請負・分譲」です(2026年3月期決算短信)。タマホームも、注文住宅とは別に、不動産事業で戸建分譲を手がけています。

賃貸住宅では、営業の相手が個人の施主ではなく、土地のオーナーになります。大和ハウス工業の賃貸住宅セグメントは「賃貸住宅の開発・建築、管理・運営、仲介」、積水ハウスは賃貸住宅などを「賃貸・事業用建物事業」として請け負っています。建てた後の借上げと管理は、不動産管理の仕事です。積水ハウスは「賃貸住宅管理事業」を別の区分にしています。

分譲マンションは、着工統計では分譲住宅に入ります。

建てるには建設業許可、設計には建築士、着工前に建築確認が要る

住宅を請け負って建てる会社には、建設業の許可が要ります。建設業法は、建設工事の完成を請け負う営業に、国土交通大臣か都道府県知事の許可を求めています(第3条)。政令で定める軽微な工事だけを請け負う場合は、許可は要りません。建築一式工事では、1件の請負代金が1,500万円未満の工事か、延べ面積150㎡未満の木造住宅の工事が、軽微な工事に当たります(建設業法施行令第1条の2)。この線を超える家の新築を請け負うには、許可が必要です。

住宅の設計と工事監理(設計図どおりに工事が行われているかを確かめること)は、建築士の仕事です。建築士法は、建物の構造と規模によって、必要な建築士の種類を決めています。

建物設計・工事監理ができる建築士条文
木造で高さ16m超か、地階を除く階数4以上など一級建築士だけ第3条
木造で延べ面積300㎡超か階数3以上。鉄筋コンクリート造・鉄骨造などで延べ面積30㎡超 など一級建築士か二級建築士第3条の2
上のどれにも当たらない木造で、延べ面積100㎡超一級・二級建築士か木造建築士第3条の3

建築士は、設計を法令の基準に適合させなければなりません(第18条第1項、義務)。設計を頼んだ人に設計の内容を適切に説明するよう努めることは、努力義務です(同条第2項)。工事監理で設計図どおりでない工事を見つけたときは、施工者に指摘し、従わなければ建築主に報告します(同条第3項)。この表は2026年10月時点の条文です。二級建築士の業務の範囲は2025年4月に見直されましたが、この記事では見直しの前後の線を比べていません。

工事を始める前には、建築確認を受けます。建築主が計画を申請し、建築基準法の基準に合っているかを確かめてもらう手続きです。建築基準法第6条第1項は、確認が必要な建物を号ごとに定めています。2階建て以上か延べ面積200㎡超の建物は第2号、都市計画区域などにあるそれ以外の建物(平家で延べ面積200㎡以下)は第3号です。行政はそれぞれを「新2号建築物」「新3号建築物」と呼んでいます。これは条文の言葉ではなく、行政の呼び名です。

建て方にも違いがあります。着工統計は、工場で部材をつくって組み立てる「プレハブ」と、枠組壁工法の「ツーバイフォー」を工法別に数えています。2025年度は、プレハブが88,669戸(5.5%減)、ツーバイフォーが88,284戸(10.8%減)でした。いずれも新設住宅全体の約12%です(計算値)。積水化学工業は、住宅事業のセグメントを「ユニット住宅の製造、施工、販売、リフォーム、レジデンシャル事業等」と定義しています(2026年3月期決算短信)。化学メーカーの一事業として、工場でつくる住宅を手がけている例です。

建物を建てる工事には、基礎、大工、電気、給排水など多くの職人が関わります。積水ハウスの決算短信は、戸建住宅事業の主要な会社として、積水ハウスと「積水ハウス建設グループ」を挙げています。住宅会社と施工を担う会社の分担は会社ごとに違うため、求人票で確かめます。電気・空調・給排水の工事を専門に請け負う会社は「電気工事・空調設備工事の業界地図」で扱います。

2025年4月から、すべての新築に省エネ基準。確認の図書も増えた

2025年4月以降に工事を始める住宅から、3つのルールが変わりました(国土交通省「2025年4月からルールを改正します!」)。すべての新築で省エネ基準への適合が義務になったこと、木造戸建住宅の建築確認の手続きが見直されたこと、木造戸建住宅の壁量計算などが見直されたことです。

