廃棄物処理、ビルメンテナンス、警備、コールセンター、自動車整備を、引き受ける業務、発注者、制度、料金、仕事で比較。次に読む分野を選べます。

求人票の「ごみ収集」「ビル設備管理」「施設警備」「コールセンター」「整備士」は、働く場所も相手も違って見えます。共通するのは、ほかの人や会社が負う義務や業務を、契約で引き受けて行う「受託」の仕事だということです。ごみを処理する責任は市町村や、ごみを出した事業者にあります。一定の大きさのビルを衛生的に保つ義務は建物の所有者などに、車を点検・整備する義務は車の使用者にあります。会社はそれを引き受けて、人と設備で実行します。

ただし、誰から引き受けるか、どの法律の許可や認定が要るか、何を単位にお金を受け取るかは、分野ごとに違います。この記事では5つの分野を、何を引き受けるか、大きさの物差し、法律、お金の流れ、仕事の段階の順に並べて比べます。

扱うのは、廃棄物処理・リサイクル、ビルメンテナンス、警備、BPO・コールセンター(企業や自治体の業務の受託)、自動車整備の5分野です。分野ごとの会社・工程・職種の詳しい話は、「廃棄物処理・リサイクルの業界地図|ごみは誰の責任で、誰が集め、処理し、資源に戻してどう稼ぐのか」「ビルメンテナンスの業界地図|清掃・設備管理・総合管理は、誰から受託しどう稼ぐのか」「警備の業界地図|施設警備・交通誘導・機械警備・現金輸送は、誰から受注しどう稼ぐのか」「BPO・コールセンターの業界地図|業務を受託する会社は、何をどんな料金で引き受け、AIでどう変わるのか」「自動車整備の業界地図|ディーラー・整備工場・カー用品店は、車検と修理でどう稼ぎ、整備士はどう働くのか」で扱います。この記事は、次にどの地図を読むかを決めるための全体図です。

清掃・設備・衛生の受託、契約改定、資格を詳しく見る場合は、ビルメンテナンスの業界地図で確かめられます。

施設警備、交通誘導、機械警備、教育・検定を詳しく見る場合は、警備の業界地図で確かめられます。

隣の分類との境目もあります。人を派遣する仕事は「人材派遣の業界地図」、建物の持ち主に代わって賃貸の収支やテナントを管理するPM(プロパティマネジメント)とマンション管理は「不動産管理の業界地図」、設備の新設や更新の工事は「電気工事・空調設備工事の業界地図」、新車の販売とメーカーは「自動車業界の地図」で扱います。情報システムの運用やデータセンター、情報セキュリティは、IT・通信の分類の「ITインフラ(データセンター・クラウド基盤)の業界地図」「サイバーセキュリティの業界地図」で扱います。

5つの分野は、誰の何を引き受け、どこで働くかで分かれる

5つの分野は、引き受けるものが違います。ごみ、建物、警戒と運搬、問い合わせと事務、車です。お金を払う相手と、働く場所も変わります。下の図は、分野ごとに、引き受けるもの、主な発注者、働く場所、人と設備のどちらが中心か、会社の例、次に読む地図を並べたものです。会社は例で、順位や大きさを表しません。

5つの分野は、誰のどんな仕事を引き受け、どこで働き、次にどの地図を読めばよいか

行は分野、列は引き受けるもの・主な発注者・働く場所と形・人と設備のどちらが中心か・会社の例。分野名の下に次に読む地図を書いた。会社は例で、順位や大きさは表さない。数字は入れていない。

