「食品メーカー」の求人には、スーパーの棚を取りに行く営業、新しい味を考える商品開発、工場のラインを動かす生産管理、衛生と表示を守る品質保証まで幅があります。同じ食品メーカーでも、何を作っているか、家庭向けと飲食店向けのどちらに売っているかで、営業の相手も工場の仕事も変わります。
この記事では、経済構造実態調査の「食料品製造業」に当たる会社を食品メーカーとして扱います。食肉の部分肉・冷凍肉、ハム・ソーセージ、牛乳・乳製品、水産加工品、調味料、パン・菓子、めん類、冷凍調理食品、惣菜、弁当などを作る会社です。品目の大きさ、売り先、工場の中の義務と仕事、会社ごとの稼ぎ方、原料高と人手を順に確かめます。
清涼飲料・酒類・たばこは統計の分類が別で、「飲料・酒類メーカーの業界地図」で扱います。小麦粉・砂糖・油などの素材づくりは「食品素材の業界地図」、漁業と養殖は「水産・養殖の業界地図」、畜産と飼料は「畜産・飼料の業界地図」、卸の取引条件や会社の比較は『食品卸の業界地図』で扱います。食品メーカーがどこに位置するかの全体像は「食品・農林水産の業界地図|作物・魚・木が食卓や住まいに届くまで、誰がどこで稼ぐのか」で確かめられます。
売り先の側の話は、それぞれの記事にあります。売場づくりやPBの企画は「食品スーパーの業界地図|生鮮・惣菜・店舗網のどこで差をつけ、再編と人手不足で仕事はどう変わるのか」と「コンビニの業界地図|本部と加盟店は売上と利益をどう分け、店舗網と物流で何を競っているのか」、飲食店の運営は「外食の業界地図|業態と、店内・持帰り・配達の違いで、客単価・原価・人手と店長・本部の仕事はどう変わるのか」、冷凍食品を預かる冷蔵倉庫は「倉庫業の業界地図|荷物を預かる会社は、保管・荷役・運送・不動産のどこで稼ぐのか」です。健康食品の制度や医薬品の事業は「医薬品の業界地図|新薬・後発品・市販薬の会社は、研究開発から販売のどこで稼ぎ、薬価にどう左右されるのか」に任せます。
食品メーカーは何を作っているか:品目で見る大きさ
2025年経済構造実態調査(製造業事業所調査)では、食料品製造業の事業所は23,820、従業者は1,117,773人です(2025年6月1日時点)。製造品出荷額等は35兆107億円です(2024年の1年間)。出荷額等は、工場から出荷した製品の金額などの合計で、売上に近い数字です。利益ではありません。個人経営の事業所は含みません。
製造業全体と比べると、食料品製造業は従業者の14.7%、出荷額等の9.2%を占めます(どちらも統計表の数字から計算した値)。出荷額に比べて、働く人が多い分野です。
品目ごとに見ると、大きさはかなり違います。統計の分類(主に小分類。めん類・冷凍調理食品・そう菜・すし・弁当・調理パンは、小分類「その他の食料品製造業」の中の細分類)で見た2024年の出荷額等が、次の図です。
食品メーカーの位置は、農林水産物の生産から加工・流通・外食までの流れから確認できます。 食品・農林水産の地図
食品メーカーが作る物は、品目で大きさが大きく違う
最も大きいのは畜産食料品で、食肉を部分肉・冷凍肉に加工する工場、ハム・ソーセージなどの肉加工品、牛乳・乳製品などを含みます。内訳で最も大きいのは部分肉・冷凍肉の2兆5,154億円です。次がパン・菓子、水産食料品です。水産食料品の内訳では、冷凍水産物が9,092億円、冷凍水産食品が7,091億円です。
調味料は2兆1,259億円で、そのうちソースが3,514億円、しょうゆ・食用アミノ酸が1,743億円です。日本標準産業分類では、マヨネーズやトマトケチャップはソース製造業に入ります。いちばん大きい「その他の調味料」(1兆4,407億円)には、香辛料、カレー粉や固形カレー、うま味調味料などが入ります。
即席めんは、同じ分類で「めん類製造業」に入ります。めん類は1兆2,459億円で、生めんや乾めんも含みます。冷凍調理食品は1兆5,910億円、すし・弁当・調理パンは1兆7,459億円、惣菜は1兆2,976億円です。