建築物省エネ法第10条は、建築主に、建物を省エネ基準に適合させることを義務づけています(政令で定める規模以下を除く)。国土交通省の施行時期の説明資料によると、改正前の住宅は、延べ面積300㎡以上が届出の義務、300㎡未満が説明の義務でした。改正後は、すべてが適合の義務になりました。

適合しているかの確認の手続きも加わりました。確認が必要な建物は、着工前に省エネ適合性判定を受けなければなりません(第11条、義務)。ただし、判定が比較的容易なものとして省令で定めるものは除かれます。平家で延べ面積200㎡以下の建物で、建築士が設計したもの(前の章で説明した新3号のうち、審査の一部を省略する建物)も除かれます。国土交通省のチラシは、仕様基準(断熱材や窓などの仕様で適合を確かめる方法)で評価する場合は、省エネ適合性判定は不要と説明しています。

建築確認でも、提出する図書が増えました。以前の「4号建築物」は、新2号と新3号に分かれました。木造2階建ての住宅は新2号に入り、確認申請に構造関係の図書と省エネ関連の図書を加えます。建築士が設計した建物の審査の一部を省略する特例は、第3号の建物、つまり平家で延べ面積200㎡以下の建物だけが対象になりました(建築基準法第6条の4第1項第3号、国土交通省の解説)。

省エネ性能は、売るときの表示や、多く建てる会社への基準にも関わります。義務の強さは制度ごとに違います。

制度誰が強さ中身
省エネ基準への適合(第10条)建築主義務政令で定める規模以下を除き、省エネ基準に適合させる
省エネ適合性判定(第11条)確認が必要な建物の建築主義務着工前に判定を受ける。仕様基準によるものなどと、平家で200㎡以下の建物で建築士が設計したものは除く
販売・賃貸のときの性能の表示(第27条)建物を販売・賃貸する事業者努力義務省エネ性能を表示するよう努める。告示に従わないときは勧告などがある(第28条)
住宅トップランナー(第25条・第26条)規格化した一戸建てを請け負う一定の規模の事業者国の勧告の仕組み省エネ基準より高い水準として国が定める基準(住宅トップランナー基準)について、相当程度の向上が必要なときに国土交通大臣が勧告できる。対象になる規模は政令で定める。分譲型の規格住宅にも同じ種類の規定がある(第22条・第23条)

住宅ローン減税にも、省エネの要件があります。国土交通省の住宅ローン減税のページによると、2024年以降に建築確認を受ける新築住宅は、原則として省エネ基準への適合が要件になっています。令和8年度の税制改正では、対象になる入居の期限が2030年12月31日まで延びました。あわせて、2028年以降に建築確認を受ける新築の「省エネ基準適合住宅」は、原則として対象外になります(登記簿上の建築日付が2028年6月30日以前のものを除く)。借入額の上限などの金額は、この記事では扱いません。

これらの変化は、設計の仕事に、構造と省エネの図書の作成と確認の手続きを加えます。営業の仕事では、施主の資金計画に、住宅の省エネ性能と減税の要件が関わります。

住宅会社は、建てる以外に管理・リフォーム・開発・海外でも稼ぐ

大きな住宅会社の事業は、家を建てる請負だけではありません。建てた後の管理やリフォーム、土地や建物の開発、海外での住宅事業も手がけています。

住宅会社の売上は、請負のほかに管理・開発・海外・住宅以外の建物にも広がる

各社の事業の内訳(積水ハウス・大和ハウス工業は報告セグメントの計、飯田グループは連結売上収益を100%とした割合)。期・会計基準・利益の定義が違うため、会社どうしの大きさは比べていない。

