洗剤、紙おむつ、衛生用品などを、法律の区分、原料と工場、卸と売り場の流れで整理。価格改定、販促・物流費、会社の事業構成、仕事が分かります。

日用品メーカーの求人には、洗剤やシャンプー、紙おむつのブランドを育てるマーケティング、中身や使い心地をつくる商品開発や研究、量産のラインを考える生産技術、原料を買う購買、品質保証、ドラッグストアやスーパーに売り込む営業まで、幅があります。同じ「日用品」でも、洗剤と紙おむつと殺虫剤では、作り方も、かかる法律も、売れ方も違います。

この記事でいう日用品・トイレタリーは、家庭で毎日使い、なくなったら買い足す消耗品です。衣料用・台所用・住宅用の洗剤、柔軟剤・漂白剤、シャンプー・ヘアカラー・ボディソープ・ハンドソープ、歯みがき・歯ブラシ、入浴剤、紙おむつ・生理用品・ウエットティシュ・マスク、ティシュペーパー・トイレットペーパー(家庭紙)、殺虫剤・虫よけ、消臭芳香剤・防虫剤・除湿剤・カイロを扱います。法律の区分ではなく、この記事の区切りです。品目と法律、統計、作る、売る、会社の事業構成、変化、仕事の順に見ます。

スキンケアやメイクなど化粧品のブランドと販路は「化粧品の業界地図」、市販薬(一般用医薬品)は「医薬品の業界地図」、ティシュやトイレットペーパーを紙として作る工程は「紙・パルプの業界地図」で扱います。界面活性剤など原料の化学は「化学メーカーの業界地図」、収納やキッチン用品などの生活雑貨は「ホームセンター・家具・生活雑貨の業界地図」で扱います。

売り場と流通の側では、ドラッグストアの店の売上や利益は「ドラッグストア・調剤薬局の業界地図」、日用品の卸の事業と利益は「商社・卸売の業界地図」、ネット通販の仕組みは「EC業界地図」で扱います。この記事はメーカーの側から見ます。各社で開示区分が異なるため、数値は会社間の順位ではなく、各社の事業構成を確認するために使います。

日用品は、品目ごとにかかる法律が違う

日用品は、1つの法律でまとめて決まる商品ではありません。品目ごとに、かかる法律が違います。求人にある品質保証の仕事の中身も、この違いで変わります。

1つ目は家庭用品品質表示法です。一般の消費者が品質を見分けにくい家庭用品について、国が表示の標準を定めて告示します(第3条)。洗剤などは、消費者庁の雑貨工業品品質表示規程が品目と表示する事項を決めています。合成洗剤、洗濯用・台所用の石けん、住宅用・家具用の洗浄剤では、品名・成分・液性・用途・正味量・使用量の目安・使用上の注意を表示します。漂白剤、歯ブラシ(電動式を除く)、ティシュペーパーとトイレットペーパーも品目に入ります。柔軟仕上げ剤と紙おむつは、この規程の品目の一覧にはありません。表示事項を表示しない業者には、国が指示をすることができ、従わないときは公表することができます(第4条)。

2つ目は薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)です。法律上の「化粧品」は、体を清潔にし、美しくし、皮膚や髪を健やかに保つためなどに、体に塗ったり振りかけたりして使う、作用がおだやかなものです(第2条第3項)。シャンプーやボディソープは、この定義に入りえます。「医薬部外品」は、口臭や体臭、あせもを防ぐといった目的の、作用がおだやかなものなどです。人や動物の健康のために、ねずみ・はえ・蚊・のみなどを防ぐ目的のものも入ります(第2条第2項)。

