鉄道・航空・海運・トラック・倉庫などを、運ぶ・預かる・手配する・施設を運営する役割で整理。次に調べる分野と求人の位置が分かります。

「運輸」「物流」と書かれた求人は、鉄道会社の駅係員から、倉庫の現場管理、国際輸送の手配、空港の店舗運営まで幅があります。同じ業界名でも、お客様が乗客なのか荷主なのか、自分の会社が実際に運ぶのか、運ぶ会社を手配するのかで、仕事の相手も成果物も変わります。

この記事では、運輸・物流を「運ぶ」「預かる・積み降ろす」「手配する」「場所を貸す」の4つの役割と、旅客・国内貨物・国際貨物の3つの流れに分けて地図にします。そのうえで、輸送手段ごとの大きさを測る物差し、事業を始めるための法律上の区分、会社の稼ぎ方、人手不足と制度の変化が届く仕事を順に比べます。

各分野の会社比較や仕事の詳細は、分野ごとの業界地図で扱います。この記事は、どの分野の地図を次に読むかを決めるための全体図です。旅行業、輸送機器の製造、空港や港湾の建設、自社の車で自社の荷物を運ぶ自家用輸送は扱いません。

荷物を保管し、出し入れする仕事は「倉庫業の業界地図」で詳しく確認できます。荷主の物流をまとめて受託する会社の範囲と仕事は「3PLの業界地図」で確認できます。

運ぶ・預かる・手配する・場所を貸すで、求人の位置が分かる

運輸・物流の仕事は、役割で4つに分けられます。自ら車両・船・航空機を動かして運ぶ役割、荷物を保管したり船から積み降ろしたりする役割、他社の運送を使って運送を手配する役割、駅・空港・港などの施設を運営して場所を貸す役割です。1つの会社が複数の役割を持つことも多く、下の図では会社を主な位置に置いています。

運輸・物流は、4つの役割と3つの流れで地図にできる

列は役割、行は何を運ぶか。各マスに、事業の法律上の区分と、この記事で決算などを確かめた会社の例を置いた。1社が複数のマスにまたがることも多い。

運ぶ自ら車両・船・機体を動かす
預かる・積み降ろす保管・荷役
手配する他社の運送を使う
場所を貸す施設の運営
旅客
運ぶ鉄道・バス・タクシー・航空・旅客船鉄道事業法・道路運送法・航空法・海上運送法(許可)JR東日本、東急、神奈川中央交通、第一交通産業、ANAホールディングス、日本航空
旅客では該当する事業は少ない
旅行業はこの記事の対象外
場所を貸す空港ターミナル・空港・駅ビル施設の持ち主と運営の担い手は空港ごとに異なる日本空港ビルデング(羽田)、成田国際空港。駅ビルは鉄道会社の不動産事業
国内の貨物
運ぶトラック・貨物鉄道・内航海運・国内航空貨物自動車運送事業法(許可)・鉄道事業法・内航海運業法(登録・届出)トラックは別の業界地図で詳しく扱う。JR貨物
預かる倉庫倉庫業法(登録)三菱倉庫、三井倉庫ホールディングス、住友倉庫
手配する利用運送貨物利用運送事業法(第一種は登録、第二種は許可)鉄道コンテナでは日本通運がJR貨物の主要な顧客
トラックターミナルなど。この記事では詳しく扱わない
輸出入の貨物
運ぶ外航海運・国際航空貨物海上運送法(貨物は主に届出)・航空法(許可)日本郵船、商船三井、川崎汽船(コンテナ船は3社が出資するONE)、日本貨物航空
積み降ろす港湾運送・倉庫港湾荷役などは港ごとの許可(港湾運送事業法)、倉庫は倉庫業法の登録上組、倉庫会社の港湾運送部門
手配するフォワーダー・通関貨物利用運送事業法、通関業法(財務大臣の許可)近鉄グループホールディングスの国際物流事業、郵船ロジスティクス
場所を貸す港・空港の貨物地区施設の持ち主と運営の担い手は港・空港ごとに異なる成田国際空港(国際航空貨物206万トン、2025年度)
読み方:列は会社の種類ではなく仕事の役割。3PL(法律上の区分ではない)は、運ぶ・預かる・手配するを組み合わせて荷主の物流を包括して受託・実行する形態で、複数の列にまたがる。太枠のマスのうちトラックは、別の業界地図「トラック輸送・宅配・郵便」で詳しく扱う。会社の位置は主な事業によるもので、売上や規模の大小は表していない。
出典:鉄道事業法・道路運送法・貨物自動車運送事業法・貨物利用運送事業法・内航海運業法・海上運送法・港湾運送事業法・航空法・倉庫業法・通関業法(e-Gov)、各社の2026年3月期決算短信・決算説明資料、成田国際空港「2025年度期末決算説明資料」。

