警備の求人には、ビルや商業施設で警戒する施設警備、工事現場で車や人を誘導する交通誘導、イベント会場で人の流れを整える雑踏警備、センサーが異常を知らせた先へ駆けつける機械警備、現金をATMなどへ運ぶ警備輸送があります。異常の信号を受けて駆けつけを指示するセンターの仕事(セコムは「管制」、ALSOKは「ガードセンター」と呼びます)、警備の契約を取る営業、防犯機器を設計・設置する技術の仕事もあります。
同じ「警備員」でも、法律のどの区分の仕事か、国の検定に合格した警備員を置かなければならない現場か、人が立つ警備か機械を使う警備かで、必要な研修や資格、働き方、会社の稼ぎ方が変わります。この記事では、警備業法の区分と制度、仕事ごとの依頼者、稼ぎ方、警備員の年齢構成、入職時の教育、検定、これからの変化を順に見ます。
扱うのは、警備業法の「警備業務」、つまり他人の依頼を受けて行う警備です。ビルや商業施設の施設警備は、ビルメンテナンスの会社が受ける場合も含めてこの記事で扱います。建物の清掃や、電気・空調・給排水などの設備の運転・点検は「ビルメンテナンスの業界地図|清掃・設備管理・総合管理は、誰から受託しどう稼ぐのか」で扱います。情報システムを守る仕事は「サイバーセキュリティの業界地図|守る仕事は、製品・診断・監視・事故対応のどこで、誰が担うのか」で扱います。
施設警備ではなく、建物の清掃や設備の運転・点検を受託する側を見る場合は、ビルメンテナンスの業界地図で確かめられます。
空港の運営は「空港の業界地図|空港会社・ターミナル会社は、着陸料・施設使用料・免税店でどう稼ぎ、誰が空港で働くのか」、建設工事の元請けと下請けの仕組みは「ゼネコンの業界地図|建物と土木工事を元請けする会社は、下請とどう分担し、どこで稼ぐのか」、銀行の店舗やATM網は「銀行の業界地図|メガバンク・地銀・信託・ネット銀行は、預金と融資と手数料のどこで稼ぐのか」で扱います。探偵業や、警察・自衛隊の仕事は扱いません。
警備の4つの区分と、公安委員会の認定
警備業法は、警備業務を、他人の需要に応じて行う次の4つの業務と定めています(第2条第1項)。「他人の需要に応じて」行うものなので、会社が自社の社員に自社の建物を見回らせることは、この定義の警備業務には当たりません。
- 1号:事務所・住宅・興行場・駐車場・遊園地などで、盗難などの事故を警戒し、防止する業務
- 2号:人や車が混み合う場所や、通行に危険のある場所で、けがなどの事故を警戒し、防止する業務
- 3号:運んでいる途中の現金・貴金属・美術品などの盗難などを警戒し、防止する業務
- 4号:人の身体への危害を、その人の身辺で警戒し、防止する業務
警察庁の統計は、これをさらに細かく分けています。1号は施設、巡回(常駐せずに車両などで複数の施設を回る)、保安(店舗で万引きや置引きなどを警戒する)、空港保安、機械の5つ、2号は交通誘導と雑踏、3号は現金輸送や核燃料物質などの運搬、4号は身辺警護と緊急通報サービスです。緊急通報サービスは、離れた場所にいる人の身辺に置いた機器を通じて危害を警戒する業務です。
会社の求人や決算で使う言葉は、法律の区分と違うことがあります。「常駐警備」は、セコム・ALSOK・セントラル警備保障(CSP)が使う呼び方で、法律用語ではありません。この記事では「人が施設に常駐する警備」の意味で使い、法律の区分では1号の施設警備に当たります。現金などを運ぶ仕事は、ALSOKは「警備輸送」、セコムは「現金護送」、CSPは「運輸警備」、東洋テックは「輸送警備」と呼び、法律では3号です。セコムが「セントラライズドシステム」と呼ぶオンラインのセキュリティシステムは、1号の機械警備の仕組みです。
警備業法の4つの区分と、検定合格警備員を置かなければならない場面
業者数は、1つの業者が複数の区分・種別を行うとそれぞれに数えるため、合計は業者の総数1万949を超える。依頼者の例は、この記事で取り上げた会社の説明などからの例示で、統計の区分ではない。
