化粧品、日用品、衣料、玩具、スポーツ用品、時計を、企画・製造・販路・法律・仕事で比較。関心に合う分野の詳しい業界地図を選べます。

化粧品や洗剤、服、おもちゃ、スポーツシューズ、腕時計をつくる会社の求人には、ブランドを育てるマーケティング、商品企画や研究・開発、工場の生産や生産技術、品質保証、原料や資材を買う購買、取引先に売り込む営業、店頭でお客さまに接する販売まで、幅があります。どれも家庭や個人が使う製品ですが、分野が違うと、作る場所も、売る相手も、守るルールも変わります。

この記事でいう「生活用品・衣料・消費財」は、家庭や個人が使い、ブランドを持つ会社が企画して売る製品のうち、化粧品、日用品・トイレタリー、アパレル(衣料・靴・服飾品)、玩具、スポーツ用品、時計の6つの分野です。法律や統計の区分ではなく、この記事の区切りです。家具と眼鏡は、統計の数字を1行ずつ示すだけにします。食品は「食品・農林水産の業界地図」、家電は「家電の業界地図」で扱います。化粧品と石けん・合成洗剤は、国の産業分類では化学工業に入りますが、この記事では製品とブランドの側から見ます。界面活性剤や香料など原料の化学は「化学メーカーの業界地図」で扱います。

この記事は、品目とメーカーの側から見た地図です。6つの分野の表、共通の骨組みと分野ごとの違い、大きさの物差し、品目ごとのルール、会社の事業区分、仕事と求人の見方の順に見ます。各社の数値は事業構成を確認するために示し、会社間の順位には用いません。

店の側から見た地図は「小売・ECの業界地図」です。ドラッグストアは「ドラッグストア・調剤薬局の業界地図」、百貨店は「百貨店・総合スーパーの業界地図」、衣料品の専門店は「アパレル小売の業界地図」、家具や生活雑貨を売る店は「ホームセンター・家具・生活雑貨の業界地図」、ネット通販は「EC業界地図」で扱います。日用品・化粧品の卸や繊維・アパレルの商社は「商社・卸売の業界地図」、糸や生地は「繊維素材の業界地図」で扱います。この記事は、次にどの地図を読むかを決めるための全体図です。

6つの分野は、何をつくり、どう作り、どこで売るのか

下の表は、分野ごとに、主な品目、作り方の主な型、主な販路、主なルール、大きさの物差しの例、次に読む地図を並べたものです。型と販路は、その分野でよく見られる形の例で、統計の構成比ではありません。

生活用品・衣料・消費財の6つの分野は、何をつくり、どう作って、どこで売り、どの地図で読めるのか

行は分野、列は品目・作り方・販路・ルール・物差し・次に読む地図。作り方と販路はその分野でよく見られる形の例で、統計の構成比ではない。物差しの数字は分野ごとに段階と年が違うため、行どうしで比べない。

分野主な品目作り方の主な型主な販路主なルール物差しの例次に読む地図
化粧品スキンケア、メイクアップ、フレグランス、日やけ止め、薬用化粧品自社工場、受託製造(OEM/ODM)カウンセリング販売、セルフ販売(ドラッグストアなど)、直販、免税店と海外薬機法(化粧品・医薬部外品)化粧品月報の販売金額 約1兆3,907億円2025年、作る事業所の販売、計算値化粧品の業界地図
日用品・トイレタリー洗剤、シャンプー、歯みがき、紙おむつ、生理用品、家庭紙、殺虫剤自社工場で大量に作る、受託製造卸を通ってドラッグストア・スーパー・ホームセンター、ネット通販家庭用品品質表示法(洗剤など)、薬機法(シャンプー・歯みがきなど)、容器包装リサイクル法洗浄剤等の販売金額 9,498億円2025年、メーカー出荷段階、税込み日用品・トイレタリーの業界地図
アパレル衣料・靴・服飾品服、下着、靴、かばんSPA、卸型のアパレルメーカー、OEM・縫製工場百貨店、専門店、直営店、ネット通販家庭用品品質表示法(繊維製品の組成・洗濯表示、靴・かばん)衣服の工場の出荷額 約1.07兆円2024年、国内の工場アパレルの業界地図
玩具カード、カプセルトイ、プラモデル、人形、ぬいぐるみIPを自社で持って企画する形と、ほかの会社のIPを借りる形玩具店、量販店、ネット通販、カプセルトイの売り場食品衛生法第68条(指定おもちゃ)、STマーク(業界の自主制度)玩具市場 1兆1,664億円2025年度、希望小売価格ベース玩具の業界地図
スポーツ用品シューズ、ウェア、競技の用具競技向けとファッション向けの製品を持つスポーツ用品店、直営店、ネット通販、海外ウェア・靴は家庭用品品質表示法の品目に入りうる運動用具の工場の出荷額 約3,850億円2024年、国内の工場スポーツ用品の業界地図
時計腕時計(ウオッチ)、置き時計・掛け時計(クロック)、ムーブメント国内メーカーは海外の工場からも出荷百貨店、時計の販売店、直営店、海外—腕時計の国内市場 1兆2,919億円、うち輸入品87%2025年、推定実売時計の業界地図
家具統計の1行椅子・机・たんす・テーブルなど——家庭用品品質表示法の雑貨工業品家具製造業の出荷額 約1.43兆円2024年、事務用の金属製家具を含む家具を売る会社は「ホームセンター・家具・生活雑貨の業界地図」
眼鏡統計の1行眼鏡、枠———眼鏡製造業の出荷額 約1,360億円2024年。家計調査では「保健医療」この記事の統計の1行だけ

