自動車部品を、日本自動車部品工業会の品目区分、完成車メーカーに直接納めるかどうかで分けるTier1・Tier2以下(業界の呼び方)の層、組付・補修・部品メーカー向けの出荷先、電動車両用部品の内訳、新車用と市販用のタイヤで整理します。工場の規模の分布、主要顧客と資本関係の開示の読み方、道路運送車両法の型式指定とリコール、取適法の支払のルール、設計開発・生産技術・品質保証などの求人を見比べる確認点も分かる内容です。

自動車部品の会社の求人には、ブレーキやトランスミッションの設計、新しい部品を量産に乗せる生産技術、工場の品質保証、完成車メーカーを担当する営業、タイヤの材料開発まで、幅があります。同じ「自動車部品」でも、作る品目、納める相手、海外との関わりによって、仕事の中身が変わります。

この記事では、まず部品を品目で分けます。次に、Tier1・Tier2以下という層と完成車メーカーとの関係を見ます。Tierは、完成車メーカーに直接納めるか、ほかの部品メーカーに納めるかで分ける業界の呼び方で、統計の区分ではありません。続いて、出荷先(組付と補修、国内と海外)、電動化で増える品目、タイヤを見ます。最後に、部品にかかわる法律と、仕事と求人票の確認点をまとめます。

完成車メーカーの比較や国内の生産・販売の台数、販売会社と整備のつながりは、完成済みの「自動車業界の地図」で扱っています。この記事は、その中の部品の側を一段深く見るものです。部品の材料や工程、隣の製品は、次の地図で扱います。

  • 整備工場が補修部品を仕入れて修理で使う側、タイヤ・オイルの交換作業、車検の仕組み:「自動車整備の業界地図」
  • 車載電池のセル・パック・材料:「電池・蓄電池の業界地図」
  • 車載半導体の製造:「半導体の業界地図」
  • コンデンサ・コネクタ・センサーなどの電子部品の会社:「電子部品・センサーの業界地図」
  • 鋳造・鍛造・プレス・めっきなどの受託加工:「金属加工の業界地図」
  • 防振ゴム・ホース・樹脂部品の成形:「プラスチック・ゴム製品の業界地図」
  • 合成ゴムなどの素材:「石油化学の業界地図」
  • 電線や銅の素材:「非鉄金属の業界地図」
  • 自動車用の鋼材:「鉄鋼の業界地図」
  • 二輪車の部品と販売店:「二輪車(バイク)の業界地図」

部品は品目で読む:9つの区分と主な品目

「自動車業界の地図」では、部品が部品メーカーどうしの取引を経て完成車メーカーへ届くこと、部品メーカーの多くが複数の完成車メーカーと取引することを見ました。業界団体の日本自動車部品工業会(JAPIA)の会員のうち、回答した293社の2024年度(2024年4月〜2025年3月)の部品の出荷額は20兆7,070億円でした。この記事では、その中身を品目・層・出荷先に分けて見ます。

部品・完成車・販売・整備のお金と仕事のつながりは、自動車業界の地図で確かめられます。

この記事で「自動車部品」と呼ぶのは、国の産業分類の細分類3113「自動車部分品・附属品製造業」に当たるものが中心です。2025年経済構造実態調査では、3113は7,003事業所、従業者64万3,455人(2025年6月1日現在)で、2024年の製造品出荷額等は約41.7兆円でした。ただし、タイヤ(1911 自動車タイヤ・チューブ製造業)はゴム製品に、エンジンまわりの電装品(2922 内燃機関電装品製造業)は電気機械器具に分類され、3113の外にあります。この記事では、この2つも部品に含めて扱います。輸送機器全体の中での部品の大きさは「自動車・輸送機器の業界地図」で扱っています。

ほかの輸送機器との違いを見渡すには、自動車・輸送機器の業界地図で確かめられます。

JAPIAの調査は会員が答えた会社単位・年度の部品だけの出荷額、経済構造実態調査はすべての事業所を対象にした暦年の値で、事業所の間の取引を重ねて数えます。範囲も年も数え方も違うため、この記事では2つを比べません。

JAPIAは部品を9つの区分に分けて集計しています。品目まで回答された分の合計(品目計)は19兆7,303億円で、その構成は次のとおりです。車体部品が22.1%、駆動・伝導及び操縦装置部品が17.9%、電装品・電子部品(車体関係)が16.8%、電装品・電子部品(エンジン関係)が14.6%、エンジン部品が13.2%、電動車両用部品が6.6%、情報関連部品が4.1%、懸架・制動装置部品が3.8%、用品が1.0%です。品目計は総額と一致しません。品目を答えていない分を含まないためです。