化粧品や医薬部外品を、自社の責任で市場に出す(製造販売する)には、種類に応じた製造販売業の許可が要ります(第12条)。作る工場には、製造所ごとに製造業の許可が要ります(第13条)。どちらも法律上は厚生労働大臣の許可で、化粧品・医薬部外品では都道府県知事に権限が任され、申請先は都道府県です。製造販売業は責任者(総括製造販売責任者)が働く事務所の所在地、製造業は製造所の所在地の都道府県です(薬機法施行令第80条第2項)。医薬部外品は、大臣が基準を定めて指定するものを除き、品目ごとに承認を受けます(第14条)。容器には「医薬部外品」の文字などを書きます(第59条)。許可の仕組みの詳しい説明は「化粧品の業界地図」に任せます。

厚生労働省の統計では、生理処理用品、薬用歯みがき剤、殺虫剤、浴用剤(入浴剤)が「医薬部外品」として集計されています。生理処理用品は、2019年1月分からの調査で「衛生材料」の区分がなくなり、医薬部外品として公表されるようになりました。殺虫剤や虫よけは、製品によって法律の区分が違いうるので、個々の商品の表示で確かめます。紙おむつは医薬部外品ではありません。

安全の決まりもあります。有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律は、家庭用品を作る・輸入する事業者に、含まれる物質の健康への影響を把握し、被害が出ないようにすることを求めています(第3条)。国は省令で家庭用品を指定し、有害物質の基準を定めることができ(第4条)、基準に合わないものは販売などができません(第5条)。

「化粧品」という言葉には、2つの使い方があります。法律上の化粧品には、シャンプーも入りえます。一方、会社のセグメントや「化粧品の業界地図」が扱う化粧品は、スキンケアやメイクのブランドが中心です。花王では、化粧品事業はカウンセリング化粧品とセルフ化粧品です。シャンプー、全身洗浄料、洗顔料、UVケア、入浴剤、歯みがきは、ヘルスビューティケア事業に入ります。ヘアカラーも、シャンプーと同じヘルスビューティケア事業のヘアケアに入るため、この記事で扱います。この記事では、花王の化粧品事業の数字は扱いません。洗顔料や日やけ止めの販路(セルフ販売など)の話は「化粧品の業界地図」で扱います。

スキンケアやメイクのブランド、OEM、販路を見る場合は、化粧品の業界地図で確かめられます。

どれだけ作られ、売られているか:3つの物差し

日用品全体の市場の大きさを示す公的な合計はありません。品目ごとに、別々の団体や役所の統計があります。数える段階も単位も違うので、足したり比べたりはしません。

洗剤やシャンプーは、日本石鹸洗剤工業会の洗浄剤等の販売統計で見ます。経済産業省の統計をもとに工業会がまとめた表で、国内のメーカー(従業員10人以上)が作るか輸入して国に届け出た数値です。業務用を含み、金額は消費税込みです。「販売」はメーカーが出荷した段階の金額で、店の売上ではありません。

2025年の洗浄剤等の合計は、販売金額が9,498億円、販売量が約234.6万トンでした。前の年に比べて、金額は105%、数量は101%です。主な品目の販売金額は、洗濯用の合成洗剤が2,233億円(粉末203億円、液体2,030億円)、柔軟仕上げ剤が1,202億円、漂白剤が607億円、台所用の合成洗剤が773億円、住宅・家具用の合成洗剤が388億円です。体を洗うものも同じ表に入り、洗顔・ボディ用の身体洗浄剤が1,570億円、シャンプーが909億円、手洗い用の液体石鹸が460億円でした。

洗濯用の合成洗剤は、粉末から液体へ大きく移りました。工業会の販売の推移では、粉末の販売量は2006年の58万6,692トンから2025年の6万4,299トンに、液体は18万215トンから58万8,350トンになりました。洗剤は濃縮で1回に使う量が変わるため、トン数の増減を、洗濯の回数や需要の増減と読むことはできません。

医薬部外品は、厚生労働省の薬事工業生産動態統計年報で見ます。令和6年(2024年)の医薬部外品の生産金額は1兆4,347億円でした。製造販売業者が報告した生産の金額で、出荷や店の売上ではありません。品目では、薬用歯みがき剤が1,562億円、生理処理用品が736億円、殺虫剤が682億円(前年より22.7%増)、浴用剤が596億円です。「薬用化粧品」の6,051億円には、薬用石けん1,071億円や薬用シャンプー385億円も入ります。医薬部外品の中でも、日用品と化粧品の境目は統計の区分と一致しません。

