物流の求人で「3PL」という言葉を見かけても、仕事の中身は会社によって違います。物流センターを任されて在庫と作業者を管理するセンター長候補、荷主に物流の改善を提案する営業、工場の中で原材料や製品を運ぶ構内作業まで、同じ3PLの会社の中にあります。物流センターそのものを開発する不動産の事業を持つ会社もあります。
この記事では、3PLを「荷主の物流をまとめて請け負い、自らも運営する形」として扱います。3PLが何を引き受け、どの許可や登録を使うのか、誰の物流を受けるのか、どの事業で利益を出しているのか、2026年からの荷主への義務づけが3PLの仕事にどう届くのかを順に確かめます。
運輸・物流の全体地図では、3PLを運ぶ・預かる・手配するの複数の役割にまたがる形として置きました。倉庫業の登録や倉庫の種類、保管料と荷役料の採算は、別の業界地図「倉庫業」で扱っています。3PLの市場規模は、国の統計がなく、民間の推計は範囲の決め方で値が大きく違うため、この記事では数字を示しません。
運輸・物流全体の中で3PLの位置を確かめるときは、「運輸・物流の業界地図」で、運ぶ・預かる・手配する複数の役割にまたがる理由を確認できます。

3PLは許可の名前ではなく、荷主の物流をまとめて請け負う形
3PL(サードパーティー・ロジスティクス)について、国土交通省は、荷主に代わって物流戦略の企画立案や物流システムの構築を提案し、それを包括的に受託して実行するものと説明しています。荷主でも単なる運送事業者でもない第三者として、荷主の物流部門を代行する、という位置づけです(国土交通省 3PL事業の総合支援)。
会社側の説明は、もう少し具体的です。ロジスティードは有価証券報告書で、国内の3PL事業を、物流システムの構築、情報管理、在庫管理、受発注管理、流通加工、物流センターの運営、工場の構内物流作業、輸配送など、物流業務の包括的な受託と書いています(第4期 有価証券報告書)。
3PLには、倉庫業や運送業のような許可や登録の区分はありません。3PLの会社は、荷物を預かるなら倉庫業法の登録、自社のトラックで運ぶなら貨物自動車運送事業法の許可、他社の運送を使って運ぶなら貨物利用運送事業法の登録や許可というように、引き受ける業務ごとに必要な手続きを組み合わせています。3PL会社が営業倉庫を運営する場合は、倉庫業の登録も使います。3PLと倉庫業は排他的な分類ではなく、1社が両方に当てはまることがあります。
3PLは荷主の物流の工程をまとめて受け、工程ごとに必要な許可・登録を使う
誰の物流を受けるかで、センターの中身が変わる
3PLが引き受ける範囲は、荷主の業種と、荷主が自社に残す業務によって変わります。荷主の業種ごとに3PLを分けて開示している会社もあります。
AZ-COM丸和ホールディングスの2026年3月期は、物流事業の売上高2,274億円のうち、EC(ネット通販)の常温品の3PLが741億円、低温食品の3PLが266億円、医薬・医療の3PLが266億円で、3つの3PLで約56%を占めます(2026年3月期決算短信)。同じ3PLでも、通販の出荷センター、スーパー向けの低温の食品センター、医薬品の物流センターでは、温度の管理、出荷の単位、守る規制が違います。
荷主の工場の中に入る3PLもあります。鴻池運輸は、顧客の工場の構内での運搬のほか、輸送、機械の据え付け(機工)、空港関連の業務などを、顧客に密着した複合ソリューション事業として開示しており、売上高2,320億円、セグメント利益239億円を上げています。冷凍・冷蔵倉庫やドライ倉庫を拠点とする国内物流事業は、売上高565億円、セグメント利益34億円です(2026年3月期決算短信)。
冷蔵倉庫の会社も3PLを手がけています。ニチレイの低温物流事業には、国内で276億円の3PLの売上があります(2026年3月期決算説明会資料)。冷蔵倉庫の稼ぎ方は、倉庫業の業界地図で扱っています。