区分の中の主な品目の例には、自動トランスミッション(1兆3,173億円)、シート及びシートスプリング(9,836億円)、冷房装置(8,223億円)、ワイヤー・ハーネス(車の中の電線の束、7,836億円)、ナビゲーションシステム及び関連機器(6,628億円)があります。なお「電装品・電子部品(エンジン関係)」はJAPIAの区分の名前で、冷房装置やブレーキ関係の電子装置など、エンジン車に限らない品目も入っています。

自動車部品は9つの区分に分かれ、車体部品が2割強、駆動系・2つの電装品・エンジン部品の区分がそれぞれ1割台を占める

日本自動車部品工業会(JAPIA)の会員のうち回答した293社の2024年度の品目計(19兆7,303億円)を100%として、9つの区分の構成比を棒で示した。右に区分の中の主な品目の金額と、会社の説明から品目との対応が分かる会社の例を添えた。会社の大きさは示していない。

区分品目計に占める割合主な品目の例(億円)会社の例(品目との対応)
車体部品
シート及びシートスプリング 9,836/内装品類 6,016/乗用車用プレス部品 4,605
会社の例:—
駆動・伝導及び操縦装置部品
自動トランスミッション 1兆3,173/トランスミッション用部品 4,268
会社の例:アイシン(トランスミッション)、Astemo(ステアリング・ドライブトレイン)
電装品・電子部品(車体関係)
ワイヤー・ハーネス 7,836/コネクタ 3,289/前照灯 3,005/車載カメラ 2,971
会社の例:住友電気工業・矢崎総業(ワイヤーハーネス)、小糸製作所(自動車照明器)
電装品・電子部品(エンジン関係)
冷房装置 8,223/電子部品及びセンサー類 4,481/ブレーキ関係電子装置 3,677
会社の例:—
エンジン部品
エギゾーストパイプ・マニホールド及びマフラ 2,801/ラジエータ 2,183
会社の例:—
電動車両用部品
パワーコントロールユニット 4,229/AC-DC・DC-DCコンバータ 1,785/電動車両用モータ 1,764/駆動用バッテリー 1,599
会社の例:アイシン(eAxle)、Astemo(モーター・インバーター)
情報関連部品
ナビゲーションシステム及び関連機器 6,628
会社の例:—
懸架・制動装置部品
サスペンションやブレーキの部品など
会社の例:Astemo(ブレーキ・サスペンション)
用品
—
会社の例:—

会員のうち回答した293社の値で、業界全体ではない。品目計は品目まで回答された分の合計で、総額とは一致しない。「エンジン関係」はJAPIAの区分の名前で、冷房装置などエンジン車に限らない品目を含む。電動車両用部品には駆動用バッテリー(キャパシタを含む)が入る。億円は百万円の値を四捨五入した。会社の例は、決算短信や会社サイトの事業の説明から品目との対応が分かるものだけで、会社の売上の大きさや品目のシェアは示さない。タイヤはJAPIAの品目になく、別の統計で見る。

出典:日本自動車部品工業会「2024年度 自動車部品出荷動向調査結果」。会社の例はアイシン・住友電気工業・小糸製作所の2026年3月期決算短信、Astemo「数字で見るAstemo」、矢崎総業 会社概要。棒の長さは構成比に比例。

会社の例を、作る品目で見ます。アイシンは決算短信で、ハイブリッドトランスミッションやeAxle、オートマチックトランスミッションの販売を説明しています。Astemoは、ブレーキ・ステアリング・サスペンション・ドライブトレインやモーター・インバーターなどを事業として紹介しています。住友電気工業の自動車関連事業ではワイヤーハーネスや防振ゴムの需要が堅調だったと書かれ、小糸製作所は主に自動車照明器を生産すると説明しています。小糸製作所には、鉄道車両用の制御機器や航空機部品などの事業もあります。

会社の売上は品目ごとの売上ではないので、品目の金額と結びつけて読むことはできません。この記事では会社の大きさを比べず、品目と会社の対応だけを示します。

Tier1とTier2以下:層は「直接納めるか」で分かれる

求人でよく見る「Tier1(ティアワン)」「Tier2」は、業界の呼び方で、統計の区分ではありません。この記事では、完成車メーカーに直接納める部品メーカーをTier1、Tier1などほかの部品メーカーに納める会社をTier2以下と呼びます。図では、Tier1がシートやブレーキのようなまとまった装置(システム・モジュール)を、Tier2がその中に入る部品や電子部品を、Tier3以下が鋳物・鍛造品・プレス品などの素形材や加工を担う形で整理しました。実際には、同じ会社がある製品ではTier1、別の製品ではTier2になることもあります。