家電は「家電の業界地図」、食品は「食品・農林水産の業界地図」、生活雑貨を売る店は「ホームセンター・家具・生活雑貨の業界地図」で扱う。工場の出荷額は国内の事業所の値で、海外で作って輸入した品は入らない。

出典:経済産業省「2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査」第1表、経済産業省「生産動態統計 化粧品月報」(2025年、12か月の合計は計算値)、日本石鹸洗剤工業会「洗浄剤等の販売統計」、日本玩具協会「2025年度の日本の玩具市場規模」、日本時計協会「日本の時計市場規模(推定)」、総務省「家計調査」、消費者庁「家庭用品品質表示法 対象品目一覧」をもとに編集部作成。

化粧品は、スキンケア・メイクアップ・フレグランスなどです。薬機法の「化粧品」と「医薬部外品」の区分があり、市場に出す責任を負う製造販売業者と、実際に作る製造業者が分かれます。自社の工場で作る会社と、受託製造の会社に作ってもらう会社があります。受託製造は、業界ではOEMやODMと呼ばれます。売り方は、カウンセリング販売、セルフ販売、直販、免税店と海外などです。

日用品・トイレタリーは、洗剤・シャンプー・歯みがき・紙おむつ・生理用品・家庭紙・殺虫剤など、使い切って買い足す消耗品です。「トイレタリー」は法律の言葉ではなく、売り場や会社が使う呼び方です。同じ製品を大量に作り、卸を通ってドラッグストアやスーパーに届く流れが中心です。ティシュやトイレットペーパーを紙として作る工程は「紙・パルプの業界地図」で扱います。

アパレルは、衣料と、靴・かばんなどの服飾品です。衣料品を自社で企画し、自社の店とネットで売る形(SPA)、百貨店や専門店に卸すアパレルメーカー、ほかの会社のブランドの服を作るOEMや縫製工場が、企画・生産・販売を分け持ちます。

玩具は、カードゲーム、カプセルトイ、プラモデル、人形、ぬいぐるみなどです。キャラクターなどのIP(知的財産)を自社で持つか、ほかの会社から使う許可を受けるかで、稼ぎ方が変わります。

スポーツ用品は、シューズ・ウェア・競技の用具などです。競技する人向けの製品と、普段着として選ばれるファッション向けの製品があり、開発の重点も売り場も違います。

時計は、腕時計(ウオッチ)、置き時計や掛け時計(クロック)、時計を動かす部品のムーブメントです。国内で売られる腕時計の金額の多くは輸入品で、国内のメーカーは輸出が多いという特徴があります(第3章)。

家具は、家具製造業の工場の出荷額が2024年に約1.43兆円で、事務用の金属製家具も含みます。家庭用品品質表示法の雑貨工業品には、椅子・机・たんす・テーブルが入ります。家具を売る会社は「ホームセンター・家具・生活雑貨の業界地図」で扱います。眼鏡は、枠を含む眼鏡製造業の出荷額が2024年に約1,360億円です。家計調査では、眼鏡の支出は「保健医療」に分類されます。この記事では、家具と眼鏡はこの統計の1行だけを扱います。

