工作機械の会社の求人には、機械を売る営業、お客さまの部品を試しに削って加工の方法を提案する営業技術やアプリケーションエンジニア、機械や制御を設計する技術者、工場で組み立てる組立、お客さまの工場へ出向いて直すサービスエンジニアまで幅があります。工作機械で使う刃物(工具)のメーカーや、工作機械・工具を売る機械工具商社の求人もあります。
工作機械は、自動車や半導体製造装置などの部品を作る工場が、設備として買う機械です。そのため注文は、買う会社の設備投資の判断で大きく上下します。受注額では海外向けが大きな割合を占めます。この記事では、機械の種類、注文の波、誰が買うのか、会社の分担、稼ぎ方、輸出と投資のルール、安全のルール、仕事を順に見ます。
工場全体の自動化を、制御機器・ロボット・SIer(システムをまとめる会社)がどう分担するかは、「FA・産業用ロボットの業界地図|工場の自動化は、制御機器メーカー・ロボットメーカー・SIerがどう分担し、仕事はどう違うのか」で扱います。この記事では、工作機械メーカーが自動化まで提案する話だけを見ます。
制御機器、ロボット、SIerが担う工場全体の自動化を比べる場合は、FA・産業用ロボットの業界地図で確かめられます。
工作機械を使って部品を受託で加工する会社の話は「金属加工の業界地図|鋳造・鍛造・プレス・板金と受託加工」、商社の一般的な稼ぎ方は「商社・卸売の業界地図」で扱います。工具の素材の超硬合金は「非鉄金属の業界地図|製錬・圧延・電線と素材の流れ」、自動車部品の生産は「自動車部品の業界地図|Tier構造・品目・電動化とタイヤまで」、半導体製造装置そのものは「半導体製造装置の業界地図|工程ごとの装置を誰が作り、設備投資の波の中でどう稼ぐのか」で扱います。
工作機械は「機械をつくる機械」
日本工作機械工業会(日工会)は、工作機械を「機械を作る機械」「マザーマシン(母なる機械)」とも呼ばれると紹介しています。JIS(日本産業規格)の定義では、主に金属の材料を、削る・研ぐなどの方法や、電気などのエネルギーを使って不要な部分を取り除き、決められた形に作り上げる機械です。手で持って使う電動ドリルなどは入りません。日工会によると、海外ではプレス機械や木工機械も工作機械に含めるのが一般的です。国や統計によって範囲が違うことは、数字を読むときに大事になります。
機種は多く、日本標準商品分類では金属加工機械が細分類で約300種類あります。求人によく出てくる機種を表にします。
| 機種 | どう削るか |
|---|---|
| 旋盤(NC旋盤) | 材料を回し、刃物を当てて削る。丸い部品に向く |
| マシニングセンタ | 刃物を自動で取り替えながら、穴あけや平面・溝の削りを続けて行う。5つの軸を同時に動かす5軸の機種も広がっている |
| 複合加工機 | 旋盤に回転する刃物の軸を組み合わせ、1台で旋削とフライス削りなどをする |
| 研削盤 | 砥石(といし)で少しずつ削り、仕上げの面をきれいにする |
| 放電加工機・レーザ加工機 | 電気の放電やレーザで材料を取り除く。まとめて特殊加工機と呼ぶ |
工作機械は、手で操作する汎用工作機械と、数値で動きを指示して自動で運転するNC工作機械に分かれます。NCは数値制御のことで、コンピュータで制御する装置をCNC(数値制御装置)と呼びます。日工会の受注統計では、2025年の受注総額1兆6,043億円のうち、NC工作機械が1兆5,792億円でした。
刃物の側には工具があります。ドリル、ねじ穴を作るタップ、溝や面を削るエンドミルなどの切削工具と、材料を押しつけてねじなどの形にする転造工具です。工具は使うと摩耗し、買い替える品です。機械本体は1台ずつ売れる設備で、工具は加工が続く限り買われる品という違いがあります。
受注の波:設備投資で大きく上下する
工作機械の需要は、日工会の受注統計で見ます。会員の企業から集めた、注文を受けた額の統計です。工場で作った額(生産)や、売り上げた額(販売)、海外へ送った額(輸出)とは別の統計なので、混ぜずに読みます。ここでは暦年(1〜12月)の値を使います。
工作機械の受注は、設備投資の波で大きく上下し、2025年は外需が7割を超えた
| 年 | 内需 | 外需 | 受注総額 |
|---|---|---|---|
| 2009 | 1,596 | 2,522 | 4,118 |
| 2017 | 6,294 | 10,162 | 16,456 |
