外食、宿泊、給食、旅行を、誰が払うか、店舗や施設を持つか、需要の波、許可・登録、主な仕事で比較。関心に合う分野を選べます。

飲食店の店長候補、ホテルのフロント、社員食堂の調理、旅行会社のカウンター。どの求人にも「接客」「調理」「お客様をもてなす仕事」といった言葉が並び、似た仕事に見えます。しかし、お金を払う相手が違います。飲食店は来店した客から、ホテルは泊まった客から代金を受け取ります。給食の会社は、社員食堂を置く企業や病院・学校などの施設と契約して代金を受け取ります。旅行会社は、旅行者から旅行代金を受け取るほか、宿や交通の事業者のために販売を代わりに行うこともあります。

この記事では、外食・宿泊・給食・旅行の4つの分野を、誰からお金を受け取るか、店や施設を持つか、需要がいつ動くか、始めるときにどんな許可・登録・届出が要るか、どんな人を置かなければならないかで見分けます。大きさの数字は統計ごとに数える範囲が違うため、その読み方も確かめます。

各分野の詳しい仕組みや仕事は、それぞれの業界地図で説明します。業態ごとの客単価や1店舗の採算、直営とフランチャイズは「外食の業界地図」、ホテル・旅館の所有と運営、稼働率と客室単価は「宿泊の業界地図」、施設との契約の型と採算は「給食の業界地図」、旅行会社とオンライン予約サイトの稼ぎ方は「旅行の業界地図」で扱います。

外食の業態、店舗採算、直営・FC、店長と本部の仕事を見る場合は、外食の業界地図で確かめられます。

ホテル・旅館の所有と運営、稼働率、客室単価を見る場合は、宿泊の業界地図で確かめられます。

隣の分類との境目もあります。食品メーカーの業務用製品は「食品メーカーの業界地図」、業務用食品の卸は「食品卸の業界地図」で、食品の分類の全体は「食品・農林水産の業界地図」で見られます。コンビニやスーパーの弁当・総菜は「コンビニの業界地図」「食品スーパーの業界地図」と「小売・ECの業界地図」、料理配達アプリの事業は「EC業界地図」で扱います。航空機や鉄道の運航・運行は「航空の業界地図」「鉄道の業界地図」で、運輸の分類の全体は「運輸・物流の業界地図」です。旅行業はその地図では扱わず、この分類で受けます。ホテルの開発・保有の判断は「不動産開発・賃貸(デベロッパー)の業界地図」(不動産の分類の全体は「不動産の業界地図」)、ホテルの客室清掃や設備管理の受託は「ビルメンテナンスの業界地図」です。この記事は、次にどの地図を読むかを決めるための全体図です。

誰からお金を受け取るかで、4つの分野を見分ける

4つの分野は、どれも人に食事や泊まる場所、旅行を提供します。違いが最もはっきり出るのは、代金を払う相手です。下の図は、4つの分野を、対価を受け取る相手・店や施設の持ち方・需要の波・始めるための制度・主な仕事・次に読む地図で並べたものです。会社名は型の例で、大きさや順位は表しません。