分野ごとの詳しい地図は、次の6本です。

  • 化粧品:「化粧品の業界地図|化粧品会社は、研究・OEM・ブランド・販路のどこで差をつけて稼ぐのか」
  • 日用品:「日用品・トイレタリーの業界地図|洗剤・紙おむつ・衛生用品のメーカーは、原料・工場・売り場のどこで稼ぐのか」
  • アパレル:「アパレルの業界地図|ブランド・SPA・OEM・縫製工場は、企画・生産・在庫・販売をどう分担するのか」
  • 玩具:「玩具の業界地図|玩具メーカーは、IP・企画・生産委託・販路のどこで利益を得るのか」
  • スポーツ用品:「スポーツ用品の業界地図|スポーツメーカーは、競技用品・シューズ・アパレルのどこで、国内外のどの市場で稼ぐのか」
  • 時計:「時計の業界地図|国内メーカーは、ムーブメント・完成品・ブランドのどこで稼ぎ、輸入ブランド・販売店・修理とどう分担するのか」

共通の骨組み:企画・作る・卸・売り場と、分野で違うところ

6つの分野は、会社も販路もあまり重なりません。それでも、商品が消費者に届くまでの骨組みは似ています。ブランドを持つ会社が商品を企画し、品質に責任を持ちます。自社の工場、受託製造の会社、海外の工場のどこかで作ります。卸や商社を通るか、直接、売り場に届けます。売り場は、ドラッグストア、スーパー、百貨店、専門店、量販店、ネット通販、直営店、免税店などです。お金は、商品と逆向きに、消費者から売り場、卸、ブランドを持つ会社へと流れます。

商品は誰が企画し、どこで作り、誰を通ってどこで売られるのか。骨組みは似ていても、分野で違う点がある

上の段は、どの分野にもある骨組みの模式。下の段は、分野ごとに違う点。すべての分野に同じお金の流れがあるという意味ではなく、金額は入れていない。

お金は、商品と逆向きに流れる(卸を通らず、直接売り場や消費者に売る流れもある)

分野ごとに違う点

矢印は商品の流れの模式で、会社どうしの実際の取引を示すものではない。会社名は型の例で、順位ではない。

出典:薬機法(e-Gov法令検索)、エステー「2026年3月期 決算短信」、PALTAC「2026年3月期 決算短信」、ファーストリテイリング「2026年8月期 決算短信」、バンダイナムコホールディングス「2026年3月期 決算短信」、日本時計協会「日本の時計市場規模(推定)」「日本の時計産業の概況」、アシックス「2025年12月期 決算短信」をもとに編集部作成。

ただし、分野をまたいで同じお金の流れがあるわけではなく、誰がどの段階でリスクを負うかも違います。違いが出やすいのは次の3つです。

1つ目は、責任を持つ人です。化粧品と医薬部外品では、薬機法が「市場に出す人」と「作る人」を分けています。市場に出す製造販売業者が、品質と市場に出した後の安全に責任を負い、容器にも名前が載ります。工場が自社か受託製造の会社かは、この責任を変えません。仕組みの詳しい説明は「化粧品の業界地図」に任せます。

製造販売業者、OEM、ブランド、販路を詳しく見る場合は、化粧品の業界地図で確かめられます。

2つ目は、作る場所です。化粧品や日用品では、自社の工場と受託製造の会社の両方があります。アパレルでは、企画する会社と縫製する工場が分かれる形があり、OEMの会社や商社が生産を引き受けることもあります。時計では、日本の時計メーカーの出荷に海外の工場からの出荷も含まれます。

3つ目は、売れ残りと返品です。日用品では、メーカーから卸を通ってドラッグストアなどに届く流れが中心で、販促費やリベート、返品が売上にかかわります。たとえばエステーは、売上を「リベート及び返品等を控除した金額」で測ると会計の方針に書いています。アパレルでは、売れ残りのリスクを、ブランドの会社と売り場がどう分け持つかが稼ぎ方を左右します。その仕組みは「アパレルの業界地図」で扱います。

卸の例は第5章で見ます。化粧品・日用品の会社や卸が扱うことのある市販薬は「医薬品の業界地図」で扱います。

大きさは4つの物差しで、別々に読む

生活用品・衣料の「大きさ」を示す数字は、どの段階で数えるかで4種類に分かれます。国内の工場が出荷した金額、品目ごとの統計と業界団体の推計、店とネットで売れた金額、家計が払った金額です。年も範囲も違うので、足したり、帯をまたいで比べたり、割り算したりはしません。

