ホテルや旅館の求人には、フロント、予約、レストランや宴会、調理、営業、客室の管理、支配人候補まで幅があります。同じ「ホテルの会社」でも、建物を自分で持っているのか、借りて運営しているのか、持ち主から運営だけを任されているのか、看板(ブランド)を貸しているのかで、会社がどこで利益を出し、どんなリスクを負うのかが変わります。
この記事では、人を泊めて宿泊料を受け取る宿泊業を扱います。ホテルの中のレストランや宴会・婚礼も、宿泊施設の売上の一部としてこの記事で扱います。
ホテルの建物を開発して保有する判断は、「不動産開発・賃貸(デベロッパー)の業界地図」で扱います。ホテルを保有するリートやファンドが賃料をどう受け取るかは、『不動産ファンド・REITの業界地図』で扱います。旅行会社やオンライン予約サイトの事業は「旅行の業界地図」、ホテルの外の飲食チェーンは「外食の業界地図」で扱います。空港の会社の事業は『空港の業界地図』で扱います。
宿泊業の大きさ:約3万4千の事業所と、約61万人の従業者
総務省・経済産業省の令和6年経済センサス‐基礎調査(第8-2表)では、宿泊業の事業所は33,656、従業者は607,085人でした。この表は、雇用者のいない個人経営の事業所(家族だけで営む小さな宿など)を含みません。
事業所のうち、会社が営むものは27,109事業所・569,056人です。また、本社や本店から離れた「支所・支店」に当たる事業所は13,475で、282,143人が働いています。支所・支店の数はチェーンの施設の目安にはなりますが、チェーンの施設数そのものではありません。
売上の大きさは、総務省のサービス産業動態統計調査で見られます。2025年の宿泊業の月間売上高は、1か月あたりの年平均で6,027億円、前年より6.4%増えました。年間に直すと、月平均の12倍で約7.2兆円という概算になります(計算値)。
働く人の数は、労働力調査(2025年平均)でも見られます。ただし労働力調査は、宿泊業と飲食サービス業を合わせた「宿泊業,飲食サービス業」でしか示していません。その就業者は2025年平均で416万人、前年より9万人増えました。経済センサスの従業者(事業所の側から数えた人数)とは定義が違うため、2つの数字を足したり引いたりはできません。
ホテル内の食事と外部の飲食チェーンを分けると、店舗単位の採算や運営の違いを確認できます。 外食業界の地図
宿泊施設を営むには、旅館業法の許可が要る
旅館業法では、旅館業を3つの営業種別に分けています。
| 営業種別 | 旅館業法での意味 |
|---|---|
| 旅館・ホテル営業 | 施設を設け、宿泊料を受けて人を泊める営業のうち、簡易宿所営業と下宿営業以外のもの |
| 簡易宿所営業 | 宿泊する場所を多数の人で共用する構造・設備を主とする営業 |
| 下宿営業 | 1か月以上の期間を単位として人を泊める営業 |
以前は「ホテル営業」と「旅館営業」が別の種別でしたが、2017年(平成29年)の法改正で「旅館・ホテル営業」にまとまりました。改正前にどちらかの許可を受けていた人は、旅館・ホテル営業の許可を受けた人とみなされます。
旅館業を営もうとする人は、都道府県知事の許可を受けなければなりません。保健所を設置する市と特別区では、市長・区長の許可です。これは義務です。構造や設備が政令の基準に合わないとき、設置場所が公衆衛生上ふさわしくないとき、欠格事由に当たるときは、許可を与えないことができます。
営業を始めた後も、換気・採光・照明・防湿・清潔など、宿泊する人の衛生に必要な措置をとる義務があります。具体的な基準は都道府県の条例で決まります。また、宿泊を断れるのは法律が定める場合(都道府県の条例で定める事由を含む)に限られ、それ以外の宿泊拒否は禁止されています。法律が定める場合には、営業者に過重な負担となる要求を繰り返す人の宿泊も含まれます。さらに営業者は、従業者に、感染症の予防の対策や、配慮が必要な宿泊者への対応についての研修の機会を与えるよう努めなければなりません。これは努力義務です。