外食・宿泊・給食・旅行は、誰からお金を受け取り、何を持ち、どの制度で始めるのか

行は分野、列は見分けるための観点。いちばん違いが出るのは「誰から対価を得るか」。会社名は型の例で、大きさや順位は表さない。

誰から対価を得るか
店・施設の持ち方
需要の波
始めるための制度
主な仕事
会社の例・次に読む地図
外食飲食店・持帰り・配達
誰から対価を得るか不特定の来店客(料理の代金)。FC本部は加盟店からロイヤルティ・加盟金など
店・施設の持ち方直営店とFC加盟店
需要の波来店の波(時間帯・曜日・立地で、業態ごとに違う)
始めるための制度飲食店営業の許可(食品衛生法、営業者が受ける)
主な仕事店長・調理・接客、本部(商品開発・店舗開発・スーパーバイザーなど)
会社の例・次に読む地図例:日本マクドナルドHD(直営とFC)、物語コーポレーション(FC本部の収入)外食の業界地図
宿泊ホテル・旅館
誰から対価を得るか宿泊客(宿泊料)。料飲・婚礼・宴会の売上もある
店・施設の持ち方保有・リース(賃借)・運営受託(マネジメントコントラクト)・FC
需要の波季節と訪日客(月別の延べ宿泊者数で見える)
始めるための制度旅館業の許可(旅館業法)。民泊は届出(年180日まで)
主な仕事フロント・予約・料飲サービス・調理・支配人
会社の例・次に読む地図例:藤田観光(賃借主体から多様な形へ)、西武HD(保有・リースとMC・FC)宿泊の業界地図
給食施設の食事
誰から対価を得るか施設を設置した企業・病院・学校などとの契約
店・施設の持ち方施設の中の厨房や給食センターで、施設のためにつくる
需要の波契約と利用者の数で食数が決まる
始めるための制度特定給食施設の届出(健康増進法、施設の設置者が出す)
主な仕事管理栄養士・栄養士・調理師・調理
会社の例・次に読む地図例:エームサービス(施設に食事とサポートサービス)給食の業界地図
旅行旅行会社・予約
誰から対価を得るか旅行者(企画旅行の代金など)と、販売を任された宿や交通の事業者
店・施設の持ち方店舗・ネット・法人営業。HISのようにホテル事業を持つ会社もある
需要の波取扱額は2025年度の各四半期で前年度を上回った
始めるための制度旅行業・旅行業者代理業・旅行サービス手配業の登録(旅行業法)
主な仕事企画・手配・カウンター、営業所ごとの旅行業務取扱管理者
会社の例・次に読む地図例:エイチ・アイ・エス(旅行事業と法人・自治体の事業)旅行の業界地図
1社が複数の分野にまたがる例:エイチ・アイ・エスは旅行事業とホテル事業、共立メンテナンスはホテルと「フーズ」(外食・受託給食・ホテルレストラン等の受託運営)、藤田観光は宿泊と婚礼・宴会・料飲
隣の分類:コンビニ・スーパーの弁当・総菜は小売、航空・鉄道の運航は運輸、ホテルの開発・保有は不動産、客室清掃・設備管理の受託はビルメンテナンス
出典:総務省「日本標準産業分類(令和5年7月改定)」、食品衛生法・同施行令、旅館業法、住宅宿泊事業法、健康増進法、旅行業法、日本マクドナルドホールディングス・藤田観光「2025年12月期 決算短信」、物語コーポレーション「2026年6月期 決算短信」、西武ホールディングス・共立メンテナンス「2026年3月期 決算短信」、藤田観光「有価証券報告書(2025年12月期)」、エイチ・アイ・エス「2025年10月期 決算短信」、三井物産「エームサービス株式会社の株式追加取得による完全子会社化について」(2023年2月2日)、観光庁「2025年度 主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計」をもとに編集部作成。分野の分け方と「主な仕事」の列は、この記事の整理。

外食は、不特定の来店客から料理の代金を受け取ります。店の形には、会社が自分で営む直営店と、フランチャイズ(FC)の加盟店があります。FCでは店の売上は加盟店のもので、本部は加盟店からロイヤルティなどを受け取ります。

宿泊は、泊まった客から宿泊料を受け取ります。ホテルの中のレストランや宴会・婚礼の売上もあります。建物を持つ会社と運営する会社が分かれることもあります。

給食は、決まった利用者に食事を出しますが、契約の相手は施設です。社員食堂なら企業、病院なら病院、学校なら学校の設置者が、給食の会社と契約します。外食の会社が社員食堂をカフェのように運営する場合でも、契約先が施設なら、この記事では給食の側として扱います。

旅行業は、旅行業法で、どんな行為をする事業かが決められています。旅行会社が自分で計画を立て、宿や交通を組み合わせて売る企画旅行では、旅行者から旅行代金を受け取ります。旅行者のために宿や交通の予約を代わりに行う手配旅行や、宿や交通の事業者のために販売を代わりに行う形もあります。どの行為で何を受け取るかは「旅行の業界地図」で扱います。

1つの会社が複数の分野にまたがることもあります。エイチ・アイ・エス(HIS)は、報告セグメントに旅行事業とホテル事業を持ちます(HIS 2025年10月期 決算短信)。共立メンテナンスは、寮・ホテルのほかに、外食・受託給食・ホテルレストラン等の受託運営を行う「フーズ」の区分を持ちます(共立メンテナンス 2026年3月期 決算短信)。会社の名前ではなく、配属される事業がどの分野にあるかで、読む地図を決めます。

大きさの物差しは、数える相手が違い、足せない

4つの分野の大きさは、1つの統計ではそろって測れません。事業所と従業者を数える統計、売上を数える統計、旅行者の支出を推計する統計、旅行会社の取扱額、施設や登録の数は、数える相手が違います。下の図はそれぞれを別のカードに分け、足し算の記号を置いていません。

