「商社」「卸」と書かれた求人には、鉄鋼や化学品を工場に売る営業、工作機械を扱う営業、半導体を電子機器のメーカーに売る営業、ドラッグストアに日用品を届ける物流センターの仕事、受発注を受け持つ営業事務まで幅があります。どれも「メーカーと買い手の間に立つ仕事」に見えますが、扱う商品、売る相手、お金の入り方は分野ごとに違います。
この記事では、商社と卸が何を仕入れ、誰に売り、どこで稼ぐかを、売買の差益や手数料、在庫、物流、金融、事業投資という機能に分けて整理します。そのうえで、統計の販売額の読み方を確かめ、素材・化学、機械・電子部品・IT、日用品・化粧品、繊維・アパレルの4つの分野を、会社の開示を例に見ていきます。各社で開示区分が異なるため、数値は会社間の順位ではなく、事業構成を確認するために使います。
総合商社は、この記事では専門商社や卸との違いだけを示します。会社ごとの利益の出どころや仕事の違いは「総合商社の業界地図」で扱います。医療用医薬品の卸は「医薬品卸の業界地図」、食品の卸と卸売市場は「食品卸の業界地図」で扱います。
自動車の販売会社は「自動車業界の地図」、石油製品やLPガスの卸は「石油・天然ガスの業界地図」で扱っています。卸から荷物を預かる・運ぶ仕事は「3PLの業界地図」「倉庫業の業界地図」「トラック輸送・宅配・郵便の業界地図」、卸が商品を届ける先の店とネット通販は「小売・ECの業界地図」で確かめられます。この記事は、次にどの地図を読むかを決めるための全体図です。
商社・卸は「仕入れて売る」のほかに何を担うか
国の統計の分類(日本標準産業分類)では、卸売業は、小売業やほかの卸に売る事業所、工場などの産業用使用者(事業のために物を使う会社)にまとまった量を売る事業所、業務用の商品を売る事業所などを指します。メーカーが本社や工場とは別の場所に置く卸売の事業所や、売買の代理・仲立をする事業所も卸売業に入ります。
卸売と小売では、売り先と品揃え・在庫・販売の責任が異なります。 小売・EC業界の地図
同じ卸売業でも、商品の持ち方には2つの形があります。
- 仕入れて売る卸:商品を仕入れて自社のものにし(所有権を持ち)、買い手に売ります。売値と仕入値の差が収入の元になり、売れるまで在庫を抱えます。
- 代理商・仲立業:ほかの会社のために売買の代理や仲立をし、手数料を受け取ります。日本標準産業分類では、商品の所有権を持たず、価格の設定や保管・輸送も一般に行わない事業所と説明されています。
業界団体の日本貿易会は、「商社ハンドブック2022」で、商社の機能の核を商取引(トレード)としています。商取引に付随して、ロジスティクス(物流)、ファイナンス(お金の面の機能)、リスクマネジメント、市場開拓、情報収集の機能が育ち、子会社や関連する事業が増えるにつれて、事業経営(事業投資)の機能も育ったと説明しています。トレードは、売り先と買い先を探してつなぎ、コミッション(口銭)を得るのが基本の形です。
総合商社では、商品の売買に加えて事業への投資から得る利益も確認できます。 総合商社の業界地図
商品の商流と実際に運ぶ物流を分けると、卸売と運送・保管・手配の役割が見えます。 運輸・物流業界の地図
下の図は、商社・卸がメーカーと買い手の間で担う機能と、お金の入り方を並べたものです。会社の名前を付けた例は、決算短信で確かめた機能だけです。
商社・卸は、売買を核に、物流・お金・事業投資まで担う
- 商品の所有権
- 持つ(仕入れて自社のものにする)
- 主な収入
- 売値と仕入値の差(差益・口銭)
- 在庫
- 売れるまで抱える
- 保管・輸送
- 自社や委託先で行う
- 商品の所有権
- 持たない
- 主な収入
- 売買の代理・仲立の手数料
- 在庫
- 一般に持たない(所有権がない)
- 保管・輸送
- 価格の設定とともに、一般に行わない
- 阪和興業:鉄鋼事業の扱いに「加工、保管」(物流と加工)
- 長瀬産業:製造子会社を持ち、売上総利益の増加要因に一部の製造子会社の収益性の向上(製造)
