ファストフード・ファミリーレストラン・居酒屋・喫茶などの外食を、事業所と働く人の数、1店舗の採算(客数・客単価・材料費・人件費・家賃)、2025年の業態ごとの客数と客単価の動き、直営とフランチャイズの分担、店内・持ち帰り・配達の違い、会社の型で整理します。店長・本部の仕事と、値上げ・省人化・外国人材の受入れの変化が、求人のどこに表れるかも確かめられる内容です。

「飲食店の店長候補」「外食チェーンの本部職」と書かれた求人は、同じ外食でも中身がかなり違います。ハンバーガーの店と居酒屋では、1人の客が払う金額も、店にいる時間も、調理の手間も違います。同じ会社の店でも、店内で食べる客、持ち帰る客、配達を頼む客で、厨房と受渡しの仕事が変わります。

この記事では、不特定の客に向けて店で調理して出す飲食店(持ち帰り・配達を含む)を「外食」として扱います。事業所と働く人の数、営業の許可、1店舗の採算、2025年の業態ごとの動き、直営とフランチャイズ、店内・持ち帰り・配達の違い、会社の型、仕事と変化を順に確かめます。

社員食堂・病院・学校などと契約して決まった利用者に食事を出す給食は「給食の業界地図」で扱います。食品メーカーの業務用製品は「食品メーカーの業界地図」、業務用食品の卸は「食品卸の業界地図」、コンビニの弁当・総菜は「コンビニの業界地図」、料理配達アプリの事業そのものは『EC業界地図』で扱います。ホテルの中のレストランや宴会は「宿泊の業界地図」で扱います。

飲食店は約29万事業所・333万人。働く人の約7割は支所・支店にあたる店にいる

国の令和6年経済センサス‐基礎調査(第8-2表)では、飲食店は287,005事業所、従業者3,326,944人でした。持ち帰り・配達飲食サービス業(持ち帰り、配達、施設給食を含む)は49,971事業所、従業者573,475人です。この表は、雇用者のいない個人経営の事業所(家族だけで営む小さな店など)を含みません。そのため、飲食店の全数ではありません。

飲食店の従業者を、事業所の種類で分けると形が見えてきます。支所・支社・支店にあたる事業所が118,636か所・2,264,810人、単独の事業所が152,683か所・838,703人、本所・本社・本店が15,686か所・223,431人です。従業者のうち支所・支店で働く人は約68.1%(計算値)になります。支所・支店はチェーンの店の目安にはなりますが、チェーン店の数そのものではありません。

飲食店で働く人の約7割は、支所・支店にあたる事業所にいる

令和6年経済センサス‐基礎調査の飲食店と持ち帰り・配達飲食サービス業。雇用者のいない個人経営の事業所を含まない。

76 飲食店287,005事業所従業者3,326,944人
77 持ち帰り・配達飲食サービス業49,971事業所従業者573,475人
飲食店の従業者を事業所の種類で分けると(計算値)
支所・支社・支店:118,636事業所・2,264,810人(約68.1%)
単独事業所:152,683事業所・838,703人(約25.2%)
本所・本社・本店:15,686事業所・223,431人(約6.7%)
読み方:割合は従業者数から計算した値。支所・支店はチェーンの店の目安だが、チェーン店の数そのものではない。経営組織別では、会社が178,249事業所・2,838,763人、雇用者のいる個人経営が106,913事業所・470,455人。ほかに会社以外の法人の事業所がある。
出典:総務省・経済産業省「令和6年経済センサス‐基礎調査」甲調査 事業所に関する集計 第8-2表(e-Stat)

経営組織で見ると、会社の飲食店が178,249事業所・2,838,763人、雇用者のいる個人経営が106,913事業所・470,455人でした。ほかに、会社以外の法人の店があります。求人票を見るときは、雇う会社がどこか(本部か、加盟店の会社か、個人の店か)を確かめると、働く条件の違いを読みやすくなります。

売上の目安には、総務省のサービス産業動態統計調査があります。2025年の1か月あたりの売上高(年平均)は、飲食店が1兆6,299億円(前年比8.5%増)、持ち帰り・配達飲食サービス業が2,384億円(同10.6%増)でした。これは事業活動の分類で集計した数字で、経済センサスの事業所の数とは数え方が違います。飲食店の月平均を12倍すると、年間では約19.6兆円(概算)になります。

