航空会社を、FSC・LCC・中堅と地域航空・貨物専用の4つの型、事業の許可と運航・整備の規程の認可、国際線と国内線での旅客と貨物郵便の稼ぎ方、燃油費や空港使用料などの費用、国内線の幹線とローカル線で整理します。操縦士・整備士・運航管理者・客室乗務員に必要な資格と担い手の確保策に加え、SAFの導入目標がどの仕事に影響するかも確かめられます。

「航空会社」の求人には、総合職、自社養成パイロット、整備士、客室乗務員、空港での旅客サービスまで幅があります。同じ航空会社でも、国際線と国内線のどちらが中心か、旅客と貨物のどちらで稼ぐかで、会社の収入の形も、仕事の相手も変わります。採用するのが航空会社の本体か、グループの整備会社や空港の会社かによっても、仕事の中身が変わります。

この記事では、航空法の「航空運送事業」、つまり他人の求めに応じて航空機で旅客や貨物を有料で運ぶ事業を扱います。航空会社の型、始めるための許可と規程、国際線・国内線・貨物の稼ぎ方と費用、国内線の路線、飛行機を動かす人の資格と確保、変化が届く仕事を順に確かめます。整備士と航空機の整備は、この記事で詳しく扱います。数字の時点は、統計が2025年度、会社が2026年3月期、制度が2026年10月時点です。交通政策白書の数字は、記事の中でそれぞれの時点を示します。

「運輸・物流の業界地図|人と物を、誰が運び、預かり、手配し、場所を貸すのか」では、航空を「運ぶ」役割に置き、ANAブランドの旅客・貨物郵便の収入と、日本貨物航空がANAホールディングスの傘下に移ったことを示しました。この記事は、その数字を繰り返さず、航空会社の中の仕組みを深めます。

空港で働く人の仕事のうち、グランドハンドリング(航空機と旅客・荷物の地上での取り扱い。旅客の手続きや、航空機の誘導、手荷物・貨物の積み降ろしなど)、航空機への給油、保安検査、空港の貨物ターミナルは、別の業界地図「空港の業界地図」で扱います。航空貨物の混載や通関は「国際物流・フォワーダーの業界地図」、航空機やエンジンの製造は「航空機産業の業界地図」、航空券を売る旅行会社は「旅行の業界地図」の範囲です。機内食の製造は、この記事では扱いません(ANAグループにはフライトケータリングの会社があり、羽田の日本空港ビルデングは機内食を売上に計上しています。後者は「空港の業界地図」で触れます)。

航空会社は、FSC・LCC・中堅と地域航空・貨物専用の4つの型に分かれる

航空会社は、どれも同じ航空法の許可を受けて運航しています。下の4つの型は法律上の区分ではなく、運航する路線と機材で見たこの記事の整理です。求人を比べるときは、会社の型で見ると違いがつかみやすくなります。

航空を含む輸送事業全体では、運ぶ会社と荷物を手配・保管する会社の責任が分かれます。 運輸・物流業界の地図

航空会社は、FSC・LCC・中堅と地域航空・貨物専用の4つの型に分かれる

どの型も、航空法の同じ許可(航空運送事業)を受けて運航する。型は法律上の区分ではなく、運航する路線と機材で見たこの記事の整理。数字は入れていない。

共通:航空運送事業は国土交通大臣の許可(航空法第100条)。運航規程・整備規程は認可、国内線の運賃は届出、国際線の運賃は認可
FSC
会社の例日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)
主な路線国際線と国内線の両方
収入の形(JALの例)国際線は旅客と貨物郵便、国内線はほぼ旅客
LCC
会社の例ZIPAIR・スプリング・ジャパン(JALグループ)、Peach Aviation(ANAグループ)
主な路線本邦LCCは4社で、国内線と国際線(2025年冬ダイヤ当初計画)
収入の形(JALの例)売上の大半が国際線の旅客
中堅・地域航空
会社の例スカイマーク(大手2社のグループ外)、AIRDO・ソラシドエア(共同持株会社リージョナルプラスウイングスのグループ会社)、JALグループの地域航空会社(ジェイエア、日本エアコミューター、北海道エアシステム、日本トランスオーシャン航空、琉球エアーコミューターなど)
主な路線国内線。羽田発着や地方の路線
開示JALグループの地域航空会社は、JALの開示ではFSCに含まれる
貨物専用
会社の例日本貨物航空(2025年8月からANAホールディングスの傘下)
運び方旅客を乗せず、貨物専用機で運ぶ
旅客の会社の貨物FSCも貨物を運び、JALはFSCの使用機220機のうち6機が貨物機
この記事の外:空港のグランドハンドリング・給油・保安検査は「空港の業界地図」、貨物の混載・通関は「国際物流・フォワーダーの業界地図」、機体の製造は「航空機産業の業界地図」。
出典:航空法(e-Gov)、日本航空「2026年3月期決算短信」、令和8年版交通政策白書、ANAホールディングス「採用情報(ANAグループ事業一覧)」、スカイマーク「採用情報」、リージョナルプラスウイングス・AIRDO・ソラシドエア「共同リリース」(2026年10月29日)。機数は2026年3月31日時点。