分野引き受けるもの主な発注者働く場所と形人と設備会社の例
廃棄物処理・リサイクル→ 廃棄物処理・リサイクルの業界地図引き受けるものごみの収集運搬・中間処理(焼却・破砕・選別)・再資源化・最終処分主な発注者市町村・一部事務組合(一般廃棄物)/ごみを出した事業者(産業廃棄物)働く場所と形収集の車、処理施設、処分場人と設備設備+人会社の例大栄環境(収集から最終処分まで一貫、処分場を持つ)
ビルメンテナンス→ ビルメンテナンスの業界地図引き受けるもの建物の清掃、設備の運転・点検、空気や水の衛生管理主な発注者建物の所有者、国・自治体、PM会社働く場所と形建物に常駐、または巡回人と設備人会社の例日本管財ホールディングス、ALSOK(FM事業等)
警備→ 警備の業界地図(ビルメン会社が受ける施設警備も含む)引き受けるもの施設・工事現場・イベントでの事故や盗難の警戒、機械警備の駆けつけ、現金などの運搬主な発注者施設の所有者、建設会社、金融機関、家庭働く場所と形施設に常駐、現場ごと、待機所から駆けつけ人と設備人(人が立つ警備)
設備+人(機械警備)
会社の例ALSOK、セコム
BPO・コールセンター→ BPO・コールセンターの業界地図引き受けるもの電話・チャットでの問い合わせ対応、入力・審査などの事務処理主な発注者企業、自治体働く場所と形センターの席人と設備人+システム会社の例ベルシステム24ホールディングス、セコム(BPO・ICT事業)
自動車整備→ 自動車整備の業界地図引き受けるもの車の点検・整備・車検、板金・塗装主な発注者車の使用者(個人・法人)。事故の修理は損害保険会社が払うことも働く場所と形整備工場、店舗の作業場人と設備人+工場の設備会社の例オートバックスセブン(カー用品店)、ディーラーのサービス部門、専業の整備工場
この地図の外物品レンタル:物品賃貸業(中分類70)は大分類K「不動産業,物品賃貸業」で、総合リースと同じ分類。修理専業:機械等修理業(中分類90)。販売・製造もする事業所の修理は小売業・製造業に入る。どちらも統計上の位置だけを示す。品目ごとの修理は、その製品を扱う地図で触れる
出典:総務省「日本標準産業分類(令和5年7月改定)」大分類R・大分類K、廃棄物処理法・建築物衛生法・警備業法・道路運送車両法(e-Gov法令検索)、厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」、大栄環境・日本管財ホールディングス・ALSOK・セコム・オートバックスセブン「2026年3月期 決算短信」、ベルシステム24ホールディングス「2026年2月期 決算短信」をもとに編集部作成。

廃棄物処理・リサイクルは、ごみを集めて運び(収集運搬)、焼却・破砕・選別などで処理し(中間処理)、資源に戻すか、最終処分場に埋め立てる仕事です。家庭ごみなどの一般廃棄物は市町村が、工場や建設現場などの事業活動から出る産業廃棄物は出した事業者が、処理の責任を負います。会社は、市町村から委託を受けたり、事業者から処理を引き受けたりします。働く場所は、収集の車、処理施設、処分場です。大栄環境は、収集運搬から中間処理・再資源化・最終処分までを一貫して行い、最終処分場を持つ会社の例です(大栄環境 2026年3月期 決算短信)。

ビルメンテナンスは、オフィスビル・病院・官公庁施設などの清掃、電気・空調・給排水の設備の運転と点検、空気や水の衛生管理を受託する仕事です。発注者は、建物の所有者、国・自治体、所有者から管理を任されたPM会社などです。働く形は、建物に常駐するか、複数の場所を巡回するかです。施設警備や廃棄物処理まで受ける会社もあります(外注する場合を含みます)。施設警備の仕事と警備業のルールは、ビルメン会社が受ける場合も含めて警備の地図で扱います。

警備は、施設や工事現場、イベント会場で事故や盗難を警戒する仕事、センサーが異常を知らせた先へ駆けつける機械警備、現金などを運ぶ仕事に分かれます。依頼者は、施設の所有者、工事を行う建設会社、金融機関、家庭などです。ALSOKとセコムは、人が施設に常駐する警備と機械警備の両方を持つ会社の例です。

BPO・コールセンターは、企業や自治体から、電話やチャットでの問い合わせ対応と、入力・審査などの事務処理を受託する仕事です。BPOは、業務の処理を外部にまとめて任せること(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を指します。ベルシステム24ホールディングスは、コンタクトセンターの運営とその付帯業務を「CRM事業」として開示し、報告する事業の区分はこれ1つです(2026年2月期 決算短信)。会社は、マンション管理の業務に特化したBPOセンターをつくったとも書いており、ほかの分野の業務を引き受ける例です。システムの運用を受託する仕事は、この分野ではなくIT・通信の分類に入ります。

自動車整備は、車の点検・整備・車検や、板金・塗装の仕事です。担い手は、ディーラーのサービス部門、専業の整備工場、車検のチェーン、カー用品店、ガソリンスタンドなどに分かれます。お金を払うのは車の使用者(個人や法人)で、事故の修理では損害保険会社が費用を払うこともあります。オートバックスセブンは、カー用品の販売と並んで車検・整備を行う会社の例です。