層に近いものを統計で見る方法は2つあります。1つは、完成車メーカーと直接取引しているかどうかです。JAPIAの回答293社のうち、国内の四輪・二輪メーカーと直接の取引がない会員が60社ありました。直接取引する完成車メーカーの数では、1社が29社、2社が26社、3〜4社が34社、5〜14社が144社です。出荷額が2,000億円を超える19社のうち16社は、5〜14社と取引しています。

もう1つは出荷先です。293社の出荷額のうち、ほかの部品メーカー向けが国内・海外を合わせて20.9%ありました(国内と海外の内訳は図の注)。ただし、これらは「直接の取引がない会員」と「部品メーカー向けの出荷」の数字で、Tier2の会社の数や出荷額そのものではありません。

JAPIAの回答会社の中でも、出荷額は一部の会社に集まっています。出荷額が2,000億円を超える19社で、293社の出荷額の65.5%を占めます。資本金が100億円を超える46社は57.3%、資本金3億円以下の140社は9.2%です(3億円以下の合計は計算値)。一方、出荷に占める自動車部品の割合が30%未満の会員も59社あり、別の事業を持つ会社も含まれます。

会員に限らない工場の姿は、経済構造実態調査の3113で見られます。事業所が属する会社の資本金で分けると、資本金3億円以上の会社の事業所は704で全体の10.1%ですが、従業者の57.5%、出荷額等の79.5%を占めます。3億円未満の会社の事業所は全体の89.9%で、従業者の42.5%、出荷額等の20.5%です(いずれも計算値)。従業者の人数で分けても、300人以上の事業所は5.8%で、従業者の58.1%、出荷額等の78.6%を占めます。29人以下の事業所は60.4%ありますが、従業者の6.9%、出荷額等の2.3%です(計算値)。

事業所の数では小さな工場が多く、出荷額等では大きな工場が中心です。ただし、大きな会社の工場がほかの部品メーカーに納めることもあり、規模とTierは同じではありません。この調査は2024年の実績から範囲が変わったため、前の年とは比べません。

部品は段を経て完成車メーカーへ届き、工場の数では小さな事業所が多く、出荷額等では大きな会社の事業所が中心

上はTier(業界の呼び方で、統計の区分ではない)の代表的な流れを模式的に示した。下の左はJAPIAの回答会社の直接取引の状況、下の右は経済構造実態調査(全事業所)の自動車部分品・附属品製造業(3113)を、事業所の会社の資本金で分けた構成比。左と右は単位も範囲も違うため、比べない。

JAPIAの回答293社:国内の四輪・二輪メーカーと直接取引する数
  • 直接の取引なし:60社
  • 1社と取引:29社
  • 2社:26社
  • 3〜4社:34社
  • 5〜14社:144社

出荷先では、293社の出荷額のうち国内の部品メーカー向けが13.2%、海外の部品メーカー向けが7.7%(計20.9%)。どちらもTier2の会社数・出荷額そのものではない。

経済構造実態調査 3113:事業所の会社の資本金で分けた構成比
事業所
従業者
出荷額等
  • 資本金3億円以上の会社の事業所(事業所は10.1%)
  • 資本金3億円未満の会社の事業所

従業者の人数で分けると、300人以上の事業所は5.8%で従業者の58.1%・出荷額等の78.6%、29人以下の事業所は60.4%で従業者の6.9%・出荷額等の2.3%。

Tierは業界の呼び方で、同じ会社が製品によってTier1にもTier2にもなる。資本金や従業者の規模からTierを判断することはできない。経済構造実態調査は事業所単位で、事業所数・従業者数は2025年6月1日現在、出荷額等は2024年1〜12月。2024年の実績から調査の範囲が変わったため、前の年と比べない。JAPIA(会員の回答、会社単位、年度)とは比べない。構成比は本記事で計算。

出典:日本自動車部品工業会「2024年度 自動車部品出荷動向調査結果」、経済産業省「2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査(産業別)」第1表・第5表・第7表、デンソー 2026年3月期決算短信、Astemo「当社の資本構成変更の完了に関するお知らせ」(2026年10月1日)、矢崎総業 会社概要。