FSC(フルサービスキャリア)は、国際線と国内線の両方を運航する大手の航空会社を指して使われる言葉です。FSCは法律上の言葉ではなく、この記事では日本航空(JAL)の報告セグメント名「フルサービスキャリア事業」を例にします。JALの決算短信は、FSCの国際線の輸送実績に日本航空と日本トランスオーシャン航空を、国内線の輸送実績に日本航空・ジェイエア・日本エアコミューター・北海道エアシステム・日本トランスオーシャン航空・琉球エアーコミューターを含めています(2026年3月期決算短信)。ANAの採用情報のグループ事業一覧では、航空運送の区分に全日本空輸・ANAウイングス・エアージャパン・Peach Aviation・日本貨物航空が並んでいます(ANAグループ 採用情報)。この記事では、ANAグループのFSCの例として全日本空輸を挙げます。

LCC(ローコストキャリア)は、令和8年版交通政策白書によると、低いコストで運航することで、低い運賃の航空サービスを提供する航空会社です。LCCの旅客数は、2024年に国内線1,223万人、国際線3,241万人でした。本邦のLCCは、2025年冬ダイヤの当初計画の時点で4社、国内線50路線・国際線34路線です。大手2社はどちらもLCCを持ち、JALはZIPAIRとスプリング・ジャパン、ANAホールディングスはPeach Aviationをグループに置いています。

中堅と地域航空には、国内線を中心に運航する会社が入ります。スカイマークは、大手2社のグループに属さない会社で、羽田空港を中心に国内線を運航しています。AIRDOとソラシドエアは、国内線を運航する会社で、共同持株会社リージョナルプラスウイングスのグループ会社です。同社は2026年10月29日、ANAホールディングスの完全子会社となることに向けた基本合意書を結んだと発表しました。最終契約と株式交換の実施は、まだ確定していません(共同リリース)。この記事では、地方の路線を担う大手グループの地域航空会社(JALグループのジェイエア・日本エアコミューター・北海道エアシステム・日本トランスオーシャン航空・琉球エアーコミューターなど)も、この型に置きます。これらの会社は、JALの開示ではFSCに含まれています。

空港使用料や地上業務の相手を確かめるには、空港運営・旅客ターミナル・地上支援の会社を分けて見ると役立ちます。 空港業界の地図

貨物専用の会社は、旅客を乗せず、貨物専用機で貨物を運びます。日本貨物航空(NCA)は、2025年8月からANAホールディングスの傘下に入りました(移った経緯と金額は全体地図で示しました)。旅客を運ぶ大手も貨物を運んでおり、JALは2026年3月末時点で、FSCで使う220機のうち6機が貨物機です。

始めるには国の許可が要り、運航と整備の決まりは国の認可を受ける

航空法では、航空運送事業を経営するには国土交通大臣の許可が要ります(第100条)。申請書には、航空機の運航と整備に関する事業計画や、国際線を運航するかどうかを書きます。許可を受けた後も、運航と整備のやり方、運賃、路線や便の計画について、国の手続きが続きます。手続きの重さは、許可・認可・届出で違います。

決めること国の手続き条文
航空運送事業を始める許可第100条
運航規程・整備規程(運航と整備のやり方を定めた社内の決まり)認可。安全への影響が少ない変更はあらかじめ届出、軽微な変更は後から遅滞なく届出第104条
国内線の運賃・料金あらかじめ届出。不当な差別的取扱いなどがあれば、国が変更を命じることができる第105条第1・2項
国際線の運賃・料金認可第105条第3項
事業計画(路線や便など)の変更原則は認可。省令で定める変更はあらかじめ届出、軽微な変更は遅滞なく届出第109条
運航・整備の業務の管理を、他社に任せる・他社から引き受ける許可第113条の2