警備業を営むには、都道府県公安委員会の認定を受けなければなりません(第4条)。認定は、欠格事由に当たらないことを確かめるもので、有効期間は5年です(第5条)。欠格事由(第3条)には、破産して復権していない人、拘禁刑以上の刑や警備業法違反の罰金刑の執行を終えてから5年たっていない人、暴力的な不法行為をするおそれがある人、暴力団対策法の命令などを受けて3年たっていない人、アルコールや麻薬などの中毒者などが並びます。ほかの都道府県に営業所を設けたり、そこで警備業務をしたりするときは、その公安委員会への届出が要ります(第9条)。
警察庁「令和7年における警備業の概況」によると、認定を受けた警備業者は令和7年12月末で1万949業者で、前年より138業者(1.3%)増えました。警備員が100人未満の業者が9,885業者で全体の90.3%、主たる営業所1か所だけの業者が9,219業者で84.2%です。警備員1,000人以上の業者は57業者(0.5%)でした。小さな会社が大半を占める業界です。
業務の区分ごとに見ると、2号を行う業者が8,768業者(80.1%)で、そのうち交通誘導が8,241業者(75.3%)です。1号は6,975業者(63.7%)で、施設警備が6,690業者、機械警備は512業者でした。3号は638業者、4号は699業者です。1つの業者が複数の区分を行うと、それぞれに数えるため、合計は業者の総数を超えます。
公安委員会は、法令に違反した業者に、指示や6か月以内の営業停止を命じることができます(第48条・第49条)。令和7年中の行政処分は、指示116件、営業停止12件、認定の取消し1件でした。
人が立つ警備:施設警備・交通誘導・雑踏警備
施設警備は、ビル・商業施設・工場・空港などで、盗難などの事故を警戒し、防止する仕事です。依頼者は、建物の所有者や、所有者に代わって建物を管理する会社などです。オーナーと管理会社の契約の仕組みは「不動産管理の業界地図|賃貸住宅管理・マンション管理・ビルPMの違いと仕事」で扱います。
会社の説明からは、施設警備の現場の例が分かります。ALSOKは2026年3月期の決算短信で、常駐警備事業ではインバウンド需要の増大に対応した空港施設の警備や、国内回帰がみられる生産拠点の警備に力を入れたと書いています。CSPは、2025年3月にまちびらきした大型施設「TAKANAWA GATEWAY CITY」(東日本旅客鉄道)などで新しく警備を始めたことを、常駐警備の増収の理由に挙げています。
交通誘導は、工事現場などの通行に危険のある場所で、車や歩行者を誘導する仕事です。依頼者は、工事を行う建設会社や、工事を発注する自治体などです。雑踏警備は、イベント会場などの人が混み合う場所で、人の流れを整理する仕事です。大阪・関西万博では、セコムは会場内全域の人的警備で主要な役割を果たしたとし、ALSOKは会場警備やパビリオン各館などの警備に対応したと書いています。
どの仕事でも、警備員は特別な権限を持つわけではありません。警備業法は、警備業者と警備員は「この法律により特別に権限を与えられているものでない」ことに留意し、他人の権利や自由を侵害してはならないと定めています(第15条)。
人が立つ警備で大事なのが、検定に合格した警備員(検定合格警備員)の配置です。警備業法は、専門的な知識と能力が要り、事故が起きると多くの人に危険が及ぶおそれのある種別の警備では、その種別の合格証明書を持つ警備員に実施させなければならないとしています(第18条)。警備員等の検定等に関する規則の第2条は、配置しなければならない業務と人数を、次の場面に限って決めています。
| 場面 | 配置しなければならない検定合格警備員 |
|---|---|
| 空港保安(機内に持ち込む物の検査) | 場所ごとに1級1人。エックス線の検査装置がある場所ごとに1級か2級を1人以上 |
| 原子力関係施設の施設警備 | 敷地ごとに1級1人。施設ごとに1級か2級を1人以上 |
| 空港の施設警備 | 空港ごとに1級1人。旅客ターミナル施設などごとに1級か2級を1人以上 |
| 雑踏警備(雑踏の整理) | 場所ごと(区域に分けるときは区域ごと)に1級か2級を1人以上。区域に分けるときは、場所ごとに1級を1人 |
| 高速道路・自動車専用道路の交通誘導 | 場所ごとに1級か2級を1人以上 |
| 都道府県公安委員会が危険防止のため必要と認める道路の交通誘導 | 場所ごとに1級か2級を1人以上 |