| 2018 | 7,503 | 10,654 | 18,158 |
| 2019 | 4,932 | 7,367 | 12,299 |
| 2020 | 3,245 | 5,774 | 9,018 |
| 2021 | 5,103 | 10,311 | 15,414 |
| 2022 | 6,032 | 11,564 | 17,596 |
| 2023 | 4,768 | 10,097 | 14,865 |
| 2024 | 4,415 | 10,436 | 14,851 |
| 2025 | 4,409 | 11,635 | 16,043 |
単位は億円。暦年。2010〜2016年は省略。
- 受注総額
- 1兆6,693億円前年同期比143.3%
- 内需
- 4,416億円132.5%
- 外需
- 1兆2,277億円147.6%
- 9月末の受注残高
- 1兆982億円前年同月比149.8%
受注は注文を受けた額で、生産額・販売額・輸出額とは別の統計。2025年の外需の割合72.5%と、2020年が2018年の49.7%であることは本記事で計算。億円は百万円の値を四捨五入したため、内需と外需の和が総額と1億円ずれる年がある。
日工会の主要統計によると、受注総額は2009年に4,118億円でした。2018年には1兆8,158億円まで増え、2009〜2025年の中で最も多い年になりました。ところが2020年は9,018億円で、2018年の約半分(49.7%、計算値)に減りました。2021年は1兆5,414億円、2022年は1兆7,596億円と戻り、2023年は1兆4,865億円、2024年は1兆4,851億円でした。
2025年の受注総額は1兆6,043億円で、前の年より8.0%増えました。国内からの注文(内需)は4,409億円で0.2%減り、海外からの注文(外需)は1兆1,635億円で11.5%増えました。受注総額のうち外需は72.5%です(計算値)。2025年12月末の受注残高(注文を受けて、まだ納めていない額)は7,574億円でした。
2026年は、9月までの累計で見ます。2026年9月分の受注確報では、1〜9月の累計の受注総額は1兆6,693億円で、前年同期の143.3%でした。内需は4,416億円(132.5%)、外需は1兆2,277億円(147.6%)です。9か月の値なので、年間の値とは並べて比べません。9月末の受注残高は1兆982億円で、前年同月の149.8%でした。
日工会は、9月の受注について「更なる加速が見られ設備投資は増加の基調を維持」と見ています。内需は政策措置の効果も寄与して製造業を中心に回復の基調、外需はアジア・北米が伸び、一部の欧州が回復したとしています。
年度(4月〜翌年3月)で数えると、2025年度の受注総額は1兆7,047億円です。3月決算の会社の数字と並べるときは、この年度の値と期間がそろいます。
ほかの物差しもあります。日工会がまとめた表では、経済産業省の生産動態統計による金属工作機械の生産額は、2025年に9,826億円でした。日工会の2025年の販売額は1兆6,332億円です。受注・生産・販売は、数える範囲も時点も違います。受注額を生産額で割って「受注の何割を国内で作った」と読むことはできません。
誰が買うのか:国内の業種と海外の地域
内需を業種別に見ると、どんな会社の設備投資に支えられているかが分かります。ここでの業種は、工作機械を注文した会社の業種です。その機械で削った部品がどこへ行くかではありません。
国内の受注は、一般機械と自動車の会社からが6割近い
- 電気機械193.6%
- 鉄鋼・非鉄金属163.3%
- 自動車(うち部品138.1%)135.7%
- 精密機械132.2%
- 一般機械127.0%
- 航空機・造船・輸送用機械124.6%
- 金属製品124.6%
- 内需計132.5%
割合は内需計を分母に本記事で計算。棒の長さは一般機械を最大とした長さ。業種の区分は日工会の受注統計のもの。
2025年の内需4,409億円のうち、最も多いのは一般機械の1,759億円で、内需の39.9%です(割合は計算値。以下同じ)。一般機械には、建設機械(94億円)や金型(160億円)の会社も入ります。次が自動車の871億円(19.8%)で、そのうち自動車部品の会社が569億円(12.9%)です。電気・精密は525億円(11.9%)、金属製品は354億円(8.0%)、航空機・造船・輸送用機械は353億円(8.0%)でした。航空機・造船・輸送用機械は前の年の145.8%に増え、うち航空機は178億円です。
