「総合商社」の求人には、金属やエネルギーの取引、食品や自動車の事業会社への投資、発電や不動産の事業まで、扱う分野に大きな幅があります。同じ総合商社でも、会社によって事業区分(セグメント)の分け方が違い、利益の多い区分も違います。どの区分に配属されるかで、相手も、利益が動く理由も変わります。
この記事では、双日・伊藤忠商事・丸紅・豊田通商・三井物産・住友商事・三菱商事の7社を扱います。日本貿易会の商社ハンドブックが「7社」として挙げる会社と同じ顔ぶれで、この記事では社名を証券コードの順に並べます。稼ぎ方の2つの柱である売買(トレード)と事業投資、2026年3月期の事業区分別の利益、持分法と配当の利益、統計との違い、投資先の入れ替え、職掌と配属を順に確かめます。
石油・天然ガスの業界地図と資源・エネルギー・公益の業界地図で扱っていない、総合商社の資源の権益は、この記事で扱います。権益は「商社の利益の出どころ」として、区分の利益と原油価格による動きまでを扱います。資源開発の業界の仕組みは石油・天然ガスの業界地図、LNG船やタンカーは海運の業界地図、発電と電力の小売は電力の業界地図で扱います。
専門商社と卸の比較は商社・卸売の業界地図で扱います。投資先の事業は、コンビニはコンビニの業界地図、三菱食品などの食品卸は食品卸の業界地図、SCSKなどのIT子会社はSIer・システム開発の業界地図、国内の医薬品卸は医薬品卸の業界地図で扱います。
総合商社は、売買と事業投資の2つで稼ぐ
総合商社は、法律で決まった業種の名前ではありません。国の産業の分類である日本標準産業分類では、いくつもの分野の商品を仕入れて売り、主な事業を1つに決められない事業所を「各種商品卸売業」とし、従業者が常時100人以上の事業所(5011)と100人未満の事業所(5019)の両方の例に「総合商社」を挙げています。これは事業所の分け方で、会社の呼び名を決めたものではありません。
総合商社の位置づけは、専門商社や卸売を含む商流全体から確認できます。 商社・卸売業界の地図
業界団体の日本貿易会は、商社ハンドブック 2022で、商社の稼ぎ方を2つの柱で説明しています。1つはトレード(売買)です。売り先と買い先を探してつなぎ、口銭(コミッション。取引の手数料)を得るのが基本です。もう1つは事業投資です。会社に出資して長く持ち、事業を育てて、トレードを広げたり、ほかの事業と組み合わせたりします。
事業投資から得る利益は、配当と持分益(投資先の利益のうち、持っている持分の分)が基本です。ほかに、投資先の商品を売るときの販売コミッション、売買に伴う利ザヤ、経営へのアドバイス料もあると同書は説明しています。
事業投資の利益は3つの形で決算に表れる
事業投資の利益は、投資先への支配や関与の程度によって、決算に表れる場所が変わります。経営を支配する連結子会社は、売上や費用を親会社の決算に合算します。関連会社や、他社と共同で支配する会社は、利益のうち持分の分だけを「持分法による投資損益」の1行で計上します。持分法を適用しない投資先からは、受け取った配当が「受取配当金」になります。
三菱商事の2026年3月期の連結損益計算書の主な行は、売上総利益1兆6,551億円、販売費及び一般管理費(費用)1兆2,365億円、有価証券損益418億円、金融収益3,267億円、持分法による投資損益4,679億円で、税引前利益は1兆961億円です(決算短信)。商品の売買の利益だけでなく、投資先の利益が決算の大きな行になっています。三菱商事は、原油の価格が1バレル1ドル動くと、当期利益が主に持分法による投資損益を通じて年24億円動くとも説明しています。
ただし、7社がみな持分法の利益に頼っているわけではありません。豊田通商の持分法による投資損益は178億円で、同じ期の当期利益3,705億円と比べて小さくなっています(決算短信)。持分法による投資損益が小さいので、豊田通商の利益の多くは、持分法以外(連結子会社や本体の取引など)から来ていると読めます。
この記事では、会社の利益を「親会社の所有者に帰属する当期利益」(伊藤忠商事の表記では「当社株主に帰属する当期純利益」)にそろえます。税金と、子会社のほかの株主の取り分を差し引いた、その会社の株主のための利益です。7社とも国際会計基準(IFRS)で決算をしていて、期間はすべて2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)です。