| 防護対象特定核燃料物質の運搬 | 運搬する車両や同行する車両のいずれかに1級1人。ほかの車両ごとに1級か2級を1人以上 |
| 現金の運搬 | 現金を運ぶ車両ごとに1級か2級を1人以上 |
この表にない現場には、配置の義務はかかりません。一般のビルや商業施設の施設警備、公安委員会が必要と認めた道路以外の一般の道路の交通誘導、機械警備は、義務の対象外です。配置した検定合格警備員には、仕事中に合格証明書を持たせ、関係する人から求められたら見せさせる義務もあります(規則第3条)。
機械警備:センサー・基地局・待機所・駆けつけ
機械警備は、建物などに置いたセンサーが異常を感知し、その情報を建物の外にある装置へ送って行う1号の警備業務です(第2条第5項)。異常の信号は「基地局」で受け、待機所にいる警備員が車で現場へ向かって事実を確かめます。
機械警備には、人を配置する警備にはない義務があります。機械警備をする業者は、都道府県ごとに公安委員会へ届け出ます(第40条)。基地局ごとに、資格者証を持つ人から機械警備業務管理者を選ばなければなりません(第42条)。管理者は、機器の運用を監督し、警備員への指令を統制します。さらに、都道府県公安委員会規則の基準に従い、信号を受けたら速やかに警備員が現場で事実を確かめられるよう、必要な数の警備員・待機所・車両を配置しておかなければなりません(第43条、即応体制)。
令和7年12月末の機械警備業者は512業者で、前年より30業者減りました。一方、機械警備の対象施設は352万5,422か所で、前年より10万1,952か所増えています。そのうち住宅が195万261か所で、対象施設の55.3%(計算値)を占めます。対象施設の半分以上が住宅です。基地局は617、待機所は7,275、機械警備に専従する警備員は2万7,145人(うち基地局勤務4,865人)、専用の巡回車は1万1,047台でした。
家庭向けの例として、ALSOKは「HOME ALSOK」を、法人向けの機械警備とは別の事業として開示しています。2026年3月期の売上は249億円、契約件数は53万6,267件です。セコムは、事業所向けと家庭向けのセントラライズドシステムを、セキュリティサービス事業の中心に置いています。
機械警備の現場の仕事は、会社の採用ページで分かります。ALSOKの中途採用サイトは、機械警備を、全国の運用拠点に待機し、異常があったお客さま先への駆けつけ、警備機器の管理、ATMの障害対応をする仕事と説明しています。新卒採用の総合職のガードセンターは、お客さま施設からの異常の信号を受け、システムが自動で選んだ最も早く駆けつけられる機械警備の隊員に直行を指示し、駆けつけた隊員の支援や関係先への通報・連絡もする仕事です。
現金輸送と身辺警護
3号の警備の中心は、現金の輸送です。令和7年12月末に3号を行う業者は638業者で、そのうち現金輸送は466業者、現金以外の貴重品の運搬は330業者、核燃料物質などの運搬は21業者でした。現金の運搬では、現金を運ぶ車両ごとに、貴重品運搬の検定合格警備員を1人以上置かなければなりません。現金以外の貴重品の運搬には、この配置の義務はかかりません。
ALSOKの採用ページは、警備輸送を、2名体制で現金や有価証券を運び、金融機関の店舗の外に置かれたATMへ現金を補充・回収する仕事と説明しています。商業施設や小売店、飲食店に置いた入出金機の売上金の回収や釣銭の補充もします。2名体制は同社の説明で、法律が人数を決めているわけではありません。新卒採用には、回収した現金の精査・計数や、ATMの現金の取扱量の予測をする「資金」の仕事もあります。
依頼者の中心は金融機関です。ALSOKの業種別売上高では、2026年3月期の連結売上高5,970億円のうち、金融法人向けが995億円でした。これは介護や施設管理などを含む会社全体の値で、警備輸送だけの依頼者の内訳ではありません。
ALSOKの決算短信は、金融機関の店舗統廃合などで国内のATM台数は減っている一方、現金管理業務の効率化のニーズは依然根強いと書いています。そのうえで、ATM綜合管理サービスや入(出)金機のオンラインシステムを販売しているとしています。東洋テックも、警備事業の中にATM管理を含めています。銀行が店舗やATMをどうするかは「銀行の業界地図」で扱います。