完成車メーカーとの関係は、主要な顧客と資本の2つで確かめられます。デンソーは決算短信で、主要な顧客をトヨタグループと開示しています。2026年3月期(IFRS)のトヨタグループへの売上収益は4兆1,346億円で、連結売上収益の54.8%でした(計算値)。残りの45.2%は、ほかの顧客への売上です。「トヨタグループ」の範囲はデンソーの定義によります。主要な顧客の割合は、会社ごとに決算短信や有価証券報告書で確かめられます。

資本の関係も動いています。ブレーキやステアリングなどを手がけるAstemoは、2026年10月1日に本田技研工業が61.0%を持つ連結子会社になりました。Astemoは自社サイトで、顧客を世界の四輪車・二輪車メーカー約70社と紹介しています(2026年3月期の概数)。

完成車メーカー以外の会社が、自動車部品を大きな事業にしている例もあります。ワイヤーハーネスを作る非上場の矢崎総業は、資本金31億9,150万円で、会社概要ではグループの従業員を23万492人、そのうち海外を21万2,864人としています。電線の会社では住友電気工業が例で、2026年3月期(日本基準)の自動車関連事業の売上高は2兆9,372億円(セグメント間の取引を含む)、報告セグメントの合計の56.1%でした(計算値)。この事業には、ワイヤーハーネスのほか防振ゴムなども含まれます。この記事では、出資の比率や主要な顧客を開示で確かめられる範囲だけで、会社と完成車メーカーの関係を書いています。

Tier2以下の工程のうち、鋳造・鍛造・プレス・めっきなどの工程と技能は「金属加工の業界地図」で扱います。

組付と補修、国内と海外:品目で出荷先が違う

JAPIAは出荷先を3つに分けています。完成車メーカーなどの組立ラインに納める「組付」、交換用の部品・用品として出す「補修」、ほかの部品メーカーに納める「部品メーカー向け」です。それぞれ国内と海外に分かれます。ここでいう海外は、自社や自社系列の販売会社が直接輸出した部品で、海外の子会社が現地で作った部品は入りません。四輪車用の部品では、出荷額の21.6%が海外向けでした(四輪の輸出比率)。

出荷先の割合は、品目によって大きく違います。以下、この章の品目ごとの割合は、JAPIAの品目別・出荷先別の表から計算した値です。

  • 自動トランスミッションは、50.7%が海外の組付向けで、国内の組付向けの44.3%を上回ります。
  • シートは、84.7%が国内の組付向け、14.8%が国内の部品メーカー向けで、海外への出荷はほとんどありません。
  • ワイヤー・ハーネスは、70.2%が国内の組付向けで、28.7%が海外の部品メーカー向けです。
  • 冷房装置は、部品メーカー向けが国内・海外を合わせて37.1%で、補修向けも9.0%あります。
  • 補修向けの割合は、情報関連部品の区分全体で16.3%、品目では前照灯が9.3%です。車体部品の区分では1.2%です。
  • 電動車両用部品は、補修向けが0.2%と小さく、パワーコントロールユニット(PCU)は94.4%が組付向けです。

同じ部品でも、海外の組付向けが半分の品目、国内の組付向けがほとんどの品目、補修向けが1割を超える区分がある

JAPIAの品目別・出荷先別の表から、品目ごとに出荷額の合計を100%として、出荷先の割合を本記事で計算した。全体の出荷先の割合は「自動車業界の地図」で扱っている。

  • 国内の組付向け
  • 海外の組付向け
  • 補修向け
  • 国内の部品メーカー向け
  • 海外の部品メーカー向け
  • 二輪車用
自動トランスミッション1兆3,173億円

海外の組付 50.7%/国内の組付 44.3%

シート及びシートスプリング9,836億円

国内の組付 84.7%/国内の部品メーカー 14.8%

ワイヤー・ハーネス7,836億円

国内の組付 70.2%/海外の部品メーカー 28.7%

冷房装置8,223億円

部品メーカー向け 計37.1%(国内18.9%・海外18.2%)/補修 9.0%

前照灯3,005億円

国内の組付 69.1%/補修 9.3%

情報関連部品(区分の計)8,118億円

補修 16.3%/海外の組付 17.9%

車体部品(区分の計)4兆3,597億円

国内の組付 76.9%/補修 1.2%

パワーコントロールユニット4,229億円

国内の組付 69.1%/海外の組付 25.3%

会員のうち回答した293社の2024年度の値で、業界全体ではない。品目まで回答された分だけで計算した。国内の組付向けには車体メーカー向けを含む。補修向けは、自動車メーカー向けの補修(国内・海外)、部販・共販向、直接市場向(国内・海外)の合計。海外は自社と自社系列の販売会社が直接輸出した部品で、海外の子会社が現地で作った部品は含まない。JAPIAの総額に占める補修の割合は、品目に割り振られていない二輪車用の海外の補修を含むため、四輪の補修部品の大きさとしては読まない(四輪の補修部品・用品は総額の4.0%、本記事で計算)。四捨五入のため、合計が100%にならない行がある。