紙おむつは、日本衛生材料工業連合会(日衛連)の統計で見ます。業界団体が独自に集めた数字で、国の統計ではありません。国内向けと海外向けを合わせた生産の枚数で、国内で使われた枚数ではありません。2025年は、乳幼児用が71.1億枚、大人用が100.9億枚(パッド類79.4億枚、パンツタイプ(テープ型を含む)20.8億枚、フラットタイプ6,500万枚)でした。

日用品は、品目ごとに法律の扱いも、数字の物差しも違う

行は品目、列は法律の扱い・会社の例・数字の物差し。会社の例は五十音順で、順位ではない。数字は物差しごとに段階(出荷・生産)と単位が違うため、行どうしで足したり比べたりしない。

表示家庭用品品質表示法の表示の対象化粧品薬機法の化粧品に入りうる部外品厚生労働省の統計で医薬部外品として集計ほか上のどれにも当たらない、または品目で違う

品目法律の扱い会社の例(五十音順)数字の物差しの例
衣料用洗剤・柔軟剤・漂白剤表示合成洗剤・漂白剤は表示の対象。柔軟仕上げ剤は雑貨工業品品質表示規程の品目の一覧にない花王、P&Gジャパン、ライオン洗濯用合成洗剤2,233億円(粉末203億円・液体2,030億円)、柔軟仕上げ剤1,202億円、漂白剤607億円石鹸洗剤工業会、2025年、メーカー出荷段階・業務用含む・税込み
台所用・住宅用洗剤表示台所用の合成洗剤、住宅用・家具用の洗浄剤は表示の対象花王、ライオン台所用773億円、住宅・家具用388億円石鹸洗剤工業会、2025年
シャンプー・ボディソープ・ハンドソープ化粧品法律上の化粧品の定義に入りうる。薬用のものは医薬部外品花王、ライオン(ハンドソープ・ボディソープ)シャンプー909億円、洗顔・ボディ用身体洗浄剤1,570億円、手洗い用液体石鹸460億円石鹸洗剤工業会、2025年
歯みがき・歯ブラシ・洗口液表示歯ブラシ(電動式を除く)は表示の対象 部外品薬用歯みがき剤アース製薬(洗口液)、花王、ライオン薬用歯みがき剤1,562億円厚生労働省、令和6年、生産金額
入浴剤部外品浴用剤アース製薬、花王浴用剤596億円厚生労働省、令和6年、生産金額
生理用品部外品生理処理用品(2019年1月分から医薬部外品として公表)花王、大王製紙、ユニ・チャーム生理処理用品736億円厚生労働省、令和6年、生産金額
紙おむつ(乳幼児用・大人用)ほか医薬部外品ではない。雑貨工業品品質表示規程の品目の一覧にもない花王、大王製紙、ユニ・チャーム乳幼児用71.1億枚、大人用100.9億枚日衛連の独自集計、2025年、生産枚数(国内向けと海外向けの合計)
ティシュ・トイレットペーパー(家庭紙)表示寸法・枚数などを表示大王製紙品目だけの公的な金額はこの記事で使わない。大王製紙はホーム&パーソナルケア事業に紙おむつなどとまとめて開示紙として作る工程は「紙・パルプの業界地図」
殺虫剤・虫よけ部外品作用がおだやかで、ねずみ・はえ・蚊・のみなどの防除が目的のものは、医薬部外品の定義に入りうる ほか区分は製品で違いうるアース製薬殺虫剤682億円(前年より22.7%増)厚生労働省、令和6年、生産金額
消臭芳香剤・防虫剤・除湿剤・カイロほか品目ごとに表示で確かめるアース製薬(消臭芳香剤)、エステー、小林製薬エアケア(消臭芳香剤)216億円、衣類ケア(防虫剤)67億円、サーモケア(カイロ)40億円、湿気ケア(除湿剤)25億円エステー1社のカテゴリー別売上、2026年3月期