運ぶ会社は、旅客なら鉄道・バス・タクシー・航空・旅客船、貨物ならトラック・貨物鉄道・船・航空機を動かします。国内の旅客は鉄道の比重が大きく、国内の貨物はトラックが大半を担います。国際貨物では、日本の輸出入の重さの大半を外航海運が運びます。

預かる・積み降ろす会社には、倉庫業者と港湾運送事業者がいます。倉庫業は荷物を預かって保管し、出し入れの作業で料金を受け取ります。港湾運送事業者は、港で船から荷物を降ろしたり積んだりします。そのうち一般港湾運送事業者は、荷主や船会社から委託を受け、港での受け渡しと荷役を一貫して引き受けます。港湾運送を中心とする上組では、物流事業の営業収益2,611億円のうち港湾運送が1,392億円と、約半分を占めています(2026年3月期決算短信)。

あわせて読みたい倉庫業界の地図|営業倉庫の種類・保管と荷役・稼ぎ方荷物を保管し、出し入れする倉庫の仕事と採算を確かめる

手配する役割では、荷主から運送を引き受け、実際の運送には他社の車両・船・航空機を使います。法律では貨物利用運送事業と呼びます。貨物鉄道では、利用運送事業者が荷主から荷物を集め、鉄道で運ぶ形があります。JR貨物の決算短信は主要な顧客として日本通運を挙げており、日本通運からの営業収益は372億円です(2026年3月期決算短信)。

国際輸送を手配する会社はフォワーダーと呼ばれ、通関業の許可も持って輸出入の手続きまで引き受ける会社があります。荷主の物流をまとめて請け負う3PLは、法律上の区分ではありません。運ぶ・預かる・手配するを組み合わせ、荷主の物流を包括して受託し、自ら実行もする請け方の呼び名で、図では複数の列にまたがります。

あわせて読みたい3PL業界の地図|受託範囲・センター運営・稼ぎ方荷主の物流をまとめて受託する範囲とセンター運営を確かめる

場所を貸す会社は、空港ビルや空港、港のターミナル、駅を運営し、航空会社・船会社・店舗などのテナントや利用者から使用料や賃料を受け取ります。羽田空港の旅客ターミナルを運営する日本空港ビルデングでは、施設の管理運営と、空港内の店舗での物品販売が、利益の2本柱です。空港や港の施設を誰が持ち、誰が運営するかは、空港・港ごとに異なります。

トラック輸送・宅配・郵便の詳細は、別の業界地図「トラック輸送・宅配・郵便」で扱っています。この記事では、トラックの位置を他の輸送手段と並べて確かめるだけにします。

あわせて読みたいトラック輸送・宅配・郵便の業界地図|荷主から届け先までの役割輸送の手段と契約の段、宅配・郵便の仕事を確かめる

輸送手段の大きさは、物差しを変えると割合が大きく変わる

輸送手段の大きさを比べるときは、何を数えるかで結果が変わります。旅客は「人」(何人を運んだか)と「人キロ」(人数に移動距離を掛けたもの)、貨物は「トン」(重さ)と「トンキロ」(重さに距離を掛けたもの)で測ります。

人とトン、人キロとトンキロで、輸送手段の割合が大きく変わる

同じ2024年度の国内輸送。色は輸送手段ごとに同じ。距離を掛けた物差しにすると、遠くまで運ぶ航空と内航海運の割合が大きくなる。

国内旅客(自家用車を除く)
人の数
鉄道 82.3%乗合バス 13.4%タクシー 3.7%航空 0.4%旅客船 0.3%
人キロ
鉄道 73.5%バス・タクシー 7.2%航空 18.7%旅客船 0.6%
国内貨物(トラックは営業用と自家用の合計)
トン
トラック 91.6%内航海運 7.4%鉄道 0.9%航空 0.02%
トンキロ
トラック 57.4%内航海運 37.9%鉄道 4.4%航空 0.2%
参考:日本を発着する国際貨物(2024年、重さ)
トン
海上輸送 99.7%航空 0.3%
出典:国土交通省「令和8年版交通政策白書」(2026年7月)第Ⅰ部第2章第1節。国内は2024年度、国際は2024年(外航海運は港湾統計、国際航空は空港管理状況調書による)。分担率は表示の丸めの関係で、合計が100%にならないことがあります。白書の旅客の図の乗合バスには、貸切バスを含みません。

