生保・損保・少額短期保険と、営業職員・代理店・銀行の役割を整理。保険料、保険金、運用の流れと、営業・支払・商品・運用の仕事が分かります。

「保険」と書かれた求人には、生命保険の営業職員、損害保険会社で代理店を支える営業、事故の調査をして保険金を払う損害サービス、保険料を計算するアクチュアリー(保険数理の専門職)、資産運用、保険代理店の販売職まで幅があります。同じ保険でも、生命保険か損害保険か、誰が売るのか、会社が保険と運用と海外のどこで利益を出しているのかで、仕事の中身も配属の可能性も変わります。

この記事では、保険業法の免許を受けた生命保険会社と損害保険会社、登録を受けた少額短期保険業者、保険を売る営業職員・代理店・銀行などを扱います。生命保険と損害保険は分けずに1本で比べます。免許と登録、保険料が保険金と利益になる流れ、生保と損保の違い、売り方とそのルール、会社の型、仕事と変化の順に確かめます。

金融の業界地図では、保険を「保障する」役割に置きました。この記事は、その中を深めます。健康保険などの公的医療保険は、「医薬品・医療・介護の業界地図」で、介護の事業は「介護・福祉の業界地図」で扱っています。JA共済などの主な共済は、保険業法の免許の外で行われるため、この記事では扱わず、位置づけは「金融の業界地図」に譲ります。個別の保険商品のおすすめや保険料の比較もしません。

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業界の数字は、生命保険が2024年度、損害保険が2025年度で、期が1年ずれています。生命保険の「収入保険料」と損害保険の「正味収入保険料」は定義も違います。この記事では、2つを足したり比べたりしません。

保険会社は国の免許を受け、生命保険と損害保険は別の会社が引き受ける

保険には、2つの法律がかかわります。保険法は、保険会社と契約者の間の契約のルールです。損害保険契約は、偶然の事故で生じる損害をてん補する(埋め合わせる)契約です。生命保険契約は、人の生存や死亡について、決まった保険給付を行う契約です。けがや病気について決まった額を払う傷害疾病定額保険契約もあります。

会社と売り方のルールは、保険業法が決めています。保険業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ行えません(第3条第1項)。免許は生命保険業免許と損害保険業免許の2種類で、同じ会社が両方を受けることはできません(第3条第3項)。グループで生保と損保の両方を手がける場合は、それぞれ別の会社を持ちます。医療保険や傷害保険のような「第三分野」の保険は、どちらの免許でも引き受けられます(第3条第4項第2号・第5項第2号)。第三分野の保険は、決まった額を払う形でも、実際にかかった損害を埋め合わせる形でもかまいません。

介護が必要な状態になったときに給付する民間の介護保険は、病気やけがを原因とする人の状態を対象にする保険として、この第三分野に入ります(第3条第4項第2号ロ。当てはめは編集部の整理)。公的な介護保険の仕組みは、「介護・福祉の業界地図」で扱っています。

少額短期保険業は、保険期間が2年以内、保険金額が1,000万円以下の範囲で、政令で定める保険だけを引き受ける事業です(第2条第17項)。免許ではなく、登録を受けて行います(第272条第1項)。小規模な事業者であることが条件です。

会社の数は、金融庁の免許・登録の一覧で確かめられます。時点が一覧ごとに違うため、表に並べます。

区分法律上の手続き数時点と読むときの注意
生命保険会社生命保険業免許41社2026年10月1日現在
損害保険の免許を持つ会社損害保険業免許572026年10月19日現在。損害保険会社35社、外国損害保険会社等21社、免許特定法人1(ロイズ)。再保険を専門にする会社も含む
少額短期保険業者登録122業者2026年10月20日現在
保険持株会社認可15社2026年6月1日現在。東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、SOMPOホールディングス、第一ライフグループなど

