医療機器と診断薬をリスク区分、承認・認証・届出、販売・修理、材料価格、消耗品収益で整理。営業、保守、薬事、品質保証の仕事が分かります。

「医療機器」と書かれた求人には、病院に内視鏡やカテーテルを提案する営業、納めた機器を点検・修理する技術者、国に製品の承認を申請する薬事、品質保証、開発、工場の生産まで幅があります。同じ医療機器でも、体の中で使う治療の道具か、検査の装置と試薬か、装置を一度売るのか消耗品や試薬を売り続けるのかで、仕事の相手も、守る手続きも変わります。

この記事では、薬機法(医薬品医療機器等法)の医療機器と、検査に使う薬である体外診断用医薬品(以下、診断薬)を扱います。リスクによる区分と製品を売り出すための手続き、保険で値段が決まる材料と装置の違い、販売と修理の許可、診断薬の稼ぎ方、国内で作る領域と輸入が多い領域、会社ごとの売上の内訳、制度の変化が届く仕事を順に確かめます。

「医薬品・医療・介護の業界地図」では、医療機器と診断薬のメーカーを「つくる」の役割に置きました。この記事は、その中を深めます。薬の研究開発と薬価は「医薬品の業界地図」、病院の収入と診療報酬は「医療提供の業界地図」で扱います。

あわせて読みたい医療・介護・製薬業界の全体像|役割と公定価格、お金の流れ医薬品・医療・介護の中での位置を確かめるとき

医療機器の販売会社どうしの比較はしません。

医療機器は、不具合のときの影響の大きさで3つに分かれる

薬機法の第2条第4項は、医療機器を、人や動物の病気の診断・治療・予防に使うことなどを目的とする機械器具等で、政令で定めるものとしています。機械だけでなく、プログラム(ソフトウェア)も医療機器になりえます。

医療機器は、副作用や機能の障害が起きたときに、人の命と健康にどれだけ影響するかで3つに分かれます(第2条第5〜7項)。影響が大きいものから、高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器です。PMDA(医薬品医療機器総合機構)は、国際的な分類に合わせて、一般医療機器をクラスⅠ、管理医療機器をクラスⅡ、高度管理医療機器をクラスⅢ・Ⅳと説明しています。

これとは別に、点検や修理に専門の知識と技能が要るものとして国が指定するのが、特定保守管理医療機器です(第2条第8項)。この区分は、販売や修理の許可にかかわります。

リスクの大きさで区分が決まり、許可の種類と品目の手続きが変わる

行は薬機法の区分(PMDAが示すクラスとの対応)、列は市場に出す会社の許可、品目ごとの手続き、販売・貸与の手続き。製品の例は、個々の区分を確かめていないため入れていない。

クラスⅢ・Ⅳ高度管理医療機器不具合のとき、命と健康への影響が大きい
製造販売業の許可第一種
品目ごとの手続き厚生労働大臣の承認(PMDAが審査)。クラスⅢのうち認証基準のあるものは、2014年11月25日から登録認証機関の認証
販売業・貸与業営業所ごとに都道府県知事の許可(6年ごとに更新)
クラスⅡ管理医療機器影響が比較的小さい
製造販売業の許可第二種
品目ごとの手続き認証基準のあるものは登録認証機関(第三者認証機関)の認証。それ以外は大臣の承認
販売業・貸与業営業所ごとの届出
クラスⅠ一般医療機器影響が極めて小さい
製造販売業の許可第三種
品目ごとの手続きPMDAへの届出
販売業・貸与業許可・届出は要らない(特定保守管理医療機器なら許可)
診断薬体外診断用医薬品法律上は医薬品。製造販売・製造の手続きは医療機器と同じ第5章
製造販売業の許可体外診断用医薬品製造販売業
品目ごとの手続き医療機器と同じ第5章の条文で、承認・認証・届出を定める
販売業・貸与業医薬品の販売業の規定(第7章)による。この記事では扱っていない
製造所どの区分も、設計・組立て・滅菌などの工程の場所ごとの登録(医薬品の製造所は許可)。法律上は厚生労働大臣、事務の多くは都道府県知事
特定保守管理医療機器点検・修理に専門の知識が要るとして国が指定。販売業・貸与業は、区分にかかわらず許可
修理業修理区分に従い、事業所ごとの許可。法律上は厚生労働大臣、事務の多くは都道府県知事
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(e-Gov、2026年10月時点の現行版)第2条第4〜8項・第14項、第23条の2、第23条の2の3、第23条の2の5、第23条の2の12、第23条の2の23、第39条、第39条の3、第40条の2、同法施行令第80条第3項。PMDA「医療機器(審査関連業務の概要)」。クラスと法律上の区分の対応、品目ごとの手続きはPMDAの説明による。