- PALTAC:大型物流センター(RDC)を起点に小売業へ配送。配送は外部の配送業者に委託(物流)
お金の入り方は、次の5つに分けて見ると整理しやすくなります。1つの会社が、いくつもの形を持つこともあります。
- 口銭・差益:仕入値と売値の差、または売買をつないだ手数料です。商社・卸のすべての分野の基本の形です。
- 在庫:商品を自社で持ち、買い手が欲しいときに出せるようにします。在庫を持つ分、売れ残りや値下がりの影響も受けます。
- 物流と加工:保管や配送、商品の加工を引き受けます。阪和興業は、鉄鋼事業の扱いに「加工、保管」を挙げています。PALTACは、大型の物流センターから小売業へ商品を配送しています。
- 金融:取引にともなうお金の面を引き受けます。取引先ごとに掛けで売ってよい額を決め、代金の回収を見る「与信管理」は、この機能にあたる仕事です。
- 事業投資:会社に出資し、その会社から配当や持分益(出資した割合に応じた利益)を受け取ります。詳しい稼ぎ方は「総合商社の業界地図」で扱います。
卸の販売額は大きいが、利益とは別の数字
卸の大きさを示す国の統計は、経済産業省の商業動態統計です。2025年(暦年)の卸売業の販売額は477兆5,270億円(10億円単位の公表値)で、前年比は101.3%でした。物価の変化を除いていない名目の金額です。事業所を、主に扱う商品で業種に分けて集計しています。
卸の販売額は業種で大きく違うが、どれも取扱高で利益ではない
営業利益 264億円
売上高営業利益率 2.1%利益率は会社の公表値。PALTACは2026年8月に上場廃止となり、その後の決算短信は出ない
- 2020年3月分と2025年1月分で水準の調整をしている。2024年以前の金額と2025年の金額を引き算して増減を出さない。前年比は統計がつないで公表した値
- 各種商品卸売業は事業所の区分で、総合商社の会社の合計ではない
- 鉱物・金属材料には石油・鉱物や非鉄金属の卸を含む。医薬品・化粧品は医薬品・医療用品・化粧品・合成洗剤の卸の区分で、医薬品の卸だけの大きさではない。紙製品・日用雑貨の卸は別の区分
- 自動車の卸は「自動車業界の地図」、食料・飲料と農畜産物・水産物は「食品卸の業界地図」で扱う
業種別に見ると、2025年の販売額は、機械器具が113兆1,100億円(うち電気機械器具が55兆2,420億円)、鉱物・金属材料が85兆8,100億円、食料・飲料が67兆9,880億円、医薬品・化粧品が39兆3,760億円、化学製品が30兆9,580億円でした。前年比は、機械器具が103.3%、食料・飲料が104.2%、医薬品・化粧品が100.5%、化学製品が99.3%、鉱物・金属材料が99.0%です。
この統計には、読むときの注意が3つあります。
- 水準の調整の段差:2020年3月分と2025年1月分で、集計の水準を調整しています。2020年2月以前と3月以降、2024年12月以前と2025年1月以降の金額は、そのまま比べられません。増減は、統計が段差をつないで公表した前年比で見ます。
- 事業所の分類:会社ではなく事業所を、主に扱う商品で分けています。同じ会社でも、事業所ごとに別の業種に入ることがあります。
- 区分の中身:鉱物・金属材料には石油・鉱物や非鉄金属の卸も入り、医薬品・化粧品には化粧品・医療用品・合成洗剤の卸も入ります。医薬品・化粧品の39兆3,760億円を、医薬品の卸だけの大きさとして読むことはできません。
販売額は取扱高で、利益ではありません。総務省・経済産業省の経済構造実態調査(2025年調査の二次集計)では、2024年の卸売業の企業で、商品売上原価が年間商品販売額の85.1%でした。商品売上原価は、年初の在庫に1年間の仕入れを足し、年末の在庫を引いた額です。100円分売ったとき、仕入れの原価が85.1円分あったことになります。