石鹸洗剤工業会の2025年の洗浄剤等の合計は9,498億円、厚生労働省の令和6年の医薬部外品の生産金額は1兆4,347億円。どちらも日用品全体の大きさではなく、2つを足すこともできない。億円は百万円の値を四捨五入した。

出典:家庭用品品質表示法、消費者庁「雑貨工業品品質表示規程」、薬機法(e-Gov法令検索)、日本石鹸洗剤工業会「洗浄剤等の年間製品販売統計(2025年1月〜12月、補正済み)」、厚生労働省「令和6年薬事工業生産動態統計年報の概要」、日本衛生材料工業連合会「統計情報」、各社の決算短信とP&Gジャパン「日本での事業展開」。

作る:原料と工場、品目で違う利益の出方

洗剤やシャンプーの中身の中心は、汚れを落とす界面活性剤です。界面活性剤は、植物の油脂や石油化学の原料から作られます。花王はケミカル事業で油脂製品や界面活性剤・香料を作り、ライオンも産業用品事業で油脂活性剤を扱っています。原料の化学は「化学メーカーの業界地図」で扱います。

紙おむつや生理用品は、不織布やパルプ、水を吸って閉じ込める吸水材などを重ねた、吸収体の製品です。容器には、プラスチックのボトルや詰め替え用の袋も使われます。容器そのものを作る会社は「プラスチック・ゴム製品の業界地図」で扱います。

日用品は、同じ製品を大量に作り、全国の店に切らさず届ける商品です。花王の2027年度の新卒募集要項は、会計財務(経理)と人財戦略(人事)の最初の配属先に工場の経理や人事があるとし、主な事業場に、すみだ・酒田・栃木・鹿島・川崎・小田原・豊橋・和歌山を挙げています。外資系のP&Gジャパンは、ピー・アンド・ジー株式会社が運営する高崎(群馬県)・滋賀・明石(兵庫県)の工場を挙げています。

品目によって、利益の出方は違います。花王の2026年12月期の中間決算短信(IFRS=国際会計基準、2026年1〜6月)で、ハイジーンリビングケア事業の外部への売上高は2,707億円、営業利益は392億円でした。そのうち、衣料用洗剤や台所用・住居用洗剤のファブリック&ホームケア製品は、売上1,890億円・営業利益347億円で、会社が示す利益率は18.4%です。生理用品と紙おむつのサニタリー製品は、売上817億円・営業利益44億円で、利益率は5.4%でした。これは花王1社の、半年間の値です。ほかの会社の洗剤と紙おむつの利益率が同じだとは限りません。

値上げと数量の分け方も、花王が示しています。ハイジーンリビングケア事業の売上は前年同期より5.0%増え、為替の影響を除くと3.1%増でした。その内訳は、数量等が0.9%増、価格が2.2%増です。日本の衣料用洗剤では、高付加価値化に伴う価格改定の効果もあったと説明しています。花王は、化粧品などを含むグローバルコンシューマーケア事業全体の背景として、世界での中東情勢の影響による原材料価格や物流コストの上昇と、生活者の節約志向の高まりを挙げています。

大王製紙は、2026年3月期(日本基準)の国内の衛生用紙(ティシュー・トイレットペーパーなど)について、物流費や人件費の高騰を背景にした価格改定が浸透したとしています。原料や運ぶ費用が上がったとき、値上げを店に受け入れてもらえるかが、利益を左右します。

売る:卸と売り場、販促費・物流費・返品

日用品は、メーカーから卸を通ってドラッグストア・スーパー・ホームセンターなどの店に届く流れと、ネット通販で売られる流れがあります。日用品・化粧品の卸の例がPALTACです。卸の事業と利益は「商社・卸売の業界地図」で扱います。