ここで大切なのは、許可を受けるのは「営業者」、つまり実際に宿泊業を営む人だという点です。建物の所有者が必ず許可を持つわけではありません。建物を借りて運営する会社が営業者になることもあり、誰が営業者になるかは、所有者と運営会社の契約の形によって変わります。
ホテルの建物を所有・開発する側と、借りて運営する側では、投資と収入の負担が異なります。 デベロッパー業界の地図
もう1つ、後で使う観光庁の統計の施設タイプ(旅館・ビジネスホテルなど)は、旅館業法の営業種別とは別の物差しです。旅館業法には「ビジネスホテル」や「シティホテル」という区分はなく、統計の旅館もビジネスホテルも、簡易宿所や下宿に当たらなければ旅館・ホテル営業の許可で営業します。
### 民泊は「許可」ではなく「届出」で、年180日まで
住宅に人を泊める民泊には、住宅宿泊事業法という別の法律があります。台所・浴室・便所・洗面設備があり、人が生活の本拠として使う家屋などを「住宅」とし、そこに宿泊料を受けて人を泊める事業です。
人を泊める日数が1年間で180日を超えないものが住宅宿泊事業で、都道府県知事(保健所設置市などではその長)に住宅ごとに届出をすれば、旅館業法の許可を受けずに営めます。180日を超えて営むなら、旅館業法の許可が要ります。日数の数え方は省令で決まっています。さらに都道府県などは、騒音など生活環境の悪化を防ぐために必要なとき、条例で区域を決めて実施できる期間を制限することができます。これは「できる」規定で、すべての自治体が制限しているわけではありません。
| 旅館業 | 住宅宿泊事業(民泊) | |
|---|---|---|
| 根拠の法律 | 旅館業法 | 住宅宿泊事業法 |
| 始め方 | 都道府県知事などの許可 | 都道府県知事などへの届出(住宅ごと) |
| 泊められる日数 | 上限の定めはない | 1年間で180日以内 |
| 観光庁の宿泊旅行統計 | 対象(許可を得た施設) | 対象の定義に入らない |
所有・運営・ブランドは、別々の会社が担うことがある
1軒のホテルには、3つの役割があります。
- 所有:土地と建物を持ち、建てたり改装したりするお金を出す
- 運営:スタッフを動かし、客室を売り、料理を出し、日々の営業を回す
- ブランド:ホテルの名前、サービスの基準、予約の仕組み、会員の制度を持つ
この3つを1社がすべて担う形もあれば、別々の会社に分かれる形もあります。次の4つは、編集部が一般的な契約の形を整理したものです。実際の契約には、売上に応じて賃料が変わる形や、組み合わせた形もあります。
1軒のホテルの「所有・運営・ブランド」は、契約の形で担い手が変わる
| 形 | 建物 | 日々の運営 | 営業の損益を主に負う人 | 運営会社が受け取るもの・払うもの |
|---|---|---|---|---|
| 自社所有・運営 | 自社 | 自社 | 自社 | 営業の利益をそのまま受け取る。建物の費用も負う |
| リース(賃借) | 所有者 | 運営会社 | 運営会社 | 所有者に賃料を払い、残りが運営会社の利益 |
| 運営委託 | 所有者 | 運営会社(所有者から任される) | 所有者 | 所有者から運営の手数料を受け取る |
| フランチャイズ | 加盟する所有者・運営者 | 加盟する側 | 加盟する側 | ブランドの会社は、加盟料やロイヤルティ(ブランド使用料)を受け取る |
特に運営委託では、従業員の雇い主が運営会社か所有者側の会社かは契約によります。
リースでは、運営会社が賃料を払ったうえで売上を伸ばせば利益が増え、客が減っても固定の賃料は残ります。運営委託では、営業の損益は基本的に所有者に帰属し、運営会社は手数料を受け取る立場です。ただし、賃料が売上に連動するかどうか、手数料が売上や利益に連動するかどうかは、契約ごとに違います。