働く人の数は、労働力調査では「宿泊業,飲食サービス業」の合計で出ています。2025年平均の就業者は416万人で、前年より9万人増えました。宿泊と飲食を合わせた数で、事業所側から数える経済センサスの従業者とは定義が違います。

ホテル内のレストランや宴会は、客室を含む宿泊施設の運営と合わせて確認できます。 宿泊業界の地図

業態で客の使い方が変わり、店を開くには営業の許可が要る

外食の業態の区分の1つに、日本フードサービス協会(JF)の外食産業市場動向調査の業態区分があります。「その他」を除くと、大きく、ファーストフード(洋風・和風・麺類・持ち帰り米飯/回転寿司など)、ファミリーレストラン(洋風・和風・中華・焼き肉)、パブレストラン/居酒屋、ディナーレストラン、喫茶の5つに分かれます(JF 外食産業市場動向調査)。

業態が違うと、客の使い方が違います。ファーストフードは短い時間で注文から受取りまでを終え、持ち帰りも扱う業態です。ファミリーレストランは席に座って食事をし、家族連れなど幅広い客が使います。居酒屋は夜の時間帯に酒と料理を出し、ディナーレストランは、1回の食事にゆっくり時間をかける客を迎える業態です。喫茶は飲み物と軽食が中心です。求人を見るときは、会社名より先に「どの業態の店か」を確かめると、働く時間帯や忙しさの波を想像しやすくなります。

飲食店を営むには、店ごとに許可が要ります。食品衛生法第55条は、政令で定める営業を始める人に、都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では市長・区長。第76条)の許可を受けることを義務づけています。飲食店営業は、その政令(食品衛生法施行令第35条第1号)に挙げられています。許可を出す側は、施設が基準に合えば許可をしなければならず、許可には5年を下らない有効期間などの条件を付けられます。新しい店を開くときは、店の施設ごとに許可を受けます。また、食品衛生法第51条に基づく食品衛生法施行規則別表第17では、営業者は食品衛生責任者を定めることとされ、調理師・栄養士などの資格者、または都道府県知事等が行うか認める講習会の受講者などが要件を満たします。

1店舗の採算は、客数×客単価から、材料費・人件費・家賃を引いて決まる

1店舗の売上は、客数と客単価(客1人が払う平均の金額)の掛け算です。そこから、料理の材料にかかる材料費(原価)、店で働く人の人件費、店の家賃、水道光熱費などを払い、残りが店の利益になります。

外食の材料費や調達先を見る際は、業務用食品を供給するメーカー側の仕事も確認できます。 食品メーカー業界の地図

外食の会社では、材料費(Food)と人件費(Labor)を合わせた「FL」を、売上に対してどれだけに抑えるかという考え方があります。材料費と人件費は、店長が日々のシフトや仕込み量で動かせる費用だからです。家賃は契約で決まり、店長が月ごとに動かしにくい費用です。

1店舗の売上から、食材費・人件費・家賃などを払った残りが店の利益になる

売上の分かれ方を示す模式図。枠の大きさは実際の割合を表さない。割合は会社・業態・店ごとに違う。

売上 = 客数 × 客単価客単価は客1人が払う平均の金額
材料費(F)料理の材料店長が仕込み量・発注・廃棄で動かせる
人件費(L)社員・アルバイト・パート店長がシフトで動かせる
家賃店の賃料契約で決まり、月ごとに動かしにくい
その他の費用水道光熱費・配達代行の手数料など使い方と契約で変わる
店の利益残り
読み方:太枠の2つを合わせた「FL」を売上に対してどれだけに抑えるかが、店長の数字の目標によく使われる考え方。FCの加盟店では、本部に払うロイヤルティなども費用に入る。
1社の例:日本マクドナルドホールディングスの直営店(2025年12月期・日本基準)では、直営売上高に対して材料費37.3%、労務費25.7%、その他25.6%(計88.6%)。この会社の直営店の数字で、外食全体の割合ではない。
出典:店舗の採算の一般的な考え方の整理。1社の例は日本マクドナルドホールディングス「2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」

1社の例として、日本マクドナルドホールディングスの2025年12月期の決算短信(日本基準・連結)を見ます。直営店の売上高に対する原価の内訳は、材料費37.3%、労務費25.7%、その他25.6%で、合計88.6%でした。これはこの会社の直営店の数字で、何を原価に含めるかも会社の会計で決まります。外食全体の原価率や人件費率として読むことはできません。

