やりたい職種が思い浮かばないときは興味のある職種名を無理に決めようとせず、経験した作業やこれから増やしたい・減らしたい仕事から候補を探してみましょう。顧客対応という経験も、提案、導入の支援、問い合わせの受け付けでは使う場面が異なります。

大切なのは、似た名前の職種をまとめて応募先にする前に、誰に、何を、どこまで担当する仕事かを比べることです。ここでは職業情報で候補を広げた後、実際の求人の担当範囲と要件で絞る方法を説明します。

職種名にとらわれず、作業と関心を書き出す

最初に、今までの仕事を動作で書きます。「接客」「営業」だけでなく、相手の困り事を聞く、手順を説明する、条件を提案する、履歴を残す、別の担当へ引き継ぐなどに分けてください。

それぞれに、続けたいこと、減らしたいこと、未経験だが確かめたいことを添えます。特別な情熱がなくても、「相手の状況を整理する仕事は続けたい」「飛び込みの訪問は避けたい」「導入後の運用支援を知りたい」という材料から始められます。

ただし、減らしたい理由は確認します。顧客対応そのものが負担なのか、夜間の連絡、回答権限の不足、短い締切が原因なのかで、探す先が変わります。今の職場で困っていることがその職種のどの職場にも当てはまるとは限りません。

職業情報で候補を広げる

厚生労働省のjob tagでは、仕事内容、作業、スキルなどの切り口から職業情報を調べられます。経験した動作に近い仕事を探し、初めて知った職種も候補に入れてみてください。

仕事内容の概要を記録するときに、自分がさらに知りたい点も一緒に残します。一般的な職業の説明は入口として使い、個別求人の担当範囲や応募条件まで分かった扱いにはしません。職種名が同じでも、企業の分担で仕事内容が変わるからです。

候補を増やした後は、それぞれについて「どの作業に関心があるか」を1文で言えるか確認します。「向いていそう」だけで残すより、実際の求人で確かめる項目が明確になります。

架空例:顧客対応から3つの候補を比べる

以下は説明用の架空例です。Jさんは法人向け窓口で、利用方法の質問を受け、手順書に沿って案内し、分からない内容を専門担当へ引き継いでいました。契約金額の提案、システム設定、導入計画の作成は経験していません。

相手の状況を聞いて説明する仕事を続けたいJさんですが、次に担う役割はまだ決めていません。ここでは次の3つの求人を見つけたと仮定します。

  1. 営業A:導入を検討する法人へ課題を聞き、提案・見積・契約条件の調整を担当。新規の商談獲得も含む。
  2. 導入支援B:契約後の利用開始に向けて運用を確認し、設定担当との調整、計画の作成、進行管理を担当。
  3. 窓口C:利用中の顧客の質問を受け、回答と専門担当への引継ぎ、問い合わせ履歴の整理を担当。

3つとも顧客の話を聞く仕事ですが、目的や自分で判断する範囲は異なります。Jさんが経験しているのは状況の聞き取り、手順の説明、専門担当への引継ぎです。営業Aの契約提案や導入支援Bの計画作成まで経験済みとは言えません。

窓口Cについても職種名が今の仕事と近いだけでは判断できません。技術的な原因調査を自分で行うのか、回答の範囲や対応時間帯はどうかなどを確かめる必要があります。この3例は職種全体を定義したものでも、Jさんの採用可能性を予測したものでもありません。

同じ「支援」でも契約前後と担当の深さを見る

実在の募集を見ても、職種の境界は一律ではありません。ビズリーチのHRMOS事業部の導入支援・プロジェクトマネジメントの募集では、契約検討段階の顧客へのヒアリング、運用設計の提案、導入計画から実行・管理、導入後の課題解決などが示されています。

この募集では、導入支援を契約後の使い方案内だけと考えると、担当範囲を読み落とします。反対に、別の企業の導入支援も同じ業務だとは限りません。職種名だけで判断せず、記載された動作に加えて、連携する担当者を確認しましょう。

求人ごとに、次の項目を比べると違いが見えます。

  1. 相手:検討中の顧客か、導入中か、利用中か。
  2. 目的:契約、利用開始、継続利用、問題解決など。
  3. 本人の担当:聞く、説明する、提案する、設定する、決めるのどこか。
  4. 分担:営業、専門担当、開発などへ何を引き継ぐか。
  5. 条件:必要な経験、勤務時間、勤務地など。

必須条件を確認し、活かせる経験と照合して絞る

仕事内容に関心があっても、必須の経験を満たすかは別に確認します。各条件が必須なのか歓迎なのかを確認し、複数条件のすべてが必要なのか、いずれかでよいのかも原文どおりに読み取ります。そのうえで自分の経験と1つずつ照合してください。

Jさんなら、「顧客の状況を聞く」は根拠のある経験です。しかし「導入計画を作った」「法人営業として契約提案した」は未経験です。似た顧客対応の経験があるだけで必須条件を満たすとは決めず、関連する経験として応募条件に当てはまるかを問い合わせます。

条件が明確に不足し、未経験枠もないなら、別の募集を探すか、現職で必要な仕事の一部を経験してから再検討できます。不明な場合は、経験内容を短く示して確認します。興味があることと、応募条件に当てはまること、選考で採用されることを混同しないようにしましょう。

最後に「残す・確認する・外す」と理由を書く

候補ごとに、関心のある作業、根拠のある経験、不足する経験、避けたい条件への対応を1枚にまとめます。近そうな職種を1つに決めることよりも、判断の理由と次の行動を記録することを優先してください。

「残す」は応募を確約する意味ではありません。「確認する」とした候補には質問内容と確認先を書き、「外す」とした候補には仕事内容・必須条件・生活条件のどれが理由なのかを残します。求人が見つからないときは、同じ作業を別の職種名で探す方法もあります。

原文の項目を確かめる際は、求人票の仕事内容と応募条件を確認する方法も参考になります。職種の候補は仮のものとして持ち、実際の担当と条件が分かるたびに広げたり絞ったりしていきましょう。