### 会社の開示に表れた運営の形
個別の会社がどの形をとっているかは、その会社の開示で確かめられます。ここでは3つの例を挙げます。会社どうしを比べるためではなく、開示のどこに運営の形が書かれているかを見るための例です。
| 会社・開示 | 開示に書かれていること |
|---|---|
| 藤田観光(有価証券報告書 2025年12月期) | ワシントンホテルなどのWHG事業は、これまでホテルの不動産を借りる「賃借主体」で出店してきた。今後は物件の取得、中古の建物を改装するコンバージョン、フランチャイズ、マネジメントコントラクト(ホテルの管理運営を受託する方式)など、多様な方法で広げる方針。「設備の状況」には、所有者から借りて営業しているホテルの記載がある |
| 西武ホールディングス(決算短信 2026年3月期) | ホテル・レジャー事業の中で、国内ホテル業を「保有・リース」と「MC・FC」(マネジメントコントラクト〔運営受託〕とフランチャイズの略と読める)に分けて示している。海外ホテル業も同じように分けている |
| 星野リゾート・リート投資法人(2025年6月16日の開示) | 2025年6月時点で、投資法人が持つ物件のうち、星野リゾートグループが借りて運営する31物件は、すべて物件の売上か利益に連動する変動賃料を含む契約(売上連動5物件、利益連動26物件) |
藤田観光の有価証券報告書は、長期に借りているホテルの契約を、会社側の事情で途中で解約した場合、残りの期間の未経過賃料653億円のうち一部について、支払いや補填の義務が生じる可能性があることを、事業のリスクとして挙げています。借りて運営する形は、建物を買わずに施設を増やせる一方、長い賃貸借の約束を負う形でもあります。
星野リゾート・リート投資法人の例は、建物を持つ投資法人と、借りて運営する会社が分かれ、賃料の一部が運営の成果で変わる形です。投資法人には星野リゾートグループ以外が借りている物件もあるため、投資法人の物件すべてを星野リゾートが運営しているわけではありません。
求職者にとっては、この違いが仕事の中身に表れます。自社所有の会社では、改装や建て替えの計画にかかわる部署を置くことがあります。運営委託を受ける会社では、所有者への報告や予算の説明が支配人の仕事に入ることがあります。フランチャイズのブランド会社では、加盟するホテルの開業支援や、ブランド基準を守ってもらう指導が仕事の中心になることがあります。どの部署があるかは会社ごとに違うため、求人票の配属先で確かめてください。
もう1つ気をつけたいのは、ホテルの看板の名前(ブランド名)と、求人票に書かれた会社名、実際に雇用契約を結ぶ会社が、同じとは限らないことです。ブランド名で探した求人でも、雇い主はそのホテルを運営する別の会社ということがあります。応募する前に、求人票の「雇用主」や「勤務先」の欄で、どの会社と契約を結ぶのかを確かめてください。
売上は、稼働率と客室単価のかけ算で決まる
宿泊施設の客室の売上は、どれだけの部屋が埋まったかと、1部屋をいくらで売れたかで決まります。業界では次の3つの指標がよく使われます。
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| 客室稼働率 | 売れる部屋のうち、実際に売れた部屋の割合 |
| ADR(平均客室単価) | 売れた1部屋あたりの平均の客室売上 |
| RevPAR(販売可能客室1室あたり客室売上) | 売れる部屋1室あたり、どれだけ客室売上を得たか(=稼働率×ADR) |
観光庁の宿泊旅行統計調査の用語の解説では、客室稼働率を「利用客室数÷総客室数」とし、総客室数は客室数に各月の日数をかけたものとしています。部屋ではなく人で数える「定員稼働率」(延べ宿泊者数÷(収容人数×日数))もあり、1部屋に何人泊まるかで2つの率は違ってきます。会社が開示する稼働率と観光庁の稼働率は、定義が同じとは限りません。
客室の売上は「どれだけ埋まったか」と「いくらで売れたか」のかけ算
稼働率は上がるが、ADRが下がる。RevPARが上がるかはその釣り合いしだい