4つの分野の大きさは、どの物差しで、どこまでを数えているのか

物差しごとに数える相手が違う。事業所の従業者・就業者・売上・旅行者の支出・取扱額・施設の数は、足したり比べたりできない。カードの間に足し算の記号を置いていないのはそのため。

A 働く場所と人(経済センサス)

2024年6月1日。雇用者のいない個人経営の事業所を除く
  • 飲食店(中分類76、第8-2表)287,005事業所・約333万人
  • 持ち帰り・配達飲食サービス業(77、第8-2表)49,971事業所・約57万人
  • 宿泊業(75、第8-2表)33,656事業所・約61万人
  • 施設給食業(小分類773、第4-2表)31,731事業所・337,513人
  • 旅行業(小分類791、第4-2表。大分類Nの中)6,101事業所・70,923人
施設給食業は第4-2表の77の従業者の約59%(計算値)。第8-2表と第4-2表は対象が少し違い、足し引きしない

B 売上(サービス産業動態統計)

2025年の1か月あたりの年平均
  • 飲食店1兆6,299億円
  • 持ち帰り・配達飲食サービス業2,384億円
  • 宿泊業6,027億円
  • 旅行業分けて出ない
事業活動の分類で集計した数字。年間の概算は月平均の12倍で、飲食店約19.6兆円・宿泊業約7.2兆円(計算値)

C 旅行者の支出(観光庁の推計)

2025年。旅行者が払った額で、事業者の売上ではない
  • 日本人の国内旅行消費額26兆7,845億円
  • 訪日外国人の旅行消費額(別の調査)9兆4,549億円
  • うち宿泊費・飲食費の割合36.6%・21.9%
交通費・買物代なども含む。2つの調査の値は足さない

D 旅行会社の取扱額(観光庁)

2025年度。主要44社・グループの合計
  • 総取扱額(前年度比105.3%)約3兆9,750億円
  • 海外旅行約1兆4,309億円
  • 外国人旅行(訪日客の旅行)約2,502億円
  • 国内旅行約2兆2,940億円
取扱額で売上高ではない。オンライン予約サイトの会社は掲載企業に入っていない

E 施設と登録の数

施設の数・登録の件数で、会社の数や大きさではない
  • 特定給食施設(2025年度末、衛生行政報告例)50,593施設
  • 学校・児童福祉施設・病院15,204・14,322・5,440
  • 旅行業者(2026年4月1日)9,774
  • 旅行業者代理業・旅行サービス手配業450・3,901
特定給食施設の数から、施設が自ら調理しているか委託しているかは分からない

F 働く人(労働力調査)

2025年平均。働く人の側から数えた就業者
  • 宿泊業,飲食サービス業の就業者416万人
宿泊と飲食を分けない。旅行業は入らない。Aの従業者とは定義が違い、足し引きしない

施設給食業(773)は、2023年の分類改定で77の中に置かれた。病院・学校などが自ら調理する給食はその施設の事業所に含まれ、773には入らない。旅行業は宿泊・飲食とは別の大分類N「生活関連サービス業,娯楽業」に入る。

出典:総務省・経済産業省「令和6年経済センサス‐基礎調査」第8-2表・第4-2表、総務省「日本標準産業分類(令和5年7月改定)」、総務省「サービス産業動態統計調査 2026年8月分(速報)」、総務省「労働力調査(基本集計)2025年平均」、観光庁「旅行・観光消費動向調査 2025年年間値(確報)」「インバウンド消費動向調査 2025年年次報告書」「2025年度 主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計」「各都道府県の旅行業者・旅行業者代理業者・旅行サービス手配業者数一覧表(令和8年4月1日現在)」、厚生労働省「衛生行政報告例(令和7年度末)」をもとに編集部作成。万人への丸めは原数から1回。

統計の分類から確かめます。日本標準産業分類では、大分類M「宿泊業,飲食サービス業」に、中分類75宿泊業、76飲食店、77持ち帰り・配達飲食サービス業が入ります。旅行業(小分類791)は、別の大分類N「生活関連サービス業,娯楽業」の中分類79に入ります。2023年の分類改定では、77の中に小分類773「施設給食業」が新しく置かれました。学校や病院などの施設で、決まった多人数に調理した食事を続けて出す、事業所向けの事業所です。給食センター・病院給食業・機内食提供サービス業が例に挙がっています。病院や学校が自ら調理する給食は、その施設の事業所に含まれ、773には入りません。