生活用品・衣料の「大きさ」は、どの段階で数えるかで、4つの物差しに分かれる

4つの帯は、数える段階も年も範囲も違う。帯の数字を足したり、帯をまたいで比べたり、割り算したりはしない。棒は、同じ調査の中の帯(工場の出荷額・家計の支出)だけに付け、帯の中でいちばん大きい値を100とした。

玩具は年度(4〜3月)、ほかは暦年。家計調査の「玩具」はゲームを含み、玩具協会の「玩具」と範囲が違う。2025年の家計調査は家計簿の改正があったため、前の年と比べない。

出典:経済産業省「2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査」第1表、経済産業省「生産動態統計 化粧品月報」(12か月の合計は計算値)、日本石鹸洗剤工業会「洗浄剤等の販売統計」、日本衛生材料工業連合会「統計」、日本玩具協会「2025年度の日本の玩具市場規模」、日本時計協会「日本の時計市場規模(推定)」「日本の時計産業の概況」、経済産業省「商業動態統計」「電子商取引に関する市場調査」(2024年)、総務省「家計調査」(2025年、品目別の年間支出)をもとに編集部作成。棒の長さは帯の中の比率の計算値。

工場の出荷額は、経済産業省の2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査の製造品出荷額等(2024年)です。国内の事業所(工場)が出荷した金額で、海外の工場で作って輸入した品は入りません。店頭の販売額でもありません。化粧品・歯磨などの製造業は約2.18兆円、家具製造業は約1.43兆円、衣服(外衣・シャツ、下着類、和装製品・その他の衣服・繊維製身の回り品の3つの分類を足した計算値)は約1.07兆円、石けん・合成洗剤製造業は約1.00兆円です。がん具・運動用具製造業は約6,200億円で、うち運動用具が約3,850億円、娯楽用具・がん具(人形を除く)が約2,130億円です。時計・同部分品製造業は約1,540億円、眼鏡製造業(枠を含む)は約1,360億円でした。

化粧品・歯磨などの製造業の値は、「化学メーカーの業界地図」が化学工業の内訳として示す値と同じ統計のものです。衣服の分類には、作業服・学校服・スポーツ用衣服も入ります。スポーツウェアの一部は、運動用具ではなく衣服の行に入るということです。事業所の分類は主な製品で決まるため、会社の事業の区分とは一致しません。

この調査では、働く人の数(2025年6月1日時点)も分かります。衣服は9万1,113人、家具は5万8,127人、化粧品・歯磨などは4万8,011人、がん具・運動用具は2万3,825人、石けん・合成洗剤は1万1,670人、眼鏡は7,778人、時計は5,991人です。出荷額は事業所の間の取引を重ねて数えるため、行を足して「生活用品の出荷額」とは呼びません。また、2024年の調査から調べる範囲が変わったため、前の年との増減は書いていません。

品目ごとの統計と、業界団体の推計は、分野ごとに数え方が違います。化粧品は国の統計、洗剤は工業会の販売統計、紙おむつは業界団体の生産枚数で、推計と呼べるのは玩具と時計の業界団体の数字です。化粧品は、経済産業省の生産動態統計の化粧品月報で、作る事業所が販売した金額の実績です。2025年の12か月を足すと約1兆3,907億円でした(計算値)。店頭で消費者が払った金額の合計ではありません。洗剤やシャンプーなどは、日本石鹸洗剤工業会の洗浄剤等の販売統計で、2025年の販売金額は9,498億円です。経済産業省の統計をもとに工業会がまとめた販売の実績で、メーカーの出荷の段階の金額です。消費税込みで、業務用も含みます。紙おむつは金額ではなく、日本衛生材料工業連合会が集めた生産枚数です。2025年は乳幼児用が71.1億枚、大人用が100.9億枚で、国内向けと海外向けを合わせた枚数です。

玩具は、日本玩具協会の玩具市場規模調査で、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の国内の市場規模は1兆1,664億円、前の年度の106.3%でした。メーカーの希望小売価格(上代価格)で数えた推計で、実際の売上ではありません。このうちカードゲーム・トレーディングカードは3,384億円で、市場全体の約30%です。