5つに共通するのは、建物・ごみ・車・業務を、持ち主や責任者に代わって保ち、処理し、対応することです。違うのは、発注者と、法律の枠と、稼ぎを左右するものです。この違いを、次の章から順に見ます。

この地図の外にある2つの分野にも触れておきます。物品レンタル(物品賃貸業、中分類70)は、統計では大分類K「不動産業,物品賃貸業」に入り、総合リースと同じ分類です(日本標準産業分類 大分類K)。修理を専業とする事業所は中分類90「機械等修理業」で、この記事の分野と同じ大分類Rに入ります。一方、製品を製造したり販売したりして修理もする事業所は、製造業や小売業に分類されます。品目ごとの修理は、その製品を扱う地図で触れます。

大きさの物差し:統計の分類と業界の数字はそろわない

国の統計で大きさを見るときは、まず分類の範囲を確かめます。日本標準産業分類では、廃棄物処理業(中分類88)、自動車整備業(89)、機械等修理業(90)、その他の事業サービス業(92)が、大分類R「サービス業(他に分類されないもの)」に入ります。ビルメンテナンス業(細分類9221)、警備業(9231)、コールセンター業(9294)は、どれも中分類92の中にあります。92には、ディスプレイ業や看板書き業、速記・ワープロ入力・複写業なども入ります。

分類には、求職者の感覚とずれる点が3つあります。1つ目は、車の整備と販売の両方を行う事業所が、自動車整備業ではなく小売業に分類されることです。ディーラーのサービス部門は、統計の89に入りません。2つ目は、ビル管理業(細分類6941)が不動産管理業で、大分類Kに入ることです。3つ目は、BPOのうち事務処理の受託は、事業所の主な活動で分類が決まり、1つの細分類にまとまらないことです。

下の表は、2つの統計の中分類の値と、分野ごとに使われる物差しを並べたものです。

統計の分類1か月の売上の年平均(2025年)事業従事者の年平均(2025年)事業所・従業者(2024年6月)分野ごとの物差し
88 廃棄物処理業4,954億円35.1万人21,775事業所・29.7万人一般廃棄物の排出量3,811万トン(令和6年度)、産業廃棄物の排出量3億6,725万トン(令和5年度)、市町村などのごみ処理事業経費2兆4,489億円(令和6年度)
89 自動車整備業2,270億円21.3万人30,120事業所・18.0万人認証工場92,261・指定工場29,788・整備主任者221,887人(令和7年度末)。ディーラーは89に入らない
92 その他の事業サービス業(ビルメン・警備・コールセンターなどの合計)1兆9,604億円267.2万人95,566事業所・271.7万人警備業者10,949・警備員596,985人(令和7年12月末)、労災保険の「ビルメンテナンス業」の従業員1,157,153人(2024年)、協会の試算によるビルメンの市場規模約5.51兆円(2024年度)
参考:90 機械等修理業(この地図の外)4,042億円25.5万人22,163事業所・22.4万人—
参考:70 物品賃貸業(大分類K、総合リースを含む)1兆2,941億円32.7万人29,982事業所・29.2万人—

売上と事業従事者は総務省統計局のサービス産業動態統計調査(2026年8月分速報に載る2025年の年平均)、事業所・従業者は令和6年経済センサス‐基礎調査(民営事業所)の値です。

売上は1年の合計ではなく、1か月あたりの売上の年平均(消費税を含む)です。年に直すなら12倍した概算になり、92では約23.5兆円です(計算値)。2つの統計は、人の数え方も違います。動態統計の事業従事者は、他社へ派遣・出向している人を含まず、受け入れている人を含みます。経済センサスは民営の事業所だけを数え、雇用者のいない個人経営や、国・自治体の事業所を含みません。市町村が直営するごみ収集は、経済センサスの88に入りません。

右端の物差しも、範囲と数え方がばらばらです。警備員の数は警察庁の令和7年における警備業の概況、ビルメンの従業員数は協会が労災保険の統計からまとめた値です(全国ビルメンテナンス協会のデータ)。市場規模の約5.51兆円は、協会が会員の回答から拡大推計した試算で、推計の方法で値が変わります。工場の数は国土交通省の自動車特定整備事業関係・指定自動車整備事業関係(令和7年度)統計で、事業場の数です。指定工場は認証工場の中から指定されるので、2つを足しません。

このため、92の値を「ビルメン」や「警備」の大きさとして読んだり、警備員数とビルメンの従業員数を足して92と比べたりはできません。一般廃棄物と産業廃棄物は年度が違うので、足して「ごみの総量」とも書けません。市町村のごみ処理の経費も自治体が使ったお金で、民間の処理会社の売上ではありません。