事業所と従業者は、令和6年経済センサス‐基礎調査(2024年6月1日、第8-2表)で見ます。飲食店は287,005事業所・従業者約333万人、持ち帰り・配達飲食サービス業は49,971事業所・約57万人、宿泊業は33,656事業所・約61万人です。この表は、雇用者のいない個人経営の事業所を含みません。数字は「外食の業界地図」「宿泊の業界地図」と同じ表の値です。

小分類は、別の表(第4-2表)で見ます。施設給食業は31,731事業所・従業者337,513人で、この表の77の従業者574,135人の約59%に当たります(計算値)。持ち帰り・配達飲食サービス業という名前から弁当や宅配ピザの店を思い浮かべがちですが、働く人の多くは施設給食業にいます。宿泊業の中では、旅館、ホテル(小分類751)が26,095事業所・従業者551,402人です。旅行業は6,101事業所・従業者70,923人です。2つの表は対象が少し違うため、値を足したり引いたりしません。

売上は、総務省のサービス産業動態統計調査で、2025年の1か月あたりの年平均が、飲食店1兆6,299億円、持ち帰り・配達飲食サービス業2,384億円、宿泊業6,027億円です。年間に直すと、飲食店は月平均の12倍で約19.6兆円、宿泊業は約7.2兆円の概算になります(計算値)。旅行業はこの統計の表で分けて出ません。

旅行者の支出は、観光庁の推計です。2025年の日本人の国内旅行消費額は26兆7,845億円で、うち宿泊旅行が21兆7,211億円、日帰り旅行が5兆634億円でした(旅行・観光消費動向調査)。交通費や買物代も含む支出の推計で、旅行会社や宿・飲食店の売上の合計ではありません。訪日外国人の旅行消費額は別の調査で、次の章で見ます。

旅行会社の取扱額は、観光庁が主要な旅行業者44社・グループについて集計しています。2025年度の総取扱額は約3兆9,750億円(前年度比105.3%)で、内訳は海外旅行約1兆4,309億円、日本の旅行会社が扱った訪日客の旅行(外国人旅行)約2,502億円、国内旅行約2兆2,940億円です(2025年度 主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計)。このうち、旅行会社が計画を立てて参加者を募るパッケージ旅行(募集型企画旅行)は約1兆2,374億円・約2,295万人でした。44社・グループの合計で、旅行業全体ではありません。取扱額は売上高とも違い、オンライン予約サイトの会社は掲載企業に入っていません。

施設と登録の数もあります。厚生労働省の衛生行政報告例では、2025年度末の特定給食施設(1回100食以上又は1日250食以上を続けて出す施設)は50,593で、学校15,204、児童福祉施設14,322、病院5,440、老人福祉施設5,153、事業所4,784などです。これは食事を出す施設の数で、給食会社の数ではありません。施設が自ら調理しているか、会社に任せているかも、この表では分かりません。旅行業者の登録は、2026年4月1日で9,774です(後の章で区分を見ます)。

働く人は、労働力調査では「宿泊業,飲食サービス業」の合計でしか出ず、2025年平均の就業者は416万人です。宿泊と飲食を分けられず、事業所の側から数える経済センサスの従業者とは定義が違います。

この章の数字を足して「分類全体の市場規模」や「分類全体で働く人」を作ることはできません。見たい分野と物差しを決めて、1つずつ読みます。

需要の波は、季節・訪日客・契約で動き方が違う

需要の動き方も、分野で違います。宿泊は季節と訪日客で大きく動きます。旅行会社の取扱額は、2025年度はどの四半期も前年度を上回りました。給食は、施設との契約と利用者の数で食数が決まり、来店客の増減で売上が動く外食とは動き方が違います。

宿泊の需要は、月によってどれだけ動き、日本人と訪日客で山がどう違うのか

2025年の月別の延べ宿泊者数。全体の山は8月、谷は2月。日本人は8月が最多、外国人は4月と10月が多く9月が少ない。宿泊者数の波で、外食・給食の需要の月別ではない。

日本人外国人棒の上の数字は全体(万人泊)
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月

全体(万人泊):1月4,864、2月4,797、3月5,562、4月5,292、5月5,607、6月5,004、7月5,665、8月6,720、9月5,424、10月5,973、11月5,704、12月5,499
日本人:1月3,340、2月3,418、3月4,077、4月3,570、5月4,013、6月3,584、7月4,241、8月5,311、9月4,140、10月4,288、11月4,221、12月3,915
外国人:1月1,524、2月1,379、3月1,485、4月1,722、5月1,595、6月1,421、7月1,424、8月1,409、9月1,283、10月1,685、11月1,483、12月1,583