運賃は、国内線と国際線で手続きが違います。国内線はあらかじめ国に届け出て決め、国際線は国の認可を受けます。求人票の「運賃の企画」や「路線計画」の仕事は、こうした届出や認可の手続きとつながっています。

運航規程と整備規程は、安全の土台になる決まりです。整備の仕事は、この整備規程の枠の中で行われます。また、運航や整備に関する業務の管理を他社に任せたり、他社から引き受けたりするときは、国の許可が要ります(第113条の2)。

JALの例では、国際線は旅客と貨物、国内線はほぼ旅客で稼ぐ。ANAの費用で最も大きいのは燃油

航空会社の収入は、主に旅客の運賃と、貨物・郵便の運賃です。どちらが大きいかは、国際線と国内線で違います。ここでは、国際線と国内線の内訳を開示しているJALの例で確かめます。業界全体の比率ではありません。

JALの例:国際線は貨物郵便が約17%、国内線はほぼ旅客。LCCは国際線の旅客が中心

日本航空の2026年3月期の売上収益の内訳(各帯の合計を100%とした割合)。JAL1社の例で、業界全体の比率ではない。ANAとは会計基準も利益の段階も違うため、並べて比べていない。

FSC事業(売上収益1兆5,874億円、セグメント間消去前)
FSC全体国際線・国内線・その他国際線9,180億円(57.8%)、国内線6,431億円(40.5%)、その他262億円(1.7%)
国際線9,180億円の内訳旅客7,600億円(82.8%)、貨物郵便1,562億円(17.0%)、手荷物16億円(0.2%)
国内線6,431億円の内訳旅客6,091億円(94.7%)、貨物郵便334億円(5.2%)、手荷物4億円(0.1%未満)
LCC事業(売上収益1,149億円。ZIPAIRとスプリング・ジャパン)
LCC1,149億円の内訳国際線旅客965億円(84.0%)、国内線旅客19億円(1.7%)、その他164億円(14.3%)

割合は本記事の計算値で、各項目の億円の値を、その帯の合計(会社が示す合計)で割った。億円未満を切り捨てた開示のため、内訳の和は合計と1〜2億円ずれる。JALの利益(EBIT、IFRS)は、ANAの営業利益(日本基準)と利益の段階が違う。

出典:日本航空「2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」のFSC事業・LCC事業の売上収益の内訳。ジェットスター・ジャパンはLCC事業の数字に含まれない。

JALのFSC事業の売上収益は、2026年3月期に1兆5,874億円です(セグメント間の取引を消去する前の値)。このうち国際線が9,180億円、国内線が6,431億円です。国際線では、旅客が7,600億円、貨物郵便が1,562億円で、貨物郵便が国際線の約17%を占めます(本記事の計算値)。国内線では、旅客が6,091億円、貨物郵便が334億円で、貨物郵便は約5%です(同)。JALの国際線では、貨物郵便も収入の柱の1つになっています。

JALのLCC事業の売上収益は1,149億円で、国際線旅客が965億円、国内線旅客が19億円です。国際線旅客が売上の約84%を占めます(本記事の計算値)。JALのLCC事業は、ZIPAIRとスプリング・ジャパンの実績です。ジェットスター・ジャパンは、LCC事業の数字には含まれません。

航空会社の利益は、飛行機の運航だけから出ているわけではありません。JALは「マイル・金融・コマース」を別のセグメントにしています。2026年3月期の売上収益は2,222億円(セグメント間の取引を消去する前)で、FSCの1兆5,874億円の約7分の1ですが、EBIT(当期利益から法人所得税と利息などの財務収益・費用を除いた利益)は455億円で、FSCの1,450億円の約3分の1です(売上・EBITとも百万円単位の開示を億円に直した値。比率は本記事の計算値)。マイレージのような事業も、航空会社の稼ぎ方の一部です。

費用の側は、ANAホールディングスが航空事業の費用を科目ごとに開示しています(2026年3月期決算説明資料)。JALとANAは会計基準(JALはIFRS、ANAは日本基準)も利益の段階も違うため、この記事では両社の売上や利益を並べて比べません。