出典:日本自動車部品工業会「2024年度 自動車部品出荷動向調査結果」(品目別出荷先別出荷金額、需要先別・組付補修別の表)。割合は本記事で計算。

補修の大きさを読むときは注意が必要です。「自動車業界の地図」で見た補修用の8.2%には、二輪車用の海外向けの補修が含まれ、補修向けの出荷額の51.2%を占めます(計算値)。そのため、この8.2%を四輪の補修部品の割合として読むことはできません。四輪車用の補修部品・用品の出荷額は8,220億円で、総額の4.0%でした(計算値)。内訳は補修部品が6,766億円、用品が1,454億円です。出荷先は、自動車メーカー向けが33.1%、JAPIAの区分で「部販・共販向」が10.5%、「直接市場向」が56.4%でした。

この記事が扱うのは、補修部品の出荷(部品メーカーの側)までです。整備工場が補修部品を仕入れて修理で使う側や、交換の作業・車検の決まりは「自動車整備の業界地図」で扱います。

電動化で変わる品目:伸びる電動車両用部品と、なお大きな金額を占めるエンジン車向け部品

JAPIAの区分には、ハイブリッド車・燃料電池車・電気自動車に使う「電動車両用部品」があります。2024年度の出荷額は1兆2,971億円で、品目計の6.6%でした。主な内訳は、モーターに送る電力を制御するPCUが4,229億円、AC-DC・DC-DCコンバータ(インバータを含む)が1,785億円、電動車両用モータが1,764億円、駆動用バッテリーが1,599億円、モーターなどを一体にした駆動ユニットのeアクセルが568億円、車載充電器が119億円などです。ほかに、JAPIAの区分で「その他の電動車両用部品」が2,865億円あります。

この金額には、駆動用バッテリー(キャパシタを含む)が入っています。電動車両用部品の金額は、電池を含む値として読みます。駆動用バッテリーは96.6%が国内の組付向けに出荷されていました(計算値)。電池のセル・パックを誰が作るか、材料は何かは「電池・蓄電池の業界地図」で扱います。

回答する会社は年によって変わり、2023年度は290社でした。そのため、前年度との比較は、両方の年度に回答した240社に限って見ます。この240社では、電動車両用部品の出荷額が前年度の117.3%で、品目計の97.6%を上回りました。駆動・伝導及び操縦装置部品は91.4%、車体部品は91.3%でした。エンジン部品は102.0%で前年度を上回っており、1年の数字から「エンジンの部品が減っている」とは言えません。

エンジン車に使う品目にも、大きな金額があります。自動トランスミッションは1兆3,173億円、エギゾーストパイプ・マニホールド及びマフラ(排気の管と消音器)は2,801億円、スパーク・プラグは2,351億円、触媒装置は1,315億円、ガソリン用燃料噴射ノズルは1,208億円でした。

会社の事業にも、品目の入れ替わりが表れています。アイシンは2026年3月期の決算短信で、日本のセグメントはハイブリッドトランスミッションとeAxleの販売台数の増加で増収、北米はハイブリッドトランスミッションの生産台数の増加で増収、欧州と中国のセグメントはオートマチックトランスミッションの販売台数の減少で減収と説明しています。Astemoは、モーター・インバーターや運転支援(AD/ADAS)を「電動ビジネス事業」とし、売上収益の約26%と紹介しています(2026年3月期の概数)。

運転を支える機能に使う部品では、2024年度の出荷額が車載カメラで2,971億円、ミリ波レーダーで1,065億円でした。車の機能をソフトウェアで更新する「ソフトウェア定義車両(SDV)」の政府の目標は、「自動車業界の地図」で扱っています。

電動化や電子制御の部品には半導体が使われます。部品メーカーの中にも、半導体にかかわる職種を置く会社があり、デンソーの新卒採用には「電動化エンジニア」「半導体エンジニア」の区分があります。車載半導体の製造は「半導体の業界地図」で扱います。

車載半導体を作る会社の工程分業と製品の違いは、半導体の業界地図で確かめられます。

主力となる部品が変わると、設計開発・生産技術・品質保証では、新しい部品の設計、量産工程の構築、品質基準や検査方法の整備が必要になります。

電動車両用部品は同じ240社で前年度より17.3%増えたが、エンジン車の品目にも大きな金額がある。タイヤは国内需要の6割強が市販用

前半はJAPIAの電動車両用部品の内訳と、両方の年度に回答した240社での前年度比、エンジン車に使う品目の金額。後半はタイヤの国内需要(JATMA、四輪車用、本数)。前半と後半は単位も統計も違う。