時計は、日本時計協会の時計市場規模(推定)で、2025年の腕時計の国内市場は、消費者が払う段階の推定(実売金額)で1兆2,919億円でした。このうち輸入品が1兆1,196億円(87%)、国内メーカー品が1,723億円(13%)です。一方、協会の日本の時計産業の概況によると、日本の時計メーカーの腕時計の完成品の総出荷は3,156億円で、うち輸出が2,079億円、国内出荷が1,077億円でした。総出荷と輸出には、海外の工場からの出荷も含まれます。国内出荷は税抜きの売り渡し価格です。国内で売られる腕時計の金額の87%は輸入品で、国内のメーカーは輸出が多い、という並びが見えます。国内出荷の1,077億円と、市場の国内メーカー品の1,723億円は数える段階が違うため、差を流通の取り分や利益と読むことはできません。経済構造実態調査の時計の値も、協会の数字とは範囲が違います。

店とネットで売れた額は、経済産業省の商業動態統計で、織物・衣服・身の回り品小売業の2025年の販売額は7兆4,470億円でした。事業所を主な業種で分けた集計で、物価の変化を除いていない名目の金額です。この統計は2025年1月分で水準の調整をしたため、2024年以前の金額とはそのまま比べられません。ネット通販は、経済産業省の電子商取引に関する市場調査で、2024年の消費者向けの物販のうち、衣類・服装雑貨等が2兆7,980億円(EC化率23.38%)、化粧品・医薬品が1兆150億円(8.82%)、生活雑貨・家具・インテリアが2兆5,616億円(32.58%)でした。EC化率の分母は商業動態統計の販売額ではないので、2つの統計で割り算はしません。

衣服の工場の出荷額(約1.07兆円、2024年)と、衣服などの店の販売額(7兆4,470億円、2025年)は、年も段階も範囲も違います。店の販売額には、輸入品や身の回り品、店の取り分が入ります。2つを割り算して「国産の割合」を作ることはできません。

家計の支出は、総務省の家計調査の品目別の年間支出です(飲料〜保健医療の表・交通・通信〜の表)。2025年の二人以上の世帯の1世帯当たりの年間支出は、被服及び履物が12万761円、石けん類・化粧品が5万5,728円、運動用具類が1万6,862円、洗剤が1万1,284円、玩具が1万563円、眼鏡が7,404円、一般家具が6,793円、紙おむつが4,138円でした。運動用具類にはスポーツウェアの1万1,208円が入り、玩具にはゲームソフトやゲーム機が入ります。玩具協会の「玩具」とは範囲が違います。1世帯当たりの平均なので、世帯数を掛けて市場規模とは読みません。2025年は家計簿の改正があったため、前の年との比較もしていません。

品目によって、かかるルールが違う

生活用品・衣料には、分野全体にかかる1つの法律はありません。品目ごとに、かかる法律や業界のルールが違います。品質保証や表示の仕事は、応募先がどの品目を持つかで中身が変わります。下の表は、主なルールを、しなければならない義務、国が「できる」と決めた規定、業界の自主基準に分けて並べたものです。

どの品目にどの法律・ルールがかかり、どの業務に関係するか

行はルール、列は対象の品目・何を求めるか・関わる仕事・詳しい記事。「義務」「国ができる規定」「業界の自主基準」を色で分けた。品目によって、かかるルールが違う。

義務しなければならない・してはならないできる国が指示・公表などをできる規定自主業界の自主基準で、法律の義務ではない

ルール対象の品目何を求めるか関わる仕事詳しい記事
薬機法化粧品・医薬部外品(シャンプー・歯みがき・生理処理用品なども入りうる)義務製造販売業・製造業の許可(法律上は厚生労働大臣の許可で、化粧品・医薬部外品では都道府県知事に権限が任され、申請先は都道府県)、品目ごとの届出・承認、容器の表示、虚偽・誇大広告の禁止品質保証・薬事、マーケティング(広告の文)化粧品の業界地図
家庭用品品質表示法繊維製品(シャツ・下着・コート・靴下・帽子など)、雑貨工業品(合成洗剤・漂白剤・歯ブラシ・家庭紙、椅子・机・たんす、靴・かばん・洋傘・サングラスなど)国が表示の標準を告示(第3条)。できる表示しない業者に国が指示し、従わないと公表できる(第4条)品質保証、生産(組成・洗濯表示、成分・液性の表示)日用品・トイレタリーの業界地図、アパレルの業界地図
有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律国が省令で指定する家庭用品事業者は健康への影響を把握し被害を防ぐ(第3条)。義務基準に合わないものは販売などができない(第5条)品質保証、研究・開発(原料の選定)日用品・トイレタリーの業界地図
食品衛生法 第68条乳幼児が触れて健康を損なうおそれがあるとして、厚生労働大臣と内閣総理大臣が指定するおもちゃ義務指定されたおもちゃに、食品衛生法の規定の一部を当てはめる。すべての玩具ではない品質保証、開発玩具の業界地図
STマーク日本玩具協会おもちゃ自主業界が1971年に作った安全基準。第三者の検査機関の検査に合格したおもちゃにマークを付けることができる品質保証、開発玩具の業界地図
容器包装リサイクル法容器に入れて売る商品(洗剤・シャンプーなど)義務容器を使う事業者の再商品化(第11条、小規模の事業者などを除く)。容器を減らす排出の抑制は努力義務(第4条)商品開発(容器)、生産、購買日用品・トイレタリーの業界地図、廃棄物処理・リサイクルの業界地図

