病院・診療所を経営主体、病床、診療報酬、損益、職種で整理。求人で病院の種類、雇用主、収入の仕組み、免許職以外の仕事も確認できます。

病院やクリニックの求人には、看護師や医師、検査や放射線の技師、リハビリの療法士のほかに、医療事務、看護の補助、病院の経営や経理の仕事まで幅があります。同じ「病院」でも、国の法人が運営する病院、自治体の病院、医療法人の病院では、公表している資料も、経営の状況も違います。雇い主が病院ではなく、病院から医療事務を請け負う会社のこともあります。

この記事では、医療法の病院・一般診療所・歯科診療所を扱います。開設の手続きと病床の種別、施設の数と経営主体の構成、診療報酬と患者の一部負担金による収入の流れ、経営主体ごとの損益、病院で働く人の職種、制度の変化が届く仕事を順に確かめます。数字は国の統計と法人の公表資料から取り、時点を添えます。

「医薬品・医療・介護の業界地図」では、病院・診療所を、診療報酬を受け取って医療を「提供する」側に置き、医療費全体のお金の流れを整理しています。この記事は、その「提供する」側の中を深めます。医療費の財源(保険料・公費・患者負担)の全体は、全体地図で確かめてください。

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医療保険の訪問看護は、この記事で仕組みと医療費の大きさだけを短く示します。保険の対象にならない自費の診療や差額ベッドの料金、診療方針や健康効果の助言は扱いません。

病院と診療所は、開設の手続きと病床で分かれる

医療法では、病院を開設するときは、都道府県知事などの許可が必要です(第7条第1項)。診療所は、誰が開設するかで手続きが変わります。臨床研修などを終えた医師・歯科医師が自分で診療所を開設したときは、開設後10日以内に届け出ます(第8条第1項)。それ以外の者、たとえば医療法人が診療所を開設しようとするときは、病院と同じく許可が要ります(第7条第1項)。

許可には、構造設備と人員の基準があります。基準に合っているときは、都道府県知事などは許可を与えなければなりません(第7条第4項)。

病院と診療所は、入院のための施設の大きさで分かれます。医療法は、20人以上の患者を入院させるための施設を持つものを病院とし、入院させるための施設を持たないもの、または19人以下の患者を入院させるための施設を持つものを診療所としています(第1条の5)。病床で言いかえると、20床以上が病院、19床以下か病床なしが診療所です。診療所のうち、病床を持つものを有床診療所、持たないものを無床診療所と呼びます。

厚生労働省の令和7年医療施設(動態)調査によると、2025年10月1日時点で活動中の施設は次のとおりです。

施設の種類施設数前年からの増減内訳
病院8,00159減一般病院6,949、精神科病院1,052。療養病床を持つ病院は3,290
一般診療所105,521314増有床5,160、無床100,361
歯科診療所65,624754減—

病院の規模では、病床が50〜99床の病院が1,953施設(24.4%)で最も多くなっています。

病床には「種別」があります。医療法の区分で、一般病床・療養病床・精神病床・感染症病床・結核病床に分かれます。2025年10月1日時点で、病院の病床は1,450,322床です。このうち一般病床が868,807床(59.9%)、精神病床が311,579床(21.5%)、療養病床が264,656床(18.2%)です。2025年の病床利用率(病床がどれだけ使われているかの割合)は、病院全体で77.9%、一般病床で74.7%、療養病床で85.4%でした。

病床の種別とは別に、病床の「機能」の区分もあります。医療法第30条の13では、療養病床か一般病床を持つ病院・診療所の管理者は、病床の機能の区分などを都道府県知事に報告します。機能の区分は厚生労働省令で決まります。この記事では省令を確かめていないため、区分の名前は書きません。求人票で病院の機能を表す言葉を見たら、病床の種別とは別の区分の話だと考えてください。