訪日客の人数:訪日外客数は2025年に4,268万人(確定値)。2019年は3,188万人。人数(入国者)で、宿泊者数ではない
旅行会社の取扱額:主要44社・グループの総取扱額の前年度比は、2025年度の4〜6月104.8%、7〜9月104.7%、10〜12月105.3%、1〜3月106.4%
出典:観光庁「宿泊旅行統計調査(2025年・年間値(確定値))」の延べ宿泊者数の月別の表、日本政府観光局(JNTO)「年別 訪日外客数、出国日本人数の推移(1964年‐2025年)」、観光庁「2025年度 主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計」をもとに編集部作成。万人泊への丸めは原数から1回で、日本人と外国人の丸めた値の和は全体と1ずれることがある。棒の高さは7,000万人泊を100%とした。2026年の月別の速報値は、調べる施設の選び方が変わったため並べていない。

観光庁の宿泊旅行統計調査(2025年確定値)では、2025年の延べ宿泊者数は6億6,111万人泊で、外国人が27.2%でした。月別に見ると、全体の最多は8月の約6,720万人泊、最少は2月の約4,797万人泊です。日本人は8月が最多(約5,311万人泊)で、1月・2月が少なくなります。外国人は4月(約1,722万人泊)と10月(約1,685万人泊)が多く、9月(約1,283万人泊)が少なくなります。日本人と外国人で山の位置がずれるため、外国人の客が多い施設では、忙しい時期が日本人中心の施設と違ってきます。なお、2026年の月ごとの速報値は調べる施設の選び方が変わったため、この確定値と並べて比べません。

訪日客は増えています。日本政府観光局(JNTO)の訪日外客数は、2025年に4,268万人(確定値)で、2019年の3,188万人を上回りました。観光庁のインバウンド消費動向調査では、2025年の訪日外国人の旅行消費額は9兆4,549億円(推計)で、費目別では宿泊費が36.6%、飲食費が21.9%でした。旅行者が払った額の推計で、宿泊業や外食の売上高ではありません。日本人の国内旅行消費額とは別の調査で、足し合わせません。

主要44社・グループの総取扱額の前年度比は、4〜6月104.8%、7〜9月104.7%、10〜12月105.3%、1〜3月106.4%です。

外食の需要は、時間帯や曜日、立地で動きます。どの時間帯が忙しいかは業態と店で違うため、「外食の業界地図」で業態ごとに確かめてください。

店や施設を持つか、運営を任されるか

同じ分野でも、店や施設を自分で持つか、借りるか、運営だけを任されるかで、会社が受け取るお金と負うリスクが変わります。ここでは各分野の型を、会社の開示の言葉で1〜2社ずつ見ます。会社どうしの大きさを比べるためではありません。

外食では、直営とFCで収入の形が違います。日本マクドナルドホールディングスは、2025年12月末で直営705店・FC2,320店を持ち、2025年12月期の連結売上高は、直営売上高2,700億8,900万円とFC収入1,465億1,300万円に分かれています(日本マクドナルドホールディングス 2025年12月期 決算短信)。FC店の売上は本部の売上に入らず、本部にはFC収入として入ります。物語コーポレーションの2026年6月期のフランチャイズのカテゴリーの売上高78億900万円は、主に加盟企業からのロイヤルティ・加盟金・業務受託料などです(物語コーポレーション 2026年6月期 決算短信)。

宿泊では、建物の所有と運営が分かれることがあります。藤田観光は、ワシントンホテルなどの事業でこれまでホテルの不動産を借りる「賃借主体」で出店してきたとし、今後は物件の取得、フランチャイズ、マネジメントコントラクト(ホテルの管理運営を受託する方式)などで広げる方針を示しています(藤田観光 有価証券報告書 2025年12月期)。鉄道グループの西武ホールディングスは、国内ホテル業を「保有・リース」と「MC・FC」に分けて示しています(西武ホールディングス 2026年3月期 決算短信)。星野リゾート・リート投資法人では、星野リゾートグループが借りて運営する31物件は、いずれも売上か利益に連動する変動賃料を含む契約です(2025年6月16日の開示)。

宿泊の会社は、食事の売上も持ちます。藤田観光の2025年12月期の収益の内訳では、宿泊58,121百万円のほか、婚礼7,713百万円、宴会3,631百万円、料飲3,378百万円がありました(藤田観光 2025年12月期 決算短信)。ホテルで調理や料飲サービスの仕事をする場合は、宿泊の会社に雇われることになります。