ADRは上がるが、空室が増えれば稼働率が下がる
稼働率とADRは、片方だけを見ると判断を誤ります。値下げして部屋を埋めれば稼働率は上がりますが、ADRが下がり、RevPARはかえって下がることがあります。逆に、値段を上げすぎると空室が増えます。この2つの釣り合いを日ごとに調整するのが、予約や販売を担う部署の仕事です。藤田観光の2025年12月期の決算短信も、WHG事業について、海外の予約サイトを使った販売促進で訪日客を取り込み、需要と供給に合わせた価格設定でADRが上がったと説明しています。
客室のほかに、レストラン、宴会・婚礼、会議の場所の貸し出しの売上もあり、その重さは施設によって違います(後の章で1社の例を見ます)。
ADRやRevPARの全国の値は、この記事で使う観光庁の宿泊旅行統計調査にはありません。会社が自社の値を開示している場合は、会社名・期・定義を添えて読む必要があります。
2025年、施設タイプで稼働率は大きく違った
観光庁の宿泊旅行統計調査(2025年・年間値の確定値、2026年7月6日公表)によると、2025年の客室稼働率は全体で61.6%でした。施設タイプごとに見ると、差は大きく開いています。
2025年の客室稼働率は、ビジネスホテル75.3%から簡易宿所29.6%まで開いた
差はポイント。2025年の年間確定値(2026年7月6日公表)で、月ごとの速報値は含まない。
ビジネスホテルは75.3%、シティホテルは74.1%と高く、リゾートホテルは56.9%、旅館は38.2%、簡易宿所は29.6%でした。前年と比べるとすべてのタイプで上がりましたが、2019年と比べるとすべてのタイプでまだ下回っています。特にシティホテルは2019年より5.4ポイント低い水準です。
都道府県別では、全体の稼働率がもっとも高かったのは大阪府の78.6%でした。
統計の施設タイプは、調査の概要で次のように分けられています。リゾートホテルは行楽地や保養地にあって主に観光客を対象とするホテル、ビジネスホテルは主に出張の会社員を対象とするホテル、シティホテルはそれ以外の都市部のホテルです。簡易宿所には、カプセルホテルや山小屋などが入ります。
稼働率が低いからといって、その施設タイプの採算が悪いとは限りません。旅館のように食事を含む料金で泊める施設もあります。稼働率だけでなく、単価や料理の売上と一緒に見る必要があります。
なお、この数字は2025年の確定値です。観光庁は月ごとの速報値も公表していますが、速報値は後で改定されます。また、2026年1月の調査から、調査する施設の選び方が変わりました。それまでは従業者の数で施設を分けて選んでいましたが、客室数で分け、20室以上の施設はすべて調べる方法になりました。このため、2026年の月ごとの数字と2025年の確定値は、同じ物差しとして並べて比べられません。
販売経路:直販・予約サイト・旅行会社
宿泊施設が部屋を売る経路は、大きく3つあります。
- 直販:自社のサイトや電話、会員の制度で、客から直接予約を受ける
- オンライン予約サイト:予約サイトに部屋を載せ、予約が入ると手数料を払う
- 旅行会社:団体旅行やパッケージ旅行の中で部屋を売ってもらう
直販は手数料がかからない分、集客の手間と費用を自社で負います。予約サイトや旅行会社は、多くの客に届く代わりに手数料がかかります。どの経路にどれだけ部屋を出すか、いくらで出すかは、前の章の稼働率とADRの調整と一体の仕事です。
予約サイトや旅行会社が、宿や交通の在庫をどう扱い、どこで稼ぐのかは「旅行の業界地図」で扱います。
会社の開示で、どの事業で稼いでいるかを見る
ホテル・旅館の会社を比べるときは、その会社が所有・運営・ブランドのどの役割を担うかに加えて、売上がどの種類の施設や収入から来ているかを見ます。上場している会社なら、決算短信や有価証券報告書のセグメント情報で確かめられます。