4号を行う業者は699業者(6.4%)です。そのうち緊急通報サービスを行う業者は218業者でした。身辺警護には、検定合格警備員の配置の義務はかかりません。
何で稼ぐか:人数×時間の契約と、契約収入+機器の販売・工事
警備会社の稼ぎ方は、大きく2つの型に分けると分かりやすくなります。1つは、施設警備・交通誘導・雑踏警備のように、警備員を現場に配置し、人数と時間で料金を決める型です。もう1つは、機械警備のように、センサーなどの機器と基地局・待機所・車両を用意し、月々の契約収入を受け取る型です。機械警備では、機器を売ったり、設置の工事をしたりする収入もあります。
人を配置する警備は人数×時間、機械警備は契約収入と機器で稼ぐ
- 依頼者建物の所有者や管理会社、建設会社・自治体、イベントの主催者など
- 警備会社契約を結び、書面を渡す(第19条)
- 現場警備員を配置する。義務のある現場には検定合格警備員
交通誘導警備員A 1万8,911円 B 1万6,749円
単価は残業代や警備会社の諸経費を含まず、警備員の手取りとは違う。全警協は、単価に法定福利費・労務管理費(募集費・被服装備品費・教育訓練費など)・一般管理費などを加えて料金を積算する考え方を示している。
- 施設のセンサー異常を感知して信号を送る
- 基地局全国617。基地局ごとに機械警備業務管理者を選任
- 待機所の警備員待機所7,275、専従の警備員2万7,145人、専用巡回車1万1,047台で駆けつける
令和7年12月末。住宅の割合は本記事で計算。信号を受けたら速やかに事実を確かめられるよう、警備員・待機所・車両を配置しておく義務がある(第43条)。
会社の開示の例(五十音順、4社とも日本基準、億円は百万円の値を四捨五入)
外部売上4,208億円:契約収入3,728億円、工事収入74億円、売却収入406億円
機械警備1,841億円(契約60万743件)、HOME ALSOK 249億円、常駐警備1,388億円(契約4,556件)、警備輸送731億円
外部売上6,606億円、うちセキュリティ契約収入5,551億円
常駐警備・現金護送・安全商品の販売と海外を含む
外部売上768億円:常駐警備399億円、機械警備226億円、運輸警備35億円、工事・機器販売107億円
主要な顧客:東日本旅客鉄道への売上105億円
外部売上323億円
機械警備・輸送警備・常駐警備・ATM管理・コールセンター業務などを含む。大阪・関西万博関連の売上を含む期
人を配置する型の料金の目安になるのが、国の労務単価です。全国警備業協会の「警備料金の基礎知識」は、警備料金は業務の区分や契約の中身で算定方法が違うものの、国が示す公共工事設計労務単価と建築保全業務労務単価が主なベースになると説明しています。官庁施設の管理に使う建築保全業務労務単価は「ビルメンテナンスの業界地図」で扱います。
公共工事の積算では、交通誘導警備員の単価が決まっています。国土交通省の発表では、令和8年3月から適用する全国の加重平均の単価は、交通誘導警備員Aが1万8,911円、交通誘導警備員Bが1万6,749円です。伸び率(単純平均)は、令和7年3月と比べてAが5.8%、Bが6.7%でした。Aは交通誘導の1級か2級の検定合格警備員、BはA以外の交通誘導に従事する警備員です。
この単価は、公共工事の予定価格を積算するための所定労働時間内8時間当たりの単価です。残業などの割増賃金や、警備会社に必要な諸経費は含みません。警備員の手取りとは違います。単価は都道府県ごとにも決まっています。全警協は、労務単価に、事業主が負担する法定福利費、募集費・被服装備品費・教育訓練費などの労務管理費、一般管理費などの必要経費を加えて料金を積算する考え方を示しています。交通誘導警備員の労務費は、平成28年度に、公共工事の積算で直接工事費に計上する方法に改められました。
契約の手続きにも決まりがあります。警備業者は、契約を結ぶ前に契約の概要を書いた書面を、結んだ後には警備業務の内容・対価・期間・解除などを書いた書面を、依頼者に渡さなければなりません(第19条)。依頼者からの苦情を適切に解決することは、努めなければならない努力義務です(第20条)。