メーカーの中でも、作る会社と売る会社が分かれていることがあります。花王の有価証券報告書(2025年12月期)では、花王グループカスタマーマーケティングは議決権を100%持つ子会社で、ハイジーンリビングケアなどの事業を担い、花王から見て「製品等の販売先」です。沿革によると、花王販売と花王化粧品販売が合併してできた花王カスタマーマーケティングなどを、2018年に吸収合併しています。日本の物流関連の業務を担う花王ロジスティクスもあります。

売り場に届けるまでには、費用がかかります。ユニ・チャームの2025年12月期(IFRS)の販売費及び一般管理費には、販売運賃諸掛(商品を運ぶ費用など)が676億円、販売促進費が364億円、広告宣伝費が365億円、研究開発費が136億円ありました。花王の販売促進費は、2026年1〜6月で295億円(前年同期は262億円)です。どちらも1社の例で、期も範囲も違うため、比べません。

店との取引では、売上として数える金額にも注意が要ります。エステーは、売上を「リベート及び返品等を控除した金額」で測ると会計の方針に書いています。リベートは、取引の量などに応じてメーカーが取引先に戻すお金です。店から戻ってきた返品の分も、売上から差し引きます。

季節で売れ行きが変わる品目は、返品の影響を受けやすくなります。エステーは2026年3月期(日本基準)に、除湿剤(湿気ケア)が空梅雨・猛暑・残暑で店頭に並ぶ機会が減り、カイロ(サーモケア)が暖冬で減ったと説明しています。カイロでは、前の期に販売した分の返品を抑えたとしています。アース製薬は、これまでも課題だった虫ケア用品の返品について、廃棄ロスを減らす取り組みを営業部門とサプライチェーン部門を中心に進めていると書いています。虫ケア用品を1年中置く定番の商品にすることにも、業界全体と協力して取り組むとしています。

洗剤1本は、原料から工場・卸・店を通って家庭に届き、メーカーは途中で運ぶ費用・販促費・返品を負う

上の段は商品の流れの模式。下の段は、メーカーが負う費用や売上の差し引きを、会社の開示から1社ずつ例として置いた。業界の平均の費用の割合ではない。

メーカーが負う費用と、売上からの差し引き(1社ずつの例)

矢印は商品の流れの模式で、会社どうしの実際の取引を示すものではない。メーカーが直接店やネットで売る流れもある。費用の数字は会社ごとに期・範囲が違うため、比べない。

出典:ユニ・チャーム「2025年12月期 決算短信」、花王「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信」「有価証券報告書(2025年12月期)」、エステー「2026年3月期 決算短信」、アース製薬「2025年12月期 決算短信」、容器包装リサイクル法(e-Gov法令検索)。

販促費の使い方や、リベート・返品の条件は、会社や取引先ごとに違います。ここで見た例を、業界の決まった取引条件と読むことはできません。

会社の事業構成:複数品目、専業、製紙会社、外資系

日用品の会社は、どの品目を持つかで、いくつかの型に分けられます。会社のセグメント(事業の区分)を見ると、型の違いが分かります。

複数の品目を持つ会社の例が、花王とライオンです。花王は、ハイジーンリビングケア、ヘルスビューティケア、化粧品、ビジネスコネクティッド(業務用衛生製品など)、ケミカルの5つのセグメントを持ちます。この記事が扱うのは、ハイジーンリビングケアとヘルスビューティケアです。ヘルスビューティケア事業は、2026年1〜6月に外部への売上高が2,286億円、営業利益が199億円でした。

ライオンのセグメントは、一般用消費財事業、産業用品事業、海外事業の3つです。2025年12月期(IFRS)の一般用消費財事業は、売上高が2,589億円、事業利益が216億円でした。事業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を引いた会社独自の利益です。分野別の売上は、オーラルヘルスケアが802億円、ファブリックケア(洗濯用洗剤・柔軟剤など)が561億円、ビューティケア(ハンドソープ・ボディソープなど)が251億円、リビングケア(住居用・台所用洗剤)が210億円です。解熱鎮痛薬や点眼剤などの薬品も242億円あり、同じセグメントに入っています。