同じ「表示」でも、化粧品は薬機法、服や洗剤は家庭用品品質表示法と、根拠の法律が違う。STマークのない玩具が違法という意味ではない。

出典:薬機法・薬機法施行令、家庭用品品質表示法、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律、食品衛生法、容器包装リサイクル法(いずれもe-Gov法令検索)、消費者庁「家庭用品品質表示法 対象品目一覧」、日本玩具協会「STマークについて」をもとに編集部作成。

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、化粧品と医薬部外品にかかります。シャンプーや歯みがきも、化粧品か医薬部外品に当たりえます。製品を市場に出す製造販売業と、作る製造業には、それぞれ許可が要ります(薬機法第12条・第13条)。法律上は厚生労働大臣の許可で、化粧品・医薬部外品では都道府県知事に権限が任され、申請先は都道府県です。品目ごとの届出や承認、容器に書く事項も決まっており、虚偽・誇大な広告は禁じられています(第66条)。詳しくは「化粧品の業界地図」で扱います。

家庭用品品質表示法は、一般の消費者が品質を見分けにくい家庭用品について、国が表示の標準を定めて告示する法律です(家庭用品品質表示法第3条)。消費者庁の対象品目一覧には、繊維製品として、シャツ・下着・コート・セーター・水着・帽子・靴下・ネクタイなどがあります。雑貨工業品として、合成洗剤・漂白剤・歯ブラシ・ティシュペーパー・トイレットペーパーのほか、椅子・机・たんす・テーブル、靴・かばん・洋傘・サングラスがあります。表示事項を表示しない業者には、国が指示をすることができ、従わないときは公表することができます(第4条)。服の組成や洗濯の表示、洗剤の成分や液性の表示は、この法律にもとづきます。

有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律は、家庭用品を作る・輸入する事業者に、含まれる物質の健康への影響を把握し、被害が出ないようにすることを求めています(同法第3条)。国は省令で家庭用品を指定し、有害物質の基準を定めることができ(第4条)、基準に合わないものは販売などができません(第5条)。

食品衛生法の第68条第1項は、乳幼児が触れることで健康を損なうおそれがあるとして国が指定するおもちゃに、食品衛生法の規定の一部を当てはめています(食品衛生法)。指定するのは厚生労働大臣と内閣総理大臣です。対象は指定されたおもちゃで、すべての玩具ではありません。

STマークは、玩具業界が1971年に作った自主制度です(日本玩具協会)。機械的・可燃性・化学的な安全性の基準(ST基準)があり、第三者の検査機関の検査に合格したおもちゃにマークを付けることができます。法律の義務ではないので、マークのない玩具が違法という意味ではありません。

容器包装リサイクル法は、販売する商品に容器を使う事業者(特定容器利用事業者)に、毎年度、決められた量の再商品化(リサイクル)を義務づけています(容器包装リサイクル法第11条)。小規模の事業者などは除かれます。容器を減らして排出を抑えることは、努力義務です(第4条)。使った容器を集めて資源に戻す事業は「廃棄物処理・リサイクルの業界地図」で扱います。

スポーツ用品でも、ウェアや靴は繊維製品や雑貨工業品の品目に入りえます。

稼ぎ方の型:会社の事業区分の中身で見る

この分類の会社は、決算の期(12月期・3月期・8月期)も、会計の基準(国際会計基準のIFRS・日本基準)も、利益の名前も違います。そのため、会社どうしの売上や利益は比べません。ここでは、分野ごとの稼ぎ方の型を、1社ずつ、事業区分に何が入っているかで見ます。会社名は型の例で、順位ではありません。