積水ハウスセグメント売上高(2026年1月期)請負型(戸建住宅・賃貸・事業用建物・建築・土木)31.9%、ストック型(賃貸住宅管理・リフォーム)21.4%、開発型16.2%、国際事業(米国・豪州)30.5%
積水ハウスセグメント利益(2026年1月期)請負型40.6%、ストック型24.9%、開発型24.4%、国際事業10.1%(全社費用を差し引く前)
大和ハウス工業セグメント売上高(2026年3月期)戸建住宅(米国を含む)23.7%、賃貸住宅25.2%、マンション4.9%、商業施設22.8%、事業施設21.0%、環境エネルギー2.4%
飯田グループHD売上収益(2026年3月期、IFRS)戸建分譲事業80.8%、マンション分譲事業6.3%、請負工事事業(注文住宅・リフォームなど)5.5%、その他(短信の区分)7.4%
住友林業(2025年12月期):住宅事業(国内の注文住宅など)は売上高5,853億81百万円・経常利益412億64百万円。建築・不動産事業(米国・豪州の戸建住宅、国内の中大規模木造建築、不動産開発)は売上高1兆4,111億36百万円・経常利益1,197億3百万円。建築・不動産事業には国内の事業も入るため、海外の割合としては読めない。
出典:積水ハウス「2026年1月期決算短信」(セグメント情報・参考資料②)、大和ハウス工業「2026年3月期決算短信」、飯田グループホールディングス「2026年3月期決算短信〔IFRS〕」、住友林業「2025年12月期決算短信」。割合は本記事で計算。積水ハウス・大和ハウス工業は、報告セグメントの売上高(セグメント間の取引を含む)の計を100%とした。報告セグメントに入らない「その他」の事業と調整額は除いた。積水ハウスの利益も、報告セグメントの利益の計を100%とした(「その他」と全社費用は除く)。積水ハウスの区分は会社の示す請負型・ストック型・開発型と国際事業で、請負型には建築・土木事業(住宅以外の工事)も入る。飯田グループは連結売上収益を100%とし、短信の区分別の表の4区分(戸建分譲・マンション分譲・請負工事・その他)で示した。「その他」の中身は短信に説明がない。

積水ハウスは、自社の事業を「請負型」「ストック型」「開発型」と国際事業に分けて示しています。2026年1月期の報告セグメントの売上高(セグメント間の取引を含む)の計に占める割合で見ると、戸建住宅・賃貸・事業用建物・建築・土木(住宅以外の建物や土木の工事を含む)の請負型が約32%、賃貸住宅管理とリフォームのストック型が約21%、開発型が約16%、国際事業が約31%です(割合は本記事の計算値)。報告セグメントの利益(事業の区分ごとの利益)の計に占める割合では、請負型が約41%、ストック型と開発型がそれぞれ約25%と約24%、国際事業は約10%です。売上の約3割を占める国際事業は、利益では約1割です。国際事業は、米国・豪州での戸建住宅の販売や宅地の開発などです。

大和ハウス工業では、2026年3月期の報告セグメントの売上高の計に占める割合で、戸建住宅が約24%、賃貸住宅が約25%です。商業施設と事業施設(物流施設など)を合わせると約44%で、住宅以外の建物の事業も大きな割合を占めます(割合は本記事の計算値)。戸建住宅には米国の戸建住宅事業も入っており、海外だけの売上はセグメントの表からは分かりません。同社は、国内で注文住宅・分譲住宅ともに販売戸数が増え、リフォームや買取再販の事業も寄与したと説明しています。

住友林業は、国内の注文住宅などを「住宅事業」、米国・豪州の戸建住宅を「建築・不動産事業」に入れています。2025年12月期の住宅事業は売上高5,853億81百万円・経常利益412億64百万円、建築・不動産事業は売上高1兆4,111億36百万円・経常利益1,197億3百万円です。建築・不動産事業には国内の中大規模の木造建築や不動産開発も入るため、この数字を海外の割合として読むことはできません。同社の説明では、米国の戸建住宅は金利の高止まりで販売戸数が減り、豪州は現地の住宅会社の連結で堅調でした。

分譲住宅の飯田グループホールディングスでは、2026年3月期の売上収益(IFRS)のうち、戸建分譲事業が約81%を占めます(計算値)。宅地などを含む引渡しの件数は36,989件です。マンション分譲は約6%、注文住宅やリフォームなどの請負工事は約6%、短信の区分の「その他」が約7%です。この割合は飯田グループの数字で、分譲住宅の会社全体の割合ではありません。

各社の数字は、決算の期(積水ハウスは1月期、住友林業は12月期、大和ハウス工業と飯田グループは3月期)、会計の基準、利益の定義(住友林業は経常利益)がそろっていません。この記事では、会社どうしの大きさを比べず、それぞれの会社の中の構成だけを見ます。

同じ時期でも、住宅の事業の調子は会社によって違います。タマホームの2026年5月期は、注文住宅の引渡棟数が5,176棟で前期より7.5%減り、住宅事業は10億66百万円の営業損失でした(前期は3億30百万円の営業利益)。同社は、WEB施策の変更や住宅取得の意欲の低下で集客が低調だった一方、成約率は上がったと説明しています。積水化学工業の住宅事業は、売上棟数が減ったものの、棟単価の上昇とリフォームの伸びで増収増益でした。どちらも1社の説明で、住宅会社全体の傾向ではありません。