医療機器を市場に出す会社は、区分に応じた製造販売業の許可を受けます。高度管理医療機器は第一種、管理医療機器は第二種、一般医療機器は第三種、診断薬は体外診断用医薬品製造販売業の許可です(第23条の2)。「製造販売」は、製造または輸入をした製品を売ることです(第2条第13項)。製造をほかの会社に任せても、海外で作られた製品を輸入して売る場合でも、製造販売業者が市場に出す責任を持ちます。

工場などの製造所は、設計・組立て・滅菌などの工程の場所ごとに、法律上は厚生労働大臣の「登録」を受けます(第23条の2の3)。医薬品の製造所が「許可」であるのとは、手続きの名前が違います。人に使う医療機器と診断薬では、製造販売業の許可、製造所の登録、修理業の許可の申請と調査の多くを、実際には都道府県知事が行います(薬機法施行令第80条第3項)。

品目ごとの手続きは、リスクで変わります。PMDAの説明では、クラスⅠはPMDAへの届出で製造販売できます。クラスⅡは、国が認証基準を定めたものなら、民間の登録認証機関(第三者認証機関)の認証を受けます。クラスⅢ・Ⅳは、厚生労働大臣の承認が必要で、PMDAが審査します。2014年11月25日からは、クラスⅢでも認証基準のあるものは、登録認証機関の認証で済むようになりました。どの製品がどのクラスに当たるかは、国が定める製品の名前(一般的名称)ごとに決まります。この記事では、個々の製品の区分は確かめていません。

保険で値段が決まるのは材料。装置は診療報酬の中で評価される

医療用の薬には、品目ごとに国が決めた価格(薬価)があります。医療機器では事情が違います。国が保険の価格を決めているのは、カテーテルなどの「特定保険医療材料」で、機能が同じ製品をまとめた区分(機能区分)ごとに価格が決まっています。この価格を償還価格(医療機関が保険に請求するときの価格)と呼びます。CTなどの装置には、装置そのものの保険の価格はなく、検査や手術などの診療報酬(技術料)の中で評価されます(令和8年度保険医療材料制度改革の概要)。

償還価格は、医療機関が実際に買った価格をもとに見直されます。国は材料価格調査で、実際の取引の価格(市場実勢価格)を調べます。令和7年度の調査では、償還価格と実勢価格の差(平均乖離率)は約1.3%でした。見直し後の価格は、機能区分ごとの実勢価格の加重平均値(税込)に、改定前の価格の4%を一定幅として足した額です。改定前の価格は超えません。

2026年度(令和8年度)の改定で、材料価格は医療費ベースで0.01%引き下げられ、2026年6月に施行されました(診療報酬改定について(令和7年12月24日))。薬価の引下げ(医療費ベースで0.86%)とは別の改定です。個々の機能区分の価格は、厚生労働省告示第232号で定められています(令和8年度診療報酬改定の告示・通知の一覧)。この記事では、告示の個々の価格は確かめていません。

価格を見直す仕組みは、ほかにもあります。外国の価格と比べて見直す仕組み(外国価格再算定)では、米国・英国・ドイツ・フランス・オーストラリアの価格から外国平均価格を出します。令和8年度は、要件を検証した152区分のうち5区分が再算定の対象になりました。