令和8年版交通政策白書によると、2024年度の国内旅客(自家用車を除く)は、人の数では鉄道が82.3%を占め、航空は0.4%です。ところが人キロでは、航空が18.7%に増えます。飛行機は乗る人数が少なくても、1人あたりの移動距離が長いためです。

貨物でも同じことが起きます。トンではトラックが91.6%を占め、内航海運(国内の船の輸送)は7.4%です。トンキロでは、内航海運が37.9%に増え、トラックは57.4%になります。白書は、重い荷物を長い距離運ぶのに向く内航海運と鉄道は、トンキロで割合が高くなると説明しています。なお、このトラックの値は、運送会社の営業用トラックと、自社の荷物を運ぶ自家用トラックの合計です。

国際貨物では、2024年に日本を発着した貨物の重さのうち、99.7%を海上輸送が占め、航空は0.3%です(交通政策白書。港湾統計・空港管理状況調書による)。これは重さの物差しでの割合で、金額で見た割合はこの記事では確かめていません。

求人を見るときは、ニュースや会社案内の「シェア○%」がどの物差しの数字かを確かめます。都市の鉄道やバスは人の数で大きく、航空は人キロで大きく見えます。トラックはトンで大きく、内航海運はトンキロで大きく見えます。どれか1つの数字だけで、その分野の重みは決まりません。

売上の大きさを比べる場合も注意が要ります。下の表は、白書が示す事業ごとの事業者数と営業収入です。行ごとに年度と範囲が違い、トラックの営業収入には他社への委託で重なって数えた分が含まれるため、足し合わせて「運輸業界の市場規模」とすることはできません。倉庫業・貨物利用運送事業・郵便はこの表にありません。倉庫業者の全国の数は、国の集計が2020年度から行われていません。

事業事業者数営業収入読むときの注意
旅客鉄軌道206者(2025年7月)7兆343億円(2023年度)JRと私鉄・公営の合計
乗合バス2,452者(2024年度)8,951億円(2024年度)貸切バスは別に3,385者・4,720億円
タクシー4万3,149者(2024年度)1兆4,425億円(2024年度)個人タクシーを含むとみられる
トラック6万2,383者(2024年度)20兆392億円(2023年度)委託で重なって数えた分を含む
内航海運2,939者(2025年度)1兆1,886億円(2023年度)99.7%が中小企業
外航海運179者(2024年度)7兆8,675億円(2024年度)海外で得た運賃を含む
港湾運送842者(2024年度)1兆665億円(2023年度)白書の港湾局集計。許可の単位は事業の種類で異なる
航空18者(2024年度)4兆6,238億円(2024年度)主要な航空会社だけの合計

働く人の数では、2025年の運輸業・郵便業の就業者は345万人で、全産業の5.1%です。2021年の経済センサスでは、交通事業の従業者のうちトラックが約172万人と約半数を占め、タクシー、鉄道が続きます。

法律の区分で、始めるための条件と守るルールが変わる

運輸・物流の事業は、分野ごとに別々の法律で、始めるための手続きが決まっています。国の許可が要る事業、登録で始められる事業、届け出だけでよい事業があり、安全や労働時間の規制、違反したときの行政処分も分野で違います。

分野主な法律始めるための手続き
鉄道鉄道事業法国の許可。自ら線路を持って運ぶ第一種、他社の線路で運ぶ第二種、線路を持って貸す第三種がある
バス・タクシー道路運送法乗合(路線バス)・貸切・乗用(タクシー)ごとに国の許可
トラック貨物自動車運送事業法一般貨物自動車運送事業は国の許可
運送の手配貨物利用運送事業法第一種は登録。鉄道・船・航空機による利用運送と、その前後のトラックでの集荷・配達を一貫して行う第二種は許可
内航海運内航海運業法総トン数100トン以上か長さ30m以上の船は登録、それより小さい船は届出
旅客船・外航海運海上運送法一般旅客定期航路(フェリーなど)は航路ごとに許可。貨物専用の定期航路は始める前の届出、貨物専用の不定期航路は始めてから30日以内の届出
港湾運送港湾運送事業法国の許可。一般港湾運送・港湾荷役・はしけ・いかだは事業の種類と港ごと、検数・鑑定・検量は事業の種類ごと
航空航空法国の許可。操縦士・整備士は国の技能証明が要る
倉庫倉庫業法国の登録
通関通関業法財務大臣の許可。通関士が手続きを担う