それでも、表から読めることはあります。経済センサスでは、89の事業所の77.2%が、本所や支所を持たない単独の事業所でした(計算値)。整備は、1か所で営む事業者が多い分野です。統計の値と分野ごとの物差しは、それぞれ別の問いに答える数字として読みます。

法律の義務を負うのは発注する側、許可や認定が要るのは受託する側

5つの分野の法律を並べると、似た形が見えます。法律が義務を課す相手の多くは、市町村、ごみを出す事業者、建物の所有者、車の使用者といった発注する側です。受託する会社には、分野によって、許可・認定・登録・認証・指定のどれかがかかります。言葉は似ていますが、意味が違います。許可・認定・認証は、受けないと営業できない制度です。登録には、受けるかどうかを会社が選べるものがあります。

法律の義務を負うのは誰で、受託する会社には何の許可・認定・登録が要るのか

左は法律が義務を課す発注する側、右は受託する会社の側。濃い枠は法律上の義務、中くらいの枠は受けないと営業できない許可・認定・認証、点線の枠は任意の登録や申請による指定、業法がないことを示す。かっこ内は条文。

分野
義務を負う側(発注する側)
委託・発注
受託する会社の側
廃棄物
義務を負う側

義務市町村:区域内の一般廃棄物を収集・運搬・処分する(第6条の2)

義務事業者:事業活動で出た廃棄物を自らの責任で適正に処理する(第3条第1項)。産業廃棄物は自ら処理する(第11条)。委託するときはマニフェストを渡す(第12条の3)

→↓委託
受託する会社の側

許可一般廃棄物の収集運搬・処分は市町村長の許可(第7条)

許可産業廃棄物の収集運搬・処分は都道府県知事の許可(第14条)。どちらも更新制

ビルメンテナンス
義務を負う側

義務特定建築物(延べ3,000㎡以上の事務所など)の所有者等:国の基準に従った維持管理(建築物衛生法第4条)、建築物環境衛生管理技術者の選任(第6条)

→↓委託
受託する会社の側

任意清掃業など8つの事業の登録は、営業所ごとに「受けることができる」(第12条の2)。許可は要らない

警備
義務を負う側

警備業法は依頼者に義務を課していない。警備業務は「他人の需要に応じて」行う業務(警備業法第2条第1項)

→↓依頼
受託する会社の側

認定警備業を営むには公安委員会の認定(第4条)。有効期間5年(第5条)

義務空港・雑踏・高速道路などの交通誘導・現金の運搬など一部の現場は検定合格警備員の配置(第18条)

禁止警備業務の労働者派遣は禁止(労働者派遣法第4条第1項第3号)

BPO・コールセンター
義務を負う側

業法上の義務はない。企業・自治体が自社の業務を任せる

→↓委託
受託する会社の側

業法なし許可や認定の制度はない

請負で受けるなら、指示と労働時間・服務規律の管理を自社で行い、自社の設備や専門技術で処理する(告示37号)

許可派遣の形で人を出すなら厚生労働大臣の許可(労働者派遣法第5条)

自動車整備
義務を負う側

義務車の使用者:点検し、必要に応じ整備して保安基準に適合させる(道路運送車両法第47条)。定期点検は事業用などは3か月ごと、レンタカーなどは6か月ごと、自家用乗用車などは1年ごと(第48条)

→↓依頼
受託する会社の側

認証特定整備の事業は、事業場ごとに地方運輸局長の認証(第78条)

指定基準に合う認証工場は申請により指定(第94条の2)。自動車検査員の証明で保安基準適合証を交付(第94条の5)

義務法律上の義務・禁止許可受けないと営業できない許可・認定・認証任意任意の登録・申請による指定・業法なし
出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、警備業法、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律、道路運送車両法(いずれもe-Gov法令検索)、厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)をもとに編集部作成。条文の要約で、例外や細かな要件は省いた。