前半:電動化の部品(JAPIA、会員のうち回答した293社、2024年度)

電動車両用部品(ハイブリッド車・燃料電池車・電気自動車用)の出荷額1兆2,971億円(品目計の6.6%)の内訳

  • パワーコントロールユニット 4,229億円
  • AC-DC・DC-DCコンバータ(インバータを含む) 1,785億円
  • 電動車両用モータ 1,764億円
  • 駆動用バッテリー 1,599億円(電池。電池・蓄電池の業界地図へ)
  • eアクセル 568億円
  • 車載充電器 119億円
  • 昇圧コンバータ・FCスタック(2品目の合計) 42億円
  • その他の電動車両用部品 2,865億円

エンジン車に使う品目の例(2024年度の出荷額。増減は示さない)

  • 自動トランスミッション 1兆3,173億円
  • エギゾーストパイプ・マニホールド及びマフラ 2,801億円
  • スパーク・プラグ 2,351億円
  • 触媒装置 1,315億円
  • ガソリン用燃料噴射ノズル 1,208億円

仕事の変化の例:設計開発は新しい駆動ユニットと制御、生産技術は新しい部品を量産する工程、品質保証は新しい部品の品質の確かめ方。アイシンは、日本のハイブリッドトランスミッション・eAxleの増加と、欧州・中国のオートマチックトランスミッションの減少を決算短信で説明している(会社の記述)。

後半:タイヤの国内需要(JATMA、四輪車用、2025年の実績)
  • 新車用 3,713万本(前年比102%)
  • 市販用 6,605万本(前年比103%)、四輪の64.0%
市販用のうち冬用
2,228万本市販用の33.7%
国内の生産(2025年)
1億2,328万本日本のタイヤ産業2026
JATMAの会員
正会員4社・準会員3社ブリヂストン・住友ゴム工業・横浜ゴム・TOYO TIRE/日本ミシュランタイヤ・日本グッドイヤー・ピレリジャパン

市販用はメーカー出荷の本数。販社販売という別の数え方があり、足さない。新車用は一部の会員を含まない。会員の輸入品を含み、輸出は含まない。生産は需要と範囲が違うため比べない。

電動車両用部品の金額には駆動用バッテリー(キャパシタを含む)が入る。前年度比は両方の年度に回答した共通の240社の値で、293社と前年度の290社の差ではない。「エンジン部品」はJAPIAの区分で、前年度比は品目計を上回った。億円・万本は元の単位の値を四捨五入した。帯の幅、市販用の割合(64.0%)は本記事で計算。

出典:日本自動車部品工業会「2024年度 自動車部品出荷動向調査結果」、アイシン 2026年3月期決算短信、日本自動車タイヤ協会「2025年自動車タイヤ国内需要実績」「2026年 自動車タイヤ国内需要年央見直し」「日本のタイヤ産業2026」。

タイヤ:新車用と市販用で、相手と売り方が違う

タイヤは、統計では「ゴム製品製造業」に入ります。経済構造実態調査では、細分類1911「自動車タイヤ・チューブ製造業」は39事業所、従業者2万2,937人で、2024年の出荷額等は約1.6兆円でした。従業者の95.1%が、300人以上の21事業所で働いています(計算値)。少数の大きな工場で作られる製品です。

業界団体の日本自動車タイヤ協会(JATMA)の正会員は、ブリヂストン・住友ゴム工業・横浜ゴム・TOYO TIREの4社です。準会員として、日本ミシュランタイヤ・日本グッドイヤー・ピレリジャパンの3社がいます(日本のタイヤ産業2026)。

タイヤの需要は、新車に付ける「新車用」と、使っている車のタイヤを替えるときの「市販用」に分かれます。JATMAの2025年の国内需要実績によると、四輪車用の新車用は3,713万本(前年比102%)、市販用は6,605万本(同103%)でした。四輪の64.0%が市販用です(計算値)。市販用のうち冬用は2,228万本で、市販用の33.7%でした。

市販用の本数はメーカーが出荷した本数で、販売会社が売った本数(販社販売)という別の数え方とは足しません。国内の需要なので、輸出は入りません。

JATMAは2026年7月14日の年央見直しで、2026年の四輪車用の見通しを、新車用3,705万本(前年比100%)、市販用6,448万本(98%)としています。これは業界団体の見通しで、実績ではありません。「日本のタイヤ産業2026」によると、国内のタイヤの生産は2025年に1億2,328万本でした。