許可の単位も分野で違います。鉄道は路線ごと、旅客船は航路ごと、港湾荷役などは港ごとに許可を受けます。手配の第一種と倉庫は、許可ではなく登録で始められます。どの分野の会社かによって、行政処分や監査の対象になる手続きも変わります。

自家用車での有償の送迎は原則として禁止されています。例外として、市町村やNPOなどが登録を受けて行う自家用有償旅客運送と、タクシー会社が国の許可を受け、地域の一般ドライバーと自家用車を使う「日本版ライドシェア」があります(国土交通省の事務連絡)。日本版ライドシェアでは、運行の管理はタクシー会社が担います。

運賃だけでなく、不動産・物販・出資先の利益で支える会社がある

運輸の会社は、運賃だけで稼いでいるとは限りません。鉄道・倉庫・空港では、駅ビルなどの不動産の賃貸や、空港の店舗が利益の大きな部分を占める会社があります。下の図は、各社の決算短信と決算説明資料から、利益が何から生まれているかを計算したものです。会社どうしの大きさは比べていません。

運輸の会社の利益は、運賃からだけ生まれているわけではない

上は、全部の事業が黒字の会社の利益の内訳(各社の合計を100%とした割合)。下は、本業の輸送が赤字の会社の事業ごとの損益。会社どうしの大きさは比べていない。

全部の事業が黒字の会社:利益のうち輸送・施設運営の本業が占める割合
JR東日本セグメント利益運輸46.2%、不動産・ホテル30.5%、流通・サービス16.2%、その他7.2%
東急セグメント利益交通26.7%、不動産42.5%、生活サービス21.3%、ホテル・リゾート9.5%
三菱倉庫セグメントの営業利益物流52.1%、不動産47.9%(営業収益では不動産は約13%)
日本空港ビルデングセグメント利益施設管理運営49.7%、物品販売48.3%、飲食2.0%
本業の輸送・施設運営が赤字の会社:事業ごとの営業損益
JR貨物営業損益
鉄道ロジスティクス−119億円
不動産+148億円
その他+2億円
成田国際空港営業損益
空港運営−116億円
リテール(店舗)+413億円
施設貸付+102億円
鉄道+26億円
第一交通産業セグメント損益
タクシー−16億円
不動産(分譲・賃貸など4区分)+58億円
バス+6億円
外航海運:コンテナ船の利益は売上高の外にある日本郵船・商船三井・川崎汽船は、コンテナ船事業を共同出資のONEにまとめている。ONEの売上は3社の売上高に入らず、出資に応じた利益が持分法による投資利益として経常利益に入る。日本郵船の2026年3月期の持分法による投資利益は850億円で、うちONEの分は190億円。
出典:JR東日本・東急・三菱倉庫・日本空港ビルデング・JR貨物・第一交通産業・日本郵船の2026年3月期決算短信、成田国際空港「2025年度(2026年3月期)期末決算説明資料」。割合はこの記事の計算値で、セグメント間の調整や全社費用を差し引く前の各セグメントの利益の合計を100%としています。利益の段階は会社ごとに異なり(JR東日本・東急・日本空港ビルデングはセグメント利益。三菱倉庫は会社が定めるセグメント利益〈事業利益〉ではなく、各セグメントの営業利益)、会社どうしでは比べられません。億円未満は四捨五入しています。

JR東日本の2026年3月期は、外部の顧客への売上高の約66%が運輸事業ですが、セグメント利益(事業の区分ごとの利益)では運輸事業は約46%です。残りの多くは、商業施設・オフィス・ホテルなどの不動産・ホテル事業と、小売・飲食などの流通・サービス事業が生み、その他の事業も約7%あります(決算短信)。大手私鉄の東急では、利益の最大の柱は不動産事業で、交通事業は約27%です。