物価の上昇で原材料費が上がり、実勢価格が償還価格を上回る機能区分が増える傾向にあると、国の資料は報告しています。採算が合わない材料の価格を見直す不採算品再算定の区分数と、業界から供給が難しいと要望が出た区分数も増える傾向です。令和8年度は、実勢価格が償還価格を上回る機能区分のうち、1社や上位2社でシェアの大半を占める区分は引き上げず、シェアが分散している区分に限って、特例として価格を改定できることにしました。

医療機器を作る会社にとって、国内の材料価格がかかわるのは、日本で保険診療に使われる材料の売上です。後の章で見るように、海外の売上が大きい会社では、国内の価格がかかわる部分は売上の一部です。

売ったあとも仕事が続く。販売と修理の許可、消耗品とサービス

医療機器を売ったり貸したりする事業にも、区分に応じた手続きがあります。高度管理医療機器と特定保守管理医療機器の販売業・貸与業は、営業所ごとに都道府県知事の許可を受け、6年ごとに更新します(第39条)。管理医療機器(特定保守管理医療機器を除く)の販売業・貸与業は、営業所ごとの届出です(第39条の3)。医療機器の修理業は、修理の区分に従って、事業所ごとに、法律上は厚生労働大臣の許可を受けます(第40条の2。事務の多くは都道府県知事)。

事業手続き根拠
製造販売業許可(第一種・第二種・第三種・体外診断用医薬品)第23条の2
製造業製造所ごとの登録第23条の2の3
販売業・貸与業(高度管理医療機器・特定保守管理医療機器)営業所ごとの許可(6年ごとに更新)第39条
販売業・貸与業(管理医療機器)営業所ごとの届出第39条の3
修理業修理区分に従い、事業所ごとの許可第40条の2

医療機器の会社の売上は、機器を売るときだけ生まれるわけではありません。使うたびに減る消耗品や、点検・修理などのサービスも、売上の一部になります。会社がこの区分で売上を開示しているかは、会社によって違います。

日本光電工業は、心電計などの生体計測機器、病院の病棟などで患者の状態を見守る生体情報モニタ、除細動器などの治療機器を作っています。2026年3月期の売上高2,351億円を、機器1,160億円と消耗品・サービス1,191億円に分けて示しています(2026年3月期決算短信)。消耗品・サービスは、機器をわずかに上回ります。

オリンパスでは、2026年3月期から事業の区分が「消化器内視鏡ソリューション事業」と「サージカルインターベンション事業」に変わりました(2026年3月期決算短信)。消化器内視鏡ソリューション事業には、消化器の内視鏡と処置具に加えて、修理やリースなどの医療サービスが入っています。機器と修理・サービスを分けた金額は、この記事では確かめていません。

機器を医療機関に届ける経路には、メーカーの営業所のほか、販売業の許可や届出を受けた販売会社があります。この記事では、販売会社どうしの比較はしません。

診断薬は、検査装置と試薬を組み合わせて売る

体外診断用医薬品は、病気の診断にだけ使われ、人や動物の体に直接使わない薬です(第2条第14項)。採った血液や尿を検査する試薬などが当たります。法律の上では医薬品ですが、許可と品目の手続きは、医療機器と同じ薬機法の第5章で定められています。製造販売業の許可は、医療機器とは別の「体外診断用医薬品製造販売業」です。

国の統計では、診断薬は医薬品の金額に入り、医療機器の金額には入りません。厚生労働省の令和6年薬事工業生産動態統計年報によると、2024年の診断薬の生産金額は4,330億円で、医薬品の生産金額の4.2%です。前の年より2.8%減りました。生産金額の内訳は、免疫血清学的検査用剤が2,086億円(48.2%)、生化学的検査用剤が1,530億円(35.3%)、血液学的検査用試薬が351億円(8.1%)などです。出荷金額は6,717億円(国内5,914億円・輸出803億円)です。生産金額と出荷金額は数えるものが違うため、差し引きはしません。業界団体の市場規模の統計は、この記事では確かめられなかったため使いません。