品目が違えば、工場の姿も変わります。一般に、食肉や水産物を扱う工場では、原料を冷やしたまま切り分け、凍らせる工程が多くなります。調味料やめん類の工場では、配合と加熱、乾燥や包装の機械を使う工程が多くなります。産業分類の説明では、冷凍調理食品は調理した食品を急速に凍らせ、凍ったまま包装したもので、惣菜は煮物・焼物・揚物などの料理品です。求人票の工場がどの品目を作っているかで、設備の仕事の比重も、衛生管理で気をつける点も違います。
精穀・製粉、動植物油脂、糖類は、ほかの食品メーカーが原料として使う素材でもあります。素材の制度価格や工程は「食品素材の業界地図」で扱い、この記事では「素材を仕入れる側」から見ます。
食料品製造業の出荷額等は、2021年の29兆9,348億円から、2022年31兆7,264億円、2023年33兆39億円、2024年35兆107億円と増えています。ただし、この統計からは、増えた分が作った量の増加か、値段の上昇かは分かりません。また、2024年の値は令和6年経済センサスを反映した集計で、それより前の年と段差がありうると統計の留意事項に書かれています。
誰に売るか:家庭用・業務用・PBで営業の相手が変わる
作った食品の売り先は、大きく3つに分かれます。家庭用、業務用、PB(プライベートブランド)です。家庭用と業務用は、業界団体や会社が使う区分で、経済構造実態調査の区分ではありません。
業務用食品を使う外食側では、材料費・人件費・店舗運営が採算に関わります。 外食業界の地図
同じ工場で作っても、家庭用・業務用・PBで売る相手が変わる
- 届く先
- スーパー・コンビニ・ドラッグストアの棚から消費者へ。多くは卸を通る
- 営業の相手
- 卸、小売の本部
- 選ばれる理由
- メーカー名・ブランド、広告とパッケージ
- 届く先
- 外食・中食(弁当・惣菜)・給食の厨房や工場
- 営業の相手
- 飲食チェーンの本部、給食会社など
- 選ばれる理由
- 調理の手間を減らせるか、同じ品質で量をそろえられるか
- 届く先
- スーパーやコンビニが自分の名前で売る
- 営業の相手
- 小売の商品企画の担当
- メーカーの役割
- 小売の企画に合わせて作る側
業務用813,787トン・4,119億円、家庭用760,385トン・4,458億円。割合は協会の値。経済構造実態調査の冷凍調理食品とは対象・年が違う。
ニチレイ1社の例で、業界全体の傾向ではない。棒は業務用調理品を最大とした長さ。ニチレイは2026年4月から、食品事業の内訳を家庭用冷凍食品・業務用冷凍食品などの区分に変えている。家庭用・業務用は会社の開示区分で、統計の区分ではない。
家庭用は、スーパーやコンビニ、ドラッグストアに並び、消費者が買う商品です。メーカーの名前で売るため、広告やパッケージで選ばれることが大切です。多くの場合、メーカーと小売の間に卸(問屋)が入ります。営業は、卸と小売の本部の両方と話し、棚に置いてもらう提案をします。家計の側から見ると、2025年の家計調査で、二人以上の世帯が弁当や惣菜などの調理食品に使った金額は月平均13,580円でした(名目)。外食に使った金額は月平均16,563円で、外食に使われる分の一部は、業務用の食品としてメーカーの売上になります。
メーカーの売り先である食品スーパーでは、仕入れ・売場・店内加工を担います。 食品スーパー業界の地図
業務用は、外食、中食(弁当・惣菜)、給食の会社が、店の厨房や工場で使う食品です。給食会社の契約と採算は「給食の業界地図」で扱います。消費者はメーカー名を見ないことが多く、調理の手間を減らせるか、同じ品質で量をそろえられるかが選ばれる理由になります。営業の相手は、飲食チェーンの本部や給食会社などです。
PBは、スーパーやコンビニが企画し、自分の名前で売る商品です。メーカーは、その製造を受託して作る側になります。売場や企画の考え方は、「食品スーパーの業界地図」と「コンビニの業界地図」で扱っています。