利益がどの区分から来るかは、会社ごとに違う
7社は、事業をいくつかの区分(セグメント)に分け、区分ごとの当期利益を決算短信で示しています。区分の数と名前は会社ごとに違います。同じ「ライフスタイル」という名前でも、会社によって中身が違います。丸紅は2026年3月期に区分を16から10に組み替え、双日も2025年4月に一部の区分を組み替えました。
7社の利益は、どの事業区分から来ているか(2026年3月期)
航空・社会インフラ 155億円、エネルギー・ヘルスケア 319億円、金属・資源・リサイクル 48億円、化学 200億円、生活産業・アグリビジネス 59億円、リテール・コンシューマーサービス 142億円
赤字の区分:自動車 △53億円/区分の外:その他 106億円、調整額 59億円
エネルギー・ヘルスケアにはナイジェリアのガス小売事業の売却に伴う利益が入る(2025年4月に区分の一部を組み替え)。金属・資源・リサイクルは豪州の原料炭の市況下落と減損などで前期292億円から減り、自動車は豪州の中古車事業の減損などで赤字。区分の当期利益は税金を社内の方法で配分した値で、実際の税金との差は調整額に入る
繊維 433億円、機械 1,556億円、金属 1,435億円、エネルギー・化学品 693億円、食料 921億円、住生活 608億円、情報・金融 930億円、第8 450億円
区分の外:その他及び修正消去 1,976億円
その他及び修正消去には、区分に属さない損益や区分間の取引の消去のほか、CITIC LimitedとC.P. Pokphandへの投資の損益が入る。区分の外の損益が大きく、棒はその分を含まない。第8は伊藤忠商事の区分の名前
ライフスタイル 259億円、食料・アグリ 815億円、金属 1,343億円、エネルギー・化学品 232億円、電力・インフラサービス 536億円、金融・リース・不動産 1,620億円、エアロスペース・モビリティ 478億円、情報ソリューション 54億円、次世代事業開発 196億円
赤字の区分:次世代コーポレートディベロップメント △17億円/区分の外:その他 △77億円
金融・リース・不動産には国内不動産事業の統合に伴う評価益765億円(税後)が入る(当期だけの要因)。当期に16区分から10区分へ再編
メタル+ 432億円、サーキュラーエコノミー 448億円、サプライチェーン 528億円、モビリティ 640億円、グリーンインフラ 179億円、デジタルソリューション 340億円、ライフスタイル 207億円、アフリカ 940億円
区分の外:その他 △9億円、調整額 △0.2億円(△19百万円)
アフリカの外部への収益は新車販売・アフターセールス・生産支援などの自動車の事業が中心で、次いで医薬品の生産・卸売・小売などのヘルスケアの事業
金属資源 2,536億円、エネルギー 1,642億円、機械・インフラ 2,259億円、化学品 675億円、鉄鋼製品 189億円、生活産業 520億円、次世代・機能推進 590億円
区分の外:その他 207億円、調整・消去 △277億円
金属資源にはValeからの配当435億円が入る。機械・インフラには、Mainstream事業(再生可能エネルギー)の減損などの損失が合計281億円(税引き前。うち持分法による投資損益の行に70億円)入る
鉄鋼 743億円、自動車 632億円、輸送機・建機 889億円、都市総合開発 815億円、メディア・デジタル 512億円、資源 823億円、化学品・エレクトロニクス・農業 265億円、エネルギートランスフォーメーション 1,024億円
赤字の区分:ライフスタイル △36億円/区分の外:消去又は全社 335億円
エネルギートランスフォーメーションには電力のEPC案件の特殊利益が入る。ライフスタイルは欧米州の青果事業の不調と売却損で赤字
地球環境エネルギー 1,609億円、マテリアルソリューション 263億円、金属資源 2,045億円、社会インフラ 851億円、モビリティ 576億円、食品産業 833億円、S.L.C. 910億円、電力ソリューション 434億円
区分の外:その他 518億円、調整・消去 △35億円