廃棄物には、責任と許可が2つずつあります。廃棄物処理法は、事業者は事業活動で生じた廃棄物を自らの責任で適正に処理しなければならないと定め(第3条第1項)、産業廃棄物は事業者が自ら処理しなければならないとしています(第11条第1項)。市町村は、計画に従って区域内の一般廃棄物を収集・運搬・処分しなければなりません(第6条の2第1項)。会社の側は、一般廃棄物の収集運搬業・処分業なら市町村長の許可(第7条)、産業廃棄物なら都道府県知事の許可(第14条)を受けます。一般廃棄物の許可は、その市町村による収集運搬が難しいことなどが要件の1つです。どちらの許可も期間を区切った更新制です。産業廃棄物の運搬や処分を委託する事業者は、引き渡すときに産業廃棄物管理票(マニフェスト)を渡さなければなりません(第12条の3)。廃棄物の収集運搬はこの法律の許可の仕事で、トラックで荷物を運ぶ貨物自動車運送事業とは別の制度です。

ビルメンテナンスの義務は、建物の側にあります。建築物衛生法は、延べ面積3,000㎡以上の事務所などの「特定建築物」の所有者などに、国の基準に従った維持管理(第4条)と、建築物環境衛生管理技術者の選任(第6条)を義務づけています。会社の側の登録は、清掃業などの8つの事業を営む人が営業所ごとに「受けることができる」任意の制度です(第12条の2)。登録がなくても清掃や設備管理の仕事はできます。

警備の制度は、会社の側にかかります。警備業法は、警備業務を「他人の需要に応じて」行う業務と定めています(第2条第1項)。警備業を営むには都道府県公安委員会の認定を受けなければならず(第4条)、認定の有効期間は5年です(第5条)。警備業法は、警備を頼む依頼者に義務を課していません。空港や雑踏警備、高速道路や指定された道路の交通誘導、現金の運搬など一部の現場では、検定に合格した警備員を置かなければなりません(第18条)。さらに労働者派遣法は、警備業務について労働者派遣事業を行ってはならないと定めています(第4条第1項第3号)。警備は派遣ではなく、警備会社が受けた仕事として行います。

BPO・コールセンターには、警備業法のような業法の許可や認定がありません。ただし、請負として業務を受けるなら、受託する会社が自ら働く人に仕事の進め方を指示し、労働時間や服務規律を管理しなければなりません。自らの設備や専門的な技術で業務を処理する必要もあり、そうでなければ労働者派遣とされます(昭和61年労働省告示第37号)。人を派遣する形で受けるなら、厚生労働大臣の許可が要ります(労働者派遣法第5条)。どちらの形で受けた仕事かで、現場で誰が指示を出すかが変わります。

自動車整備は、義務が使用者に、認証が事業場にかかります。道路運送車両法は、車の使用者に点検と整備で保安基準に適合するよう保つ義務を課し(第47条)、定期点検の間隔を、事業用の自動車などは3か月ごと、レンタカーなどは6か月ごと、自家用乗用車などは1年ごとと定めています(第48条)。原動機やブレーキなどを取り外して行う整備などの「特定整備」を事業として行うには、事業場ごとに地方運輸局長の認証が要ります(第78条)。認証を受けた事業場のうち、設備や検査の体制などの基準に合うものは、申請によって指定自動車整備事業に指定されます(第94条の2)。指定工場では、自動車検査員が保安基準への適合を証明すると、保安基準適合証を交付できます(第94条の5)。いわゆる民間車検場の仕組みです。

お金の流れ:人の配置で決まる仕事と、設備が稼ぎを左右する仕事

お金を払う人と、何を単位に請求するかも、分野ごとに違います。大きく分けると、人を何人・何時間配置するかで値段が決まる仕事と、処分場や基地局、整備工場などの設備が稼ぎを左右する仕事があります。どちらの型かは分野の性格の違いで、利益率の高い・低いを表すものではありません。

お金はどこから来て、何を単位に請求されるのか

上は分野ごとの、払う人・受け取る会社・請求の単位。下は3つの数字の例で、①は自治体の経費、②は国の積算用の単価、③は1社の中の区分の違い。会社をまたいだ比較はしていない。