給食では、会社が施設の中や給食センターで、施設のために食事をつくります。エームサービスは、オフィス・工場、病院・社会福祉施設、学校、スポーツ施設などに、食事とサポートサービスを提供する会社です。三井物産の2023年2月の発表によると、三井物産は同社の株式の50%を米国のAramarkから取得し、エームサービスは三井物産の完全子会社になる予定とされました(三井物産 ニュースリリース)。契約の型と採算は「給食の業界地図」で扱います。

旅行では、個人のほかに、企業や自治体も顧客になります。HISの2025年10月期(日本基準)では、旅行事業の売上高は309,139百万円・営業利益9,636百万円、ホテル事業の売上高は25,244百万円・営業利益3,618百万円でした(セグメント間の取引を相殺する前)。旅行事業の説明には、海外旅行・国内旅行・訪日旅行のほか、報奨旅行や研修旅行の法人事業、官公庁・自治体の事業が並びます。旅行会社の顧客が個人だけではないことを示す1社の例です。この売上高は、前の章の取扱額とは定義が違うため、並べて比べません。

始めるための許可・登録・届出と、置かなければならない人

4つの分野は、始めるときの手続きの種類も、手続きをする人も違います。飲食店営業と旅館業は「許可」、旅行業は「登録」、民泊と特定給食施設は「届出」です。下の表は、手続きの種類と主語、義務と努力義務を、条文の言葉どおりに分けています。

始めるときの許可・登録・届出と、置かなければならない人は、分野でどう違うのか

手続きの種類も、義務を負う人(主語)も分野で違う。特定給食施設の届出と管理栄養士の配置は、給食の会社ではなく施設の設置者にかかる。

分野何が要るか誰が(主語)置く人条文
外食義務飲食店営業の許可(都道府県知事)営業を営もうとする者(営業者)義務営業者が食品衛生責任者を定める(調理師・栄養士・管理栄養士などか、都道府県知事等の講習会などの受講者)食品衛生法第55条第1項・第51条、施行令第35条第1号、施行規則第66条の2・別表第17
宿泊義務旅館業の許可(都道府県知事、保健所設置市・特別区は市長・区長)民泊は住宅ごとの届出で、年180日以内旅館業を営もうとする者/住宅宿泊事業を営もうとする者この表の旅館業法・住宅宿泊事業法の条文には配置の定めがない。ホテル・旅館の中で飲食店営業などを行う場合は、外食と同じく食品衛生責任者を定める旅館業法第3条第1項/住宅宿泊事業法第2条第3項・第3条第1項
給食義務特定給食施設(1回100食以上又は1日250食以上)の届出。事業開始から1月以内営業以外で施設が自ら給食を行う場合は、食品衛生法の届出などが準用される(第68条第3項)特定給食施設の設置者(企業・病院・学校など)義務知事が指定する施設(医学的管理が必要で1回300食以上又は1日750食以上など)は管理栄養士
努力義務それ以外は栄養士又は管理栄養士施設が自ら給食を行う場合も、食品衛生法第68条第3項の準用で食品衛生責任者を定める(施行規則別表第17)
健康増進法第20条・第21条第1項・第2項、施行規則第5条・第7条、食品衛生法第68条第3項・施行規則別表第17
旅行義務旅行業・旅行業者代理業・旅行サービス手配業の登録。約款は観光庁長官の認可申請先は第1種が観光庁長官、第2種・第3種・地域限定と代理業は都道府県知事旅行業などを営もうとする者義務営業所ごとに1人以上の旅行業務取扱管理者(試験の合格者)旅行業法第3条・第11条の2・第12条の2・第23条、施行規則第1条の2
給食施設の数と人(2025年度末):指定施設2,640(うち病院1,608)。特定給食施設のうち管理栄養士・栄養士のどちらもいない施設11,878。給食施設にいる管理栄養士78,240人・栄養士63,529人・調理師163,791人
旅行業者の数(2026年4月1日):第1種599・第2種3,224・第3種5,081・地域限定870(計9,774)、旅行業者代理業450、旅行サービス手配業3,901
出典:食品衛生法・同施行令、旅館業法、住宅宿泊事業法、健康増進法・同施行規則、旅行業法・同施行規則(いずれもe-Gov法令検索の現行版)、厚生労働省「衛生行政報告例(令和7年度末)栄養 第3表-1」、観光庁「各都道府県の旅行業者・旅行業者代理業者・旅行サービス手配業者数一覧表(令和8年4月1日現在)」をもとに編集部作成。食品衛生法施行規則(e-Gov法令検索の現行版)も参照。「置く人」の列は、この表に挙げた条文の範囲。