病院の約7割は医療法人。国・公的医療機関・個人などもある

病院や診療所を誰が開設しているかは、医療施設調査の「開設者」の区分で分かります。

病院の約7割は医療法人。歯科診療所は個人が7割を超える

2025年10月1日時点で活動中の施設を、開設者(経営主体)の区分で分けた割合。下は病院の病床の種別の割合。施設の大きさや会社どうしの順位は示していない。

開設者の区分ごとの施設数の割合
病院8,001(前年比59減)国317(4.0%)、公的医療機関1,175(14.7%)、社会保険関係団体47(0.6%)、医療法人5,585(69.8%)、個人82(1.0%)、その他795(9.9%)
一般診療所105,521(前年比314増)医療法人48,317(45.8%)、個人38,292(36.3%)、そのほかの開設者18,912(17.9%)
歯科診療所65,624(前年比754減)個人47,539(72.4%)、そのほかの開設者18,085(27.6%)
病院の病床の種別(医療法の区分)
病院の病床1,450,322床一般病床868,807床(59.9%)、精神病床311,579床(21.5%)、療養病床264,656床(18.2%)、感染症・結核の病床5,280床(0.4%)。病床利用率は病院全体で77.9%(2025年)
読み方:「国」は国立病院機構など。「公的医療機関」には、都道府県・市町村・地方独立行政法人の病院と、日本赤十字社・済生会・厚生連などの病院が入る。「その他」には公益法人・私立学校法人・社会福祉法人・医療生協・会社などが入る。一般診療所・歯科診療所の「ほか」は、医療法人と個人以外の開設者の合計。病院の病床のうち医療法人の病院の病床は818,851床(56.5%)で、施設数の割合(69.8%)より小さい。病床の「種別」と、病床の「機能」(医療法第30条の13の報告の区分)は別のもの。
出典:厚生労働省「令和7(2025)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」(開設者の分類は同調査の「調査の概要」)。病院の開設者の割合は表3の公表値。一般診療所と歯科診療所の「そのほかの開設者」の数と割合、感染症・結核の病床の数と割合は、公表された施設数・病床数から本記事で計算した値(小数第1位に四捨五入)。

2025年10月1日時点で、病院8,001のうち、医療法人が5,585(69.8%)、公的医療機関が1,175(14.7%)、国が317(4.0%)です。このほか、社会保険関係団体が47、個人が82、その他が795あります。病床の数で見ると、医療法人の病院の病床は818,851床で、病院の病床全体の56.5%です。病院の数では約7割、病床の数では5割台半ばになります。

医療施設調査の区分では、「国」には厚生労働省の病院のほか、国立病院機構・国立大学法人・労働者健康安全機構・国立高度専門医療研究センター・地域医療機能推進機構などの病院が入ります。「公的医療機関」には、都道府県・市町村・地方独立行政法人の病院と、日本赤十字社・済生会・北海道社会事業協会・厚生連・国民健康保険団体連合会の病院が入ります。「その他」は、公益法人・私立学校法人・社会福祉法人・医療生協・会社・その他の法人です(調査の概要の開設者の分類)。

診療所では、経営主体の構成が違います。一般診療所105,521のうち、医療法人が48,317(45.8%)、個人が38,292(36.3%)です。歯科診療所65,624では、個人が47,539(72.4%)を占めます。

医療法人は、病院、医師などが常時勤務する診療所、介護老人保健施設、介護医療院を開設するための社団または財団の法人です(医療法第39条)。医療法人は、剰余金の配当をしてはなりません(第54条)。利益が出ても、出資者に配ることはできないということです。

営利を目的として病院や診療所を開設しようとする者には、都道府県知事などは、基準を満たしていても許可を与えないことができます(第7条第7項)。これは「許可を与えないことができる」という規定で、一律に禁じる条文ではありません。この記事では、株式会社が病院を経営できるかどうかを、条文だけから断定しません。