契約から引渡しまで、営業・設計・工務・アフターが順につなぐ

注文住宅では、集客から引渡し後の点検まで、いくつかの職種が順に関わります。

注文住宅は、営業・設計・工務・アフターが順に引き継いで建てる

上は契約から引渡し後までの流れ、下はそれを担う職種。職種名は採用ページで確かめた2社の表記。

1 集客・営業展示場・WEBから相談モデルハウスの案内、プランの作成、融資の相談営業:積水ハウス「営業職」、タマホーム「営業」
2 設計・契約図面と建築確認プランを正式な図面に。法令の確認、工事費の算出、確認申請設計:積水ハウス「技術職」の設計業務、タマホーム「設計」
3 施工職人と工事を進める工程・品質・安全の管理。住宅設備の決定と発注施工の管理:積水ハウス「技術職」の現場監督業務、タマホーム「工務」
4 引渡し後点検と相談定期メンテナンス、アフターフォロー、修復やリフォームの相談アフター:積水ハウス「カスタマーズサービス」
2025年4月からの手続き:木造2階建ての住宅(新2号)は、確認申請に構造と省エネの図書が加わる。着工前の省エネ適合性判定は義務(仕様基準によるものなどと、新3号で建築士が設計したものは除く)。設計と工事監理は、建物の規模に応じた建築士が担う。
出典:積水ハウス「キャリア採用情報」、タマホーム「採用情報」(いずれも2026年10月31日閲覧)、国土交通省「2025年4月からルールを改正します!」、建築士法・建築物省エネ法(e-Gov)。流れの区切り方は本記事による。会社によって職種の名前と分担は違う。

職種の名前は会社ごとに違います。この記事で採用ページを確かめた2社の表記で、仕事を整理します。積水ハウスはキャリア採用のページ、タマホームは新卒向けとみられる採用サイトの説明です(積水ハウスキャリア採用情報、タマホーム採用情報)。

仕事採用ページの表記(例)主な仕事の例制度・事業とのつながり
営業積水ハウス「営業職」、タマホーム「営業」モデルハウスの案内、プランの作成、融資の相談(タマホーム)施主の資金計画に、省エネ性能と住宅ローン減税の要件が関わる
設計積水ハウス「技術職」の設計業務、タマホーム「設計」顧客の要望の調査からプランの提案、施工図面の作成(積水ハウス)。プランを正式な図面にし、法律に違反していないかの確認と工事費の算出(タマホーム)確認申請に構造と省エネの図書が加わる。省エネ適合性判定の手続き
施工の管理積水ハウス「技術職」の現場監督業務、タマホーム「工務」工程・品質・安全の管理(積水ハウス)。職人との打合せと工事の管理、住宅設備をお客様・営業と決めて発注(タマホーム)設計図どおりの施工。工事監理をする建築士から指摘があれば対応する
アフターサービス積水ハウス「カスタマーズサービス」引渡し後の定期メンテナンス、アフターフォロー、修復やリフォームの相談会社のストック型の事業(管理・リフォーム)につながる

積水ハウスは、このほかに「監理技術者」「総合事務職」なども募集しています。タマホームの「事務」には、支店の総務経理・営業事務・工務事務と、本社の事務があります。

求人票では、次の点を確かめます。

  • 住宅の種類:注文住宅か、分譲住宅か、賃貸住宅か。営業の相手が家を建てたい個人か、土地のオーナーかで、提案の中身が変わる
  • 営業の進め方:展示場での接客が中心か、WEBからの問い合わせへの対応か。目標の決め方と、歩合などの給与への反映
  • 施工の管理の範囲:同時に担当する棟数とエリア、職人の手配や住宅設備の発注まで担うか
  • 設計の範囲:プランの提案から確認申請・省エネの図書まで担うか。建築士の資格が必要か、取得の支援があるか
  • アフターの範囲:点検と修繕の対応だけか、リフォームの提案まで含むか
  • 会社の事業:請負のほかに、管理・リフォーム・開発・海外の部門があるか。総合職なら、配属の可能性がある部門はどこか

企業の建物や土木の工事の施工管理は「ゼネコンの業界地図」で扱います。

住宅を建てて売る仕事と、購入・賃借の契約を仲介する仕事では、契約相手と収入が異なります。 不動産仲介業界の地図