吸収体製品の専業に近い会社の例が、ユニ・チャームです。2025年12月期(IFRS)のパーソナルケア(大人用紙おむつ・生理用品・乳幼児用紙おむつなど)は、売上高が7,744億円(前期より6.3%減)、コア営業利益が832億円(同25.0%減)でした。コア営業利益は会社独自の利益です。ペットフードやペット用のトイレ用品のペットケアも、売上高1,561億円の事業です。

殺虫剤・消臭剤などの専業の例が、アース製薬とエステーです。アース製薬の家庭用品事業は、2025年12月期(日本基準)の売上高が1,567億円、セグメント利益が65億円でした。部門別の売上は、虫ケア用品が677億円、日用品が696億円(入浴剤265億円、口腔衛生用品92億円などを含む)です。2026年1月には入浴剤のバスクリンを吸収合併しました。工場や病院の衛生管理をする総合環境衛生事業もあります。建物の衛生管理の仕事は「ビルメンテナンスの業界地図」で扱います。エステーは、生活日用品事業の1つだけのセグメントで、2026年3月期(日本基準)の売上高は485億円、営業利益は20億円でした。消臭芳香剤のエアケアが216億円で、売上の44.5%を占めます。

医薬品とまたぐ会社の例が、小林製薬です。セグメントは国内事業と国際事業の地域別で、どちらでもヘルスケア製品・日用品・カイロなどを作って売っています。日用品と医薬品を分けた売上は示されていません。ライオンの薬品分野と同じく、医薬品の話は「医薬品の業界地図」で扱います。

製紙会社の例が、大王製紙です。ホーム&パーソナルケア事業に、衛生用紙・紙おむつ・フェミニンケア用品・ウエットワイプ・ペット用品などがまとまっています。2026年3月期(日本基準)の売上高は2,989億円(前期より1.2%増)、セグメント利益は81億円で、前の期の14億円の損失から黒字になりました。新聞用紙や段ボールなどの紙・板紙事業は「紙・パルプの業界地図」で扱います。

外資系の例が、P&Gジャパンです。日本の主な事業会社はP&Gジャパン合同会社で、本社は神戸市にあり、1973年に日本で営業を始めました。洗濯・洗浄関連製品、紙製品、医薬部外品、化粧品などを扱います。日本の会社の売上や利益は公表されていません。

日用品メーカーは、どの事業で売上と利益を得ているか

会社ごとのセグメント(事業の区分)の例。並びは会社の事業構成の順で、順位ではない。期・会計基準・利益の名前が札ごとに違うため、札どうしの数字は比べない。

出典:花王「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信」、ライオン・ユニ・チャーム・アース製薬・小林製薬「2025年12月期 決算短信」、エステー・大王製紙「2026年3月期 決算短信」、P&Gジャパン「日本での事業展開」。

会社ごとに、決算の期(12月期・3月期)も、会計の基準(IFRS・日本基準)も、利益の名前(営業利益・事業利益・コア営業利益・セグメント利益)も違います。このため、会社どうしの数字は比べません。花王の数字は6か月の値なので、1年分の数字とは比べられません。

型によって、仕事の広がりも変わります。複数の品目を持つ会社では、洗剤・オーラルケア・紙おむつなど、担当する品目で法律や売り場、季節の波が変わります。殺虫剤・消臭剤などの専業の会社は、エステーのカイロや除湿剤、アース製薬の虫ケア用品のように、天候で動く季節品を多く持ちます。製紙会社では、紙を作る事業と、家庭紙・紙おむつを売る事業が同じ会社の中にあります。

変化:価格改定、少子高齢化、海外、容器のルール

1つ目の変化は、原料と物流の費用です。花王は、化粧品を含む消費者向けの事業全体で、中東情勢による原材料価格や物流コストの上昇に対して、高付加価値製品の提案とその価値に見合った価格改定、デジタル・AIを使ったマーケティングの高度化を進めたとしています。機動的な調達・生産体制で、安定供給に努めたとも書いています。購買や生産、マーケティングの仕事に直接かかわる話です。