本業の輸送が赤字で、他の事業が会社を支えている例もあります。JR貨物は、鉄道ロジスティクス事業が119億円の営業損失で、不動産事業の148億円の営業利益で黒字を保っています。成田国際空港は、空港の運営を担う空港運営事業が116億円の営業損失で、空港内の店舗を運営するリテール事業が413億円の営業利益を出しています(決算説明資料)。タクシー大手の第一交通産業も、タクシー事業は約16億円のセグメント損失で、不動産の分譲・賃貸などで利益を出しています。

倉庫会社も同じ形をとることがあります。三菱倉庫では、営業収益の約13%の不動産事業が、セグメントの営業利益ではほぼ半分を占めます(決算短信)。不動産事業の収益の大半は、不動産の賃貸によるものです。

外航海運では、利益の一部が売上高の外にあります。日本郵船・商船三井・川崎汽船の3社は、コンテナ船の事業を共同出資のOcean Network Express(ONE)にまとめています。ONEの売上は3社の売上高には入らず、出資の割合に応じた利益だけが「持分法による投資利益」として経常利益に入ります。日本郵船の2026年3月期は、持分法による投資利益が850億円で、そのうちONEの分は190億円でした(決算短信)。日本郵船の定期船事業のセグメント利益は、前の期の2,743億円から498億円に減りました。前の期はその9割超が持分法による利益でした。川崎汽船でも、持分法による投資損益は前の期の2,021億円から228億円に減り、うちONEの分は150億円です。ONEの利益の増減が、出資する会社の経常利益を大きく動かします。

航空会社は、旅客と貨物の両方を運びます。ANAホールディングスの航空事業のうち、ANAブランドの収入は、旅客が国際8,789億円・国内7,380億円、貨物郵便が2,137億円です(決算説明資料)。航空事業には、このほかPeachなどの収入があります。2025年8月には、貨物専用機を運航する日本貨物航空が、日本郵船からANAホールディングスの傘下に移り、2025年度の途中からの収入1,356億円が航空事業に加わりました。

稼ぎ方の違いは、配属先の幅にも関わります。鉄道や空港の会社に入ると、運行や施設の仕事だけでなく、不動産や店舗の事業に配属される可能性があります。JR東日本・三菱倉庫・成田国際空港などは、新卒を総合職などの区分で採用しています(各社の採用ページ)。求人票の募集部門や採用区分が、会社のどの事業に属するかを確かめると、仕事の中身を読み違えにくくなります。

人手不足と制度の変化は、どの仕事に届くか

運輸・物流は、他の産業より人手不足が強い分野です。交通政策白書は、交通事業の働き手の不足感が他の産業より一貫して高いこと、乗合バスでは運転者不足による減便や路線の廃止が全国で相次いでいること、鉄道でも人手不足による減便が起きていることを挙げています。2024年からは、制度の変化も続いています。

人手不足への対応と制度の変化は、分野ごとに違う仕事へ届く

左は2024年以降の主な変化、右はそれが届く分野と仕事。効果や採用数の増減は予測していない。

2024年4月運転者の時間外労働の上限(年960時間)と拘束時間の基準の見直し
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トラック・バス・タクシー:運転者の勤務、運行管理者の勤務表づくり、運行本数や路線の企画
2024年3月〜日本版ライドシェア(タクシー会社が自家用車と一般ドライバーを使う)
→↓
タクシー:一般ドライバーの運行管理、配車。国が示す曜日・時間帯と車両数の範囲で行う
2024年3月・2026年1月特定技能に自動車運送業(運転手)と物流倉庫(倉庫作業)を追加
→↓
トラック・バス・タクシー・倉庫:受け入れの要件(職場の認証など)への対応、運転免許の取得や現場での教育
2026年4月物流効率化法で特定荷主を指定。中長期計画と物流統括管理者の選任を義務化
→↓
荷主企業・3PL・倉庫・手配:荷主の物流部門(荷物を出す側と受け取る側)、荷待ち削減や積載率改善の提案営業・物流企画
2026年3月総合物流施策大綱:鉄道貨物を164億→221億トンキロ(2030年度)などのモーダルシフト目標
→↓
貨物鉄道・内航海運・トラック:鉄道・船の営業(荷物を集める)、トラック会社の長距離輸送の組み替え
出典:厚生労働省「バス運転者の改善基準告示」「タクシー・ハイヤー運転者の改善基準告示」、国土交通省「自家用車活用事業における曜日・時間帯及び不足車両数の設定等について」(2026年2月26日)、同「特定技能制度(自動車運送業分野)」「物流倉庫分野における特定技能・育成就労制度」、物資の流通の効率化に関する法律(e-Gov)、「総合物流施策大綱(2026年度~2030年度)」(2026年3月31日閣議決定)。