保険を引き受ける会社は免許か登録、保険を売る人も登録が要る

左は保険を引き受ける側、右は保険を売る側。それぞれに保険業法の手続きと条文を添えた。会社の数は金融庁の一覧の各時点の値。

引き受ける(保険会社など)
生命保険会社 41社生命保険業免許(第3条)。人の生存・死亡に決まった額を払う保険が中心2026年10月1日現在
同じ会社は両方の免許を受けられない(第3条第3項)
損害保険の免許 57損害保険業免許(第3条)。事故の損害をてん補する保険が中心。再保険専門の会社を含む2026年10月19日現在。損保会社35・外国損保会社等21・免許特定法人1
第三分野(医療・傷害・介護など)生保・損保どちらの免許でも引き受けられる(第3条第4項第2号・第5項第2号)
少額短期保険業者 122業者免許でなく登録(第272条)。保険期間2年以内・保険金額1,000万円以下の範囲で政令で定める保険だけ2026年10月20日現在
保険持株会社 15社金融庁の認可一覧に載る会社。グループの保険会社を傘下に持つ2026年6月1日現在
売る(保険募集)
営業職員生命保険会社の役員・使用人。生命保険募集人として登録(第276条)
代理店生命保険の代理店とその使用人、損害保険代理店。登録(第276条)。保険会社から募集の手数料などを受け取る。売る人すべてに、説明や情報の扱いの措置の規定がある(第294条の3)。大規模な乗合の損害保険代理店には、さらに法令等遵守責任者などを置く規定がある(第294条の4)
銀行など登録を受けて募集できる(第275条第2項)。売れる場合は内閣府令で限られる
保険会社が直接売るネット生保など
保険仲立人(ブローカー)登録(第286条)
読み方:太枠は本文で詳しく扱うもの。契約のルール(損害保険契約・生命保険契約などの定義)は保険法、会社と売り方のルールは保険業法が決める。JA共済などの主な共済は保険業法の免許の外で行われ、この図に入れていない。
出典:保険業法・保険法(e-Gov)、金融庁「生命保険会社免許一覧(令和8年10月1日現在)」「損害保険会社免許一覧(令和8年10月19日現在)」「少額短期保険業者登録一覧(令和8年10月20日現在)」「保険持株会社認可一覧(令和8年6月1日現在)」。

保険を引き受ける会社だけでなく、保険を売る人や代理店にも登録が要ります。売り方のルールは、後の章で説明します。

保険料は、保険金の支払いと運用を通って、会社の利益になる

保険会社は、契約者から保険料を受け取り、死亡や事故などが起きたときに保険金を払います。保険金を払うまでの間、積み立てたお金を債券や貸付などで運用します。生命保険協会の生命保険の動向(2025年版)によると、加盟41社の総資産は418兆5,222億円(2024年度末)で、そのうち公社債(国債や社債など)が46.2%、貸付金が6.7%を占めます。

引き受けたリスクの一部を、別の保険会社に引き受けてもらうことを再保険といいます。損害保険の免許一覧には、再保険を専門にする会社も載っています。

保険料は、売り手を通って保険会社に入り、保険金・再保険・運用に分かれる

上はお金の流れの模式図。下は日本生命の2025年度(単体)で、基礎利益から経常利益までの段階を示した。1社の例で、業界の平均ではない。

契約者個人・企業が保険料を払う
売り手営業職員・代理店・銀行など・ネット
保険会社リスクを引き受け、保険金の支払いに備えて積み立てる
保険金:死亡・事故・災害などで支払う
事業費:代理店への手数料・人件費など。生保協会加盟41社は2024年度に5兆1,771億円(保険料等収入の12.0%)
再保険:リスクの一部を別の保険会社に引き受けてもらう
運用:債券・貸付など。生保協会加盟41社の総資産の46.2%が公社債(2024年度末)
日本生命(単体)2025年度:基礎利益から経常利益まで
基礎利益約1兆656億円
キャピタル損益約△7,196億円
臨時損益約△1,904億円
経常利益約1,556億円
帯の右端は基礎利益。マイナスの帯は、前の段階の右端から差し引く分を示す。単位は億円(百万円単位の値を本記事で四捨五入)。原本の各行は百万円未満を切り捨てた値で、3つの値の足し引き(155,587百万円)は公表の経常利益155,585百万円(会社の億円表示では1,555億円)と2百万円ずれる。
出典:生命保険協会「生命保険の動向(2025年版)」(総資産・事業費)、日本生命「2025年度決算について」(2026年5月26日、単体の経常利益等の明細)。基礎利益は保険関係と運用関係の収支からなる基礎的な期間損益で、経常利益からキャピタル損益と臨時損益を除いたもの。日本生命の値は単体で、グループの値ではない。