藤田観光の2025年12月期の決算短信(日本基準、連結)では、売上高82,004百万円(前期比7.6%増)、営業利益13,795百万円(同12.1%増)でした。事業は3つに分かれています。ワシントンホテル・ホテルグレイスリーなどのWHG事業が49,200百万円、ホテル椿山荘東京などのラグジュアリー&バンケット事業が20,209百万円、箱根・伊東の小涌園などのリゾート事業が11,289百万円です。
藤田観光の売上は、宿泊が約7割。婚礼・宴会・料飲が続く
単位は百万円。上は収益の種類別、下はセグメント別の売上高。各項目は開示の値のまま。ほかの会社と比べるための図ではない。
同じ短信の収益の内訳では、宿泊が58,121百万円で、婚礼7,713百万円、宴会3,631百万円、料飲3,378百万円が続きます。宿泊は売上高82,004百万円の約7割に当たります(計算値)。宿泊のうち45,691百万円はWHG事業の宿泊です。同じ会社の中でも、配属先の事業によって、客室を売る仕事が中心か、婚礼や宴会を受ける仕事が中心かが変わります。
ほかの会社の開示も、事業の見え方の例になります。いずれも期と会計基準が違うため、並べて比べるものではありません。
- 共立メンテナンス(2026年3月期の決算短信、日本基準):寮・ホテル・総合ビルマネジメント・フーズ・デベロップメントの5つの事業のうち、ホテル事業の売上高は149,256百万円。うちビジネスホテルのドーミーイン事業が92,225百万円、リゾート事業が57,031百万円。2026年3月末のホテル事業は143事業所(受託を除く)、客室数22,294室
- 帝国ホテル(2026年3月期の決算短信、日本基準):ホテル事業の売上高は55,865百万円で、ほかに不動産賃貸事業がある。2026年3月5日に帝国ホテル京都を開業し、帝国ホテル東京は建て替えを計画している
- 西武ホールディングス(2026年3月期の決算短信、日本基準):ホテル・レジャー事業の営業収益は250,481百万円。この事業にはホテル業のほかスポーツ業なども含まれる
仕事と職種:フロントから調理、支配人まで
ホテル・旅館の仕事は、おおまかに次の役割に分かれます。
- 宿泊:フロントでのチェックイン・チェックアウト、案内、客室の管理
- 予約・販売:販売経路ごとの部屋の数と料金の設定、予約の管理
- 料飲:レストラン、宴会、婚礼の企画と提供、調理
- 営業:法人や団体、宴会・会議の受注
- 管理:支配人、経理、人事、施設の保守
実際の募集では、これらの役割が会社ごとの職種名やコースにまとめられています。次は各社の新卒採用ページの表記です。対象年度が会社ごとに違うため、応募する年度の募集要項で確かめてください。
同じホテルの仕事でも、職種名とコースの分け方は会社ごとに違う
- 総合職:接客・予約・営業・企画・管理部門など。全国転勤あり
- 専門職:調理(和食・洋食・中国・ペストリー)
- エリア職《接客》:決まったエリアで接客・予約など
- エリア職《調理》
- 総合コース(社員):運営・営業・管理・企画部門
- 専門コース(東京社員・関西社員):フロント、コンシェルジュ、客室予約、レストランサービス、ソムリエ、バーテンダー、調理など
- 専門コースは転居を伴う転勤なし
- ホテル職:全国のドーミーイン・共立リゾート
- 業務例:フロント、レストラン(調理)、予約、施設管理など
- ドーミーインの道筋の目安:チーフ→副支配人→支配人
藤田観光(2028年4月入社の募集要項)は、総合職、専門職(調理)、エリア職《接客》、エリア職《調理》に分けています。総合職は全国の事業所への転勤があり、エリア職は決まったエリアで働きます。
帝国ホテルは、総合コース(社員)と専門コース(東京社員・関西社員)に分け、専門コースにはフロント、コンシェルジュ、レストランサービス、ソムリエ、調理などの職種が並びます。専門コースは転居を伴う転勤がありません。
共立メンテナンスは、ホテルコースの職種名を「ホテル職」とし、全国のドーミーインと共立リゾートで働きます。業務例はフロント、レストラン(調理)、予約、施設管理などです。ドーミーインでは、チーフ、副支配人、支配人と進む目安を示しています。