2つ目は、少子化と高齢化です。日衛連の集計では、乳幼児用紙おむつの生産枚数は、2017年の159.6億枚から、2020年に123.6億枚、2024年に79.9億枚、2025年に71.1億枚になりました。2025年は2017年の44.5%です(計算値)。大人用紙おむつは、2011年の58.1億枚から2025年の100.9億枚に増えました。どちらも国内向けと海外向けを合わせた生産の枚数です。

会社の説明も、この流れと合います。ユニ・チャームは2026年12月期の中間決算短信で、国内のベビーケアについて「国内市場は少子化により縮小傾向」と書いています。大王製紙は、ベビーケアは価格改定で単価が上がったものの、少子化で数量と売上が減ったとしています。花王は、ベビー用紙おむつ「メリーズ」が日本で競合の攻勢などの影響を受け、前年同期を下回ったと説明しています。

3つ目は、海外です。花王の2026年1〜6月の売上高に占める海外の割合は45.4%でした(ケミカル事業を含む連結)。ライオンの海外事業は、2025年12月期に売上高1,780億円、事業利益82億円です。2026年1〜6月の主な国の売上は、タイが357億円、中国が159億円、マレーシアが155億円でした。

ユニ・チャームは、2025年に海外でベビーケアの一部の需要が安い商品に移ったと説明しています。アジアでは、新しく伸びているネット通販の市場へのマーケティング投資と激しい価格競争で、利益が圧迫されたとしています。インドでは税制(GST)の改正で69億円の評価損失を出しました。2026年1〜6月は、インドで販売地域を広げ、インドネシア・タイ・ベトナムなどでは高価格帯と価格重視の2つのブランドを使い分けるとしています。大王製紙は、トルコの子会社を売却し、中国のベビー用紙おむつの不採算の取引を見直しました。

4つ目は、容器のルールです。容器包装リサイクル法は、販売する商品に容器を使う事業者(特定容器利用事業者)に、毎年度、決められた量の再商品化(リサイクル)を義務づけています(第11条)。「用いる」には、商品を容器に入れることのほか、容器入りの商品の輸入や、それらの委託も含まれます(第2条第9項)。小規模の事業者などは除かれます(第2条第11項)。洗剤などを容器に入れて売るメーカーは、この定義に当たると考えられます。容器を減らして排出を抑えることは、事業者と消費者の努力義務です(第4条)。自ら回収する事業者は、国の認定を受けることができます(第18条)。

プラスチック資源循環法では、プラスチックを使った製品を設計する事業者は、国の設計の指針に沿って設計するよう努めなければなりません(第7条第5項、努力義務)。設計について国の認定を受けることができ(第8条)、自主回収・再資源化の計画の認定を申請することもできます(第39条)。詰め替え用の製品は、法律で義務づけられたものではなく、会社が選んで取り組むものです。

ユニ・チャームは、保育施設向けの定額制サービス「手ぶら登園」を導入した施設に、使用済み紙おむつから取り出した再生パルプを使った専用の商品を届ける取り組みを進めています。使用済みの紙おむつや容器を集めて資源に戻す事業は「廃棄物処理・リサイクルの業界地図」で扱います。

価格改定・少子高齢化・容器のルールは、どの業務に影響するか

左は変化と、その根拠の数字・会社の説明。各変化の下に、かかわる仕事を置いた。実線の札は会社の説明にある結び付き、点線の札は本文で整理した業務との関係です。右は採用ページで確かめた職種の名前(会社名つき)。