化粧品と日用品にまたがる会社の例が、花王です。セグメント(事業の区分)は、ハイジーンリビングケア、ヘルスビューティケア、化粧品、ビジネスコネクティッド、ケミカルの5つです(2025年12月期 決算短信)。化粧品事業はカウンセリング化粧品とセルフ化粧品で、シャンプーや洗顔料、UVケアはヘルスビューティケア事業に入ります。法律上の「化粧品」と会社の「化粧品事業」は一致しません。この記事の分類では、化粧品事業は「化粧品の業界地図」、ハイジーンリビングケアとヘルスビューティケアは「日用品・トイレタリーの業界地図」で扱っています。ケミカル事業では、界面活性剤や香料などの原料も作っています。

自社工場で作り、店頭で売る仕事も持つ化粧品会社の例が、資生堂です。新卒の募集要項(2027年度入社向け)は、那須・掛川・大阪茨木・福岡久留米の国内工場を勤務先に挙げ、得意先の店舗で美容カウンセリングをする美容職も募集しています。セグメントは、日本、中国・トラベルリテール、アジアパシフィック、米州、欧州の地域別です(2025年12月期 決算短信)。

受託製造の例が、TOA(旧 日本コルマー)です。化粧品と医薬部外品の受託製造の会社で、2024年6月に社名を変えました(会社概要)。上場していないため、セグメントの開示はありません。営業の相手は店ではなく、ブランドを持つ会社です。

企画から店まで1社で持つSPAの例が、ファーストリテイリングです。決算短信では衣料品の販売を主な事業とし、国内ユニクロ、海外ユニクロ、ジーユー、グローバルブランドの4つの事業を報告セグメントにしています(2026年8月期 決算短信)。メーカーの役割と小売の役割を同じ会社が持つ型です。企画・生産・在庫の分担は「アパレルの業界地図」、店の運営は「アパレル小売の業界地図」で扱います。

卸の例が、PALTACです。日用品・化粧品・一般用医薬品をメーカーから仕入れ、ドラッグストアなどに届けます(2026年3月期 決算短信)。PALTACはその後、2026年8月10日に上場廃止となり、メディパルホールディングスの完全子会社になりました。卸の事業と利益は「商社・卸売の業界地図」で扱います。

IPを軸にする玩具の会社の例が、バンダイナムコホールディングスです。2026年3月期(日本基準)のセグメントは、トイホビー、デジタル、映像音楽、アミューズメントの4つです。トイホビー事業は、玩具、カプセルトイ、カード、菓子・食品、アパレル、生活用品、プラモデル、景品、文具などを企画・開発・製造・販売し、売上高は約6,740億円(前の期より12.9%増)、セグメント利益は約1,269億円(同24.2%増)でした(2026年3月期 決算短信)。菓子やアパレルも入るので、この数字は玩具だけの売上ではありません。

時計と小売を同じ区分に持つ会社の例が、セイコーグループです。2026年3月期(日本基準)のエモーショナルバリューソリューション(EVS)事業には、ウオッチ、ウオッチムーブメント、クロック、高級宝飾・服飾・雑貨品が入り、売上高は2,204億円、営業利益は285億円でした(2026年3月期 決算短信)。会社は、国内向けのウオッチ事業と、高級品の小売の和光の事業が伸びたと説明しています。EVSは小売や宝飾も含むので、時計だけの売上ではありません。電池や水晶振動子などの部品は、デバイスソリューションという別の区分です。会社は、この期にセグメントの一部を組み替えています。

競技向けとファッション向けを分けて示す会社の例が、アシックスです。2025年12月期(日本基準)の報告セグメントは地域別ですが、別に製品のカテゴリー別の売上も示しています(2025年12月期 決算短信)。競技向けのパフォーマンスランニングは約3,635億円、ファッション向けのスポーツスタイルは約1,413億円、オニツカタイガーは約1,365億円でした。会社は、スポーツスタイルとオニツカタイガーの売上が初めて1,000億円を超え、どちらも前の期より40%以上伸びたとしています。カテゴリーと地域のセグメントは別の切り口なので、混ぜて読みません。