業態によって、客の使い方と働き方が違います。同じ業態でも店によって違うため、下の表は、求人票や面接で確かめたい観点として整理しました。

確かめたいことファーストフードファミリーレストラン居酒屋喫茶
働く時間帯昼などの短い時間に客が集中する店か昼と夜、休日のどこが忙しい店か夜の営業が中心の店か、昼も営業する店か朝から営業する店か
調理の手順決まった手順で短時間に出す店か品目の数と、席への配膳の範囲料理の仕込みを店で行う範囲飲み物と軽食の調理を何人で回す店か
店の立地駅前・道路沿い・商業施設の中のどれか駐車場付きの郊外店か、駅前店か駅の近くや繁華街の店か駅・オフィス街・商業施設の中のどれか

求人票や会社説明会で「FL」「原価管理」「人時売上高」(働いた1時間あたりの売上)といった言葉が出てきたら、店長が数字で評価される仕事だという合図です。どの数字が目標になるかは会社ごとに違うため、面接で確かめるとよいでしょう。

2025年は、客数より客単価の伸びが大きかった

JFの調査は、協会の会員社について、新しく開いた店も含む全店の売上・客数・客単価などを、前年と比べた割合で集計しています。外食業界全体の金額ではなく、会員社の全店データ・税抜での前年比である点に注意してください。

2025年の年間結果(日本フードサービス協会の会員社の全店データ・税抜の前年比)では、全体の売上高は107.3%でした。内訳は、客数102.9%、客単価104.3%、店舗数100.7%です。客数も増えましたが、客単価の伸びの方が大きくなりました。JFは、原材料費などの上昇を背景にしたメニューの価格改定で客単価が上がったと説明しています。

2025年は、多くの業態で客数より客単価が伸びた

日本フードサービス協会の会員社の全店データ・税抜の前年比(2025年)。100%が前年と同じ。棒は100%からの増減の大きさを表す。

出典:日本フードサービス協会「日本フードサービス協会会員社による外食産業市場動向調査 令和7年(2025年)年間結果報告」(2026年1月26日公表)

業態ごとに見ると、動き方が違います。喫茶は客単価が108.6%と大きく伸び、売上は109.8%でした。ディナーレストランは客単価が100.6%とほぼ横ばいで、客数が106.0%と伸びました。パブレストラン/居酒屋は、売上104.0%・客数101.3%・客単価102.6%と、5つの業態の中で売上の伸びが最も小さくなりました。

ファーストフードの中の「持ち帰り米飯/回転寿司」は、客数が96.0%と減る一方で、客単価が107.2%と伸び、売上は102.9%でした。同じ業態の中でも、客が減っても単価で売上を保つ形があることが分かります。なお、JFの業態の内訳は、複数の業態を持つ会社が重なって数えられるため、内訳を足しても全体と一致しません。

直営とフランチャイズでは、店のお金と責任の持ち方が違う

外食チェーンの店は、会社が自分で運営する直営店と、フランチャイズ(FC)の加盟店に分かれます。FCでは、本部が店名(商標)・メニュー・作り方・運営の仕組みを提供し、加盟店がその仕組みを使って店を営みます。

持ち帰り商品やフランチャイズを比べる際は、コンビニの本部・加盟店・商品供給の役割も確認できます。 コンビニ業界の地図

直営店は会社がすべて負担し、FC加盟店は店の費用を負担して本部に使用料を払う

直営とフランチャイズで、誰が何を負担し、誰が何を受け取るかの一般的な形。料率や費用の分け方は本部ごとの契約で決まる。

直営店

会社(本部)店の売上を受け取る。食材費・人件費・家賃・設備投資を負担する
↓ 店長を任命し、運営の手順を指示
店(店長は会社の社員)シフト・発注・衛生・採用を回し、売上と費用の目標を追う

フランチャイズ(FC)

本部店名(商標)・メニュー・作り方・運営の仕組みを提供し、指導する。加盟金・ロイヤルティ、加盟店に売る食材などの代金を受け取る
↑ 加盟金・ロイヤルティ・食材などの代金 ↓ 仕組みと指導
加盟店(オーナー)店の売上を受け取る。店の設備投資・人件費などを負担する
1社の例:日本マクドナルドホールディングス(2025年12月期)は直営705店・FC2,320店(2025年12月末)。連結売上高4,166億200万円は直営売上高2,700億8,900万円とFC収入1,465億1,300万円の合計で、直営店とFC店の売上を合わせたシステムワイドセールス(8,886億4,900万円)とは別の数字。
読み方:1つのチェーンに直営店と加盟店が混ざることがある。求人の店がどちらかで、雇う会社(本部か加盟店のオーナー会社か)が変わる。
出典:直営とフランチャイズの一般的な仕組みの整理(個々の本部の契約条件は含まない)。1社の例は日本マクドナルドホールディングス「2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」