業界の売上の手がかりとして、警察庁の概況には、全国警備業協会が令和7年末に行った調査に回答した5,210業者の売上高の合計が3兆5,056億円と載っています。回答した業者の合計で、業界全体の推計ではありません。調査の方法と対象の数は年ごとに違います。
会社の開示からは、2つの型が売上にどう表れるかが見えます。期とセグメントの中身が会社ごとに違うため、会社どうしの数字は比べません(4社とも日本基準。利益は営業利益ベースのセグメント利益)。
ALSOKの2026年3月期のセキュリティ事業は、外部売上が4,208億円、セグメント利益が454億円です。売上の内訳は、契約収入3,728億円、工事収入74億円、機器などの売却収入406億円でした。事業別の売上は、機械警備1,841億円、HOME ALSOK 249億円、常駐警備1,388億円、警備輸送731億円です。契約件数は、機械警備が60万743件、常駐警備が4,556件でした。機械警備は件数の多い契約、常駐警備は件数の少ない契約で、どちらも1,000億円を超える売上になっています。
セコムの2026年3月期のセキュリティサービス事業は、外部売上が6,606億円で、そのうち「セキュリティ契約収入」が5,551億円です。セグメント利益は1,238億円でした。この事業には、常駐警備や現金護送、安全商品の販売、海外の事業も含みます。
CSPの2026年2月期のセキュリティ事業は、外部売上が768億円、セグメント利益が42億円です。部門別の売上は、常駐警備399億円、機械警備226億円、運輸警備35億円、工事・機器販売107億円で、常駐警備がいちばん大きい会社の例です。主要な顧客として、東日本旅客鉄道への売上105億円を開示しています。
東洋テックの2026年3月期の警備事業は、外部売上が323億円、セグメント利益が21億円(前期は4億円)でした。この事業には、機械警備・輸送警備・常駐警備のほか、ATM管理やコールセンター業務も入ります。会社は、増収の最大の要因を大阪・関西万博関連の売上としており、一時的な売上を含む期の数字です。
働く人の年齢・在職年数と、入職時の教育・検定
令和7年12月末の警備員は59万6,985人で、前年より9,137人(1.5%)増えました。令和3年末の58万9,938人から、ほぼ横ばいで推移しています。常用の警備員が54万5,879人、臨時の警備員が5万1,106人で、臨時の割合は8.6%です。女性の警備員は4万5,304人で、全体の7.6%でした。
警備員は約60万人で横ばい、半数近くが60歳以上
棒は0人から60万人までの長さ。
単位は人。色を変えた60歳以上は計28万2,509人、47.3%(人数から本記事で計算)。棒の長さは70歳以上を最大とした長さ。
- 1年未満:109,450人(18.3%)
- 1〜3年未満:127,560人(21.4%)
- 3〜10年未満:186,085人(31.2%)
- 10年以上:173,889人(29.1%)
構成比は警察庁の概況の値。常用は雇用期間の定めがないか4か月以上の雇用、臨時はそれ以外(警察庁の定義)。業務の区分ごとの警備員の人数は、この統計にはない。
年齢で見ると、70歳以上が12万9,012人(21.6%)で、7つの年齢の区分の中で最も多い区分です。60〜64歳と65〜69歳を加えた60歳以上は28万2,509人で、警備員の47.3%(人数から計算した値)になります。警備員の半数近くが60歳以上です。30歳未満は6万5,028人(10.9%)でした。在職年数では、1年未満が18.3%、1〜3年未満が21.4%、3〜10年未満が31.2%、10年以上が29.1%です。
求人の多さは、ハローワークの統計で分かります。厚生労働省の一般職業紹介状況では、令和8年9月の「保安職業従事者」の有効求人倍率は6.93倍でした(常用、パートを含む、実数)。同じ表の職業計は1.08倍です。保安職業従事者は警備員のほかの職業も含む分類で、警備員だけの倍率ではありません。ハローワーク経由の求人と求職だけの数字で、民間の求人サイトの分は入りません。
未経験から警備員になる道は、法律で段階が決まっています。18歳未満の人や、欠格事由の一部(第3条第1〜7号)に当たる人は、警備員になれません(第14条)。採用されると、会社は内閣府令に従って教育と指導・監督をしなければなりません(第21条第2項、義務)。警備業者と警備員が知識と能力の向上に努めることは、努力義務です(同条第1項)。