生命保険会社の業績は、「基礎利益」という物差しでも示されます。基礎利益は、保険料と保険金などの保険関係の収支と、利息・配当金などの運用関係の収支からなる、毎年の基礎的な損益です。経常利益から、有価証券の売却損益などのキャピタル損益と、臨時の損益を除いたものです。2024年度の加盟41社の合計は、基礎利益が4兆3,163億円、経常利益が3兆1,527億円でした。基礎利益の算定方法は2022年度から変わっています(為替ヘッジのコストを入れるなど)。

1社の例では、日本生命の2025年度(単体)は、保険料等収入が5兆4,023億円、資産運用収益が3兆2,852億円、保険金等支払金が5兆2,975億円でした(2025年度決算について)。日本生命の基礎利益は約1兆656億円でしたが、キャピタル損益が約7,196億円、臨時損益が約1,904億円のマイナスで、経常利益は約1,556億円(会社の億円表示では1,555億円)です。2025年度の日本生命では、基礎利益と経常利益の差が大きくなっています。これは日本生命単体の値で、グループの値ではありません。

保険会社は、保険金のほかに、代理店への手数料や人件費などの事業費も払います。加盟41社の2024年度の事業費は5兆1,771億円で、保険料等収入の12.0%でした。

損害保険会社の利益も、受け取った保険料と、払った保険金や経費との差(保険を引き受けることの損益)と、運用の損益から生まれます。ただし、この記事では、保険料に対する保険金の割合などの損保の業界の指標は使いません。協会が公表する値を確かめていないためです。

生命保険と損害保険は、保険金の決まり方も、売れている保険も違う

生命保険と損害保険は、免許だけでなく、保険金の決まり方と主な商品が違います。

生命保険は契約で決めた給付を行い、損害保険は損害を埋め合わせる

上は2つの違いの比較、下は業界の保険料の内訳(それぞれの合計を100%とした割合)。期も保険料の定義も違うため、生保と損保の大きさは比べていない。

生命保険
損害保険
保険金の決まり方
人の生存・死亡に、損害の額ではなく契約で決めた給付を行う(保険法の生命保険契約)
偶然の事故で生じた損害を埋め合わせる(保険法の損害保険契約)
主な商品
個人保険、個人年金保険、団体保険、団体年金保険
自動車、火災、新種(賠償責任・ペットなど)、傷害、自賠責、海上、運送
利益の見方
基礎利益(保険関係+運用関係の収支)。キャピタル損益と臨時損益で経常利益が変わる
保険料と保険金・経費の差と、運用の損益。保険金は事故や災害で年ごとに変わる
主な売り手
営業職員、代理店、銀行など、ネット
代理店(本業別に自動車販売店・整備工場、専業、不動産業、金融業など)、銀行など
医療・傷害・介護の保険
第三分野は、生保・損保どちらの免許でも引き受けられる。決まった額を払う形も、損害を埋め合わせる形もある
生命保険:収入保険料の内訳(2024年度、合計36兆8,037億円)生命保険協会加盟41社
個人保険77.0%、個人年金保険12.5%、団体年金保険6.5%、団体保険3.2%、4区分以外0.8%
損害保険:正味収入保険料の内訳(2025年度、合計約9兆9,726億円)日本損害保険協会の種目別統計
自動車46.9%、火災18.9%、新種17.3%、傷害7.1%、自賠責6.7%、海上2.4%、運送0.8%(端数のため合計は100%にならない)
出典:保険法(e-Gov)、生命保険協会「生命保険の動向(2025年版)」(2024年度)、日本損害保険協会「種目別統計表(2025年4月~2026年3月)」、同「募集に関する統計」。割合は本記事で計算。生保の「収入保険料」と損保の「正味収入保険料」は定義が違い、期も1年ずれる。