家庭用と業務用のどちらが大きいかは、物差しで変わります。日本冷凍食品協会の調べ(速報)では、2025年の冷凍食品の国内生産は1,574,172トン、工場出荷額は8,577億円でした。数量では業務用が51.7%と多く、金額では家庭用が52.0%と多くなっています。この工場出荷額は協会の調べで、経済構造実態調査の冷凍調理食品の出荷額とは対象も年も違います。
会社の数字でも見え方は違います。冷凍食品を作るニチレイの例では、2026年3月期の国内の加工食品のうち、業務用調理品が1,244億円、家庭用調理品が970億円でした(2026年3月期 期末決算説明会資料)。これはニチレイ1社の数字で、食品メーカー全体の傾向を示すものではありません。
売り先の違いは、営業だけでなく商品開発にも届きます。家庭用では、家の電子レンジで温めて食べる人を思い浮かべ、量や味、パッケージの分かりやすさを考えます。業務用では、厨房の調理機器や作業の手順、1日に使う量に合わせて、形や大きさ、包装の単位を決めます。同じ冷凍食品の開発でも、誰が調理するかで考える点が変わります。
卸は、メーカーから見ると、多くの小売や飲食店に商品を届け、代金をまとめて回収する役割を担います。ニチレイの決算短信では、主要な顧客として三菱食品への売上高867億円(食品セグメント)が載っています。取引の条件や卸の会社の違いは「食品卸の業界地図」で扱います。
工場の中の仕事:許可・HACCP・表示は法律の義務
食品メーカーの工場には、法律で決まった義務があります。求人の「品質保証」「品質管理」は、主にこの義務を守る仕事です。
始める・作る・売るの各段階に、食品衛生法と食品表示法の義務がある
- 許可公衆衛生に与える影響が著しい営業(政令)。第55条で都道府県知事の許可
- 届出許可が要る営業と、要らない営業(政令)以外の営業。第57条で営業所の名称・所在地などを事前に届け出る
- 不要公衆衛生に与える影響が少ない営業(政令)
- 一般的な衛生管理
- 特に重要な工程を管理する取組=一般にHACCPに沿った衛生管理と呼ばれる
- 小規模な営業者などは、扱う食品の特性に応じた取組
- 営業者は基準に従って措置を定め、守る義務(第2項)
- 国が食品表示基準を定める(法第4条)
- 基準どおりの表示がない食品は販売してはならない(法第5条)
- 袋や箱に入れた加工食品(業務用を除く):名称・保存の方法・期限・原材料名など(基準第3条)
- 国内で作る加工食品:重量の割合が最も高い原材料の原産地
まず、営業を始める手続きです。食品衛生法では、営業は3つに分かれます。公衆衛生に与える影響が著しいとして政令で定める営業は、第55条により都道府県知事の許可が要ります。それ以外の営業は、第57条により、あらかじめ営業所の名称や所在地などを知事に届け出なければなりません。公衆衛生に与える影響が少ないとして政令で定める営業は、許可も届出も要りません。自分が作る品目がどれに当たるかは、政令(食品衛生法施行令)で決まります。新しい工場を建てるときや、新しい品目を作り始めるときは、この手続きを確かめる仕事が生まれます。
次に衛生管理です。第51条では、国が衛生管理の基準を定めます。基準は、一般的な衛生管理と、危害の発生を防ぐために特に重要な工程を管理する取組の2つです。条文に「HACCP」という言葉はありませんが、後者の取組は一般にHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理と呼ばれます。原料の受け入れから出荷までの工程で、加熱温度など特に重要な点を決めて監視し、記録する方法です。小規模な営業者などは、扱う食品の特性に応じた取組とされています。
同じ第51条第2項で、営業者は基準に従って衛生上必要な措置を定め、守らなければならないと定められています。つまり、HACCPに沿った衛生管理(小規模な営業者などは、扱う食品の特性に応じた取組)を定めて守ることが、営業者の義務です。厚生労働省は、令和3年(2021年)6月1日から、原則としてすべての食品等事業者がHACCPに沿った衛生管理に取り組むことになったと説明しています。