残りの14.9%(計算値)は利益ではありません。ここから人件費、物流や倉庫の費用、代金の回収にかかる費用などを払います。分野別では、各種商品卸売業が96.9%、繊維・衣服等卸売業が74.1%で、繊維・衣服等は卸売業の中分類のなかで最も低い割合でした。この調査は企業単位の2024年の値で、商業動態統計(事業所単位、2025年)とは単位も年も違うため、2つの統計の金額を並べたり割り算したりはしません。
会社の開示でも、売上と利益の差が見えます。日用品・化粧品の卸のPALTACは、2026年3月期の売上高が1兆2,378億円、営業利益が264億円で、売上高営業利益率は2.1%(会社の公表値)でした(2026年3月期決算短信)。メディパルホールディングスの医療用医薬品等卸売事業は、2026年3月期の売上高が2兆4,661億円、セグメント利益が243億円です(2026年3月期決算短信)。2つの数字は会社全体と事業の区分で段階が違うので、比べるためではなく、どちらも売上に比べて利益が小さいことを示す例として挙げています。卸の会社の「売上○兆円」は、扱った商品の金額の大きさを示す数字で、利益の大きさではありません。
総合商社・専門商社・卸で、扱う商品と稼ぎ方が違う
日本貿易会の商社ハンドブックは、商社には総合商社、専門商社、販売代理店、問屋など、さまざまな業態と規模があると書いています。これは業界の呼び方で、法律の区分ではありません。統計の上では、どれも卸売業に入ります。下の図は、3つの呼び方ごとに、扱う商品の幅、稼ぎ方で目立つもの、主な販売先や統計の上の位置、会社の例を並べたものです。
総合商社・専門商社・卸で、扱う商品の幅と稼ぎ方が違う
- 扱う商品の幅
- 多くの分野にまたがる。区分は会社ごとに違う(金属、エネルギー、機械、化学品、食料など)
- 稼ぎ方で目立つもの
- 売買の口銭・差益と、事業投資の配当・持分益。日本貿易会は2つを「車の両輪」と説明
- 統計の上の位置
- 事業所は各種商品卸売業などに入る(日本標準産業分類では、従業者100人以上・100人未満のどちらの区分の例にも総合商社)。会社全体の数字ではない
- 会社の例
- 三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅・豊田通商・双日
- 扱う商品の幅
- 鉄鋼、化学品、工作機械、半導体、繊維など、分野をしぼる
- 稼ぎ方で目立つもの
- 売買の差益が基本の形。加工・保管(阪和興業)や製造子会社(長瀬産業)を持つ会社もある
- 主な販売先
- その商品を使う会社やほかの卸。会社と分野で違う
- 会社の例
- 阪和興業(鉄鋼など)、長瀬産業(化学品)、山善(工作機械・機械工具)、マクニカホールディングス(半導体・セキュリティ製品)、豊島(繊維、非上場)
- 扱う商品の幅
- 1つの分野の多くの品目(例:日用品・化粧品・一般用医薬品)
- 稼ぎ方で目立つもの
- 売買の差益と、物流センターから店へ届ける仕組み
- 主な販売先
- 小売業。PALTACはドラッグストア向けが8,040億円(2026年3月期)
- 会社の例
- PALTAC(日用品・化粧品。2026年8月に上場廃止し、メディパルホールディングスの完全子会社)。医療用医薬品の卸と食品の卸は別の地図
総合商社は、三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅・豊田通商・双日のように多くの分野の商品を扱い、日本貿易会が「車の両輪」と呼ぶトレードと事業投資で稼ぐ会社です。会社ごとの利益の出どころと仕事の違いは「総合商社の業界地図」で扱います。
専門商社は、この記事では、鉄鋼、化学品、工作機械、半導体、繊維など、特定の分野の商品を扱う会社を指します。売買の差益のほか、加工や保管の機能や、製造の子会社を持つ会社もあります。この記事の次の4つの章で、分野ごとに見ていきます。
卸(問屋)は、この記事では、メーカーから仕入れて小売業などに届ける会社を指す呼び方として使います。PALTACは、日用品・化粧品・一般用医薬品などを、物流センターを起点にドラッグストアなどの小売業へ届けています。