生命保険は、人の生存や死亡について、損害の額ではなく、契約で決めた保険給付を行います(保険法の生命保険契約)。2024年度の収入保険料は36兆8,037億円で、前の年度の98.1%でした。内訳は、個人保険が28兆3,219億円、個人年金保険が4兆6,133億円、団体年金保険が2兆3,963億円、団体保険が1兆1,628億円です。個人保険が約77%を占めます(本記事で計算)。個人保険の保険料の払い方は、一時払が39.9%、月払が38.8%、年払が15.3%でした(2024年度の構成比)。

損害保険は、事故や災害で生じた損害の額に応じて、保険金を払います。日本損害保険協会の種目別統計表によると、2025年度の正味収入保険料は約9兆9,726億円で、前の年度より4.1%増えました。最も大きいのは自動車保険の約4兆6,732億円で、約47%を占めます(本記事で計算)。火災保険が約1兆8,866億円、新種保険(賠償責任保険やペット保険などを含む区分)が約1兆7,253億円で続きます。このほか、傷害保険、自動車損害賠償責任保険(自賠責)、海上保険、運送保険があります。

損害保険の保険金は、その年に起きた事故や災害によって変わります。2025年度の火災保険の正味支払保険金は約7,996億円で、前の年度より16.0%少なくなりました。

2つの業界の数字は、期(生保2024年度、損保2025年度)も、保険料の定義も違うため、生保と損保の大きさは比べられません。

保険を売るのは営業職員・代理店・銀行・ネット。売る人にも登録が要る

保険業法では、保険契約の締結の代理や媒介(契約を結ぶ手伝い)を「保険募集」と呼びます(第2条第26項)。生命保険の営業職員、生命保険の代理店とその使用人、損害保険代理店、少額短期保険の募集人は、内閣総理大臣の登録を受けなければなりません(第276条)。保険仲立人(ブローカー)も登録制です(第286条)。銀行なども、登録を受ければ保険を売れます(第275条第2項)。ただし、銀行などが売れるのは、契約者の保護に欠けるおそれが少ない場合として内閣府令で定める場合に限られます(第275条第1項)。

代理店は、保険会社から募集の手数料などを受け取ります。後で説明する第294条の4も、代理店が所属する保険会社から受け取った手数料や報酬などの額を要件に使っています。この記事では、手数料の水準や率は扱いません。

売り手法律上の位置づけ人や店の数例と読むときの注意
営業職員生命保険会社の役員・使用人で、生命保険募集人として登録登録営業職員24万1,507人(2024年度末)会社ごとに呼び方が違う。日本生命は「ニッセイトータルパートナー」、第一生命は「生涯設計デザイナー」
生命保険の代理店保険会社から委託を受けた代理店とその使用人。生命保険募集人として登録法人代理店3万1,339店、個人代理店4万3,959店、代理店使用人91万4,233人(2024年度末)生命保険協会の統計
損害保険の代理店損害保険代理店として登録代理店12万4,024店、募集従事者173万6,427人(2025年度)協会は代理店を、自動車販売店・整備工場、専業代理店、不動産業、金融業(銀行などを含む)などの本業別にも数えている。生保の人数とは数え方が違い、足さない
銀行など第275条第2項の登録を受けて募集するこの記事では数えていない売れる場合は内閣府令で限られる(第275条第1項)
ネットでの直接販売保険会社が自ら売る―ライフネット生命など。同社の団体信用生命保険は、銀行の住宅ローンにかかわる取引
保険仲立人(ブローカー)第286条の登録―この記事では個社を取り上げない

損害保険の代理店は、2024年度の14万138店から2025年度の12万4,024店へ、1年で11.5%減りました。募集従事者も前の年度より2.4%減っています(日本損害保険協会 募集に関する統計)。協会は、2001年度に募集従事者が大きく増えたのは、銀行などの窓口での保険の販売が解禁され、銀行員などが募集従事者になったためと推測しています。銀行の側から見た窓口販売は、「銀行の業界地図」で扱います。