2026年1〜9月の累計では、電気機械からの受注が482億円で、前年同期の1.9倍(193.6%)になりました。鉄鋼・非鉄金属は163.3%、自動車は135.7%、一般機械は127.0%です。統計からは、電気機械の会社の何に使う機械かまでは分かりません。
外需は地域別に見ます。2025年の外需1兆1,635億円のうち、アジアが5,802億円(49.9%)で、うち中国が3,901億円(33.5%)、インドが716億円(6.2%)です。北米は3,600億円(30.9%)で、うちアメリカが3,127億円(26.9%)、欧州は1,974億円(17.0%)でした。2026年1〜9月の累計では、中国が前年同期の154.7%、アメリカが148.3%、台湾が220.0%、欧州が128.0%です。
海外の注文は、アジアが半分、北米が3割
うち中国3,901億円(33.5%)・インド716億円(6.2%)・韓国314億円・台湾193億円
うちアメリカ3,127億円(26.9%)・メキシコ302億円
うちドイツ434億円・イタリア277億円
割合は外需計を分母に本記事で計算。棒の長さはアジアを最大とした長さ。2026年1〜9月の累計の前年同期比は、アジア155.7%(中国154.7%、インド140.6%、台湾220.0%)、北米146.0%(アメリカ148.3%)、欧州128.0%。
財務省の貿易統計にも、2025年の「金属加工機械」の輸出が1兆1,654億円(前年比8.5%増)とあります。仕向け地では中国が3,051億円、アメリカが2,601億円です。ただし、この品目はプレスなど工作機械以外の機械も含みうる広い区分です。日工会の外需の受注とは範囲も数え方も違うため、比べません。
何に使う機械が売れているかは、会社の説明で見ます。どれも1社の説明で、業界全体の傾向とは限りません。
| 会社と期 | 会社の説明(要約) |
|---|---|
| オークマ(2026年3月期) | 米国は航空・宇宙・防衛、医療機器、データセンタ、エネルギー関連が堅調。中国は半導体製造装置、風力発電、一般産業機械などと、EVメーカーの大型案件。欧州は自動車産業の停滞などで弱含み |
| 牧野フライス製作所(2026年3月期) | 国内は上期に自動車関連が低調で、下期に半導体関連など。中国は新エネルギー車や電気電子部品の金型向け、アメリカは航空宇宙向けが高水準 |
| 芝浦機械の工作機械事業(2026年3月期) | 北米のエネルギー・航空宇宙、中国の風力発電向けで受注が増加。超精密加工機は、AIの普及による大型サーバーの需要に伴う中国の光通信向け |
| DMG森精機(2025年12月期) | 航空・宇宙・防衛、メディカル、電力・エネルギー関連が堅調。第4四半期からデータプロセス・半導体・通信関連が回復 |
海外の比重が大きい会社の例が、ツガミです。2026年3月期(IFRS=国際会計基準)の売上収益は1,291億円、営業利益は361億円で、自動旋盤が1,086億円を占めます。顧客の所在地別では中国が1,032億円で、売上収益の79.9%です(計算値)。これはツガミ1社の形で、工作機械の会社がみな中国向けに偏っているわけではありません。
オークマは、2026年3月期(日本基準)の海外売上高が連結売上高の73.3%で、米国が25.9%、中国が22.5%、欧州が14.6%でした。DMG森精機は、2025年12月期の受注の地域の構成が、欧州(ドイツを含む)55%、米州24%、日本10%、中国6%だったとしています。どの地域の比重が大きいかは、会社ごとに違います。
芝浦機械は、射出成形機などの成形機事業が中心の会社で、工作機械はその一部の事業です。2026年3月期(日本基準)の工作機械事業は、大型機や門形機、超精密加工機などを扱い、受注高が349億円(前期比44.9%増、海外比率55.8%)、売上高が253億円、営業利益が21億円でした。会社全体の売上高を、工作機械の売上として読むことはできません。
メーカー・CNC・部品・工具・商社の分担
1台の工作機械が工場で動くまでには、いくつもの会社がかかわります。国の統計の細分類と、会社の開示で分担を見ます。
1台の工作機械には、CNC・部品・工具・商社・保守の会社がかかわる