直営店では、店の売上は会社の売上になり、材料費・人件費・家賃も会社が払います。店長は会社の社員で、本部の指示のもとで店を任されます。FCの加盟店では、店の売上は加盟店の売上です。加盟店は店の設備への投資や従業員の人件費を負担し、本部には加盟金やロイヤルティ(売上などに応じて払う使用料)を払います。FC本部は、加盟店から加盟金やロイヤルティを受け取り、本部によっては加盟店に食材などを売っています。料率や費用の分け方は本部ごとの契約で決まります。

このため、チェーン全体の店の売上と、本部の会社の売上は別の数字になります。日本マクドナルドホールディングスの2025年12月期では、店舗数は直営705店、FC2,320店、合計3,025店(2025年12月末)でした。連結売上高4,166億200万円の内訳は、直営売上高2,700億8,900万円と、FC収入1,465億1,300万円(売却益23億1,500万円を含む)です。一方、直営店とFC店の売上を合わせたシステムワイドセールスは8,886億4,900万円でした。FC店の売上そのものは本部の売上に入らず、本部にはFC収入として入ります。

本部の収入の中身を開示している会社もあります。物語コーポレーションの2026年6月期の決算短信(日本基準・連結)では、フランチャイズのカテゴリーの売上高78億900万円は、主にFC加盟企業からのロイヤルティ・加盟金・業務受託料などでした。国内の店舗数は直営548店、FC等260店(2026年6月末)です。

FCの本部では、加盟店を回って運営を指導する仕事、新しい加盟店を募る仕事、出店場所を探す仕事などが生まれます。直営店の多い会社では、本部の仕事は自社の店を増やし、店長を育てることに寄ります。同じ「本部職」でも、相手が自社の店長か加盟店のオーナーかで、仕事の進め方が変わります。

加盟の前の情報について、関わる決まりを見ます。中小小売商業振興法第11条は、小売業の連鎖化事業のうち、商標を使わせて加盟金などを取るものについて、本部に、加盟の契約前に加盟金・商品の販売条件・経営指導・使わせる商標・契約期間や更新・解除などを書いた書面を渡して説明することを義務づけています。この条文は、対象を小売業を主に営む中小小売商業者向けの事業としています。後で見る公正取引委員会の考え方も、この法律の義務を小売商業のフランチャイズについてのものとして紹介しています。

公正取引委員会のフランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方は、フランチャイズが小売業や外食業などで使われているとしたうえで、本部が加盟者を募るときに開示することが望ましい事項を挙げています。商品の供給条件、指導の内容と費用、加盟時に払うお金の性質と返還条件、ロイヤルティの額と算定方法、契約期間・更新・解除、近くへの出店(ドミナント出店)の扱いなどです。これは「望ましい」とされる事項で、法律上の義務ではありません。ただし、重要な事項を十分に開示しなかったり、事実と違う・大げさな説明をしたりして、実際より著しく良い条件だと加盟希望者に誤認させて加盟させる場合は、独占禁止法の「ぎまん的顧客誘引」に当たるとしています。予想売上を示すときは、似た環境の既存店の実績など、根拠のある事実と合理的な計算方法に基づく必要があるともしています。

店内・持ち帰り・配達で、厨房・注文・受渡しの分担が変わる

同じ店の同じ料理でも、店内で食べるか、持ち帰るか、配達されるかで、店の仕事の分担が変わります。

店内・持ち帰り・配達で、注文から客に届くまでの担い手が変わる

注文→調理→受渡し→客に届くまでの工程を、提供形態ごとに並べた。調理はどの形態でも店が担う。

注文調理受渡し客に届くまで
店内で食べる店(席・券売機・モバイルオーダー)店の厨房店(席へ配膳)店(片付けまで)
持ち帰る店(店頭・電話・予約)店の厨房(容器に詰める)店の窓口客が自分で持ち帰る
自社で配達会社の注文窓口店の厨房自社の配達員へ自社の配達員
配達代行を使う配達アプリ店の厨房店から配達員へ配達代行の配達員
外食会社・店が担う配達アプリ・配達代行が担う(店は手数料を払う)
出典:提供形態ごとの工程の一般的な整理。注文経路や配達の分担は会社・店ごとに違う