客室清掃や設備の管理は、外部の会社に任せることもある仕事です。清掃などが社内か外部かは、会社ごとに違います。藤田観光の有価証券報告書では、2025年12月末の連結の従業員1,638人に対し、臨時従業員の年間平均人員が1,869人(外数)と示されています。連結の従業員(就業人員)1,638人のほかに、臨時従業員が年間平均で1,869人(外数)働いていることが分かる1社の例です。
変化:外国人の宿泊が伸び、税と人手の制度も動く
### 外国人の宿泊が伸び、地方部にも広がる
観光庁の2025年確定値では、延べ宿泊者数は6億6,111万人泊で、前年より0.3%増えました。内訳を見ると、日本人は4億8,118万人泊で2.7%減り、外国人は1億7,992万人泊で9.4%増えました。延べ宿泊者数のうち外国人の割合は27.2%です。
外国人の延べ宿泊者数の伸びは、三大都市圏で5.1%増、地方部で19.1%増でした。三大都市圏は、東京・神奈川・千葉・埼玉・愛知・大阪・京都・兵庫の8都府県で、地方部はそれ以外の道県です(観光庁の定義)。外国人の延べ宿泊者数のうち、地方部の割合は前年の30.9%から33.7%に上がりました。まだ3分の2は三大都市圏ですが、外国人の宿泊は地方の宿にも広がっています。
お金の面では、観光庁のインバウンド消費動向調査(2025年 年次報告書)によると、2025年の訪日外国人の旅行消費額は9兆4,549億円(推計)で、そのうち宿泊費が36.6%を占めました。一般客1人あたりの宿泊費は8.4万円です。これは旅行者が支払った額の推計で、宿泊業の売上高とは一致しません。
外国人の客が増えると、多言語での案内、海外の予約経路、時期による需要の波への対応が、宿泊・予約・料飲の各部署の仕事に入ってきます。一方で、日本人の宿泊は2025年は前年より減り、どの客層を主に迎えるかで、施設ごとの見通しは分かれます。
### 宿泊税:東京都は定額から定率へ
宿泊者に税をかける自治体もあります。税の有無や税率は自治体ごとに違うため、ここでは東京都を1つの例として挙げます(2026年11月時点)。
東京都の宿泊税の見直しによると、現行の税は都内の旅館・ホテルの宿泊者が対象で、宿泊料金が1人1泊1万円以上1万5千円未満なら100円、1万5千円以上なら200円の定額で、1万円未満の宿泊には課税されません。2027年4月1日からは、宿泊料金の3%の定率に変わり、1人1泊1万3千円未満は課税されません。ここでの宿泊料金は、食事代などを含まない素泊まりの料金です。対象に、簡易宿所と民泊の利用者が加わります。この税は、宿泊施設が宿泊者から預かって納める仕組み(特別徴収)です。
### 人手:特定技能「宿泊」で外国人材を受け入れる
人手の面では、在留資格「特定技能」に宿泊分野があります。出入国在留管理庁の宿泊分野のページによると、特定技能1号の業務は、宿泊施設でのフロント、企画・広報、接客、レストランサービスなどの宿泊サービスの提供です。2号は、複数の従業員を指導しながら同じ業務に従事します。1号の受入れ見込数は23,000人(5年間の最大値)とされています(同ページの2024年4月1日現在の記載)。
まとめ:求人を見るときの5つの確かめ方
- その会社は、ホテルを持っているのか、借りて運営しているのか、運営だけを任されているのか、ブランドを貸しているのか。上場会社なら有価証券報告書の「設備の状況」なども手がかりになる
- 求人票の会社名・ブランド名・雇い主は同じか。どの会社と雇用契約を結ぶのか
- 働く施設は、客室中心の宿泊特化型か、レストランや宴会・婚礼も持つ施設か
- 施設タイプによって、稼働率の水準も、繁忙期と閑散期の波も違う。応募する施設のタイプと立地を確かめる
- 職種名とコースは会社ごとに違う。転勤の範囲や、接客・調理・総合職の分け方を、応募する年度の募集要項で確かめる