金属資源には銅事業の過去の減損の一部戻し入れが入る。S.L.C.の増減には、前年度のローソンの持分法適用会社化に伴う再評価益の反動(減益の要因)と、三菱食品の持分比率の上昇(TOB成立)やローソンの過去の配当に伴う税効果の取り崩し(増益の要因)が入る
区分の大小は、その年だけの要因で大きく動きます。区分の利益を読むときは、決算短信が挙げる増減の理由も一緒に確かめます。以下は、証券コード順の各社の例です。
- 双日:7つの区分のうち、エネルギー・ヘルスケアの319億円が最も大きく、これにはナイジェリアのガス小売事業の売却に伴う利益が入っています(2025年4月に区分の一部を組み替え)。金属・資源・リサイクルは、豪州の原料炭の市況下落と減損などで、前の期の292億円から48億円に減りました。自動車は、豪州の中古車事業の減損などで53億円の赤字でした(決算短信)。
- 伊藤忠商事:機械が1,556億円、金属が1,435億円です(第8は伊藤忠商事の区分の名前です)。8つの区分の外にある「その他及び修正消去」が1,976億円あり、ここには区分に属さない損益や区分間の取引の消去のほか、CITIC LimitedとC.P. Pokphand Co. Ltd.への投資の損益が入ります(決算短信)。
- 丸紅:金融・リース・不動産の1,620億円が最も大きいものの、これには第一生命ホールディングス(現 第一ライフグループ)との国内不動産事業の統合に伴う評価益765億円(税引き後)が入っていて、当期だけの要因です。金属は1,343億円でした。前の期には、カタールのLNG事業の終了に伴う実現益457億円(税引き後)があり、前の期と比べるときの見え方に影響します(決算短信)。
- 豊田通商:アフリカの区分は940億円です。この区分の外部への収益は、新車販売・アフターセールス・生産支援などの自動車の事業が中心で、次いで医薬品の生産・卸売・小売などのヘルスケアの事業です。
- 三井物産:金属資源が2,536億円(投資先のValeからの配当435億円を含む)、機械・インフラが2,259億円(Mainstream事業(再生可能エネルギー)の減損などの損失が合計281億円、税引き前。うち持分法による投資損益の行に70億円を含む)、エネルギーが1,642億円です(決算短信)。
- 住友商事:9つの区分のうち、エネルギートランスフォーメーションが1,024億円(電力のEPC案件の特殊利益を含む)、輸送機・建機が889億円です。「資源」という名前の区分は823億円でした。ライフスタイルは、欧米州の青果事業の不調と売却損で36億円の赤字でした(決算短信)。
- 三菱商事:金属資源が2,045億円(銅事業の過去の減損の一部戻し入れを含む)、地球環境エネルギーが1,609億円です。S.L.C.(910億円)の増減には、前年度のローソンの持分法適用会社化に伴う再評価益の反動(減る要因)と、三菱食品の持分比率の上昇やローソンの過去の配当に伴う税効果の取り崩し(増える要因)が入っています。
区分の名前に「資源」「エネルギー」が入るかどうかも、会社で違います。7社の決算短信の区分の表は、資源と非資源に分けた比率を示していません。住友商事は、次の期の見通しの文章で「資源ビジネス」「非資源ビジネス」という言葉を使っています。求人や記事で「非資源の比率」という言葉を見たら、どの区分を数えたかを、その会社の資料で確かめます。
資源事業への投資を見る際は、石油・天然ガスの開発から販売までの役割も確認できます。 石油・天然ガス業界の地図
金額は、決算短信の百万円の値を1つずつ億円にして四捨五入しています。このため、区分の値を足すと当期利益と1億円ほどずれることがあります。伊藤忠商事・丸紅・三井物産・住友商事・三菱商事は百万円未満を四捨五入し、双日と豊田通商は百万円未満を切り捨てて開示しています。双日は、決算短信のセグメントの表の中でも1百万円合いません。
持分法の利益は、どの区分に多いか
持分法による投資損益は、区分ごとにも開示されています。同じ区分の当期利益と並べると、その区分が投資先の利益にどれだけ寄っているかの手がかりになります。次の表は会社の大きさを比べる表ではありません。各社の中で、区分の持分法による投資損益の額が大きい順に2つの区分を挙げ、割合は計算せずに額を並べます。