売り方には、保険業法で次のようなルールがあります。

  • 保険を売る人は、勧誘の前に、どの保険会社の商品を扱っているか、契約の代理か媒介かの別などを、顧客に示す(第294条第3項)
  • 保険を売る人はすべて、重要な事項の説明、顧客の情報の扱い、2社以上の保険会社の商品を扱う場合に契約内容を比べた事項を示すことなどのための措置を講じる(第294条の3第1項)
  • 損害保険の代理店のうち、2社以上の保険会社の商品を扱う法人で、受け取る手数料などが一定の額以上のもの(特定大規模乗合損害保険代理店。額などの要件は内閣府令で定める)は、営業所ごとの法令等遵守責任者、本店でそれを指揮する人、苦情を処理する体制を置く。自動車の修理など、保険金が支払いに充てられる兼業をしている場合は、その兼業が保険金の支払いに不当な影響を与えないよう監視する(第294条の4)
  • 保険会社は、自動車の修理などの兼業をする代理店や、グループの金融機関などが行う取引によって、保険の顧客の利益が不当に害されないよう、情報の管理と監視の体制を整える(第100条の2の2)
  • 保険契約者や被保険者(と内閣府令で定める密接な関係のある人)に対して、保険料の割引・割戻し、物品の購入、サービスの提供などの取引で、取引上の社会通念に照らして相当と認められないものや、その他の特別の利益を提供したり、提供を約束したりすることは禁止(第300条第1項第5号)

保険業法は2025年に改正法(令和7年法律第54号)が公布され、2026年6月1日施行の版がe-Govに収録されています。e-Govの改正前後の版を比べると、上の規定のうち第294条の4はこの改正で新しく加わり、第100条の2の2と第300条第1項第5号はこの改正で書き換えられました。たとえば第300条第1項第5号は、改正前は「保険料の割引、割戻しその他特別の利益の提供」だけを挙げていました。

このほか、金融サービス提供法の第2条は、保険業や保険募集を行う者とその役員・使用人に、顧客の最善の利益を考えて、誠実かつ公正に業務を行うことを義務づけています。銀行や証券会社にも同じ規定がかかります。

会社の型は、相互会社・保険グループ・ネット生保・少額短期で違う

生命保険会社には、相互会社と株式会社があります。相互会社は、保険契約者を社員(構成員)とする、保険業のための会社の形です(保険業法第2条第5項)。金融庁の一覧では、日本生命や朝日生命が相互会社です。日本生命は相互会社で株式がないため上場しておらず、決算短信ではなく、自社で決算の資料を公表しています。日本生命の連結のセグメント情報は、報告すべき重要なセグメントがないとして省略されています。日本生命は、2025年度の業績の概要で、グループの保険料等収入の内訳に日本生命のほか大樹生命・ニッセイ・ウェルス生命・はなさく生命と海外の保険会社を挙げ、介護のニチイホールディングスの収益も示しています(2025年度 業績の概要)。

保険持株会社の下に、国内の損保・国内の生保・海外の保険会社などをまとめるグループもあります。

保険グループは、国内の損保・生保に、海外の保険や介護を持つ

各社の2026年3月期の収入の内訳(各社の合計を100%とした割合)。会計基準と数字の定義が会社ごとに違うため、会社どうしの大きさも、割合も比べない。

東京海上ホールディングス保険収益(IFRS)、保険3セグメント国内損害保険39.2%、国内生命保険3.4%、海外保険57.4%
SOMPOホールディングス報告セグメントの収益(IFRS)、4セグメント国内損害保険48.6%、海外保険43.5%、国内生命保険4.6%、介護3.3%(保険は保険収益、介護はその他の営業収益)
第一ライフグループ保険料等収入(日本の会計基準)国内保険73.6%、海外保険26.4%
出典:東京海上ホールディングス・SOMPOホールディングス「2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」、第一ライフグループ「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」。割合は本記事で計算。東京海上はソリューション・その他、SOMPOは「その他」を除いた合計を100%とした。SOMPOの介護はその他の営業収益。日本生命は連結のセグメント情報を省略しているため、MS&ADは報告セグメントが保険会社別のため、この図に入れていない。