診断薬の会社は、検査の装置と試薬を組み合わせて売ります。シスメックスは、血液や尿などの検体を調べる検査機器と試薬を作る会社です。2026年3月期の売上高5,000億円のうち、試薬が3,079億円(61.6%)、機器が1,032億円(20.6%)、サービスが693億円(13.9%)、その他が196億円(3.9%)です(2026年3月期 通期ファイナンシャルデータ。割合は会社の記載値)。シスメックスでは、機器より試薬の売上が大きく、試薬とサービスを合わせると3,772億円で、計算値で約75.4%です。検査の分野では、血球計数検査が2,994億円で最も大きくなっています。

H.U.グループホールディングスは、一つのグループの中に、試薬を作る事業と、検査を受託する事業の両方を持っています。試薬にあたる「臨床検査薬事業」は、富士レビオ・ホールディングスが本部で、2026年3月期の外部顧客への売上高は607億円です(2026年3月期決算短信)。

栄研化学は、検査薬の事業だけの会社です。2026年3月期の売上高419億円のうち、免疫血清検査用試薬が233億円で、計算値で約56%です(2026年3月期決算短信)。会社は、海外向けの便潜血検査用試薬の売上が増えたと説明していますが、便潜血の試薬だけの金額は開示していません。遺伝子を増やして調べるLAMP法の関連は、特許料の収入とともに「その他(医療機器・遺伝子関連等)」の区分に入っています。

2025年5月に公布された改正薬機法(令和7年法律第37号)には、変異の多いウイルスなどを見つける診断薬について、売り出したあとの情報の収集・評価・報告を求め、性能が保てない場合には承認を取り消せるようにする内容が盛り込まれました(改正法の概要)。この規定(第23条の2の10の2「体外診断用医薬品の性能等再評価」)は、e-Govに収録された改正の版では2027年5月20日に施行される予定で、2026年10月時点では施行されていません。

国内で作る領域と輸入が多い領域。会社ごとに稼ぎ方が違う

薬事工業生産動態統計の年報によると、2024年の医療機器の生産金額は2兆6,642億円で、前の年より0.4%減りました。輸出金額は1兆1,445億円、輸入金額は3兆4,542億円、国内出荷金額は4兆7,083億円です。この統計の輸入金額は、輸入した数量に国内で出荷するときの販売単価を掛けた金額です。厚生労働省は、この数字を貿易の実態の把握に使うのは適切でないとしています。この記事では、生産と輸入の総額を差し引いて比べることはせず、品目ごとの違いで見ます。

医療用鏡は生産と輸出の上位、整形用品とカテーテル類を含む類別は輸入の上位

2024年の医療機器の類別ごとの金額と、生産・輸出・輸入それぞれの総額に占める割合。帯の長さは、それぞれの総額の中の割合(帯の右端は総額の25%)で、生産・輸出・輸入の帯どうしは比べられない。

生産金額 2兆6,642億円(上位5類別)前の年より0.4%減
医療用鏡(内視鏡などを含む)2,650億円 9.9%
内臓機能代用器2,618億円 9.8%
医療用エックス線装置及び同エックス線管2,260億円 8.5%
血液検査用器具2,253億円 8.5%
医療用嘴管及び体液誘導管(カテーテルなどを含む)2,183億円 8.2%
輸出金額 1兆1,445億円(上位3類別)上位3類別で49.7%
医療用鏡(内視鏡などを含む)2,593億円 22.7%
血液検査用器具1,824億円 15.9%
医療用エックス線装置等1,267億円 11.1%
輸入金額 3兆4,542億円(上位3類別)上位3類別で42.5%。輸入元はアメリカ合衆国38.7%、中華人民共和国10.6%、アイルランド8.7%
整形用品5,237億円 15.2%
医療用嘴管及び体液誘導管(カテーテルなどを含む)5,116億円 14.8%
理学診療用器具4,316億円 12.5%
濃い緑は医療用鏡、オレンジは医療用嘴管及び体液誘導管。
読み方:輸入金額は、輸入した数量に国内で出荷するときの販売単価を掛けた金額で、貿易統計の輸入額ではない。厚生労働省は貿易の実態の把握には適さないとしている。総額は年報の本文の値。公表ページと年報本文の値は一致しないため、本図は年報本文の国内出荷金額4兆7,083億円を採用した。体外診断用医薬品は医薬品の統計に入り、この図の金額には入らない。類別の名前の後の「含む」は編集部の補足。
出典:厚生労働省「令和6年 薬事工業生産動態統計年報」(2024年1〜12月、類別名称別の生産・輸出・輸入金額、国・地域別輸入金額)、同「『令和6年 薬事工業生産動態統計年報』の公表について」。割合は年報の記載値。