CNCを自社で作る工作機械メーカーの例:オークマ、ヤマザキマザック
CNCを作る会社の例:ファナック(工作機械業界を「CNCシステムの主要顧客」と説明)
金属工作機械用・金属加工機械用部分品・附属品製造業(プレスなどの部品も含む)4,023事業所・52,434人
例:オークマ、牧野フライス製作所、DMG森精機、ヤマザキマザック、ツガミ、芝浦機械(工作機械事業)
金属工作機械製造業735事業所・43,708人
出荷額等1兆7,465億円
メーカーの直販
機械工具商社を通す流れ(例:山善の生産財関連事業)
注文した会社の業種:一般機械、自動車、電気・精密、金属製品、航空機など
海外のユーザー:2025年は受注の72.5%が外需(計算値)
ユーザーの工場で機械に取り付けて使う。例:オーエスジー。工具は使うと摩耗し、買い替える品
機械工具製造業:1,112事業所・33,061人、出荷額等1兆1,233億円メーカーなどがユーザーの工場の機械を直し、部品を届ける。例:DMG森精機のインダストリアル・サービス(修理復旧やソリューションの提供)、ファナックのサービス(全部門分)
従業者と事業所は2025年6月1日、出荷額等は2024年の値。出荷額等は日工会の受注額とは範囲が違い、市場の大きさではない。細分類の値は足さない(部品と完成した機械が重ねて数えられることがある)。
2025年経済構造実態調査では、「金属工作機械製造業」は735事業所、従業者は43,708人です(2025年6月1日時点)。2024年の製造品出荷額等は1兆7,465億円でした。工作機械やプレスなど金属加工機械の部品を作る「金属工作機械用・金属加工機械用部分品・附属品製造業」は4,023事業所・52,434人で、事業所が多く、1か所あたりの人数が少ない分野です。工具を作る「機械工具製造業」は1,112事業所・33,061人、出荷額等は1兆1,233億円です。プレスなど、工作機械以外の金属加工機械を作る事業所は、別の細分類(395事業所・17,302人)に入ります。
出荷額等は、事業所が出荷した額に加工の収入なども含めた金額で、日工会の受注額とは範囲が違います。1兆7,465億円を「工作機械の市場の大きさ」と読むことはできません。細分類どうしを足すと、部品と完成した機械が重ねて数えられることもあります。
工作機械の頭脳にあたるCNCについては、CNCを自社で作る工作機械メーカーと、CNCを作って工作機械メーカーなどに売る会社の両方があります。オークマの採用ページは、FAシステム本部で工作機械を制御する数値制御装置を開発・設計・製造していると説明しています。ヤマザキマザックも、生産品目にCNC装置を挙げています。同社は上場していない会社で、売上などの開示はありません。会社概要では、従業員はグループの合計で8,800人(2025年12月現在)、生産拠点は日本に5カ所、中国に2カ所、英国・米国・シンガポール・インドに各1カ所の計11拠点です。生産品目には、複合加工機やマシニングセンタのほか、自動化システムや生産支援ソフトウェアも並びます。
一方、ファナックは、2026年3月期(日本基準)のFA部門の売上高が2,085億円で、売上高の24.3%でした。会社は工作機械業界を「CNCシステムの主要顧客」と書き、国内は国内の工作機械メーカーの好調な外需が需要を引っ張ったと説明しています。FA部門の売上はCNCだけではありません。ファナックのロボットは「FA・産業用ロボットの業界地図」で扱います。
工具メーカーの例がオーエスジーです。2025年11月期(日本基準)の売上高は1,606億円、営業利益は203億円でした。品目別では、切削工具が1,328億円で、そのうちねじ切り工具が537億円、ミーリングカッターが293億円、ドリルなどが498億円です。転造工具は110億円でした。海外売上高比率は68.2%です。
販売の流れには、メーカーが直接売る形と、機械工具商社を通す形があります。商社の例の山善は、工作機械や機械工具などを供給する「生産財関連事業」を持ち、2026年3月期(日本基準)の売上高は3,492億円で、連結売上高の64.4%です(計算値)。会社は、中堅・中小企業に補助金を活用した提案営業をしたと説明しています。2026年2〜3月には、マレーシアの工作機械商社とインドネシアの機械工具商社を子会社にしました。商社の売上は、同じ機械をメーカーと二重に数えることになるため、メーカーの売上とは足しません。