センター運営は、トラック運送より利益率が高い例がある
3PLの会社の多くは、物流センターの運営と、トラックによる運送の両方を持っています。2つを別の事業として開示している会社では、利益率の違いが分かります。
同じ会社の中でも、事業によって利益率は大きく違う
ハマキョウレックスの2026年3月期は、センター運営と、センターからの配送(センター配送)を合わせた物流センター事業の外部営業収益が1,009億円、セグメント利益が131億円で、利益率は約12.9%です。一般貨物と特別積合せのトラック運送を担う貨物自動車運送事業は、外部営業収益546億円、セグメント利益17億円で、利益率は約3.1%です(2026年3月期決算短信)。物流センター事業は営業収益の約65%ですが、セグメント利益では約88%を占めます。同社は当期に15社の物流を新しく受託し、物流センターは194か所になりました。
鴻池運輸でも、工場の構内作業などを含む複合ソリューション事業の利益率は約10.3%で、倉庫を拠点とする国内物流事業の約6.1%を上回ります。ただし、複合ソリューション事業には輸送や機工も入っており、構内作業だけの利益率は開示されていません。また、鴻池運輸のセグメント利益は本社の一般管理費を差し引く前の値で、ハマキョウレックスとは基準が違います。利益率は事業の分け方と費用の配り方で変わるため、会社どうしの利益率を並べて比べることはできません。
ロジスティードとセンコーは、センター運営と運送を分けて開示していないため、事業ごとの利益率は分かりません。ロジスティードの2026年3月期は、国内物流の売上収益が5,299億円、セグメント利益(会社独自の調整後営業利益)が344億円でした。センコーグループホールディングスの物流事業は、営業収益5,744億円、セグメント利益341億円で、倉庫業、物流センターの運営、荷主の構内での作業、輸送を一体で開示しています(2026年3月期決算短信)。
倉庫を建てて売る3PLもある
3PLの会社の中には、物流施設を自ら開発し、売却して利益を得る会社もあります。
SBSホールディングスの2025年12月期は、セグメント利益の合計217億円のうち、不動産事業が91億円で、約42%を占めました。不動産事業の外部売上高は193億円で、売上全体の約4%です(2025年12月期決算短信)。同社は、グループの3PL事業のために顧客に合った大型倉庫を土地の取得から建設まで一貫して開発し、開発した物流不動産を流動化(信託受益権の譲渡など)して資金を回収しています。不動産事業には賃貸事業も含まれますが、利益の大きさは、その年の流動化の有無や規模によって変わりえます。前の期も、不動産事業がセグメント利益の約46%を占めていました。
物流施設を建てて、3PLや荷主に貸したり売ったりする会社もあります。大和ハウス工業は、物流施設などの開発・建設と管理・運営を事業施設セグメントで手がけ、グループ会社が管理する物流施設などは269棟、約1,124万㎡です(2026年3月期決算短信)。3PLの会社は、こうした施設を借りてセンターを運営することもあります。
特定荷主とCLOの義務化は、3PLの営業と現場に届く
2026年4月に全面施行された物流効率化法は、荷主にも、物流の効率化の取り組みを求めています。すべての荷主には、運転者の荷待ちや荷役の時間の短縮などに取り組む努力義務があります。そのうえで、取り扱う貨物の重さが年9万トン以上の荷主は「特定荷主」に指定され、中長期計画の作成と提出、毎年度の定期報告、物流統括管理者(CLO)の選任が義務になりました。CLOには、事業の運営上の重要な決定に関わる管理的な立場の人を充てます。