科目(ANAの航空事業、2026年3月期)金額営業費用に占める割合(計算値)
燃油費・燃料税4,723億円22.6%
外部委託費3,306億円15.8%
人件費2,616億円12.5%
整備部品・外注費2,602億円12.4%
航空機材賃借費1,699億円8.1%
減価償却費1,619億円7.7%
空港使用料1,242億円5.9%
販売費644億円3.1%
その他2,457億円11.7%

営業費用の合計は2兆912億円です。割合はこの合計で割った値で、各科目は億円未満を切り捨てているため、足し合わせても合計とは4億円ずれます。最も大きいのは燃油費・燃料税です。飛行機は、借りる(航空機材賃借費)か、買って減価償却するかで費用の科目が変わり、整備には部品と外部への整備の発注の費用がかかります。整備の作業を外部に発注すること自体が、前の章の第113条の2の許可(業務の管理の委託)に当たるとは限りません。これらは費用の割合で、働く人の数の割合ではありません。

空港での地上業務は、航空会社の費用と子会社の両方に表れます。ANAの資料は、空港に払う料金を「空港使用料」、外部に任せる業務の費用を「外部委託費」として示し、費用の増減の説明では「地上サービス費」を運航に連動する費用に挙げています(外部委託費の中身の内訳は示していません)。働く人の側では、ANAグループにはANAエアポートサービスなど空港ごとの地上支援の会社が、JALグループにはJALスカイとJALグランドサービスがあり、JALの地方の空港では日本通運などグループ外の会社が旅客サービスやグランドハンドリングを担う拠点もあります(JALグループ 空港業務特設サイト)。スカイマークは、グループ会社を作らず、地上旅客職やランプハンドリング職も自社で採用していると説明しています(採用情報)。グランドハンドリング・給油・保安検査・貨物ターミナルの担い手と仕組みは、「空港の業界地図」で詳しく扱います。

航空貨物は、この記事では航空会社の貨物収入と貨物機の運航までを扱います。国の航空輸送統計年報によると、本邦の航空会社が運んだ国際貨物は、2025年度に162万2,386トンでした(超過手荷物と郵便物を除く)。荷主から貨物を集めてまとめる混載や、輸出入の通関は、「国際物流・フォワーダーの業界地図」の範囲です。

国内線は、幹線とローカル線で旅客の数が分かれる

国内線は、幹線とローカル線に分けて数えます。航空輸送統計年報では、幹線は新千歳・羽田・成田・伊丹・関西・福岡・那覇の各空港を相互に結ぶ路線で、それ以外がローカル線です。2025年度の国内定期便の旅客は、幹線が4,849万人、ローカル線が6,402万人、合わせて1億1,250万人でした(端数の処理のため、内訳の和とは1万人ずれます)。座席がどれだけ埋まったかを示す座席利用率は81.3%です。

路線別に最も旅客が多いのは羽田―新千歳の1,031万1,280人(座席利用率85.2%)で、羽田―福岡の954万5,562人が続きます。旅客の数が多い幹線と、地方の路線では、使う飛行機の大きさも、路線を続けるための課題も違います。JALの2026年3月末の使用機材には、大型・中型・小型の機材のほか、地方の路線などに使うリージョナル機が52機あります(2026年3月期決算短信)。

国内線の採算は厳しいとされています。交通政策白書は、国内航空を「実質赤字」であるほど厳しい事業環境にあると書いています。国土交通省は2025年5月に国内航空のあり方に関する有識者会議を設け、2026年5月に報告書を公表しました(報道発表)。航空法には、地域の住民の生活に必要な旅客輸送を確保するために、2社以上が運航する国内の路線で結ぶ共同経営の協定などについて、国の認可を受けたものには、原則として独占禁止法を適用しないという規定があります(第110条・第111条。不公正な取引方法を用いる場合などは除かれます)。

国内線が中心の会社の例として、スカイマークの2026年3月期は、事業収益1,104億円、営業利益18億円でした(日本基準・単体。決算短信)。営業利益は事業収益の約1.6%です(本記事の計算値)。