経営主体ごとに、法人の種類と公表している資料が違います。下の表は、この記事で確かめた例です。会社どうしの大きさは比べていません。

経営主体の例法人の種類区分(医療施設調査/医療経済実態調査)公表されていること(時点)
国立病院機構独立行政法人国/国立全国140の病院を1つの法人として運営。損益計算書などの財務諸表を公表(令和7年度事業報告書)
日本赤十字社(赤十字病院)日本赤十字社法による法人公的医療機関/公的全国で90の病院を運営(2026年10月の閲覧時点)
東京都立病院機構地方独立行政法人公的医療機関/公立東京都が2022年7月1日に設立。病院一覧に14病院(2026年10月の閲覧時点)
徳洲会グループ(医療法人徳洲会ほか)医療法人など複数の法人医療法人/医療法人病院数と決算はグループのサイトに記載がない。医療法人の事業報告書などは都道府県で閲覧できる

国立病院機構は、令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の事業報告書で、全国140の病院を1つの法人として運営すると説明しています。機構の概要のページは、2025年4月1日時点で139病院としており、時点と数え方で数が変わります。日本赤十字社は全国で90の病院を運営し、救急医療・がん診療・災害時の医療チームの派遣などを行っています。東京都は、2022年7月1日に地方独立行政法人東京都立病院機構を設立しました。病院一覧には14病院が載っています。

医療法人は、毎会計年度、事業報告書などを作り(第51条)、会計年度の終了後3か月以内に都道府県知事に届け出ます。都道府県知事は、請求があれば閲覧させなければなりません(第52条)。徳洲会グループは、病院・診療所・介護施設などを運営するグループで、医療法人徳洲会のほかの法人も含みます。グループのサイトには病院数や決算が載っていません。医療法人の経営の数字は、上場企業の決算短信ではなく、都道府県での閲覧などで確かめることになります。

収入の柱は診療報酬。調査対象の一般病院では、開設者別の平均損益に差がある

保険で受ける診療の値段は、国が決めた点数(診療報酬)で計算します。病院・診療所は、その値段のうち一部負担金を患者から窓口で受け取り、残りを患者が入っている保険の保険者(健康保険組合など)に請求して受け取ります。

収入は患者の一部負担金と保険者からの診療報酬。調査対象の開設者別平均では、公立病院の損益差額率が最も低い

上は保険で受ける診療のお金の流れ(矢印の太さは金額を表していない)。下は医療経済実態調査の一般病院の損益差額率(令和6年度、開設者別の平均)。個々の法人の数字ではない。

保険で受ける診療のお金の流れ(健康保険法)
患者窓口で払う
一部負担金70歳になる月までは3割。翌月からは2割(一定以上の報酬がある人は3割)(第74条)
病院・診療所
保険者健康保険組合など
保険者が払う分(診療報酬で計算した額から一部負担金を引いた額)診療の値段の全体は厚生労働大臣が定めるところで計算(診療報酬)。保険者が審査して払う。審査・支払は医療情報基盤・診療報酬審査支払機構か国民健康保険団体連合会に任せることができる(第76条)
病院・診療所
大きさの目安(令和6年度 国民医療費):医科の診療34.9兆円のうち、入院18.4兆円・入院外16.5兆円。歯科の診療3.4兆円。保険の対象にならない自費の診療・差額ベッド・健診は国民医療費の外で、この図にも入れていない。
一般病院の損益差額率(令和6年度、開設者別の平均。マイナスは赤字)帯の左端は0%、右端は▲20%。帯が長いほどマイナスが大きい(黒字の大きさではない)。
全体732施設▲7.3%
医療法人402施設▲1.0%
国立24施設▲5.4%
公立130施設▲18.5%
公的51施設▲4.1%
その他117施設▲4.7%
令和5年度は、全体▲7.5%、医療法人▲1.1%、国立▲5.8%、公立▲17.1%、公的▲5.5%、その他▲5.9%。「国立」は国・国立病院機構・国立大学法人など、「公立」は都道府県・市町村・地方独立行政法人、「公的」は日赤・済生会・北海道社会事業協会・厚生連・国保連の病院。この調査の「一般病院」は介護の収益が2%未満の病院。
出典:健康保険法(e-Gov)、厚生労働省「令和6(2024)年度 国民医療費の概況」、中央社会保険医療協議会「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告の概要」。損益差額率は、調べた病院の平均(標本の平均)で、新型コロナ関連の補助金を含まない収益から計算した値。補助金や繰入金を含む最終的な損益とは違う。一般病院は介護の収益が2%未満の病院。国民医療費の兆円の値は、原表の億円の値から本記事で1回だけ四捨五入した。