どこで稼ぐのか:機械本体・自動化・保守・工具
工作機械の会社の稼ぎ方は、大きく3つの型で見ると分かりやすくなります。機械本体を売る、複数の機械や搬送装置を組み合わせた自動化を提案する、売った後の保守・部品・改造で稼ぐ、の3つです。工具メーカーは、使えば減る工具を売り続けます。どの型にどれだけ頼るかは会社ごとに違い、開示の仕方もそろっていません。
工作機械と工具の会社は、本体・自動化・保守・工具で稼ぎ、工程ごとに職種が分かれる
期末の受注残高1,014億円。機種別売上はマシニングセンタ56.1%、複合加工機25.8%
オークマ(日本基準、2026年3月期)機械受注の平均単価7,960万円
DMG森精機(IFRS、2025年12月期)江南工場で、受注した自動化ラインを集中生産し、お客さまがテスト加工や機能確認をする場とする(2026年1月稼働)
オークマ1〜10億円規模のシステム案件を担うプロジェクトマネージャを募集
DMG森精機(経験者採用)インダストリアル・サービスの外部売上1,717億円(外部売上の33.3%、計算値)。MRO・スペアパーツ・エンジニアリングの受注1,259億円(受注の24%)
DMG森精機(IFRS、2025年12月期)。修理復旧やソリューションの提供を含むサービスの売上高1,411億円(売上高の16.5%)
ファナック(日本基準、2026年3月期)。ロボットなども含む全部門分切削工具1,328億円、転造工具110億円
オーエスジー(日本基準、2025年11月期)- 引き合い・提案国内営業・海外営業(オークマ)、営業(国内)(ヤマザキマザック)
- テスト加工・仕様見積り営業技術(オークマ)、アプリケーションエンジニア(ヤマザキマザック)、加工ソリューションエンジニア(DMG森精機)、加工技術開発(牧野フライス製作所)
- 設計機械設計(オークマ・DMG森精機・ヤマザキマザック)、制御設計(ヤマザキマザック)、電気制御設計(DMG森精機)、制御開発(牧野フライス製作所)
- 部品加工・組立機械加工・組立(オークマ)、製造(組立)(DMG森精機)、組立(ヤマザキマザック)
- システム案件プロジェクトマネージャ(DMG森精機)
- 修理・保守点検修理復旧エンジニア(DMG森精機)、サービスエンジニア(牧野フライス製作所・ヤマザキマザック)、新保全サービスの企画(牧野フライス製作所)
オークマ・牧野フライス製作所は新卒の募集職種、DMG森精機は経験者採用の募集職種、ヤマザキマザックは採用ページ「仕事と職種」の表記。会社によって職種の分け方と名前が違う。
機械本体の例をオークマで見ます。2026年3月期(日本基準)の売上高は2,359億円、営業利益は155億円、受注は2,408億円でした。機種別の売上は、マシニングセンタが56.1%、複合加工機が25.8%、NC旋盤が14.5%です。期末の受注残高は1,014億円で、受注残は次の期の売上のもとになります。会社は、米国の関税の負担を販売価格に転嫁するよう努めたと書いています。
牧野フライス製作所は、2026年3月期(日本基準)の売上高が2,612億円、営業利益が250億円、受注が2,700億円で、受注・売上とも過去最高だったとしています。
自動化の提案も広がっています。オークマは、江南工場の「Dream Site Engineered Solutions」で、受注した自動化ラインを集めて作り、お客さまがテスト加工や自動化ラインの構築、機能の確認をする場として使うとしています(2026年1月稼働)。DMG森精機の経験者採用では、複数の工作機械や搬送装置、ロボットなどを組み合わせた1〜10億円規模のシステム案件を担うプロジェクトマネージャを募集しています。ロボットや制御機器の会社がどう分担するかは「FA・産業用ロボットの業界地図」で扱います。
売った後の稼ぎを、セグメントとして示している例がDMG森精機です。2025年12月期(IFRS)の売上収益は5,150億円、営業利益は190億円でした。セグメントは、工作機械を作って売る「マシンツール」と、工作機械に関連する修理復旧やソリューションを提供する「インダストリアル・サービス」の2つです。外部顧客への売上収益は、インダストリアル・サービスが1,717億円で、外部売上の33.3%でした(計算値)。保守だけでなくソリューションの提供も含みます。セグメント利益(営業利益に持分法の損益を加えた会社の指標)は、マシンツールが86億円、インダストリアル・サービスが233億円です。どちらも全社の費用を配る前の値で、2つを足すと営業利益より大きくなります。受注では、MRO(保守・修理・オーバーホール)、スペアパーツ、エンジニアリングが1,259億円で、受注の24%でした。機械の受注の平均単価は7,960万円で、前の期の7,100万円から上がっています。