飛行機を動かす人:操縦士・整備士は国の資格、担い手の確保が課題

1便を飛ばすには、資格を持つ人と、資格の要らない仕事の人が一緒に働きます。航空法では、国の技能証明を受けた人を「航空従事者」と呼びます(第2条第3項)。

1便を飛ばすのに、国の資格が要る人と、資格の対象外の人が一緒に働く

上は国の技能証明などが要る仕事、下は技能証明の対象外の仕事。担い手の確保の見通しは、国の試算の割合だけを示す(人数は示していない)。

国の資格・検定が要る仕事
操縦士操縦士の技能証明(定期運送用操縦士・事業用操縦士など)と、航空身体検査証明が要る50代中心の年齢構成で、将来の大量退職の見込み2030年に向け2023年1月比で約13%増が必要
整備士整備士の技能証明(一等・二等航空整備士など)。整備は国が認可した整備規程に沿う。グループの整備会社も担う志望者がコロナ前まで戻らず、専門学校の入学者は5年で半減2030年に向け2023年1月比で約20%増が必要
運航管理者航空会社が置く。機長は運航管理者の承認がなければ出発・飛行計画の変更ができない(航空法第77条。省令で定める航空機)国の運航管理者技能検定に合格が必要(第78条。技能証明とは別の制度)
技能証明の対象外の仕事
客室乗務員各社が採用(全日本空輸・JAL「客室乗務職」、スカイマーク・Peach Aviation・AIRDO「客室乗務員」)
空港の地上職旅客サービス、ランプ(航空機の誘導・搭降載)。大手はグループの空港会社、スカイマークは自社で採用。詳しくは「空港の業界地図」
読み方:約13%は主要な航空会社の操縦士、約20%は主要な航空会社と整備会社の整備士について、2023年1月時点と比べた増加の割合。2030年の訪日客6,000万人を前提にした航空局の参考の試算。白書は、いずれも直ちに運航に影響が出るまでには至っていないとしている。
出典:航空法(e-Gov)第2条・第24条・第28条・第77条・第78条・第104条、令和8年版交通政策白書、国土交通省「航空整備士・操縦士の人材確保・活用に関する検討会 最終とりまとめ」(2025年3月)、各社の採用ページ(ANAホールディングス「2027年度入社 ANAグループ新卒採用について」、JAL新卒キャリア採用サイト、スカイマーク・AIRDO採用情報)。

操縦士と整備士は、技能証明が要る仕事です。技能証明の資格には、操縦士では定期運送用操縦士・准定期運送用操縦士・事業用操縦士・自家用操縦士が、整備士では一等・二等航空整備士、一等・二等航空運航整備士、航空工場整備士があります(第24条)。資格ごとに行える業務が決まっており、技能証明がなければその業務を行えません。飛行機に乗り組む人は、航空身体検査証明も要ります(第28条)。

運航管理者は、地上から運航を支えます。国土交通省令で定める航空機の機長は、航空会社が置く運航管理者の承認を受けなければ、出発したり飛行計画を変えたりできません(第77条)。運航管理者になるには、国の運航管理者技能検定に合格する必要があります(第78条)。受検には、年齢と運航の経験の要件があります。運航管理者の検定は、操縦士・整備士の技能証明(第24条)とは別の制度です。客室乗務員と、空港での旅客サービスやランプの仕事は、技能証明の対象の資格には入っていません。

整備は、航空会社の本体だけでなく、グループの整備会社も担います。ANAグループでは、ANAベースメンテナンステクニクスやANAラインメンテナンステクニクスなどが「航空整備士」を募集しています(2027年度入社 ANAグループ新卒採用について)。AIRDOは、整備士を総合職として採用し、航空機の整備に就きながら国家資格の取得を目指すと説明しています(職種紹介)。

操縦士と整備士は、どちらも将来の不足が心配されています。交通政策白書によると、主要な航空会社の操縦士は50代を中心とした年齢構成のピークがあり、将来の大量退職が見込まれます。整備士は、志望者がコロナ前の状況まで戻らず、高齢化による大量退職も見込まれます。白書は、いずれも直ちに運航に影響が出るまでには至っていないとしています。

国の検討会の最終とりまとめは、2030年の訪日客6,000万人を支えるには、2023年1月時点と比べて、主要な航空会社の操縦士を約13%、主要な航空会社と整備会社の整備士を約20%増やす必要があるという、航空局の参考の試算を示しています(航空整備士・操縦士の人材確保・活用に関する検討会 最終とりまとめ)。航空会社の整備士の約6割を送り出す航空専門学校では、入学者の数が5年間で半減しました。国は、航空大学校の活用、官民での広報、自衛隊の整備士が民間の資格を取る仕組み(2026年1月開始。国土交通省の資料)、特定技能の外国人整備士の受け入れの拡大などに取り組んでいます。