表示については、食品表示法の第4条で、国が食品表示基準を定めます。表示する事項には、名称、アレルゲン、保存の方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量と熱量、原産地などがあります。第5条では、基準どおりの表示がない食品を販売してはならないと定めています。
食品表示基準の第3条では、袋や箱に入れた加工食品のうち、業務用を除くもの(消費者に売るもの)に、名称・保存の方法・期限・原材料名などの表示を求めています。国内で作る加工食品では、使った原材料のうち重量の割合が最も高いものの原産地も表示します。その原材料が加工食品なら「国内製造」や「○○製造」と書きます。原料の仕入れ先を変えると、この表示も変わることがあります。
この義務を前提に、工場の仕事は次のように分かれます。
- 生産管理:原料の手配、ラインの計画、人の配置を決め、決めた量を決めた日に作る
- 品質保証・品質管理:衛生の手順を作って記録を確かめ、検査をし、表示が基準に合っているかを確かめる
- 商品開発:味や作り方を考え、工場で同じ品質で量産できる形にする。原材料が変われば表示も変わる
- 営業:家庭用なら卸と小売、業務用なら飲食チェーンや給食会社に提案する
会社の採用ページの例を2つ挙げます。日本ハム株式会社の新卒採用では、募集職種は総合職・研究職で、入社後の職種として製造、営業、開発、マーケティング、品質保証、海外、研究、コーポレートを紹介しています。製造は品質管理・設備・工程改善も担い、品質保証は原料から出荷までの各工程を確かめると説明されています。工場で働く人が、作ることと品質を守ることの両方を受け持つ例です。日清食品株式会社の新卒採用は、マーケティング、セールス、コーポレート、R&D、生産技術の各コースに分かれています。どちらも新卒向けの区分で、ほかの会社も同じ分け方とは限りません。応募先での職種名と担当範囲は、求人票で確かめてください。
何で稼ぐか:会社ごとに事業の分け方が違う
食品メーカーの稼ぎ方は、品目と売り先と地域で変わります。まず、即席めんのブランドを持ち、海外でも売る日清食品ホールディングスを例に見ます。
日清食品HDの例:国内の即席めんと海外、利益の出方は事業で違う
合計788,131百万円。海外の割合は36.6%(資料の数字から本記事で計算)。
コア営業利益は日清食品HD独自の利益指標で、ほかの会社の営業利益・事業利益とは定義が違う。米州のコア営業利益は前期比34.6%減。補足資料の区分は決算短信のセグメント情報と一部違う。
日清食品HDの2026年3月期の売上収益(IFRS=国際会計基準)は788,131百万円です。そのうち国内が499,750百万円、海外が288,381百万円でした(2026年3月期 決算補足資料)。海外の割合は36.6%です(資料の数字から計算した値)。海外では米州が163,713百万円と最も大きく、中国、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アジアが続きます。
国内では、即席めん事業が290,243百万円、即席めん以外(低温・飲料と菓子)が200,110百万円です。コア営業利益の売上に対する割合は、国内即席めんが12.4%、低温・飲料が7.5%、菓子が5.9%、米州が6.4%でした。米州のコア営業利益は前の期より34.6%減っています。コア営業利益は日清食品HDが独自に定める利益の指標です。同じ会社の中で比べると、国内の即席めんは売上に対する利益の割合が高く、低温・飲料や菓子、米州はそれより低い形です。国内で育てたブランドを、海外でどう売るかが、この会社の仕事の大きな部分を占めていることが分かります。
ほかの会社は、事業の分け方も、会計基準も、利益の名前も違います。次の図は、6社の事業の分け方を1社ずつ別の枠で示したものです。会社どうしの大きさや利益の比較には使えません。