健康保険法では、健康保険の被保険者本人は、一部負担金を保険医療機関に払います。割合は、70歳になる月までは100分の30(3割)、70歳になった月の翌月からは100分の20(2割)で、一定以上の報酬がある人は3割です(第74条第1項)。家族(被扶養者)の負担や、75歳以上の人と小学校に入る前の子どもの負担の割合は、この記事では確かめていません。

残りは、保険者が保険医療機関に払います(第76条第1項)。診療の値段の全体は、厚生労働大臣が定めるところで計算します(同第2項)。これが診療報酬の点数表の根拠で、病院は自分で診療の値段を決めるのではなく、国が決めた点数で請求します。保険者は請求を審査したうえで払います(同第4項)。審査と支払いの事務は、医療情報基盤・診療報酬審査支払機構か国民健康保険団体連合会に任せることができます(同第5項)。

入院の診療報酬には、出来高と包括の2つの払い方があります。どの病院・どの範囲が包括になるかは、この記事では確かめていません。

病院・診療所の医療費の大きさは、令和6年度 国民医療費の概況で分かります。国民医療費は48兆8,100億円で、このうち医科の診療の医療費は34兆8,941億円(71.5%)です。その内訳は、入院が18兆3,602億円(37.6%)、入院外(外来など)が16兆5,339億円(33.9%)です。歯科の診療は3兆4,059億円(7.0%)でした。

国民医療費には、薬局の調剤の医療費(8兆5,742億円、17.6%)や、医療保険の訪問看護の医療費(6,785億円、1.4%)も入ります。調剤薬局は「ドラッグストア・調剤薬局の業界地図」で扱います。

あわせて読みたいドラッグストア・調剤薬局の業界地図|物販・調剤・資格と仕事医療提供から薬局の調剤・物販の収入と仕事を詳しく確かめる

医療保険の訪問看護は、健康保険法第88条で決まっています。家で療養を続ける人のうち、主治の医師が必要と認めた人に、国が指定した訪問看護事業者の事業所から看護師などが訪れ、療養上の世話や診療の補助を行います。費用は厚生労働大臣が定めるところで計算し、一部負担金を除いた分を保険者が訪問看護療養費として払います(審査と支払いの事務は、診療報酬と同じく基盤機構か国民健康保険団体連合会に任せることができます)。訪問看護の求人では、その事業所の訪問が医療保険によるものか、介護保険によるものかを確かめます。介護保険の訪問看護は「介護・福祉の業界地図」で扱います。保険の対象にならない自費の診療や差額ベッドの料金、健診は、国民医療費の範囲の外で、この記事でも扱いません。

病院の損益は、中央社会保険医療協議会(中医協)の第25回医療経済実態調査で確かめられます。病院の3分の1を無作為に選んで調べ、1,167の病院が答えました(有効回答率50.2%)。この調査の「一般病院」は介護の収益が2%未満の病院で、医療施設調査の一般病院とは定義が違います。その一般病院732施設の平均では、損益差額率は令和5年度が▲7.5%、令和6年度が▲7.3%です。マイナスは、費用が収益を上回っていることを示します。

開設者別の平均では、令和6年度の損益差額率は、医療法人が▲1.0%(402施設)、国立が▲5.4%(24施設)、公立が▲18.5%(130施設)、公的が▲4.1%(51施設)、その他が▲4.7%(117施設)でした。前の年度(令和5年度)からは、公立はマイナスが大きくなり(▲17.1%から)、そのほかの区分はマイナスが小さくなっています。