新車用は、完成車メーカーに納める部品の取引です。市販用は、車の使用者がタイヤを替えるときの需要で、タイヤの販売会社などを通して売られます。同じタイヤの会社でも、新車用と市販用では相手と売り方が違います。

会社の例を2つ見ます。どちらも12月期の決算で、3月期の部品メーカーとは期間が違います。ブリヂストンの2025年12月期(IFRS)の売上収益は、継続事業で4兆4,295億円でした。外部の顧客への売上を地域で分けると、米州が47.6%、日本が22.4%です(計算値)。日本では、市販用の乗用車用・小型トラック用とトラック・バス用の販売本数が順調で、新車用の乗用車用・小型トラック用は前の期を下回ったと説明しています。

住友ゴム工業の2025年12月期(IFRS)の売上収益は1兆2,071億円で、そのうちタイヤ事業が1兆437億円、86.5%でした(計算値)。国内では、新車用タイヤの販売本数が前の期を上回り、市販用タイヤは下回ったと説明しています。2社の説明は、新車用と市販用のどちらが伸びたかで違います。業界全体の数字と1社の動きは、一致するとは限りません。

この章はタイヤの製造と販売までを扱い、タイヤの交換作業は「自動車整備の業界地図」、タイヤの材料になる合成ゴムは「石油化学の業界地図」で扱います。市販用のタイヤには、ほかの部品と違うリコールの決まりがあります。次の章で見ます。

部品にかかわるルール:保安基準・型式指定・リコール・取適法

道路運送車両法は、原動機や動力伝達装置、制動装置、灯火装置などの装置が、国土交通省令で定める技術基準(道路運送車両の保安基準)に合わなければ、その車を運行に使ってはならないと定めています(第41条)。これは車を使う側への禁止で、部品メーカーに直接の義務を課すものではありません。ただ、基準に合わない車は運行できないため、部品の仕様を決める際の前提になります。

装置には、申請による型式の指定もあります。国土交通大臣は、申請により、装置のうち省令で定める「特定装置」を、その型式について指定します(第75条の3)。保安基準に合うかと、作られる物が均一かを判定し、取り付けられる車の範囲を限ることもあります。申請による制度で、すべての部品に義務づけられてはいません。指定を受けた装置には特別な表示を付けることができ、それ以外の物に同じ表示や紛らわしい表示を付けることは禁じられています(第75条の4)。

リコール(改善措置)の届出の義務を負うのは、完成車メーカーや輸入者などの「自動車製作者等」です。設計や製作に原因があり、同じ型式の車が保安基準に合わない(おそれがある)として改善措置を講じようとするときは、あらかじめ国土交通大臣に届け出なければなりません(第63条の3第1項)。組み付けられた部品の不具合でも、届け出るのは部品メーカーではありません。ただし国は、基準に合わない車の自動車製作者等に加えて、不適合のおそれのある装置を作った「装置製作者等」にも、報告をさせたり、立入検査をしたりすることができます(第63条の4)。

タイヤとチャイルドシートは、政令で「特定後付装置」と定められています(道路運送車両法施行令第7条)。市販用として売られたこれらの装置が、設計や製作の原因で保安基準に合わない(おそれがある)として、改善措置を講じようとする装置製作者等、つまりタイヤの会社などは、あらかじめ国土交通大臣に届け出なければなりません(第63条の3第2項)。新車に付けられたタイヤは、車の製作の過程で取り付けられた装置として、自動車製作者等の側で扱われます。国は、自動車製作者等や装置製作者等に改善措置を勧告することができ、従わないときは公表することができ、なお正当な理由なく措置をとらないときは命令することができます(第63条の2)。

取引の決まりでは、2026年1月1日から、旧称・下請代金支払遅延等防止法(下請法)が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)」に改められました。対象の「製造委託」には、部品・附属品の製造の委託と、その製造に専ら使う金型などの型や治具の製造の委託が含まれます(第2条第1項)。どの取引が対象になるかは、委託する側と受ける側の資本金(3億円・1千万円の区切り)と、常時使用する従業員の数(300人の区切り)の組合せで決まります(第2条第8項・第9項)。