東京海上ホールディングスは、報告セグメントを国内損害保険・国内生命保険・海外保険・ソリューションその他に分けています。2026年3月期の保険収益(IFRSで保険の売上に当たる数字)は、海外保険が約4兆4,483億円で、3つの保険セグメントの合計の約57%です(本記事で計算。2026年3月期決算短信〔IFRS〕)。東京海上ホールディングスは、2026年3月期の有価証券報告書から、国際的な会計基準(IFRS)を任意で使っています。

MS&ADインシュアランスグループホールディングスは、報告セグメントを会社ごとに分けています。三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、三井ダイレクト損保、三井住友海上あいおい生命、三井住友海上プライマリー生命の国内5社と、海外事業です(2026年3月期決算短信〔IFRS〕)。

SOMPOホールディングスは、国内損害保険・海外保険・国内生命保険に加えて、介護を報告セグメントにしています(2026年3月期決算短信〔IFRS〕)。介護の事業は、「介護・福祉の業界地図」で扱っています。

第一ライフグループ(旧 第一生命ホールディングス)は、生命保険会社の持株会社です。2026年3月期の保険料等収入は、国内保険が約5兆1,087億円、海外保険が約1兆8,353億円で、海外が約26%です(本記事で計算。日本の会計基準。2026年3月期決算短信)。

会社ごとに、会計基準(IFRSか日本の基準か)と、売上に当たる数字の定義が違います。この記事では、会社どうしの大きさを比べません。

ネット生保のライフネット生命は、事業が生命保険事業の1つだけです。保険料はすべて月払いです。2026年3月期の保険収益約344億円のうち、個人保険が約264億円、住宅ローンの借り手が入る団体信用生命保険(団信)が約80億円でした。決算短信は主要な顧客としてauじぶん銀行を挙げ、同行からの保険収益は団信と同じ約80億円で、保険収益の約23%です(本記事で計算。IFRS。2026年3月期決算短信)。2026年4月30日には、主要株主のauフィナンシャルホールディングスが保有株式の全部を日本航空に譲渡することで合意したと開示しています。

少額短期保険業者は、2026年10月20日現在で122業者です。保険金額と保険期間の範囲が限られる代わりに、免許ではなく登録で事業を始められます。

仕事は、売る・支える・払う・値付けする・運用するに分かれる

経済センサスでは、保険業で働く人は64万8,671人です(令和6年経済センサス‐基礎調査、第8-2表の従業者数)。この数には、保険会社だけでなく、保険代理店(保険媒介代理業)と、損害の査定などを行う保険サービス業も入ります。雇用者のいない個人経営の事業所は含まれません。保険会社の社員の数ではありません。

保険会社の仕事は、保険を売る、代理店を支える、保険金を払う、保険料を計算する、集めたお金を運用する、に大きく分かれます。各社の採用ページで確かめた職種名を、仕事ごとに並べます。

仕事主な相手主な仕事の例採用ページで確かめた職種名の例
生命保険の営業職員個人、企業保険のコンサルティングと販売、契約後のフォロー日本生命「ニッセイトータルパートナー」、第一生命「生涯設計デザイナー」
生命保険の総合職社内、営業職員、企業保険・金融商品の販売、資産運用、経営管理など日本生命「総合基幹職」
契約者の手続き・事務来店客、契約者手続きとアフターサービス、事務を中心とした定型業務日本生命「サービスコーディネーター」「エリアサービスコーディネーター」、第一生命「基幹業務職(B型)・レギュラースタッフ」
損害サービス事故にあった契約者損害の調査、保険金の支払い東京海上日動「損害サービスコース」「損害サービス主任採用」、三井住友海上「アジャスター」(技術アジャスター・医療アジャスター)
数理・IT・運用社内、市場保険数理(アクチュアリー)、システム、資産運用東京海上日動「SPECコース(IT戦略、資産運用、アクチュアリー)」
代理店で売る個人、企業代理店の社員として保険を売る東京海上日動の採用ページに、代理店従業員の採用情報がある