求人では「メーカー系」「独立系」「商社系」という呼び方も見かけます。これも業界の通称で、法律や統計の区分ではありません。応募先がどのグループに入っているかは、上場している会社なら、有価証券報告書の「大株主の状況」や「関係会社の状況」で確かめられます。たとえばPALTACは、2026年3月期の決算短信で、メディパルホールディングスのグループの中で化粧品・日用品、一般用医薬品の卸売事業を専属的に担うと書いています。PALTACはその後、メディパルホールディングスの公開買付けなどを経て2026年8月10日に上場廃止となり、同社の完全子会社になりました。
素材・化学の商社:鉄鋼と化学品
素材・化学の商社は、鉄鋼や化学品を、メーカーから仕入れて、それを材料として使う会社などに売ります。商業動態統計の2025年の販売額は、鉱物・金属材料が85兆8,100億円、化学製品が30兆9,580億円でした。鉱物・金属材料には石油・鉱物の卸も入っているため、鉄鋼の取引だけの大きさではありません。
鉄鋼では、阪和興業が、鉄鋼事業で条鋼、建設工事、鋼板、特殊鋼、線材、鋼管と、加工・保管を扱うと開示しています(2026年3月期決算短信)。鋼材を仕入れて売るだけでなく、加工や保管の機能も持つ例です。同社は、鉄鋼のほかに、食品やエネルギー・生活資材などの事業も報告セグメント(事業の区分)として開示しています。鉄をつくる会社と、鋼材がメーカーから買い手へ流れる仕組みは「鉄鋼の業界地図」で扱います。
化学品では、長瀬産業が、報告セグメントを、バリューチェーン(原料から製品までの流れ)での位置と担当する業界で分けています。区分は、機能素材、加工材料、電子・エネルギー、モビリティ、生活関連の5つです(2026年3月期決算短信)。同社はPrinovaグループやナガセヴィータなどの製造子会社を持ち、2026年3月期の売上総利益が増えた理由の1つに、一部の製造子会社の収益性の向上を挙げています。商社が売買だけでなく、自社のグループでものをつくる例です。生活関連の区分には製造子会社の利益も入るため、区分の利益は商社の機能だけの利益ではありません。同社は、次の期から報告セグメントを3つにまとめるとしています。
化学品をつくる会社は「化学メーカーの業界地図」で扱います。
機械・電子部品・ITの商社:工作機械と半導体・セキュリティ製品
機械・電子部品・ITの商社は、工場の設備や工具、電子機器に組み込む部品、企業が使うIT製品を、メーカーから仕入れて売ります。商業動態統計の2025年の機械器具の販売額は113兆1,100億円で、内訳は産業機械器具が22兆3,330億円、自動車が21兆800億円、電気機械器具が55兆2,420億円、その他の機械器具が14兆4,540億円でした。自動車の卸は、この記事では扱わず、『自動車業界の地図』で扱います。
工作機械・工具では、山善が、工作機械や機械工具などを供給する事業を「生産財関連事業」として開示しています。2026年3月期の売上高は3,492億円、セグメント利益は104億円でした(2026年3月期決算短信)。同社は、2026年2〜3月に、マレーシアの工作機械商社とインドネシアの機械工具商社を子会社にしています。住宅設備や家庭機器を扱う消費財関連事業も持つため、会社全体の数字は機械の商社だけの数字ではありません。工作機械をつくる会社は「工作機械の業界地図」で扱います。
半導体・電子部品とIT製品では、マクニカホールディングスが、事業を2つに分けて開示しています(2026年3月期決算短信)。
- 集積回路及び電子デバイスその他事業:2026年3月期の売上高は1兆400億円(前期比18.2%増)、営業利益は247億円(6.1%減)でした。品目別では、集積回路が8,977億円、電子デバイスが802億円です。同社は、減益の理由に、利益率の低い海外の売上の割合が上がったことと、販売費などが増えたことを挙げています。