未経験から警備員になると、教育・検定・管理の資格の順に段階がある
- 入口の条件
18歳以上で、欠格事由の一部(第3条第1〜7号)に当たらないこと
警備業法第14条・第3条 - 新任教育
基本教育と業務別教育を原則20時間以上。経験者・資格者は短縮
施行規則第38条。講義はオンラインも可 - 現場と現任教育
現場で働きながら、毎年度、原則10時間以上の教育を受ける
施行規則第38条 - 検定2級
種別ごとの検定。登録講習機関の講習を修了すると試験の全部が免除され、合格とみなされる。2級に合格すると、配置義務のある現場で置かなければならない検定合格警備員として配置でき、公共工事の積算では交通誘導警備員A(交通誘導の1級・2級)に当たる。検定がなくても、その現場で働けないわけではない
令和7年中の交付:14,013件(うち交通誘導6,282件) - 検定1級
同じ種別の2級の後、その種別に1年以上従事して受ける。空港や、区域に分ける雑踏警備などでは1級を1人置く場面がある
令和7年中の交付:1,760件
何らかの合格証明書を持つ警備員:161,019人 - 管理の役割
警備員指導教育責任者(営業所ごと・区分ごとに選任の義務)、機械警備業務管理者(基地局ごとに選任の義務)
指導教育責任者の資格者証を持つ人:73,091人
機械警備業務管理者の資格者証を持つ警備員:8,076人
人数は令和7年12月末、交付は令和7年中。検定の種別は空港保安・施設・雑踏・交通誘導・核燃料物質等危険物運搬・貴重品運搬の6つ。交通誘導警備員Aは、交通誘導の1級か2級の検定合格警備員を指す公共工事の積算の区分。
警備業法施行規則は、新しく警備業務につく警備員には、基本教育と業務別教育を原則20時間以上行うとしています(第38条)。仕事を続ける警備員には、毎年度、原則10時間以上の現任教育を行います。検定の合格者や資格者証を持つ人、最近3年間に同じ区分で通算1年以上働いた人などは、時間が短くなったり、対象から外れたりします。講義は、本人確認や受講の状況を確かめられる方法であれば、オンラインでも行えます。これらは法令の下限で、会社ごとの実際の研修時間とは別です。
次の段階が検定です。検定は、空港保安・施設・雑踏・交通誘導・核燃料物質等危険物運搬・貴重品運搬の6つの種別ごとに、1級と2級があります。公安委員会の試験は学科と実技で、どちらも90%以上が合格の基準です。登録講習機関の講習を修了すると、試験の全部が免除され、合格したものとみなされます(検定規則第5条)。1級を受けられるのは、同じ種別の2級に合格し、その種別の仕事に1年以上ついた人などです。令和7年中の交付は1級1,760件、2級1万4,013件で、そのうち2級の交通誘導が6,282件でした。何らかの検定合格証明書を持つ警備員は、令和7年12月末で16万1,019人です。
その先には、管理の役割があります。警備業者は、営業所ごと、扱う警備業務の区分ごとに、資格者証を持つ人から警備員指導教育責任者を選ばなければなりません(第22条)。警備員の教育の計画や指導を担う役割です。何らかの区分の資格者証を持つ人は7万3,091人、機械警備業務管理者の資格者証を持つ警備員は8,076人でした。
採用の職種名は、会社ごとに違います。採用ページで確かめた例を並べます。
| 会社 | 採用の区分 | 職種の名前(採用ページの表記の例) |
|---|---|---|
| ALSOK | 通年採用(中途) | 機械警備、警備輸送、営業、技術 |
| ALSOK | 新卒採用(総合職) | ガードセンター、資金 |
| セコム | 中途採用 | ビートエンジニア、常駐警備、現金護送、管制、営業 |
| セントラル警備保障 | 採用情報 | 機械警備、常駐警備、運輸警備、指令センター・画像センター、営業職 |
ALSOKの営業は、法人では事業法人・金融機関・官公庁など、個人ではホームセキュリティなどを提案する仕事です。技術は、セキュリティの設計、機器の設置工事の施工管理、設置後の保守を担います。セコムの中途採用サイトは、ビートエンジニアを「緊急対処の最前線」の仕事として紹介しています。