仕事の地図と、求人で確かめること

どの分野のメーカーにも、似た仕事があります。一方で、分野によってしかない仕事や、同じ名前でも中身が違う仕事があります。下の表は、仕事の中身を一般的な言葉で並べたものです。職種の正式な名前は会社ごとに違います。

仕事どの分野にもある中身分野で違うところ詳しい地図
商品企画・マーケティング何を、どの価格で、誰に売るかを決め、ブランドを育てるアパレルは季節ごとの企画と生産の量、玩具はIPを使う商品の企画が加わる各分野の地図
研究・開発中身や素材、使い心地を考え、試作する化粧品・日用品は処方の開発、スポーツ用品はシューズや素材の開発化粧品・日用品・スポーツ用品の地図
生産技術・生産管理量産のラインや工程を考え、外の工場も含めて生産を管理する自社工場か、受託製造の会社か、海外の工場かで、仕事の場所が変わる各分野の地図
品質保証・薬事品質を確かめ、表示や安全のルールを守る化粧品・医薬部外品は薬機法、服や洗剤は家庭用品品質表示法、乳幼児向けのおもちゃは食品衛生法化粧品・日用品・玩具の地図
購買原料・資材・容器を買う原料の化学品、生地、部品など、買う物が分野で違う化学メーカー・繊維素材の地図
営業卸や小売の取引先に商品を売り込み、売り場を作る受託製造の会社の営業は、ブランドを持つ会社が相手化粧品の地図
店頭の販売店でお客さまに商品を説明して売る化粧品のカウンセリング販売、SPAの会社の店、時計の販売店と修理化粧品・アパレル・時計の地図、アパレル小売の地図

採用ページで職種の名前を確かめられた例は、化粧品と日用品の会社です。資生堂は店頭で美容カウンセリングをする仕事を「美容職」と呼び、TOAは営業・企画の仕事を、ブランドを持つ会社の新製品の企画開発から生産までの窓口と説明しています。花王の新卒の募集要項(2027年度)には、日用品 マーケティング、日用品 商品開発、購買(調達)、品質保証があります。ライオンの2028年新卒には生産技術研究(製造、包装・物流)コース、ユニ・チャームの新卒には設備開発職があります。ほかの分野の職種の名前は、それぞれの分野の地図で確かめます。

変化も、会社や団体の説明で見ます。どれも説明した会社や団体の話で、分類全体の傾向とは限りません。

1つ目は、訪日客の消費です。資生堂は、2025年の訪日客数は過去最多だったものの、旅行者の消費の仕方の変化などで、日本事業のインバウンド(訪日客の消費)の成長が鈍ったと説明しています。セイコーグループは、国内向けのウオッチ事業と和光の事業がインバウンド需要などで伸びたとしています。アシックスは、日本の事業会社(アシックスジャパン)で、インバウンドの売上が前の期より84%増えて売上を引っ張ったとしています。

2つ目は、大人向けの商品とカードです。日本玩具協会の推計では、カードゲーム・トレーディングカードが2025年度の市場の約30%でした。バンダイナムコホールディングスは、トイホビー事業で、ガンプラやフィギュアなど大人向けの商品、トレーディングカードゲーム、カプセルトイが好調だったと説明しています。協会の推計と会社の区分は範囲が違うので、数字はつなげません。

3つ目は、少子化です。乳幼児用の紙おむつの生産枚数は減り、大人用は増えています。品目ごとの動きと会社の説明は「日用品・トイレタリーの業界地図」で扱います。

洗剤、紙おむつ、衛生用品の工場・流通・仕事を見る場合は、日用品・トイレタリーの業界地図で確かめられます。

求人を見比べるときは、次の点を確かめると、仕事の中身を比べやすくなります。

  • どの分野の、どの品目を担当するか:品目で、かかる法律と品質保証の仕事が変わる
  • 応募先の役割:ブランドを持つ会社か、受託製造の会社か、卸か、企画から店まで持つSPAか
  • 作る場所:自社の工場か、受託製造の会社か、海外の工場か。工場勤務か、外の工場を管理する仕事か
  • 売る相手:卸・小売の取引先か、ブランドを持つ会社か、店頭のお客さまか
  • 稼ぐ場所:会社が国内・海外・訪日客のどこで伸びたと説明しているか
  • 事業区分の中身:応募先の事業の区分に、ほかの分野の製品や小売が入っていないか

家庭向けの製品のうち、家電メーカーと販路の違いは、家電の業界地図で確かめられます。