- サイバーセキュリティ及びその他ITソリューション事業:売上高は1,742億円(前期比13.2%増)、営業利益は172億円(29.2%増)でした。これまでのネットワーク事業から名前だけを変えた区分です。
集積回路及び電子デバイスその他事業では、売上が増えても、利益率の低い売上の割合が上がったことなどで、営業利益は減りました。半導体をつくる会社は「半導体の業界地図」と「電子部品・センサーの業界地図」、セキュリティ製品を導入・運用してシステムを守る仕事は「サイバーセキュリティの業界地図」で扱います。
日用品・化粧品の卸:物流センターから店へ届ける
日用品・化粧品の卸は、洗剤や化粧品、市販薬などのメーカーから仕入れて、ドラッグストアやスーパーなどの小売業に届けます。
PALTACは、2026年3月期の売上高1兆2,378億円のうち、日用品が5,565億円、化粧品が2,947億円、健康・衛生関連品が2,209億円、医薬品が1,446億円でした。売り先の業態別では、ドラッグストア向けが8,040億円です(2026年3月期決算短信)。同社は、RDCと呼ぶ大型の物流センターを起点に小売業へ商品を配送しています。配送は外部の配送業者に委託しています。売上高営業利益率は2.1%(前期は2.4%)で、取扱高に比べて残る利益は小さい形です。PALTACは2026年8月に上場廃止となったため、この2026年3月期の決算短信が、上場中に出た最後の決算短信です。
商業動態統計の「医薬品・化粧品」の区分は、医薬品、医療用品(紙おむつなど)、化粧品(石けん・シャンプー・歯磨などを含む)、合成洗剤の卸の事業所の区分です。トイレットペーパーなどの紙製品の卸は「その他」、日用雑貨の卸は「家具・建具・じゅう器」の区分に入ります。この区分の金額を、化粧品の卸だけ、医薬品の卸だけ、日用品の卸全体の大きさとして読むことはできません。
洗剤や衛生用品のメーカーの事業は「日用品・トイレタリーの業界地図」、PALTACの売り先であるドラッグストアは「ドラッグストア・調剤薬局の業界地図」で扱います。卸のセンターの運営や配送を引き受ける物流会社の仕事は「3PLの業界地図」で確かめられます。
繊維・アパレルの商社:原糸から製品まで
繊維・アパレルの商社は、糸や生地、服などの製品を扱います。商業動態統計の2025年の販売額は、繊維品が2兆3,430億円、衣服・身の回り品が6兆5,220億円でした。
豊島は、原料から製品までを扱う非上場の繊維商社です。会社のウェブサイトでは、事業を、原糸・繊維原料、テキスタイル(生地)、産業資材、製品(アパレル)、製品(雑貨・食品)、テクノロジー・サービス、建設・不動産に分けて紹介し、自社を「ライフスタイル提案商社」と説明しています(豊島)。2026年8月には、「アパレル物流研究会」に参画して共同輸送の仕組みを作ったことを、お知らせに載せています。非上場のため、売上や利益の数字はこの記事では使いません。
繊維・衣服等の卸は、経済構造実態調査で、商品売上原価の割合が74.1%と、卸売業の中分類のなかで最も低い分野です。これは利益率ではなく、残りから人件費や物流などの費用を払います。糸や生地をつくる会社は「繊維素材の業界地図」、服のブランドと生産の分担は「アパレルの業界地図」で扱います。
医薬品卸・食品卸・総合商社と、次に読む地図
ここまでの4つの分野のほかに、商社・卸売には、医療用医薬品の卸、食品の卸、総合商社があります。どれも統計の上では卸売業に入りますが、稼ぎ方や決まりごとが違うため、別の地図で扱います。
- 医薬品卸:病院や薬局に医療用医薬品を届ける卸です。メディパルホールディングスの医療用医薬品等卸売事業の売上高とセグメント利益は、「卸の販売額は大きいが、利益とは別の数字」の章で示しました。薬価の下での取引と稼ぎ方は「医薬品卸の業界地図」で扱います。