棒の長さは160億枚を100%として本記事で計算。億枚は百万枚の値を四捨五入した。各変化が職種へ与える影響は、会社や部署によって異なる。

出典:花王「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信」「2027年度新卒採用 募集要項」、大王製紙「2026年3月期 決算短信」、ユニ・チャーム「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信」「新卒採用 募集要項」「採用情報」、日本衛生材料工業連合会「統計情報」、容器包装リサイクル法・プラスチック資源循環法(e-Gov法令検索)、ライオン「新卒採用 職種・コース紹介」。

マーケティング・開発・生産・営業の仕事と、求人の見方

日用品メーカーの仕事は、売れる商品を考えるところから、中身と容器をつくり、工場で量産し、店に並べて売るところまで続きます。職種の名前は会社ごとに違うため、採用ページの例を会社名つきで見ます。

会社採用の区分職種・コースの名前(採用ページの表記の例)
花王2027年度新卒(グローバルビジネス職コース)日用品 マーケティング、日用品 商品開発、購買(調達)、品質保証、ケミカル営業(BtoB営業)
ライオン2028年新卒営業コース、サプライチェーン戦略コース、製品開発研究コース、基盤研究コース、生産技術研究(製造、包装・物流)コース、生産(開発・導入・製造)コース
ユニ・チャーム2028年4月入社の新卒営業職、マーケティング職、パーソナルケア商品開発職、ペットケア商品開発職、設備開発職

花王の募集要項には、ほかに会計財務、人財戦略、ブランド法務、デジタル戦略の専門職コースがあります。研究開発と生産技術は研究開発職の募集要項を、エンジニアリングオペレーターは学校に送っている求人票を見るよう書いています。化粧品のマーケティングと商品開発の仕事は「化粧品の業界地図」で扱います。

ライオンの新卒採用のページは、営業・スタッフ職、研究職、生産技術職の3つに分けてコースを載せています。ページは、2028年新卒採用の募集要項として載せ、各コースの詳しい内容はマイページで案内するとしています。生産技術研究のコースは、製造に加えて包装・物流も名前に入っています。

ユニ・チャームの新卒募集要項は、勤務地を、営業職は東京本社と全国の支店、マーケティング職は東京本社、パーソナルケア商品開発職と設備開発職は香川、ペットケア商品開発職は兵庫(伊丹)と香川としています。どの職種も、将来は海外の現地法人に赴任する可能性があるとしています。募集要項には、製造技術職の休みは会社の操業カレンダーに合わせるという注記もあります。採用ページの社員紹介では、営業職の中に店頭営業、プロケア営業、営業企画の社員が載っています。

品目の法律の区分は、品質保証の仕事の中身を変えます。医薬部外品を扱う会社では、製造販売業の許可や品目ごとの承認、容器への「医薬部外品」の表示が仕事にかかわります。洗剤では、品質表示法の表示事項(成分・液性・使用上の注意など)を正しく載せることが求められます。シャンプーなど法律上の化粧品に当たる品目では、化粧品の許可や表示のルールがかかわります(「化粧品の業界地図」)。紙おむつのように、どれにも当たらない品目もあります。応募する会社がどの品目を持つかで、品質保証の担当が見る法律が変わります。

小売向けの営業の仕事を探すときは、応募先がメーカー本体か、販売を担うグループ会社かを確かめます。花王の本体の新卒募集要項には、国内の小売向けの営業の職種は載っていません。

求人を見るときは、次の点を確かめると、仕事の中身を比べやすくなります。

  • どの品目の会社か:洗剤・紙おむつ・殺虫剤などで、かかる法律(品質表示法、薬機法の化粧品・医薬部外品)と品質保証の仕事が変わる
  • 応募先はどの会社か:メーカー本体か、販売・物流などのグループ会社か
  • 勤務地:本社・研究所・工場・全国の支店のどこか。工場の勤務カレンダーはどうなっているか
  • 季節の波:殺虫剤・除湿剤・カイロなど、天候で売れ行きと返品が動く品目を担当するか
  • 費用の使い方:販売促進費・広告宣伝費・物流費の判断に、仕事のどこでかかわるか
  • 海外との関わり:海外の売上の比重、海外への赴任や出張の有無