ファナックは、2026年3月期のサービスの売上高が1,411億円で、売上高の16.5%です。これはロボットなども含む全部門のサービスです。DMG森精機とファナックは、決算の期も、サービスの数え方も違うため、2社の割合は比べられません。オークマ、牧野フライス製作所、ツガミ、芝浦機械の決算短信は、売上を機種別や地域別に示しており、保守・部品の売上を分けていません。
輸出管理と対内直接投資:外為法のルール
工作機械は、輸出のルールの条文に名前が挙がる機械です。
外国為替及び外国貿易法(外為法)は、政令で定める特定の地域に特定の種類の貨物を輸出するとき、経済産業大臣の許可を受けることを義務づけています(第48条第1項)。その政令の輸出貿易管理令の別表第1には、「数値制御を行うことができる工作機械」が、核兵器に関わる項(2の項)と、工作機械などの項(6の項)に挙がっています。どちらも経済産業省令で定める仕様のものに限られ、仕向け地はすべての地域です。
仕様は貨物等省令が決めています。旋削・フライス削り・研削・放電加工などの機種ごとに、同時に制御できる軸の数や、同じ位置に何度戻れるかを示す位置決めの繰返し性などの値で決まります。たとえば旋削の機械では、輪郭制御(工具の通り道を連続して制御すること)ができる軸が2軸以上で、移動量1m未満の軸の位置決めの繰返し性が0.0009mm以下のものなどが挙がっています。工作機械すべてに許可が要るわけではなく、軸の数や精度などで決まる一定の仕様の機械が対象です。対象に当たるかの判断(該非判定)は、輸出する会社が行います。
技術にもルールがあります。政令で定める特定の技術を、特定の国で提供する取引や、特定の国の非居住者に提供する取引には、許可が必要です(第25条第1項)。対象の技術には、工作機械の数値制御装置として働くプログラムで、輪郭制御の軸が5以上のものなどがあります。日工会は、数値制御工作機械の技術の該非判定の手引きや、海外での部品の交換・機能の追加の考え方、製造後20年以内の中古工作機械を輸出するときの確認方法などの手引きを出しています。
ロシア向けには別の決まりがあります。輸出貿易管理令の別表第2の3に「工作機械及びその部分品並びに工作機械用の数値制御装置」が挙がり、ロシアを仕向け地とする輸出には経済産業大臣の承認が必要です(第2条第1項第1号の4)。
外為法は、会社の株を買う側にもルールを設けています。外国投資家は、政令で定める対内直接投資などを、前もって財務大臣と事業所管大臣に届け出なければなりません(第27条第1項)。国の安全などにかかわると認めるときは、国は内容の変更や中止を勧告することができます(第5項)。勧告を受けた者は、10日以内に受け入れるかどうかを通知しなければならず(第7項)、受け入れない場合などは変更や中止を命じることができます(第10項)。
この仕組みが表に出た例が、牧野フライス製作所です。会社の開示によると、2026年4月22日付で、財務大臣と経済産業大臣が、牧野フライス製作所の株式の公開買付けを計画していたMMホールディングスに外為法に基づき株式の取得を中止するよう勧告しました。MMホールディングスは4月30日に、公開買付けを実施しないと公表しています。牧野フライス製作所は2026年7月31日、日本産業推進機構からの買収提案について、外為法の手続きを通る見込みが高いとはいえないことなどを理由に、応じないと決めました。
安全のルール:作る側・売る側と使う側の決まり
工作機械は、回る刃物や材料で人がけがをするおそれのある機械です。労働安全衛生法は、作る側と使う側で、決まりの中身を分けています。
作る側について、法律は、機械などを設計・製造・輸入する者は、労働災害の防止に役立つように努めなければならないとしています(第3条第2項、努力義務)。労働安全衛生規則では、危険を及ぼすおそれのある機械を譲ったり貸したりする者は、危険な箇所や作業などを文書で相手の事業者に知らせるよう努めるとしています(第24条の13、努力義務)。厚生労働省の機械の包括的な安全基準に関する指針は、作る側がまず危険を調べて設計で減らし、残った危険を「使用上の情報」として使う側に渡す考え方を示しています。指針は、罰則のある義務ではありません。