- 食品卸:商業動態統計の2025年の販売額は、食料・飲料が67兆9,880億円、農畜産物・水産物が45兆1,710億円でした。メーカーとスーパー・コンビニの間で卸が担うことは「食品卸の業界地図」で扱います。
- 総合商社:事業所は、統計では主に各種商品卸売業(2025年の販売額15兆9,400億円)などに入りますが、事業所の区分なので総合商社の会社の合計ではありません。統計の販売額と総合商社の利益がなぜ一致しないか、会社ごとの利益の出どころは「総合商社の業界地図」で扱います。
下の図は、この記事の章と、別の地図への道案内をまとめたものです。
分野ごとに、この記事の章と次に読む地図が決まる
求人票では、商材・仕入先・販売先・在庫と物流の持ち方を確かめる
同じ「商社」「卸」の求人でも、分野によって、扱う商品、相手、成果の測り方が違います。
| 分野 | 扱う商品(開示の例) | 物の流れで目立つ機能 | 求人票で確かめること | 次に読む地図 |
|---|---|---|---|---|
| 鉄鋼 | 条鋼・鋼板・特殊鋼・線材・鋼管など(阪和興業) | 加工・保管 | 扱う鋼材の種類、加工や保管の拠点があるか | 鉄鋼の業界地図 |
| 化学品 | 機能素材・加工材料など(長瀬産業) | 製造の子会社を持つ会社がある | 仕入れて売るだけか、グループの工場の製品も扱うか | 化学メーカーの業界地図 |
| 工作機械・工具 | 工作機械・機械工具(山善の生産財関連事業) | 国内外の販売網 | 担当する商品と、売り先の業種・地域 | 工作機械の業界地図 |
| 半導体・電子部品・IT製品 | 集積回路・電子デバイス、セキュリティ製品(マクニカホールディングス) | 半導体とIT製品を別の事業で扱う | 担当する品目と、国内か海外か | 半導体の業界地図、電子部品・センサーの業界地図、サイバーセキュリティの業界地図 |
| 日用品・化粧品 | 日用品・化粧品・健康衛生関連品・一般用医薬品(PALTAC) | 大型の物流センターから小売業へ配送(配送は外部委託) | 営業か物流センターの仕事か、担当する小売の業態 | 日用品・トイレタリーの業界地図、ドラッグストア・調剤薬局の業界地図 |
| 繊維・アパレル | 原糸・テキスタイル・製品(豊島) | 原料から製品までの段階をまたぐ | 担当が原料か、生地か、製品か | 繊維素材の業界地図、アパレルの業界地図 |
仕事の中身は、どの分野でも、おおむね次の4つに分けられます。ここでの名前は仕事の中身を示す言葉で、どの会社の職種名でもありません。職種の名前と分け方は会社ごとに違うため、応募先の採用ページで確かめます。
- 営業:仕入れ先との交渉と、売り先への提案
- 営業事務:受注と発注、納期の調整、請求などの手続き
- 物流:物流センターの運営や、配送の手配
- 与信管理:取引先ごとに掛けで売ってよい額を決め、代金の回収を見る仕事
求人票では、次の4点を確かめます。
- 商材:どの分野の、どの商品を担当するか
- 仕入先と販売先:誰から仕入れて、誰に売るか。売り先は、小売業か、ほかの卸か、商品を使う会社か
- 在庫と物流の持ち方:自社で在庫を持つか、加工や保管の拠点があるか、配送は自社か委託か
- 数字の物差し:会社案内の「売上」は取扱高の大きさで、利益の大きさではない。統計の数字なら、どの統計の、どの年の、どの区分の値か
この4点が分かったら、次はその分野の業界地図で、会社ごとの違いと仕事の流れを確かめます。
化粧品・日用品・衣料など、複数の消費財分野をメーカー側から横断して比べる場合は、生活用品・衣料・消費財の業界地図で確かめられます。
化学品を仕入れて売る商社・卸ではなく、化学品を製造するメーカー側を見る場合は、化学メーカーの業界地図で確かめられます。
工作機械を扱う商社の販売網ではなく、工作機械メーカーの製品、製造、保守を見る場合は、工作機械の業界地図で確かめられます。
洗剤や衛生用品を店舗へ届ける卸ではなく、商品を作るメーカー側を見る場合は、日用品・トイレタリーの業界地図で確かめられます。