外食:食品衛生法第55条により、政令で定める営業を営もうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければなりません。飲食店営業は、その政令(食品衛生法施行令第35条第1号)に挙げられています。許可を受けるのは営業者で、店の施設ごとに受けます。また、営業者は食品衛生責任者を定めなければなりません(食品衛生法第51条に基づく食品衛生法施行規則第66条の2・別表第17、義務)。食品衛生責任者になれるのは、調理師・栄養士・管理栄養士などの資格を持つ人か、都道府県知事等が行う講習会などを受けた人です。営業者の指示に従って衛生管理に当たり、営業者はその意見を尊重します。ホテルや旅館の中でも、飲食店営業などの営業を行う部分には同じ決まりがかかります。

宿泊:旅館業法第3条により、旅館業を営もうとする者は都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では市長・区長)の許可を受けなければなりません。住宅に人を泊める民泊は、住宅宿泊事業法の届出で営め、泊められるのは1年に180日までです。観光庁の宿泊旅行統計は旅館業法の許可を得た施設が対象で、民泊の届出住宅は入りません。

給食:健康増進法第20条により、特定給食施設を設置した者は、事業を始めてから1か月以内に都道府県知事に届け出なければなりません。特定給食施設は、施行規則第5条で、続けて1回100食以上又は1日250食以上の食事を出す施設です。第21条第1項では、特別な栄養管理が必要として都道府県知事が指定した施設の設置者は、管理栄養士を置かなければなりません(義務)。指定の基準は、医学的な管理が必要な人に1回300食以上又は1日750食以上を出す施設などです(施行規則第7条)。それ以外の特定給食施設の設置者は、栄養士又は管理栄養士を置くよう努めなければなりません(第21条第2項、努力義務)。どの特定給食施設でも、設置者は省令の基準に従って栄養管理を行わなければならず(第21条第3項、義務)、基準には献立表の掲示や、熱量・たんぱく質・脂質・食塩などの表示による情報の提供が含まれます(施行規則第9条)。管理栄養士・栄養士の仕事の中身は、この基準と結びついています。

ここでの主語は、給食の会社ではなく、施設の設置者(企業・病院・学校など)です。衛生行政報告例では、2025年度末の指定施設は2,640で、うち病院が1,608でした。特定給食施設のうち、管理栄養士・栄養士のどちらもいない施設が11,878あり、特定給食施設に必ず管理栄養士がいるわけではありません。給食施設全体では、管理栄養士78,240人、栄養士63,529人、調理師163,791人がいます(施設の数と、そこにいる人の数)。なお、営業ではなく学校や病院などの施設が自ら給食を行う場合には、食品衛生法第68条第3項で、届出(第57条)や衛生管理の基準(第51条)などの規定が準用されます。施行規則の別表第17も、この準用の場合を含めて食品衛生責任者を定めることを求めています。

旅行:旅行業法第3条により、旅行業と旅行業者代理業を営もうとする者は登録を受けなければなりません。宿や交通の手配を旅行会社のために行う旅行サービス手配業(いわゆるランドオペレーター)も、第23条で登録が要ります。旅行業は扱える範囲で第1種・第2種・第3種・地域限定に分かれます。第1種はすべての行為を扱え、第2種は海外の募集型企画旅行の実施を除きます。第3種は、募集型企画旅行の実施を拠点区域(自らの営業所のある市町村、隣接する市町村と、観光庁長官の定める区域)内のものに限ります。地域限定は、企画旅行(募集型・受注型)の実施と手配を拠点区域内に限ります(施行規則第1条の3)。登録の申請先は、第1種が観光庁長官、第2種以下と旅行業者代理業は都道府県知事です(同第1条の2)。区分ごとの商品の違いは「旅行の業界地図」で扱います。観光庁の一覧表では、2026年4月1日の旅行業者は第1種599・第2種3,224・第3種5,081・地域限定870の計9,774、旅行業者代理業450、旅行サービス手配業3,901です。旅行業者は約款を定めて観光庁長官の認可を受けなければならず(第12条の2)、営業所ごとに1人以上の旅行業務取扱管理者を選任しなければなりません(第11条の2、義務)。旅行業務取扱管理者は、扱う旅行の範囲に応じた試験(総合・国内・地域限定)の合格者です。社員の全員に資格が要るわけではありません。