会社ごとに、事業を製品・地域・売り先のどれで分けるかが違う
| 事業 | 売上高 | 事業利益 |
|---|---|---|
| 調味料・食品 | 9,460 | 1,430 |
| 冷凍食品 | 2,910 | 85 |
| ヘルスケア等 | 3,476 | 662 |
| 食品の事業 | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|
| デイリー | 2,726 | 292 |
| カカオ | 1,868 | 152 |
| ニュートリション | 1,188 | 135 |
| フードソリューション | 2,036 | 95 |
| 事業 | 売上収益 | 事業利益 |
|---|---|---|
| 国内 | 1,696 | 115 |
| 北米 製造・販売 | 1,034 | 290 |
| 北米 食料品卸売 | 3,156 | 246 |
| 事業 | 売上高 | セグメント利益 |
|---|---|---|
| 加工事業本部 | 5,303 | 72 |
| 食肉事業本部 | 10,341 | 613 |
| 事業 | 売上高 | セグメント利益 |
|---|---|---|
| 水産資源 | 1,688 | 24 |
| 食材流通 | 7,852 | 158 |
| 加工食品 | 2,021 | 101 |
| 加工食品 | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|
| 合計 | 3,342 | 179 |
| 国内 | 2,606 | ― |
| 海外 | 1,088 | ― |
味の素は、事業を製品で「調味料・食品」「冷凍食品」「ヘルスケア等」に分けています。2026年3月期(IFRS)の売上高は、調味料・食品が9,460億円、冷凍食品が2,910億円でした。事業利益は調味料・食品が1,430億円、冷凍食品が85億円です。事業利益は味の素が定める段階利益です。同じ会社の中でも、製品で利益の出方が大きく違うことが分かります。売上高3,476億円のヘルスケア等は、電子材料やアミノ酸などの、主に食品以外の事業です。
明治ホールディングスは「食品」と「医薬品」に分かれます。2026年3月期(日本基準)の食品は、売上高9,429億円、営業利益687億円でした。食品の中は、デイリー2,726億円、カカオ1,868億円、ニュートリション1,188億円、フードソリューション(業務用・チーズ・フローズンデザート・海外など)2,036億円などです。医薬品の事業は「医薬品の業界地図」で扱います。
キッコーマンの2026年3月期(IFRS)は、国内の売上収益が1,696億円、北米のしょうゆなどの製造・販売が1,034億円、北米の食料品卸売が3,156億円でした。キッコーマンの事業利益は売上収益から売上原価と販管費を引いたもので、味の素の事業利益とは定義が違います。キッコーマンは北米で、自社製品の製造・販売に加えて食料品の卸売も営んでいます。
日本ハムは、ハム・ソーセージや加工食品、乳製品の加工事業本部(売上高5,303億円、セグメント利益72億円)と、食肉の生産・販売の食肉事業本部(1兆341億円、613億円)に分かれます(2026年3月期、IFRS)。セグメント利益は会社独自の指標です。食肉の生産・販売の事業が、加工の事業より大きい会社の例です。
Umiosは、水産物の漁業・養殖の「水産資源」、業務用食品などを流通させる「食材流通」、冷凍食品や缶詰、ちくわなどの「加工食品」に分かれます。2026年3月期(日本基準)の加工食品は、売上高2,021億円、セグメント利益101億円でした。
ニチレイの2026年3月期の加工食品は、売上高3,342億円、営業利益179億円でした。このうち国内は2,606億円、海外は1,088億円です。国内と海外の合計は、セグメント内の調整額(△351億円)があるため、加工食品の売上高とは一致しません。ニチレイは2026年3月期から、報告セグメントを「食品」(加工食品・水産・畜産)にまとめています。2026年4月からは、食品の内訳も加工食品・水産・畜産の区分をやめ、家庭用冷凍食品・業務用冷凍食品などの区分で示します。冷蔵倉庫などの低温物流の事業は「倉庫業の業界地図」で扱っています。