この数字を読むときは、3つの点に注意します。

  • 調べた病院の平均(標本の平均)で、すべての病院の合計ではない。国立は24施設と少ない
  • 損益差額は、新型コロナ関連の補助金を含まない収益から計算した、医業を中心とした損益。補助金や繰入金を含む病院の最終的な損益とは違う
  • 区分の括り方が医療施設調査と違う。この調査の「国立」は国・国立病院機構・国立大学法人など、「公立」は都道府県・市町村・地方独立行政法人、「公的」は日赤・済生会・北海道社会事業協会・厚生連・国保連の病院。医療施設調査の「公的医療機関」には自治体の病院も入るため、この調査では「公立」と「公的」に分かれる

区分の平均は、個々の法人の数字ではありません。たとえば公的の▲4.1%は日本赤十字社の数字ではなく、公立の▲18.5%は東京都立病院機構の数字ではありません。

個々の法人の損益は、法人の公表資料で確かめます。国立病院機構の令和7年度は、経常収益1兆1,345億円、経常費用1兆1,421億円で、当期純損失は16億円でした。収益の増加には、補助金等収益の増加と一時的な収益が含まれます。診療事業のセグメント損益(事業の区分ごとの損益)は、令和6年度が▲205億円、令和7年度が▲15億円と、2年続けてマイナスでした。

病院で働く人は、資格の名前の職種と、そうでない職種に分かれる

病院で働く人の職種別の数は、医療施設調査のうち静態調査の年にだけ集計されます。直近は2023年10月1日時点の令和5年医療施設(静態・動態)調査です。人数は常勤換算(非常勤の人の勤務時間を常勤の人の時間に換算して足した数)で、実際の人数ではありません。

病院では看護師が最も多く、事務職員は医師に次ぐ約23万人

2023年10月1日時点の病院の職種別の常勤換算従事者数(非常勤の人の勤務時間を常勤に換算した数)。色は、統計の職種名が資格の名前か、そうでないか。

職種名が資格の名前職種名が資格の名前ではない
看護師828,480人
医師260,350人
事務職員231,855人
看護業務補助者142,639人
理学療法士88,926人
准看護師71,537人
その他の職員68,194人
臨床検査技師56,768人
薬剤師52,301人
作業療法士50,304人
診療放射線技師46,795人
介護福祉士38,066人
臨床工学技士24,623人
管理栄養士23,078人
言語聴覚士17,703人
社会福祉士15,761人
医療社会事業従事者2,923人
病院の外から働く道:医療事務は、病院から受付・会計・診療報酬の請求などを請け負う会社の社員や派遣として働く形もある。例:ソラストの医療事業(2026年3月期の売上高738億円。同社は2026年8月6日に上場を廃止)。職種名が資格の名前でない仕事でも、応募の条件は求人ごとに違う。
出典:厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」表25(病院の列)、ソラスト「2025年度 決算短信(2026年3月期)」。病院の常勤換算従事者の総数は2,110,703.9人で、図に載せていない職種(計算値で90,401.4人)がある。人数は常勤換算の値(小数第1位まで)を整数に四捨五入した。帯の長さは看護師を100とした比。常勤換算で、実際の人数ではない。

病院の常勤換算の従事者は、合わせて2,110,703.9人です。最も多いのは看護師の828,480.4人で、医師の260,350.0人、事務職員の231,854.9人、看護業務補助者の142,639.2人が続きます。事務職員は、従事者全体の約11.0%です(231,854.9÷2,110,703.9の計算値)。医師のうち、常勤の医師は197,039人(実人数)で、非常勤の医師は常勤換算で63,311.0人です。

リハビリの職種では、理学療法士が88,925.5人、作業療法士が50,304.4人、言語聴覚士が17,703.1人です。検査・放射線などの職種では、臨床検査技師が56,767.7人、診療放射線技師が46,794.6人、臨床工学技士が24,622.9人でした。このほか、准看護師71,536.7人、薬剤師52,301.1人、介護福祉士38,065.6人、管理栄養士23,078.2人、社会福祉士15,761.2人がいます。