| 会社 | 持分法による投資損益(2026年3月期) | 前の期 | 持分法の多い区分(区分の当期利益/区分の持分法) |
|---|---|---|---|
| 双日 | 440億円 | 496億円 | 金属・資源・リサイクル(48億円/180億円)、エネルギー・ヘルスケア(319億円/152億円) |
| 伊藤忠商事 | 3,235億円 | 3,493億円 | その他及び修正消去(1,976億円/1,186億円)、機械(1,556億円/1,048億円) |
| 丸紅 | 3,383億円 | 2,929億円 | 金属(1,343億円/1,287億円)、金融・リース・不動産(1,620億円/904億円) |
| 豊田通商 | 178億円 | 167億円 | モビリティ(640億円/70億円)、サーキュラーエコノミー(448億円/66億円) |
| 三井物産 | 4,474億円 | 4,941億円 | 機械・インフラ(2,259億円/2,398億円)、金属資源(2,536億円/737億円) |
| 住友商事 | 2,667億円 | 2,770億円 | 輸送機・建機(889億円/682億円)、資源(823億円/608億円) |
| 三菱商事 | 4,679億円 | 3,375億円 | 金属資源(2,045億円/1,230億円)、地球環境エネルギー(1,609億円/1,037億円) |
持分法による投資損益は、区分の中で販売費や税金などを差し引く前の行に入るため、区分の当期利益より大きくなることもあります。表の三井物産の機械・インフラや双日の金属・資源・リサイクル、表にない丸紅の電力・インフラサービス(536億円/720億円)がその例で、区分の利益の出どころが投資先に寄っています。双日の金属・資源・リサイクルは、原料炭の減損などで区分の当期利益が小さくなった年でもあります。
受取配当金は、三井物産で1,787億円(前の期は1,843億円)で、そのうち金属資源の区分でValeからの配当が435億円です。伊藤忠商事(598億円)や住友商事(122億円)のように、受取配当金の額も決算短信で確かめられます。
統計の「各種商品卸売業」と、総合商社の利益は一致しない
総合商社の大きさを、国の統計で確かめようとすると、数字が合わないことに気づきます。統計と決算が、別のものを数えているからです。
統計の「各種商品卸売業」の販売額と、総合商社の利益は別のものを数えている
- 事業所ごとに、主に扱う商品で業種を分けた統計
- 商品を売った金額(取扱高)で、利益ではない
- 総合商社の事業所でも、部門や子会社が別の業種に入ることがある
- 2025年1月に水準の調整があり、前の年の実額とは引き算できない
- 持分法による投資損益と受取配当金は、商品の販売額ではないので、統計の販売額に出てこない
- 事業区分には、卸売以外の事業も入る(例:豊田通商のアフリカの区分には、医薬品の生産・小売も入る)
- 例:丸紅の食料・アグリの区分は、収益3兆7,205億円に対して当期利益815億円
経済産業省の商業動態統計では、2025年の各種商品卸売業の販売額は15兆9,400億円で、前年比は93.1%でした。これは事業所ごとに、主に扱う商品で業種を分けた統計です。総合商社の事業所でも、商品ごとの部門や子会社が、鉄鋼や食料などの別の業種に入ることがあります。統計は2025年1月に水準の調整をしているため、前の年までの実額と引き算して増減を出すことはできません。
統計の数字は、商品を売った金額(取扱高)で、利益ではありません。経済構造実態調査(2024年の値、企業ごとの集計)では、各種商品卸売業の商品売上原価は、年間商品販売額の96.9%でした。卸売業全体では85.1%です。売った金額の大半は仕入の原価で、人件費や物流費などはその残りから払います。この割合は粗利の目安で、利益率ではありません。
会社の決算でも、取扱高と利益の差は大きく出ます。丸紅の食料・アグリの区分は、収益が3兆7,205億円で、当期利益は815億円でした。一方で、持分法による投資損益や受取配当金は、商品を売った金額ではないため、統計の販売額には出てきません。総合商社の利益の出どころを知るには、統計ではなく、決算短信の区分別の利益を読みます。
投資先の入れ替えで、区分の利益と中身が変わる