払う人
受け取る会社
請求の単位
払う人市町村・一部事務組合/ごみを出す事業者
→↓
廃棄物処理の会社
→↓
請求の単位自治体の委託費(収集運搬・中間処理・最終処分)と、事業者が払う量に応じた処理料金。ほかに再生資源・電力の売却処分場・処理施設という設備が稼ぎを左右する
払う人建物の所有者、国・自治体、PM会社
→↓
ビルメンテナンスの会社
→↓
請求の単位作業の量と、配置する人数・時間国の積算は、作業の量×標準の手間×労務単価の積み上げ
払う人施設の所有者、建設会社、金融機関、家庭
→↓
警備会社
→↓
請求の単位人が立つ警備は人数×時間。機械警備は月々の契約収入と、機器の売却・設置工事人が立つ警備は労務単価が料金の主なベース
払う人企業、自治体
→↓
BPO・コールセンターの会社
→↓
請求の単位業務の量や用意する体制に応じた料金料金の形はBPOの地図で扱う
払う人車の使用者(個人・法人)、事故の修理では損害保険会社
→↓
整備工場・ディーラー・カー用品店
→↓
請求の単位作業の工賃と部品工賃の決まり方は整備の地図で扱う
① 自治体のごみ処理の委託費(令和6年度)1兆456億円市区町村・一部事務組合の処理及び維持管理費1兆7,802億円の58.7%(計算値)
  • 収集運搬4,565億円
  • 中間処理4,980億円
  • 最終処分564億円
  • その他347億円
自治体の経費で、民間の処理会社の売上ではない。事業者が払う産業廃棄物などの処理料金は入らない
② 建築保全業務労務単価(令和8年度、1日8時間)
清掃員16,793円
警備員17,040円
保全技師等24,787円
国の施設の保全業務を積算するための参考の単価で、民間の契約の値段や、働く人の賃金ではない
③ ALSOKの売上の中身(2026年3月期)
セキュリティ事業
FM事業等
  • 契約収入88.6%/52.0%
  • 工事収入1.8%/34.7%
  • 売却収入9.6%/13.3%
凡例の数字は、左がセキュリティ事業、右がFM事業等。外部売上に占める割合で計算値。セキュリティ事業は機械警備・常駐警備・警備輸送などの合計。FM事業等は設備工事を含む。1社の中の区分の違いで、ほかの会社とは比べない
出典:環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和6年度)について」、国土交通省「令和8年度 建築保全業務労務単価」、ALSOK「2026年3月期 決算短信」、廃棄物処理法(e-Gov法令検索)、大栄環境・オートバックスセブン「2026年3月期 決算短信」、ベルシステム24ホールディングス「2026年2月期 決算短信」をもとに編集部作成。割合は原本の値からの計算値。

廃棄物には、財布が2つあります。1つは自治体です。環境省の一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和6年度)によると、市区町村と一部事務組合のごみ処理事業経費は2兆4,489億円でした。このうち処理及び維持管理費1兆7,802億円の中に、民間などへの委託費が1兆456億円あります(処理及び維持管理費の58.7%、計算値)。内訳は、収集運搬が4,565億円、中間処理が4,980億円、最終処分が564億円、その他が347億円です。もう1つの財布は、産業廃棄物などを出す事業者が払う処理料金です。こちらは自治体の経費に入りません。会社は、処理した資源や電力を売って収入を得ることもあります。

廃棄物の会社では、設備が稼ぎを左右します。大栄環境の2026年3月期の廃棄物の受入量は235万3千トンで、前の期より7.1%増えました。会社は、最終処分場での受入量の増加が利益を押し上げた一方、処分場の減価償却費や、人員の増加と待遇の改善による人件費も増えたと説明しています。これは1社の説明で、処理料金の決まり方や会社ごとの違いは廃棄物の地図で扱います。

ビルメンテナンスと、人が立つ警備は、人の配置で値段が決まる部分が大きい仕事です。国の施設の保全業務の積算では、作業の量に標準の手間をかけて人の量を出し、それに労務単価をかけて費用を積み上げます。国土交通省の令和8年度の建築保全業務労務単価(1日8時間)は、清掃員が16,793円、警備員が17,040円、保全技師等が24,787円です。これは国の積算に使う参考の単価で、民間の契約の値段や、働く人の賃金ではありません。全国警備業協会は、警備料金は業務の区分や契約の中身で算定方法が違うものの、国の労務単価が主なベースになると説明しています(警備の地図で詳しく扱います)。人件費が上がれば、契約の値段を改めないと利益が減る構造です。

機械警備は、センサーなどの機器と、信号を受ける基地局、警備員が待つ待機所と車両を用意し、月々の契約収入を受け取ります。機器の売却や設置の工事の収入もあります。ALSOKの2026年3月期 決算短信では、セキュリティ事業(機械警備のほか、常駐警備・警備輸送などを含む)の外部売上のうち契約収入が88.6%でした。人が常駐する警備の契約も、この契約収入に入ります。同じ会社の「FM事業等」は、契約収入が52.0%、工事収入が34.7%です(どちらも計算値)。FM事業等には、設備管理・清掃管理のほか、管工事・電気工事などの設備工事が入ります。施設運営の会社が工事も受ける例で、1社の中の区分の違いです。