損害保険会社の営業は、代理店を通じて保険を売る仕組みを支えます。2023年の業務改善命令(下で説明します)にも、代理店を含めた教育と監督の体制づくりが入っています。ただし、損保ジャパンとあいおいニッセイ同和損保の職種名は、この記事では確かめていません。会社によってコースの名前と中身が違うため、求人票で配属の範囲を確かめます。

保険の仕事には、法律やルール、会社の事業の変化が届きます。

行政処分・売り方のルール・保険金の変動は、営業・代理店管理・損害サービスに届く

左は主な出来事やルール、右はそれが届く仕事。効果や採用数の増減は予測していない。

2023年12月26日大手損保4社への業務改善命令(保険業法第132条第1項。企業向け保険の保険料の調整など)
企業向けの営業・代理店管理:不適切な行為の動機にならない営業目標、代理店を含む教育と監督の体制(命令の内容)
2026年6月1日施行の改正大規模な乗合の損害保険代理店の体制整備と兼業の監視(第294条の4・第100条の2の2)
代理店の管理部門・保険会社の営業:営業所ごとの法令等遵守責任者、苦情の処理、兼業が保険金の支払いに影響しないための監視
2026年6月1日施行の改正で書き換え特別の利益の提供の禁止(第300条第1項第5号)
営業職員・代理店・保険会社の営業:保険料の割引・割戻し、物品の購入、サービスの提供などで、社会通念に照らして相当でない特別の利益を提供しない
現行の金融サービス提供法誠実公正義務(第2条。保険業・保険募集を行う者と役員・使用人)
保険を売る仕事全般:顧客の最善の利益を考えて、誠実かつ公正に業務を行う
2025年度火災保険の正味支払保険金は約7,996億円(前年度比16.0%減。保険金は事故や災害で年ごとに変わる)
損害サービス:損害の調査と保険金の支払いを担う
出典:金融庁「大手損害保険会社に対する行政処分について」(令和5年12月26日)、保険業法・金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(e-Gov)、日本損害保険協会「種目別統計表(2025年4月~2026年3月)」。保険業法の規定は現行の条文と、e-Govの改正前(2026年1月1日施行)・改正後(令和7年法律第54号、2026年6月1日施行)の版の比較で確かめた。

2023年12月26日、金融庁は、あいおいニッセイ同和損保・損保ジャパン・東京海上日動・三井住友海上の4社に、保険業法第132条第1項にもとづく業務改善命令を出しました(金融庁 大手損害保険会社に対する行政処分について)。金融庁は、同法第128条第1項にもとづく報告から、企業向け保険の保険料の調整など、独占禁止法に抵触すると考えられる行為等が認められたとしています。命令には、不適切な行為の動機にならない営業目標を立てること、代理店を含めた教育と監督の体制をつくることなどが含まれています。企業向けの営業や、代理店を管理する仕事に関わる内容です。各社のその後の取り組みは、この記事では扱いません。

大規模な乗合の損害保険代理店の体制整備や兼業の監視、特別の利益の提供の禁止は、代理店で法令を守る仕組みをつくる管理の仕事と、代理店を支える保険会社の営業の仕事に関わります。火災保険などの保険金の額が年によって変わることは、保険金を払う損害サービスの仕事に直接かかわります。

求人票では、生保か損保か・売り方・会社の型を確かめる

保険の仕事は、扱う保険と売り方によって、相手と成果物が変わります。求人票では、次の4点を確かめます。

  • 生命保険か損害保険か:同じ会社が両方の免許を持つことはできない。グループの中のどの会社の求人か
  • 売り方:営業職員として自分で売るのか、代理店を支える営業か、代理店の社員として売るのか、銀行やネットで売る仕組みを支えるのか
  • 仕事の種類:販売、損害サービス、数理・IT・運用、事務のどれか。総合職なら、配属の可能性がある部門はどこか
  • 会社の型:相互会社か、保険持株会社の下の会社か、ネット生保か、少額短期保険業者か。海外や介護などの事業を持つグループか