仕事の共通点と違い、需要・制度の変化による影響

4つの分野に共通するのは、接客と調理の仕事があり、店長や支配人のように1つの店・施設の数字を任される役割があることです。法律で決まった役割を置くことも、分野によって中身が違います。飲食店など食品衛生法の営業では、営業者が食品衛生責任者を定めます。これは外食だけでなく、ホテルの中で飲食店営業などを行う場合や、施設が自ら行う給食(第68条第3項の準用)にも当たります。そのうえで給食では、施設の設置者が管理栄養士・栄養士を置き(指定施設は義務、それ以外は努力義務)、栄養管理を担わせます。旅行では、旅行業者が営業所ごとに旅行業務取扱管理者を選任し、取引条件の明確さやサービス提供の確実さなどを管理させます。

職種名は会社ごとに違います。確かめた例を挙げます。

  • すかいらーくグループ(新卒募集要項):募集職種は「総合職」で、職種例にマネジャー(店長)、スーパーバイザー、メニュー開発、店舗開発などを挙げています。
  • 帝国ホテル(新卒採用 募集要項):専門コースに、フロント、客室予約、レストランサービス、調理などの職種があります。
  • 藤田観光(2028年4月入社の募集要項):総合職、専門職(調理)、エリア職《接客》、エリア職《調理》に分けています。
  • 共立メンテナンス(ホテルコース):職種名を「ホテル職」とし、業務例にフロント、レストラン(調理)、予約、施設管理を挙げています。

給食と旅行の会社の職種名や、添乗員・ランドオペレーターの仕事は、「給食の業界地図」「旅行の業界地図」で扱います。

人手の面では、外国人材の制度が動いています。在留資格「特定技能」の外食業分野では、在留者が2026年2月末に約4万6千人(速報値)となり、受入れ見込数(上限)の5万人を超える見込みとされたため、出入国在留管理庁と農林水産省は、2026年3月27日掲載の案内に基づき、同年4月13日から在留資格認定証明書の交付を停止しました。宿泊分野の特定技能1号の業務は、出入国在留管理庁の宿泊分野のページによると、フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなどで、受入れ見込数は23,000人(5年間の最大値)とされています。外国人材の採用を予定している職場では、どの分野の在留資格で働くのかが採用計画に関わります。

訪日客の増加が、宿泊施設の需要や仕事量にどう影響するか、外国人の宿泊の地方への広がり、東京都が2027年4月から宿泊料金の3%の定率に変える宿泊税の話は「宿泊の業界地図」で扱います。

次に読む地図と、求人票で確かめること

4つの分野のどれに当たるかが分かったら、分野の地図で会社ごとの違いと仕事の流れを確かめます。

分野次に読む地図その地図で分かること
外食外食の業界地図不特定の来店客に料理を出す店の地図。業態と店内・持帰り・配達の違いで客単価・原価・人手がどう変わるか、直営とFC、店長・本部の仕事
宿泊宿泊の業界地図ホテル・旅館の所有・運営・ブランドを誰が担い、稼働率と客室単価でどう稼ぐか。施設タイプ別の稼働率、販売経路、フロントから支配人までの仕事
給食給食の業界地図社員食堂・病院・介護施設・学校などと契約して、決まった利用者に食事を出す会社の地図。契約の型と採算、施設ごとの制度、管理栄養士・調理の仕事
旅行旅行の業界地図旅行会社とオンライン予約サイトが、宿や交通の在庫と手数料をどう扱い、店舗・法人・団体・ネットのどこで稼ぐか。旅行業法の区分と、企画・手配・カウンターの仕事

病院・介護施設・学校の運営そのものは「医療提供の業界地図」「介護・福祉の業界地図」「学校の業界地図」、ホテルを持つリートの賃料の受け取り方は「不動産ファンド・REITの業界地図」、空港の会社の事業は「空港の業界地図」で扱います。

求人票と会社の資料では、次の点を確かめます。

  • 誰から対価を得る会社か:来店客か、宿泊客か、施設との契約か、旅行者や宿・交通の事業者か
  • 店・施設の持ち方:直営かFC加盟店か、建物を持つか借りるか運営を任されているか、施設の中での受託か。雇用契約を結ぶ会社はどこか
  • どの許可・登録の下で働くか:飲食店営業の許可、旅館業の許可、旅行業の登録など
  • 資格の要否:管理栄養士・栄養士、旅行業務取扱管理者、調理師などが、その職種で求められるか
  • 需要の波:忙しい時期や時間帯はいつか。宿泊は季節と訪日客、給食は契約先の施設と利用者の数、外食は業態と立地で変わる

大きさの数字を見るときは、事業所の従業者か、就業者か、売上か、旅行者の支出か、取扱額か、施設の数かを確かめます。同じ「外食・宿泊・旅行」でも、物差しが違えば数字は比べられません。