品目の分類(類別)ごとに見ると、国内で作る領域と輸入が多い領域が分かれます。生産金額が最も大きい類別は、内視鏡などを含む「医療用鏡」の2,650億円(9.9%)で、前の年より17.6%減りました。医療用鏡は輸出でも最も大きく、2,593億円で輸出の22.7%を占めます。医療用鏡の出荷は、国内の1,295億円に対して輸出が2,593億円で、輸出が国内の約2倍(計算値)です。輸出の2位は血液検査用器具の1,824億円(15.9%)、3位は医療用エックス線装置等の1,267億円(11.1%)です。

輸入の上位は、整形用品の5,237億円(15.2%)、カテーテルなどを含む「医療用嘴管及び体液誘導管」の5,116億円(14.8%)、理学診療用器具の4,316億円(12.5%)です。国内の出荷でも、医療用嘴管及び体液誘導管が6,895億円(14.6%)、整形用品が5,909億円(12.5%)で、上位の2つです。輸入元の国・地域は、アメリカ合衆国が38.7%、中華人民共和国が10.6%、アイルランドが8.7%です。たとえば医療用嘴管及び体液誘導管は、生産でも2,183億円(8.2%)で上位5類別に入っており、国内でも作られ、輸入も多い類別です。

統計の数字には注意があります。厚生労働省の公表ページは、医療機器の輸入金額を3兆6,056億円、国内出荷金額を4兆7,195億円としていて、年報の本文の値と一致しません。公表ページは「最終製品等輸入」と名付けています。公表ページと年報本文の値が一致しないため、本記事と「医薬品・医療・介護の業界地図」は、年報本文の国内出荷金額4兆7,083億円を採用しています。また、2019年(令和元年)の前後で生産金額が大きく変わっているため、それより前と比べた伸びは書きません。

会社の稼ぎ方も、事業の領域で違います。図では、各社の売上の内訳を、会社ごとの合計を100%とした割合で示しています。会社どうしの大きさは比べていません。決算の期と会計基準、区分の分け方は会社ごとに違います。

シスメックスと日本光電では、試薬・消耗品・サービスが売上の半分を超える

各社の売上の内訳(会社ごとの合計を100%とした割合)。上の2社は機器と試薬・消耗品・サービスで、下の2社は事業の領域で分けている。会社どうしの大きさは比べていない。