店内での飲食では、注文の受付、調理、席への配膳、片付けまでを店がすべて担います。客席の広さが売上の上限を決め、配膳や片付けの人手もかかります。持ち帰りでは、客席と配膳がいらない代わりに、待ち時間を短くする注文の仕組みと、持ち運べる容器や商品の設計が大切になります。受渡しの窓口で、注文どおりの商品を正しく渡すことも店の責任です。

配達には2つの形があります。1つは、店や会社が自分で配達員を置く自社配達です。もう1つは、料理配達アプリなどの配達代行を使う形で、注文の受付と配達をアプリ側の仕組みに任せ、店は調理と受渡しを担います。配達代行を使うと店の人手は少なく済みますが、店はアプリ側に手数料を払います。どの注文経路にどれだけ頼るかは、店の採算に関わります。アプリの事業の仕組みは「EC業界地図」で扱います。

1つの会社が、店内・持ち帰り・配達を合わせて扱うこともあります。統計でも、持ち帰り・配達飲食サービス業は飲食店とは別の分類ですが、飲食店の中にも持ち帰りや配達を扱う店があります。持ち帰り専門の店や配達専門の店を別の会社として数えるのではなく、同じ会社の中の売り方の違いとして見ると、求人の中身を比べやすくなります。

会社は、業態の持ち方と直営・FCの組み合わせで型が分かれる

外食の会社には、1つの業態を全国や海外に広げる会社、複数の業態のブランドを持つ会社、FCの本部として加盟店を広げる会社があります。複数の業態を持つ会社では、買収(M&A)で新しい業態を加えることもあります。どの業態を持つかで、配属される店の種類や、異動の幅が変わります。

各社の決算短信から、型の例を見ます。決算期も会計基準も違い、店舗数の数え方(FCや海外の店を含むか)も会社ごとに違うため、数字を並べて大きさを比べることはできません。

  • 日本マクドナルドホールディングス(2025年12月期・日本基準)は、ハンバーガーレストラン事業の単一セグメントです。直営とFCの店舗数は前の章で見たとおりで、FCの店が直営より多い構成です。
  • すかいらーくホールディングス(2025年12月期・IFRS)は、ガスト・バーミヤン・しゃぶ葉・ジョナサン・夢庵・ステーキガスト・資さんなどを「レストラン事業」にまとめた単一の報告セグメントです。2025年12月期には、ある業態の店を別の業態に変える業態転換が36店ありました。
  • トリドールホールディングス(2026年3月期・IFRS)は、丸亀製麺を報告セグメントの1つとしています。丸亀製麺の887店はすべて直営です。海外事業では、923店のうちFC等(フランチャイズや合弁会社など直営以外)が487店です(2026年3月末)。
  • ゼンショーホールディングス(2026年3月期・日本基準)は、すき家・はま寿司・ファストフード・レストランなどを7つの報告セグメントに分けています。店舗数14,947店のうちFCは8,235店ですが、その大半(8,102店)は海外の寿司テイクアウトのグローバル中食です。本社・サポートに食品の製造・加工や物流の会社を含みます。
  • コロワイド(2026年3月期・IFRS)は、アトム、レインズインターナショナル(牛角・温野菜など)、カッパ・クリエイト、大戸屋ホールディングスなどを報告セグメントにしています。商品開発・調達・製造・物流はコロワイドMDが担います。直営店は1,501店、FCを含めた総店舗数は2,633店(2026年3月末)でした。2026年4月にはカフェのC-United(珈琲館など、565店)を取得しています(期末後のため、この店舗数には含まれません)。
  • 物語コーポレーション(2026年6月期・日本基準)は、焼肉・ラーメン・ゆず庵などを直営とFCで展開し、カテゴリー別に開示しています。

同じ「外食の会社」でも、直営の店長として採用されるのか、FC本部として加盟店を支える仕事なのか、海外の店を含むのかで、入社後の仕事は変わります。会社の売上の大きさよりも、自分が配属される店が直営かFCか、どの業態か、店内・持ち帰り・配達のどれが多いかを確かめる方が、仕事の中身に近づけます。

値上げ・省人化・外国人材で、店長と本部の仕事はどう変わるか

外食の仕事は、店と本部に分かれます。店では、店長が売上と費用の管理、シフト作り、アルバイト・パートの採用と育成、衛生管理を担います。社員は店長を支えながら、調理や接客の現場を回します。店では、社員のほかにアルバイト・パートも働いています。どれだけの人数がアルバイト・パートかは、店と会社によって違います。