会社の開示を読むときは、事業の名前だけでなく、その事業が何を作り、誰に売るかを見ると、求人の仕事と結びつきます。たとえば日本ハムの食肉事業本部は食肉の生産・販売を担います。日本ハム株式会社の新卒採用の職種紹介では、営業の相手としてスーパー、精肉店、コンビニ、食品メーカーなどが挙がっています。Umiosの食材流通は、水産物や業務用食品を仕入れて売る事業で、メーカーの工場の仕事とは中身が違います。
これらの例から分かるのは、同じ会社の中でも、品目と地域、売り先で利益の出方が違うことです。求人を見るときは、配属される事業が会社のどの部分に当たるかを確かめると、仕事の重みが見えてきます。
原料高・値上げ・人手の変化で、どの仕事が変わるか
食品メーカーの費用で大きいのは原料です。2024年の食料品製造業では、原材料・燃料・電力の使用額等が22兆803億円で、出荷額等35兆107億円の63.1%に当たります(統計表の数字から計算した値)。統計上の付加価値額は11兆3,758億円です(従業者29人以下の事業所は粗付加価値額で集計)。
原料の値上がりは、商品の値上げにつながっています。帝国データバンクの調査では、主な食品メーカー195社が2025年に値上げした飲食料品は2万609品目でした(2024年は1万2,520品目、2023年は3万2,396品目)。値上げの要因の9割超が原材料高です。2026年の調査では、9月30日時点で判明した2026年の値上げは2万187品目でした。これは家庭用を中心とした195社の品目の数で、値上げの幅でも、業界全体の数でもありません。年に2回値上げした品目は2品目と数えます。2026年の調査でも、値上げの要因は「原材料高」が91.3%でした。
原料の値段が上がると、まず生産管理は生産計画を、購買は仕入先や調達量を見直します。代わりの原料を探すと、商品開発が配合を見直し、品質保証が表示を確かめ直します。値段を変えるときは、営業が卸や小売、業務用の取引先に説明します。家庭用と業務用では説明する相手が違うため、同じ値上げでも営業の動き方が変わります。
人手の面では、外国人材も工場で働いています。農林水産省の資料では、在留資格「特定技能」の飲食料品製造業分野で働く外国人は、2025年12月末(速報値)で1号93,393人、2号2,251人です。特定技能の分野の中で最も多い人数です。対象の業務は、酒類を除く飲食料品の製造・加工と安全衛生で、原料の処理、加熱、殺菌、成形などです。単なる選別や包装だけの仕事は対象になりません。雇用は直接雇用でフルタイムです。2028年度末までの受け入れ見込み数は、2026年1月の閣議決定で特定技能13万3,500人とされています。
工場で外国人材を受け入れると、生産管理は人の配置や教育を考え直し、品質保証は衛生の手順を誰にでも伝わる形にする必要があります。ラインの自動化を進める工場では、生産技術や設備の仕事が増えます。応募先の工場がどこまで機械化され、何人で動いているかは、面接や工場見学で確かめられます。
求人を見るときの確認点
- 何を作っているか:統計の品目で言うとどれに当たるか。品目で工場の設備と衛生の重点が変わる
- 誰に売るか:家庭用・業務用・PBのどれが中心か。営業の相手と提案の中身が変わる
- 配属される事業:会社の開示で、その事業が国内か海外か、どの品目か。会社ごとに事業の分け方が違う
- 衛生と表示の担当範囲:HACCPの記録確認、検査、原料原産地を含む表示の確認のどこまでを受け持つか
- 原料と値上げ:原料の手配や配合の見直し、取引先への値上げの説明に、自分の職種がどこまで関わるか
- 工場の人:外国人材や自動化の状況と、教育や設備の仕事がどこまで含まれるか