BPO・コールセンターは、業務の量や用意する体制に応じて料金を決めますが、具体的な料金の形は契約ごとに違います。料金の形とAIの影響は、BPOの地図で扱います。ベルシステム24ホールディングスは、生成AIを載せたコンタクトセンターの基盤の提供を始めたと書いています。

自動車整備の売上は、作業の工賃と部品で成り立ちます。オートバックスセブンの2026年3月期の開示では、加盟店を含む国内のオートバックスのチェーン全体で、車検の実施台数が約68万2千台、車検・整備の売上高が257億84百万円でした(決算短信)。チェーン全体の値で、会社の連結売上の内訳でも、整備業全体の大きさでもありません。工賃の決まり方や保険修理の流れは、整備の地図で扱います。

1つの会社が、いくつもの分野にいることもあります。

  • ALSOK:警備のセキュリティ事業のほかに、設備管理・清掃・設備工事のFM事業等と、介護事業を持ちます。2026年3月には、ビルメンテナンス会社の平和管財の株式の60%を取得しました(会社の開示)
  • セコム:警備のセキュリティサービス事業のほかに、データセンターを中核にコンタクトセンター業務を含むBPOを受託する「BPO・ICT」事業を持ちます。2026年3月期の外部売上は1,299億円です(決算短信)。データセンターや機器の販売を含む値で、BPOだけの売上ではありません
  • 日本管財ホールディングス:2026年3月期の外部売上は、ビル管理と保安警備の建物管理運営事業が946億68百万円、マンションや公営住宅の住宅管理運営事業が344億64百万円、上下水道の処理施設などを管理する環境施設管理事業が154億73百万円です(決算短信)

会社ごとに期と区分の中身が違うため、ここに挙げた金額は会社どうしで比べられません。ALSOKの介護事業は「介護・福祉の業界地図」、日本管財の住宅の管理は「不動産管理の業界地図」、上下水道の仕組みは「上下水道の業界地図」で扱います。

仕事の地図:現場・指揮・法令で選任が求められる責任者・営業

5つの分野の仕事は、段階で並べると共通点と違いが見えます。現場で手を動かす仕事、現場をまとめて指示する仕事、法令に基づいて事業者などが選任する責任者、営業や企画の仕事です。下の図の職種名は、警備とビルメンテナンスは会社の採用ページで確かめた呼び方の例で、廃棄物・BPO・整備は一般的な呼び方です。会社ごとの職種名は、それぞれの地図で扱います。

5つの分野の仕事は、現場・指揮・責任者・営業の段階で、どこが共通でどこが違うのか

横は分野、縦は仕事の段階。警備とビルメンテナンスの職種名は採用ページで確かめた呼び方の例、廃棄物・BPO・整備は一般的な呼び方。下の棒は職業ごとの有効求人倍率で、職業の分類は分野と一致しない。

廃棄物処理ビルメンテナンス警備BPO・コールセンター自動車整備
現場で手を動かす廃棄物処理収集運搬の作業員・ドライバー、処理施設の運転・保守ビルメンテナンス清掃スタッフ、設備管理(設備エンジニアなど)警備施設警備、交通誘導、雑踏警備、機械警備(駆けつけ)、警備輸送BPO・コールセンターオペレーター、事務処理の担当自動車整備整備士、板金・塗装
現場をまとめる・指示する廃棄物処理(廃棄物の地図で)ビルメンテナンス現場責任者、物件担当マネージャー警備管制(セコム)・ガードセンター(ALSOK)BPO・コールセンターSV(スーパーバイザー)自動車整備(整備の地図で)
法令に基づいて事業者などが選任する責任者廃棄物処理(廃棄物の地図で)ビルメンテナンス建築物環境衛生管理技術者(建物の側に選任義務。ビルメン会社の社員が選ばれることもある)警備警備員指導教育責任者(営業所・区分ごと)、機械警備業務管理者(基地局ごと)BPO・コールセンター業法が置く責任者はない自動車整備整備主任者(認証の事業場)、自動車検査員(指定工場)
営業・窓口・企画廃棄物処理営業ビルメンテナンス営業警備営業、技術(機器の設計・設置)BPO・コールセンター運用設計・営業(BPOの地図で)自動車整備営業、サービスフロント(受付・説明)
出典:建築物衛生法・警備業法・道路運送車両法(e-Gov法令検索)、国土交通省「自動車特定整備事業関係・指定自動車整備事業関係(令和7年度)統計」、警察庁「令和7年における警備業の概況」、厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分について)参考統計表」、ALSOK・セコム・ハリマビステムの採用ページ(警備・ビルメンテナンスの業界地図で確かめた職種名)をもとに編集部作成。