これからの変化:人手不足・価格改定・省人化の技術
人手の確保は、会社の説明にも出てきます。東洋テックは、人手不足への対応として、ITを活用した警備の効率の向上や、グループ内のリソースの最適化を進めたと書いています。統計では、先に見たとおり、保安職業従事者の有効求人倍率が職業計を大きく上回り、警備員の半数近くが60歳以上です。
料金の見直しも、会社ごとに書かれています。セコムは、セキュリティサービス事業の増収の理由に「価格改定(値上げ)の影響」を挙げています。ALSOKは、物価上昇が続く中、コスト上昇に対応するため、お客さまに価格改定をお願いしてきたと書いています。東洋テックは、万博関連以外でも価格改定に継続的に取り組み、機械警備や輸送警備をはじめ全ての業務で増収したとしています。全国警備業協会は、適正な料金を原資に警備員の処遇改善や労働環境の整備を図るために、価格交渉の知識をまとめたと説明しています。ただし、業界全体の料金がどれだけ上がったかを示す統計はありません。
技術で人の負担を減らす取り組みも、会社ごとに進んでいます。セコムのセキュリティロボット「cocobo」は、2025年3月に遠隔操作型小型車の適合審査に合格し、公道を含む道路を走れるようになりました。ALSOKは、ライブ画像の確認機能を標準で備え、お客さまの省人化のニーズにも応える法人向けの機械警備「ALSOK-G7」の販売を進め、常駐警備でもDXなどによる省人化・効率化に力を入れるとしています。CSPは、セーフィーセキュリティ社に資本参加して業務提携し、センサーやAIカメラが検知した現地の状況をクラウドカメラで遠隔から確かめ、出動の前から声をかけながら駆けつける機械警備のサービスを作ったと説明しています。
制度の側にも、技術を考える規定があります。検定規則は、空港保安の場所の範囲や、雑踏警備の区域を決めるときに、情報通信技術の利用の状況を勘案するとしています。警備員の教育の講義も、条件を満たせばオンラインで行えます。
警備会社は、警備の外へも事業を広げています。ALSOK・CSP・東洋テックは、ビルの設備管理や清掃などのビル管理の事業も持ち、ALSOKは2026年3月にビルメンテナンス会社の平和管財の株式の60%を取得しました。ビル管理の仕事は「ビルメンテナンスの業界地図」で扱います。セコムのBPO・ICT事業の情報セキュリティサービスや、ALSOKの物理ペネトレーションテスト(建物への侵入とその後のサイバー攻撃のリスクを評価するサービス)のような情報セキュリティの仕事は「サイバーセキュリティの業界地図」で扱います。セコムのデータセンター・BPOや東洋テックのコールセンター業務は「BPO・コールセンターの業界地図|業務を受託する会社は、何をどんな料金で引き受け、AIでどう変わるのか」、ALSOKの介護事業やセコムのメディカルサービスは「介護・福祉の業界地図|介護保険と障害福祉のサービスは、誰が払い、どの事業者がどう担うのか」で扱います。防犯カメラなどの機器を作る側は「情報通信機器の業界地図|通信設備・サーバ・PC・スマホを誰が作り、日本企業はどこに残るのか」で扱います。セコムの保険・防災・地理空間情報の事業は、この記事では扱いません。
求人を見るときの確認点
警備の求人を比べるときは、次の点を確かめると、仕事の中身と身につく力が分かりやすくなります。
- どの区分の仕事か:施設警備・交通誘導・雑踏警備・機械警備・警備輸送のどれか。会社の呼び方(常駐警備・運輸警備など)が、法律のどの区分に当たるか
- 配置の義務がある現場か:空港、雑踏警備、高速道路や指定された道路の交通誘導、現金の運搬など、検定合格警備員を置かなければならない現場にかかわるか
- 教育と検定の支援:新任教育と毎年度の現任教育をどう行うか。検定の講習の費用や受講の機会を会社がどう用意しているか
- 人が立つ警備か機械警備か:常駐の勤務の形、待機所での待機と駆けつけの範囲、センターでの指令の仕事か
- 依頼者と現場:ビル・工場・空港・工事現場・イベント・金融機関のどれが中心か。大型イベントの臨時の警備か、続く契約の現場か
- その先の役割:警備員指導教育責任者や機械警備業務管理者の資格を取る道があるか。営業や技術の仕事へ移る道があるか