機器と、試薬・消耗品・サービスで分けて開示している会社
シスメックス2026年3月期・IFRS・品目別機器20.6%、試薬61.6%、サービス13.9%、その他3.9%(会社の記載値)。海外の割合88.3%(会社の記載値)
日本光電工業2026年3月期・日本基準機器49.3%、消耗品・サービス50.7%(計算値)。海外の割合は計算値で約38.6%(顧客の所在地基準)
事業の領域で分けて開示している会社
オリンパス2026年3月期・IFRS消化器内視鏡ソリューション事業69.0%(修理・リースなどの医療サービスを含む)、サージカルインターベンション事業31.0%、その他0.02%(計算値)。海外の割合は計算値で約89.7%(顧客の所在地基準)
テルモ2026年3月期・IFRS心臓血管カンパニー59.8%、メディカルケアソリューションズカンパニー19.1%、血液・細胞テクノロジーカンパニー20.4%、オーガンテクノロジーズ事業0.7%(計算値)。海外の割合は計算値で約80.3%
出典:シスメックス「2026年3月期 通期ファイナンシャルデータ」「2026年3月期決算短信」、日本光電工業・オリンパス・テルモ「2026年3月期決算短信」。シスメックス以外の割合は本記事で計算(分母は各社の売上高・売上収益の合計)。テルモの4区分の合計は、報告セグメントに属さない調整額(外部向け人材派遣による収入等、2億94百万円)の分だけ売上収益より小さい。割合は売上収益の合計を分母とした計算値。区分の分け方と会計基準は会社ごとに違う。

オリンパスの2026年3月期の売上高1兆107億円(国際会計基準)のうち、消化器内視鏡ソリューション事業は6,974億円で、計算値で約69.0%です。泌尿器科・呼吸器科の製品や外科の内視鏡などのサージカルインターベンション事業は3,131億円です。顧客の所在地で分けると、日本の売上は1,039億円で、日本以外の割合は計算値で約89.7%です。

テルモは、カテーテルなどの心臓血管、注射器や輸液ポンプなどのメディカルケアソリューションズ、血液バッグなどの血液・細胞テクノロジーの3つのカンパニーと、2025年10月の買収で加わったオーガンテクノロジーズ事業に分けて開示しています(2026年3月期決算短信)。2026年3月期の売上収益1兆1,319億円のうち、日本は2,226億円、海外は9,093億円で、海外の割合は計算値で約80.3%です。領域で分けると、国内と海外の割合が大きく違います。心臓血管カンパニーと血液・細胞テクノロジーカンパニーは、売上の9割以上(計算値)が海外です。メディカルケアソリューションズカンパニーは、日本が1,506億円、海外が655億円で、日本の方が大きくなっています。

朝日インテックは、カテーテル治療で使うガイドワイヤーなどを作る会社です。2026年6月期(日本基準)の売上高1,454億円のうち、メディカル事業が1,268億円で、その中は循環器948億円、非循環器244億円、ほかの会社向けに作るOEM 77億円です(2026年6月期決算短信)。デバイス事業186億円では、医療用の部材119億円と産業用の部材68億円を、ほかの会社に供給しています。顧客の所在地で分けると、日本以外の割合は計算値で約85.7%です。

キヤノンは、電機メーカーの事業の一つとして、CT・MRI・X線・超音波などの画像診断装置と、体外診断システム及び試薬を手がけています。2025年12月期(米国会計基準)のメディカルの外部顧客向け売上高は5,797億円です(2025年12月期決算短信)。決算の期と会計基準がほかの会社と違うため、図には入れていません。

医療機器メーカーの中にも、海外の売上が大半を占める会社と、日本光電工業のように国内の売上が過半の会社(国内1,444億円、海外907億円。海外の割合は計算値で約38.6%)があります。国内の材料価格や病院の購入の動きが売上にどれだけかかわるかは、会社と事業の領域ごとに違います。

サイバーセキュリティ・プログラム医療機器・材料の供給が、仕事に届く

医療機器の制度は、ここ数年で、ネットワークにつながる機器とソフトウェアへの対応を広げています。

医療機器が満たすべき基本的な要件を定めた基準(基本要件基準)は、2023年3月の改正で、サイバーセキュリティの要件を第12条第3項に加えました(厚生労働省 医療機器におけるサイバーセキュリティについて)。この要件は2023年4月1日から適用され、2024年3月31日までは従来の扱いによることができました(適用についての通知)。基本要件基準への適合は、製造販売業者が製品の承認・認証・届出をする前提で、製品を作る側の要件です。その後も、脆弱性の管理(2024年3月)、医療機器につなぐVPN装置などのネットワーク機器の対策(2026年3月)、医療機器のSBOM(製品に含まれるソフトウェアの部品の一覧)の導入・運用ガイドライン第1版(2026年8月25日)、医療機関向けの手引書の改定(2026年9月24日)と、通知や資料が続いています。この記事では、ガイドラインと手引書の本文は確かめていないため、何が求められているかの中身は書きません。