統計の職種名には、看護師・薬剤師・理学療法士のように資格の名前になっているものと、事務職員・看護業務補助者・医療社会事業従事者・その他の職員のように資格の名前ではないものがあります。職種名が資格の名前でない仕事でも、応募の条件は求人ごとに違います。必要な資格や経験は、求人票で確かめます。

一般診療所では、医師が152,771.7人、看護師が177,361.0人、准看護師が74,826.7人です。一般診療所と歯科診療所のそのほかの職種は、この記事では使っていません。

病院の採用では、職種の区分が法人ごとに決まっています。たとえば東京都立病院機構の採用情報は、医師、看護職員、コメディカル職員、事務・技術職員、病院職員(非常勤職員)に分けて募集しています。資格の職種以外の募集は、区分の名前からは事務・技術職員などに当たります。具体的な職務は、募集要項で確かめます。

医療事務は、病院の職員だけが担うのではありません。病院から医療事務を請け負う会社の社員として、病院で働く道もあります。ソラストの医療事業は、受付・会計・診療報酬の請求業務・病院の経営支援などの医療事務の受託と人材派遣、教育事業を行っています。2026年3月期の医療事業は、売上高が738億円、営業利益が42億円でした。同社は2025年度からスマートホスピタル事業を医療事業に含めており、前の年との比較は組み替えた参考の値になるため、ここでは増減を書きません。同社は、増収の理由に、すでに請け負っている業務の価格の改定の交渉を挙げ、医療事務の外部委託のニーズは病院を中心に安定していると説明しています(2026年3月期決算短信)。

ソラストは、株式の併合にともない、2026年8月6日に上場を廃止しました(日本取引所グループ)。上の数字は、上場していたときの最後の通期の決算短信の値です。同社の求人サイトは、職種の区分に「医療事務」「医療事務管理職」を並べています。このサイトは、同社の採用のほか、求人情報も載せています。

賃上げの改定、医師の時間外の上限、経営情報の報告が、病院の仕事に届く

病院の仕事には、診療報酬の改定、医師の労働時間の規制、医療法人の報告の義務が、直接届きます。下の表は、主な変化と、それが届く仕事をまとめたものです。採用数の増減は予測していません。

変化時期中身届く仕事
令和8年度診療報酬改定2026年6月施行(薬価は4月)本体+3.09%(令和8・9年度の2年度平均)。うち賃上げ分+1.70%、緊急対応分のうち病院+0.40%医療事務:点数の変更にあわせた請求。経営・経理:収入の見通し
改定の賃上げの措置令和8・9年度各年度3.2%分のベースアップを支援。看護補助者と事務職員はそれぞれ5.7%。実際に払われる給与の賃上げを確かめる仕組みを作る看護補助・事務の給与。人事・給与の仕事
医師の時間外・休日労働の上限2024年4月からA水準は年960時間、連携B・B・C水準は年1,860時間(副業・兼業先を通算)医師の働き方。人事・労務での勤務時間の管理
医療法人の経営情報の報告現行(医療法第69条の2)病院・診療所ごとの収益と費用などを都道府県知事に報告する義務経理・経営の仕事
医療機関機能の報告現行の条文(2026年10月1日施行の改正後、第30条の13)病院などの管理者が、医療機関機能と病床の機能の区分を都道府県知事に報告病院の管理者と、報告をまとめる仕事

厚生労働省の令和8年度診療報酬改定についてによると、診療報酬の本体の改定率は、令和8年度と令和9年度の2年度平均で+3.09%です。令和8年度は+2.41%、令和9年度は+3.77%で、令和8年6月に施行されました(厚生労働省 令和8年4月の主な制度変更)。本体+3.09%(2年度平均)の内訳には、賃上げ分+1.70%、物価対応分+0.76%のほか、令和6年度改定の後の経営環境の悪化をふまえた緊急対応分+0.44%があります。緊急対応分のうち、病院の分は+0.40%です。改定率は国が決めた全体の率で、個々の病院の収入がその率で増えるという意味ではありません。