担い手を自ら育てる仕組みもあります。全日本空輸は「運航乗務職(自社養成パイロット)」を、JALは「自社養成パイロット」を新卒で募集しています(ANAグループ新卒採用について、JAL 新卒キャリア採用サイト)。スカイマークも、他社で経験を積んだ操縦士の採用と並んで、自社養成パイロット訓練生を募集しています。

燃料・国際線・担い手の変化は、どの仕事に影響するか

航空会社には、燃料、国際線の需要、担い手の確保の3つで変化が続いています。

燃料では、SAF(持続可能な航空燃料)への置き換えが進められています。国は、2030年時点で本邦の航空会社が使う燃料の10%をSAFに置き換える目標を掲げています(交通政策白書)。これは国の目標で、航空会社に義務づけられた割合ではありません。ANAの航空事業では燃油費・燃料税が最大の費用科目で、燃料を調達する部門などに関わる変化です。

国際線では、需要が伸びています。白書によると、日本を発着する国際旅客の定期便(外国の航空会社の便を含む)は、2025年10月末時点で週5,679便と、過去最高になりました。本邦の航空会社が運んだ国際線の旅客は、2025年度に2,346万人でした(航空輸送統計年報)。国際線の拡大は、操縦士・整備士の確保の課題と重なります。

担い手では、前の章で見たとおり、操縦士・整備士の確保と自社養成、整備士の育成の仕組みづくりが進んでいます。空港での地上業務の担い手の確保は、「空港の業界地図」で扱います。

求人票では、型・雇う会社・路線を確かめる

航空会社の仕事は、資格の有無と、雇う会社によって分かれます。採用区分の名前は会社ごとに違うため、下の表では、採用ページで確かめた区分名を会社名と一緒に挙げます。

仕事要る資格採用区分の例(会社名)変化との関係
操縦士操縦士の技能証明と航空身体検査証明全日本空輸「運航乗務職(自社養成パイロット)」、JAL「自社養成パイロット」、スカイマーク「パイロット」、Peach Aviation・AIRDO「運航乗務員」50代の大量退職の見込み、2030年に向け2023年1月比で約13%増が必要(航空局の参考の試算)
整備士整備士の技能証明。整備は会社の整備規程に沿うANAベースメンテナンステクニクスなど「航空整備士」、スカイマーク「エアラインエンジニアリング職」、Peach Aviation「エアラインエンジニア(整備技術職)」、日本貨物航空「技術系総合職(整備コース)」、AIRDO「整備士」専門学校の入学者の減少、2030年に向け2023年1月比で約20%増が必要(航空局の参考の試算)
客室乗務員技能証明の対象外全日本空輸・JAL「客室乗務職」、スカイマーク・Peach Aviation・AIRDO「客室乗務員」国際線の便の増加
総合職・企画なし全日本空輸「グローバルスタッフ職」、JAL「業務企画職」、スカイマーク「コーポレート・オペレーション職」、Peach Aviation・AIRDO「総合職」、日本貨物航空「事務系総合職」SAFへの置き換えの目標、国内線の採算と路線の維持
空港の旅客・ランプ技能証明の対象外スカイマーク「地上旅客職」「ランプハンドリング職」、AIRDO「グランドスタッフ」。大手はグループの空港会社が募集(空港の業界地図で扱う)訪日客の増加、空港業務の体制強化

全日本空輸のグローバルスタッフ職には、オペレーション/ビジネス・マーケティング/コーポレート、整備技術、運航技術、IT・データ、経理・財務・IRの区分があります。JALの業務企画職には、コーポレート、オペレーション、ビジネス・マーケティング、データサイエンス・デジタルテクノロジー、エアラインエンジニアのコースがあります。同じ総合職でも、どの区分で入るかで、配属の範囲が変わります。

求人票では、次の3点を確かめます。

  • 会社の型:FSCか、LCCか、中堅・地域航空か、貨物専用か。国際線が中心か、国内線が中心か
  • 雇う会社:航空会社の本体か、グループの整備会社か、空港の地上業務の会社か。大手は職種によって雇う会社が分かれ、スカイマークのように運航に関わる職種を自社で採用する会社もある
  • 路線と貨物:国際線か国内線か、幹線か地方の路線か。貨物の仕事なら、航空会社の貨物部門か、貨物を手配するフォワーダーか

空港での地上業務の会社、保安検査、空港会社やターミナル会社の稼ぎ方は「空港の業界地図」で、航空貨物を手配して通関する会社は「国際物流・フォワーダーの業界地図」で整理します。