プログラム医療機器は、病気の診断や治療に使うソフトウェアで、薬機法の医療機器に入ります。令和8年度の保険医療材料制度の見直しでは、プログラム医療機器の評価が見直しの項目の一つになっています。

材料の供給では、前の章で見たとおり、原材料費の上昇で実勢価格が償還価格を上回る機能区分や、不採算品再算定の区分が増える傾向にあります。供給が難しい材料についての国への要望や、供給を続けるための生産の調整にかかわる変化です。

これらの変化が届く仕事を、この記事の見立てとしてまとめると、次のようになります。効果や採用数の増減は予測していません。

仕事主な相手主な仕事の例制度・変化との関係
営業医療機関、販売会社機器・材料・試薬の提案、価格の交渉、納入後の使い方の支援材料価格の改定、国内と海外の売上の違い
保守・修理機器を使う医療機関の部門点検・修理、機器の更新の提案修理業の許可、特定保守管理医療機器、ネットワーク機器の対策
薬事PMDA、登録認証機関、国承認・認証の申請、届出、保険適用の手続きクラスによる手続き、プログラム医療機器、診断薬の性能等再評価(2027年5月施行予定・未施行)
品質保証製造所、国基本要件への適合の確認、製造所の管理、市販後の情報の収集サイバーセキュリティの要件、SBOMのガイドライン
開発・生産社内の各部門、部材の供給元製品の設計、ソフトウェアの開発、生産と供給の調整ソフトウェアの部品の管理、材料の供給の問題

求人票では、製品の区分・稼ぎ方・会社の中での位置を確かめる

職種の名前は、会社によって違います。オリンパスは、キャリア採用の職種紹介を「研究・開発」「生産技術開発・サービス技術開発」「セールス&マーケティング(サービス)」「品質保証・薬事」「コーポレート」「IT」「SCM・調達」「プロジェクトマネジメント」に分けています(採用情報)。朝日インテックの新卒採用の職種は「営業職」「技術職」「事務職」です(採用情報)。

診断薬の会社にも、検査にかかわる職種があります。H.U.グループホールディングスの採用サイトは、研究開発職、生産技術職、営業職、フィールドエンジニア職、臨床検査技師職などを挙げています(職種紹介)。どの職種がどの事業会社の仕事かは、職種ごとに違います。栄研化学は、2026年10月28日の更新時点で、「国内営業担当者(臨床検査薬MR)」「海外薬事(マネジャー候補)」「研究(免疫化学検査試薬の製品開発業務)」などを募集しています(キャリア採用)。これはその時点の個別の求人で、常に募集している区分ではありません。テルモ、日本光電工業、シスメックス、キヤノンメディカルシステムズの職種名は、この記事では確かめていません。上の表の「保守・修理」などは、職種名ではなく仕事の説明として使っています。

求人票では、次の3点を確かめます。

  • 製品の区分:扱う製品が高度管理・管理・一般医療機器のどれか、特定保守管理医療機器か、診断薬か。区分によって、承認・認証・届出の手続きと、販売や修理の許可が変わる
  • 稼ぎ方:機器を売る仕事か、消耗品・試薬・サービスを売り続ける仕事か。保険の価格がある材料か、診療報酬の中で評価される装置か
  • 会社の中での位置:医療機器が会社の主な事業か、電機メーカーなどの一つの事業か。売上の多くが海外か国内か。募集する部門がどの事業に属するか

医療機器が、医療・介護の分野全体のどこに位置するかは「医薬品・医療・介護の業界地図」で確かめられます。薬の研究開発と薬価は「医薬品の業界地図」、病院の経営と診療報酬は「医療提供の業界地図」で整理しています。