会社ごとの呼び方の例を見ます。すかいらーくグループの新卒募集要項(2026年4月入社を対象とする要項)は、募集職種を「総合職」とし、職種例にマネジャー(店長)、スーパーバイザー、メニュー開発、店舗開発、品質管理、バイヤー、製造ライン長、物流開発などを挙げています。店舗に配属された後、研修を通じてマネジャーを目指す流れです。全国勤務の可能性があるナショナル社員と、指定の都府県から勤務地を選ぶエリア社員に分かれます。ゼンショーホールディングスの2027年卒採用募集要項は、「ビジネスマネジメントコース」と「グローバルバイヤーコース」などを置いています。日本マクドナルドのアルバイトの役割は、クルー、トレーナー(クルーへのトレーニング)、マネージャーの順に責任が広がります。FC店で働く場合、雇い主は本部ではなく加盟店の会社です。

本部には、メニューを考える商品開発、食材を集める調達、店を出す場所を探す店舗開発、複数の店を回って指導するスーパーバイザーなどの役割があります。会社によっては、セントラルキッチン(料理の下ごしらえをまとめて行う自社の工場)や製造・物流の会社をグループに持ち、店での調理の手間を減らしています。職種の名前や担当の分け方は会社ごとに違うため、求人票で確かめてください。

下の表は、店と会社によって違う、起こりうる変化の整理です。

変化店で起きること本部で起きること
材料費・人件費の上昇と値上げ客単価が上がる中で客数を保つ接客、メニューの説明価格の決定、原価を見直すメニュー作り、調達先との交渉
省人化(モバイルオーダー・配膳ロボットなど)注文受付や配膳の作業が減り、調理と受渡しに人を回す機器の導入と、店ごとの作業手順の作り直し
持ち帰り・配達の広がり受渡しの窓口と、配達との受渡しの時間管理容器と商品の設計、配達代行との契約
人手の確保短時間・1日単位の働き方の受入れ、外国人を含む採用と育成採用の仕組みと教育の手順作り、在留資格の制度の変化への対応

人手の確保では、外国人材の受入れに変化がありました。在留資格「特定技能」の外食業分野では、在留者が2026年2月末時点で約4万6千人(速報値)となり、5月頃に受入れ見込数(上限)の5万人を超える見込みとされました。このため出入国在留管理庁と農林水産省は、2026年3月27日掲載の案内に基づき、同年4月13日から外食業分野の在留資格認定証明書の交付を停止しました。同日以降に受け付けた認定証明書の申請は交付されず、特定技能1号への在留資格の変更も原則として許可されません。すでに外食業分野の特定技能1号で働く人の転職などに伴う申請は例外で、在留期間の更新は通常どおり審査されます。外国人材の採用を予定している店や会社では、採用計画への影響を確かめる必要があります。

2025年のJFの集計で客単価の伸びが客数を上回ったように、値上げは店の数字に表れます。すかいらーくホールディングスは、マネジャーへの権限委譲と業績に連動した報酬、1日単位で働ける「スポットクルー」の仕組みなどを店の運営の取り組みとして挙げています。店長の仕事は、上がった価格の中で客に来続けてもらうことと、材料費と人件費を目標の範囲に収めることの両方です。

求人を比べるときに確かめること

この記事の内容を、求人票と面接で確かめる項目にまとめます。

  • 配属される店の業態:ファストフード・ファミリーレストラン・居酒屋・喫茶などのどれか。働く時間帯と忙しさの波が変わります。
  • 直営店かFC加盟店か:雇う会社が本部なのか、加盟店のオーナー会社なのかが変わります。本部の求人なら、相手が自社の店か加盟店かを確かめます。
  • 店内・持ち帰り・配達の割合:配膳・受渡しの窓口・配達との受渡しのどこに人手がかかる店かが変わります。
  • 店長が任される範囲:採用・シフト・発注・売上と費用の目標のどこまでを任されるか。どの数字(FL・人時売上高など)で評価されるか。
  • 調理の仕組み:セントラルキッチンなどで下ごしらえをまとめているか、店で仕込む範囲がどれだけあるか。
  • 勤務地と異動の範囲:全国の転勤があるか、地域を限る働き方があるか。海外の店を持つ会社では、海外の仕事に関わる可能性もあります。