総合商社は、投資先の持分を増やしたり、売ったり、他社と統合したりして、事業を入れ替えます。持分の割合が変わると、決算での見え方(連結子会社か、持分法か)も変わります。2026年3月期の決算短信と取引所の発表から、いくつかの例を挙げます。
- 三菱商事と三菱食品:三菱商事は三菱食品の株式の公開買付け(TOB)を行い、持分比率が上がりました。三菱食品は株式併合を経て、2025年9月26日に上場廃止になりました(日本取引所グループの発表)。三菱食品の事業は、食品卸の業界地図で扱います。
- 三菱商事とローソン:前年度にローソンを持分法適用会社にしたことで再評価益が出て、2026年3月期はその反動がS.L.C.の区分に出ました。コンビニの事業は、コンビニの業界地図で扱います。
- 住友商事とSCSK:住友商事は、次の期の見通しの中で、非資源ビジネスの例としてSCSKの完全子会社化や米国の航空機リース会社の買収を挙げています。SCSKの事業は、SIer・システム開発の業界地図で扱います。
- 丸紅の国内不動産事業:第一生命ホールディングスとの統合で、評価益765億円(税引き後)を計上しました。
入れ替えは、働く人にとっては、配属先の区分や関わる投資先が変わることを意味します。区分の名前や数も、丸紅の16から10への組み替えのように変わります。応募する時点の区分を、最新の決算短信や会社の説明資料で確かめます。
職掌と配属の決め方は、会社で違う
総合商社の仕事は、トレードと事業投資の両方にまたがります。次の表は、日本貿易会の商社ハンドブックが挙げる商社の機能をもとに、仕事の中身を編集部が整理したものです。会社の職種名ではありません。
| 仕事の種類 | 主な相手 | 主な仕事の例 | 関わる利益 |
|---|---|---|---|
| トレードの営業 | 仕入先・販売先 | 売り先と買い先をつなぐ、物流と代金の決済の手配、取引のリスクの管理、新しい市場の開拓と情報の収集 | 口銭・売買の差益 |
| 事業投資 | 投資先・共同の出資者 | 投資先を選ぶ、出資の条件を決める、投資後の事業を育てる | 連結子会社の利益、持分法による投資損益、配当 |
職掌(社員の区分)と採用の名前は、会社ごとに違います。ここでは、伊藤忠商事・丸紅・双日の3社の採用ページの例を示します。
伊藤忠商事の新卒採用は、総合職とビジネスエキスパート職を募集しています。ビジネスエキスパート職は、2025年4月に「事務職」から名前を変えた職掌です。2つの職掌の併願はできず、配属先は配属面談を通して決めると書かれています。
丸紅は、2024年7月に、それまでの総合職と一般職という職掌の区分をなくしました。あわせて「ミッションレーティング」という仕組みを、管理職でない社員を含む全社員に適用しています。新卒の募集には、内定後の配属面談で最初の配属を決めるオープン採用と、Career Vision採用があります。
双日の新卒の募集要項には、総合職(2028年度)と事務職(2027年度)があります。キャリア採用は、募集している部署の一覧から応募する形です。
このように、総合職と一般職の2つに分かれる会社ばかりではありません。キャリア採用の職種名や、出向・海外勤務の扱いは、それぞれの会社の求人で確かめます。
求人票では、職掌・配属・区分・勤務先を確かめる
総合商社の求人を比べるときは、会社の名前より先に、どの区分の、どんな利益に関わる仕事なのかを確かめます。
- 職掌の名前:総合職か、伊藤忠商事のビジネスエキスパート職のような別の職掌か。丸紅のように職掌の区分をなくした会社もある
- 配属の決め方:入社前に区分や部署が決まるのか、配属面談などで入社後に決まるのか。双日のキャリア採用のように、募集している部署を選んで応募する形もある
- 所属する区分と商材:その区分の利益が、トレードから来るのか、持分法の投資先や配当から来るのか。その年だけの評価益や減損で、区分の利益が動いていないか
- 勤務先:本社での勤務か、投資先の事業会社への出向や海外勤務があるか
この記事で見たように、総合商社の利益は、区分ごとに出どころが違い、1年ごとの要因でも動きます。決算短信の区分別の当期利益と持分法による投資損益を並べて読むと、配属先の区分が何で稼いでいるかが見えてきます。専門商社や卸との違いは、商社・卸売の業界地図で確かめられます。