国土交通省の資料では、2026年8月27日時点で、荷主と連鎖化事業者(フランチャイズチェーンの本部など)の指定は延べ3,257件、重複を除くと2,142社です。中長期計画の初回の提出期限は2026年10月末で、計画に変更がなければ毎年出し直す必要はありません。毎年度の定期報告は、2027年7月末が初回の期限です(国土交通省 中長期計画の記載例と注意点)。3PLの会社自身も、保管量や車両の台数が大きい倉庫業者・トラック事業者として指定を受けており、国が公表した名簿には日本通運、センコー、鴻池運輸、ロジスティードの地域会社、ハマキョウレックスなどが載っています(国土交通省 物流効率化法について)。
荷主への義務づけは、3PLの営業とセンター長・庫内管理の仕事に届く
荷主が物流の責任者を置き、計画を立てて国に報告するようになると、荷主の物流部門と向き合う3PLの仕事も変わります。荷待ち時間や荷役時間を短くする、積載率を上げる、といった荷主の目標を一緒に計画し、実行し、数字で示す役割です。特定荷主は定期報告に向けて荷待ち時間などを計測するため、物流センターの現場では、荷役の時間の記録や、トラックの到着時間を予約で決めるバース予約の運用を荷主から頼まれることがあります。
なお、2026年3月に閣議決定された総合物流施策大綱の本文には、「3PL」という言葉は出てきません。大綱が掲げるCLOとそれを支える物流人材の育成、倉庫の自動化・機械化は、3PLの仕事にも関わりますが、3PLを名指しして振興するものではありません。
求人票では、受託の範囲・稼ぎ方・荷主との関係を確かめる
3PLの会社の仕事は、受託した物流のどこを担うかで、相手と成果物が変わります。
| 仕事 | 主な相手 | 主な仕事の例 | 変化との関係 |
|---|---|---|---|
| センター長・庫内管理 | 庫内の作業者、荷主の担当者 | 在庫管理、マテハン(荷役機器)の管理、作業者のシフトと労務の管理、センターの収支 | 荷役時間の記録、倉庫の自動化 |
| 営業・物流の提案 | 荷主の物流部門 | 新しい荷主の物流の受託、改善の提案、料金の交渉 | 特定荷主の計画づくりとCLOの選任 |
| 構内作業 | 荷主の工場 | 工場の中での原材料や製品の運搬、機械の据え付け | 荷主の物流の計画づくり |
| 運送・配車 | 届け先、協力会社 | センターからの配送の手配と運行の管理 | 運転者の労働時間の上限(トラック輸送・宅配・郵便の地図で扱う) |
職種の名前は会社によって違います。ハマキョウレックスは中途採用で「総合職(将来のセンター長候補)」を募集し、現場の作業、在庫やマテハンの管理、パート・アルバイトのシフトと労務の管理を経て、1つのセンターを任されるセンター長を目指すと説明しています(中途採用情報)。鴻池運輸は、総合職の仕事に、物流センターや取引先の構内の事業所での労務・安全品質・業績の管理を挙げています(新卒総合職の募集要項)。日本通運は職種紹介で、法人向けに物流を提案する「営業」と、現場の運営や品質の改善を担う「オペレーション」を分けています(仕事・職種紹介)。「3PL営業」「物流企画」という名前の募集職種は、この記事で確かめた会社の採用ページにはありませんでした。求人票では、職種名よりも、担当するセンターや荷主、仕事の範囲を確かめます。
求人票では、次の3点を確かめます。
- 受託の範囲:センターの運営、構内作業、輸配送の手配のどこを担うのか。どの業種の荷主のセンターか
- 稼ぎ方:会社の利益がセンター運営から出ているのか、運送や不動産の開発・売却から出ているのか
- 荷主との関係:荷主の物流部門とどの頻度で、何を約束して働くのか。荷主の計画と報告に、どこまで関わるのか
荷物を預かる倉庫そのものの仕組み、つまり倉庫業の登録や倉庫の種類、保管料と荷役料の採算は、倉庫業の業界地図で確かめられます。センターからの配送を担うトラック運送の契約の段は、トラック輸送・宅配・郵便の業界地図で整理しています。
荷主の物流を受託する会社と、物流施設を開発・保有して貸す会社の仕事は分けて確認できます。 デベロッパー業界の地図