義務を負い、禁止事項の対象となるのは、発注する側の「委託事業者」です。義務には、代金の支払期日を、物を受け取った日から60日以内のできるだけ短い期間で定めること(第3条)、発注内容・代金額・支払期日などを書面または電子的な方法ですぐに明示すること(第4条)、取引書類を作成・保存すること(第7条)などがあります。禁止事項には、受け取りの拒否、支払の遅れ(手形払いや、期日までに現金化しにくい方法での支払いを含む)、減額、返品、買いたたき、物の購入の強制、報復などがあります(第5条第1項)。受ける側が費用の変動などを理由に代金の協議を求めたのに、協議に応じず、必要な説明もしないまま一方的に代金を決め、その利益を不当に害することも禁じられています(第5条第2項第4号)。

Tierの章で見た経済構造実態調査の資本金3億円の区切りは、取適法と同じ数字ですが、統計は「以上・未満」、法律は「超・以下」で区切り方が違います。また、3億円未満の会社の取引がすべて対象になるわけではありません。取引ごとに、両方の会社の資本金と従業員の数で決まります。

業界団体の自主的な計画もあります。日本自動車工業会は、取適法や経済産業省の「自動車産業適正取引ガイドライン」などを踏まえた自主行動計画を2025年12月24日に改訂し、価格の決め方、型の保管、支払方法の改善を掲げています。法律の義務ではなく、業界団体の自主的な取り組みです。

決まり根拠誰に向けたものか性格
装置が技術基準に合わない車の運行道路運送車両法第41条車を使う側禁止
装置(特定装置)の型式の指定同法第75条の3申請した者申請による制度
改善措置(リコール)の届出同法第63条の3第1項自動車製作者等義務
市販用のタイヤ・チャイルドシートの改善措置の届出同法第63条の3第2項、施行令第7条装置製作者等義務
報告・立入検査同法第63条の4自動車製作者等、不適合のおそれのある装置の装置製作者等国が「できる」
支払期日の決定・明示・書類の保存取適法第3条・第4条・第7条委託事業者義務
支払の遅れ(手形を含む)・減額・買いたたきなど取適法第5条委託事業者禁止

仕事と求人票で確かめること

部品メーカーの仕事は、完成車メーカーの開発に合わせた設計から、量産の準備、日々の生産と品質の保証へと続きます。職種の名前は会社ごとに違うため、採用ページの例を会社名つきで見ます。

会社採用ページの区分職種の名前(表記の例)
アイシン職種紹介技術職:設計開発・生産技術・製造技術・製造品質。技能職:生産
住友ゴム工業職種紹介技術系:研究開発・タイヤセンシング・ソリューション開発・材料開発・タイヤ技術・生産技術・設備技術・技術サービスなど。事務系:営業部門・管理部門・SCM部門
住友ゴム工業新卒採用の募集要項(2027年3月卒業見込みの人が対象)技術系総合職:設計・生産技術・設備技術・材料開発・研究開発・品質保証など。事務系総合職:国内・海外営業、サプライチェーンなど

アイシンは、生産技術を、設計された製品を量産するための工程や技術を考える仕事と説明しています。製造品質は、設計から製造までのすべての工程で品質を保証する仕事です。同じ「品質」の仕事でも、アイシンは「製造品質」、住友ゴム工業の募集要項は「品質保証」と、呼び方が違います。

タイヤの会社には、材料開発やタイヤ技術、技術サービスといった、タイヤに固有の職種があります。住友ゴム工業は、年度によって募集する職種が違うと明記しています。ここに挙げたのは1社ずつの区分で、業界に共通の職種名ではありません。

求人票では、次の点を確かめると、同じ「自動車部品」の求人どうしを比べやすくなります。

  • 品目:どの区分の部品か(車体・駆動・電装・電動車両用など)。エンジン車向けか、電動車両向けか、その両方か
  • 層:完成車メーカーに直接納めるか(Tier1)、ほかの部品メーカーに納めるか(Tier2以下)。同じ会社でも製品によって違うことがある
  • 主な顧客:取引する完成車メーカーはどこか。主要な顧客や親会社・主要株主は、決算短信や有価証券報告書で確かめられる
  • 出荷先:組付向け・補修向け・部品メーカー向けのどれが中心か。海外への輸出や海外の拠点とのやりとりがあるか
  • 担当工程:設計開発・生産技術・製造・品質保証・営業・調達や物流(SCM)のどこか。電動化や制御の仕事にかかわるか
  • 取引と品質のルール:調達や営業なら、支払や価格の協議の決まりにどうかかわるか。品質保証なら、完成車メーカーのリコールや国の報告の求めに、社内のどの部署が対応するか
  • タイヤの会社なら:新車用と市販用のどちらにかかわるか。国内と海外のどちらの比重が大きい職場か