2024年4月から、トラック・バス・タクシーの運転者に時間外労働の上限(年960時間)が適用され、1日・1か月の拘束時間や休息の基準も見直されました(バス運転者の改善基準告示)。運転者だけでなく、勤務表を組む運行管理者(運転者の点呼や勤務を管理する担当者)や、運行本数を決める企画の仕事にも届く変化です。

2026年4月からは、物流効率化法により、運送会社に一定以上の荷物を運ばせる荷主と、運転者から一定以上の荷物を受け取る・引き渡す荷主が「特定荷主」に指定され、中長期の計画づくりと、物流の責任者(物流統括管理者)の選任が義務になりました。荷主企業の物流部門の仕事が増えるとともに、荷主に荷待ちの削減や積載率の改善を提案する、3PLや倉庫会社の営業・企画の仕事にも関わります。

2026年3月に閣議決定された総合物流施策大綱(2026〜2030年度)は、対策をとらなかった場合の輸送力不足の試算(NX総合研究所)として、2024年度に約14%、2030年度に約34%を挙げ、2024年度の分は官民の取組でおおむね克服したと評価しています。そのうえで、トラックから鉄道や船へ荷物を移す「モーダルシフト」の目標として、鉄道貨物の輸送量を2024年度の164億トンキロから2030年度に221億トンキロへ増やすことを掲げています。鉄道貨物や内航海運の営業担当にとっては荷物を集める機会が、トラック会社にとっては長距離の幹線輸送を組み替える必要が生まれます。

外国人材の受け入れも広がっています。2024年3月にはバス・タクシー・トラックの運転手が特定技能(一定の技能と日本語の力を持つ外国人が働ける在留資格)の対象に加わり、2026年1月には倉庫での入出庫・保管・ピッキングなどの作業も対象になりました(国土交通省 物流倉庫分野の特定技能)。運転手を受け入れる会社には職場の認証の取得などの要件があり、日本の運転免許を取るための在留資格も設けられています。倉庫分野は、2026年10月時点で国が分野別の協議会の設置を調整している段階です。

求人票では、役割・流れ・稼ぎ方の3点を確かめる

同じ「運輸」「物流」の求人でも、役割によって主な相手と成果物が違います。

役割主な相手主な仕事の例変化との関係
運ぶ(旅客)乗客、利用者運転・乗務、駅や空港での案内、運行管理、ダイヤや路線の企画運転者の労働時間の上限、運転者不足による減便
運ぶ(貨物)荷主、届け先運転、配車、運行管理、営業労働時間の上限、モーダルシフト
預かる・積み降ろす荷主、船会社倉庫の現場管理、荷役、在庫管理、港での荷役の計画庫内作業の自動化、特定技能
手配する荷主、運ぶ会社輸送の手配、通関、物流の提案営業特定荷主の指定、物流の責任者の選任
場所を貸す航空会社・船会社、テナント、旅客施設の管理運営、テナント営業、店舗の運営訪日客の増加に合わせた空港業務の体制強化

求人票では、次の3点を確かめます。

  • 役割:自社で運ぶのか、預かるのか、手配するのか、場所を貸すのか。1社が複数を持つ場合は、募集する部門がどれか
  • 流れ:乗客を運ぶのか、国内の荷物か、輸出入の荷物か
  • 稼ぎ方:会社の利益が運賃から出ているのか、不動産や店舗、出資先から出ているのか。配属の可能性がある事業はどこか

この3点が分かったら、次はその分野の業界地図で、会社ごとの違いと仕事の流れを確かめます。トラック輸送・宅配・郵便については、別の業界地図で、運び方の違い、元請と実際に運ぶ会社の関係、規制が届く仕事を詳しく整理しています。

旅客鉄道は、線路の保有・運賃・沿線事業と地方路線の運営までを分けて確認できます。 鉄道業界の地図

航空会社は、旅客と貨物、路線、運航費用、資格の必要な仕事を分けて確認できます。 航空業界の地図

バス・タクシーは、運賃・補助・配車・担い手の違いから確認できます。 バス・タクシー業界の地図

海運は、外航・内航・フェリー、船の保有と運航、長期契約と市況を分けて確認できます。 海運業界の地図

空港は、運営会社・旅客ターミナル・地上支援の収入と責任を分けて確認できます。 空港業界の地図