ただし、作る側・売る側にも守らなければならない決まりがあります。動力で動く機械で、動く部分の突起物や、動力を伝える部分に覆いなどの措置がないものは、譲ったり、貸したり、売るために展示したりしてはいけません(第43条、規則第25条)。研削盤と研削といし、その覆いは、厚生労働大臣が定める規格を備えなければ、譲ったり、貸したり、設置したりできません(第42条、労働安全衛生法施行令第13条第3項第2号)。
使う側の事業者には、義務があります。法律は、機械などによる危険を防ぐために必要な措置を講じなければならないとしています(第20条)。規則には「工作機械」の節(第112〜121条)があり、突き出して回る加工物の覆い(第113条)や、研削といしの覆い(第117条)などを定めています。研削といしの取り替えや、取り替えたときの試運転の業務は、特別の教育が必要な業務です(第36条第1号)。
第20条などの義務を負うのは、機械を使う工場の事業者です。法律は、事業を行い、労働者を使う者を「事業者」としています(第2条第3号)。そのため、メーカーも、自社の工場で働く人に機械を使わせるときは、事業者として第20条などの義務を負います。
営業・営業技術・設計・組立・サービスの仕事
工作機械の仕事は、引き合い(問い合わせ)を受けてから、加工の提案、設計、組立、納品、保守まで続きます。職種の名前は会社ごとに違うため、採用ページの例を会社名つきで見ます。
| 会社 | 採用の区分 | 職種の名前(採用ページの表記の例) |
|---|---|---|
| DMG森精機 | 経験者採用 | 修理復旧エンジニア、加工ソリューションエンジニア、機械設計、電気制御設計、製造(組立)、プロジェクトマネージャ |
| オークマ | 新卒 | 国内営業、海外営業、営業技術、機械設計、ソフトウェア開発・設計、機械加工・組立 |
| 牧野フライス製作所 | 新卒 | 国内・海外営業、加工技術開発、マシニングセンタ・放電加工機の開発設計、制御開発、サービスエンジニア、新保全サービスの企画 |
| ヤマザキマザック | 仕事と職種 | 営業(国内)、アプリケーションエンジニア、機械設計、制御設計、組立、サービスエンジニア |
営業と設計の間には、加工の技術で提案する仕事があります。オークマの採用ページでは、営業技術は、お客さま向けの機械の加工技術の提案と仕様の見積り、技術の打合せ、刃物の取り付け方などのツーリング設計、テスト加工、受注した製品の技術的なフォローをすると説明しています。DMG森精機の加工ソリューションエンジニアは、自社の機械を使ってお客さまに技術を提案する仕事で、勤務地は三重・奈良・東京です。
売った後の仕事が、サービスエンジニアです。DMG森精機の修理復旧エンジニアは、お客さまの工場へ出張し、工作機械の修理や保守点検をする仕事で、勤務地は東京・大阪・愛知と全国の営業拠点です。牧野フライス製作所とヤマザキマザックも、サービスエンジニアを採用の職種に挙げています。
設計は、機械の本体と、動きを決める制御に分かれます。CNCを自社で作るオークマでは、電気電子系の部門で制御ソフトウェアや制御装置、モータ・センサ、自動化システムの開発・設計をしています。DMG森精機の電気制御設計は、PLC(機械を順番どおりに動かす制御装置)の設計です。
求人を見るときは、次の点を確かめると、仕事の中身を比べやすくなります。
- どの機種の会社か:マシニングセンタ・旋盤・研削盤・放電加工機のどれが中心か。工具や商社の仕事か
- お客さまの業種:自動車・一般機械・電気機械・航空機などのどこか。加工の難しさと提案の中身が変わる
- 海外との関わり:海外の売上や拠点の比重、海外出張や駐在の有無。輸出管理の手続きにかかわるか
- 受注の波と仕事量:受注残の動きと、繁忙期の働き方
- 売った後の仕事:修理・保守点検の担当地域と出張の頻度、自動化の案件にかかわるか
- 安全の説明:使用上の情報をお客さまに伝える場面が、仕事のどこにあるか
半導体製造の各工程で使う専用装置と、その事業の仕組みは、半導体製造装置の業界地図で確かめられます。
工作機械を使って部品を加工する会社の品目と取引は、自動車部品の業界地図で確かめられます。