賃上げの措置は、令和8年度と令和9年度のそれぞれで、3.2%分のベースアップの実現を支援するものです。看護補助者と事務職員については、それぞれ5.7%とされています。国は、ベースアップ評価料の対象の職種(看護職員、リハビリ職員、病院の薬剤師など)と、入院基本料などで措置した職種(40歳未満の勤務医師、事務職員など)の両方で、実際に払われる給与の賃上げを確かめる仕組みを作るとしています。

医師の時間外・休日労働には、2024年4月1日から上限があります(厚生労働省労働基準局 医師の時間外労働の上限規制に関するQ&A)。医師個人の上限は、A水準が年960時間、連携B・B・C水準が年1,860時間で、副業・兼業先の時間も通算します。病院がどの水準に当たるか、医師の勤務時間を誰がどう管理しているかは、病院によって違います。

医療法人は、開設する病院・診療所ごとの収益と費用などを、都道府県知事に報告しなければなりません(医療法第69条の2第2項)。都道府県知事が調べて分析し、公表することは「努めるものとする」とされた努力義務です(同第1項)。厚生労働大臣は、医療法人の情報の分析の結果を国民に提供する施策を行います(同第3項)。令和8年度改定の資料(2025年12月)は、医療法人の経営情報のデータベース(MCDB)を改定に活用したとし、MCDBでの職種別の給与と人数の報告の義務化を含めて、令和8年中に見直しの結論を出すとしています。その後の結論は、この記事では確かめていません。

病床の機能の報告は、e-Gov法令検索に収録された現行の医療法(2026年10月1日施行の改正を反映)では、医療機関機能と病床の機能の区分を報告する形になっています(第30条の13第1項)。

求人票では、経営主体・病院の種類・雇い主を確かめる

病院の仕事は、職種によって主な相手と成果物が変わります。下の表の仕事の区分は、この記事での整理です。実際の募集の区分名は法人ごとに違います。

仕事主な相手仕事の例変化との関係
医師患者、看護師・技師診療時間外・休日労働の上限(2024年4月から)
看護職員・リハビリ職員・病院の薬剤師など患者、医師看護、検査、リハビリ、調剤などベースアップ評価料の対象の職種の賃上げの措置
看護業務補助者看護師、患者統計上の職種名は看護業務の補助。仕事の範囲は病院の求人で確かめる看護補助者の5.7%の賃上げの措置
医療事務(病院の職員、または受託会社の社員)患者、保険者・審査支払機関受付、会計、診療報酬の請求点数の改定、事務職員の5.7%の賃上げの措置
経営・経理(事務・技術職員など)法人の本部、都道府県収益と費用の管理、事業報告書と経営情報の報告医療法人の経営情報の報告、MCDBの見直し

求人票では、次の4点を確かめます。

  • 経営主体:国・自治体(地方独立行政法人を含む)・日赤などの公的な法人・医療法人・個人などのどれか。法人の種類によって、決算などを確かめる資料が違う(独立行政法人の事業報告書、医療法人の都道府県での閲覧など)
  • 施設の種類と病床:病院か診療所か。病床の種別(一般・療養・精神)と、求人票に書かれた病床の機能
  • 雇い主:病院の職員として雇われるのか、医療事務などを請け負う会社の社員や派遣として病院で働くのか
  • 給与の見直し:令和8年度改定の賃上げの措置が、その職種の給与にどう反映されるか

経営主体ごとの損益の平均は、病院を選ぶときの目安の一つです。ただし、区分の平均は個々の病院の数字ではありません。応募先の法人の資料で、その病院の状況を確かめてください。医療費全体のお金の流れと、医薬品・医療機器・介護との関係は「医薬品・医療・介護の業界地図」で整理しています。