共通点は、現場を担う職種が多く、法令に基づいて事業者などが選任する責任者の資格がキャリアの節目になる分野が多いことです。建築物環境衛生管理技術者は建物の側に選任の義務があり、ビルメン会社の社員が選任されることもあります。警備では、営業所ごと・区分ごとに警備員指導教育責任者を、機械警備の基地局ごとに機械警備業務管理者を選びます。整備では、国土交通省の統計で令和7年度末に整備主任者が221,887人おり、指定工場では自動車検査員が車検の適合を証明します。

違いもあります。BPO・コールセンターは、請負で受ける場合、業法が置く責任者がありません。現場をまとめるSV(スーパーバイザー)や運用を設計する人の役割は、会社ごとの仕組みで決まります。ビルメンの登録は任意なので、会社が登録を受けているかで、置いている監督者も変わります。

人手の足りなさは、分野ごとの統計に表れています。厚生労働省の一般職業紹介状況では、令和8年9月の有効求人倍率(常用・パートを含む、実数)は、保安職業従事者が6.93倍、機械整備・修理従事者が3.90倍、清掃従事者が1.14倍で、職業計は1.08倍でした。職業の分類は産業と一致しません。保安職業従事者は警備員以外の職業も、機械整備・修理従事者は車以外の機械の整備も含みます。ハローワークを通した求人と求職だけの数字です。

働く人の年齢や集まりにくさも、分野の地図に出てきます。警察庁の概況では、令和7年12月末の警備員の47.3%が60歳以上でした(人数からの計算値)。ビルメンの協会の年鑑では、悩みごととして「現場従業員が集まりにくい」を挙げた会社が88.5%ありました(本社の回答、複数選択)。

求人票で確かめることと、次に読む地図

5つの分野の求人を見比べるときは、次の点を確かめます。

  • 何を引き受ける仕事か:ごみ・建物・警戒と運搬・問い合わせと事務・車のどれか。1つの会社がいくつもの分野を持つときは、配属される事業はどこか
  • 誰から受けた仕事か:市町村・事業者・建物の所有者・PM会社・企業・車の使用者のどれか。直接受けた仕事か、元請の会社から受けた仕事か
  • どの制度の下の仕事か:許可・認定・認証が要る仕事か、任意の登録か、業法のない仕事か。BPOなら、請負と派遣のどちらの形か
  • 人中心か設備中心か:常駐・巡回・駆けつけ・センターの席・工場のどこで働くか。夜間や交替の勤務があるか
  • 資格と選任の道:管理技術者・指導教育責任者・機械警備業務管理者・整備主任者・自動車検査員など、資格を取り、責任者に選ばれる道と、会社の支援があるか

次に読む地図は、分野ごとに次のとおりです。

  • ごみの区分と許可、処理の工程、処理料金と処分場、会社の違い:「廃棄物処理・リサイクルの業界地図|ごみは誰の責任で、誰が集め、処理し、資源に戻してどう稼ぐのか」
  • 清掃・設備・衛生の業務、建築物衛生法と登録、契約改定、資格とキャリア:「ビルメンテナンスの業界地図|清掃・設備管理・総合管理は、誰から受託しどう稼ぐのか」
  • 警備業法の区分、施設警備・交通誘導・機械警備・現金輸送、検定と教育、警備員の年齢:「警備の業界地図|施設警備・交通誘導・機械警備・現金輸送は、誰から受注しどう稼ぐのか」
  • コンタクトセンターと事務処理の受託、料金の形、請負と派遣、AIの影響:「BPO・コールセンターの業界地図|業務を受託する会社は、何をどんな料金で引き受け、AIでどう変わるのか」
  • 認証と指定、工賃と部品、ディーラー・整備工場・カー用品店の違い、整備士の働き方:「自動車整備の業界地図|ディーラー・整備工場・カー用品店は、車検と修理でどう稼ぎ、整備士はどう働くのか」

大きさの数字を見るときは、どの統計の、どの範囲の、いつの値かを確かめます。そのうえで、配属される分野の地図で、会社ごとの違いと仕事の流れを確かめてください。

ディーラー・整備工場・カー用品店の車検と修理の事業は、自動車整備の業界地図で確かめられます。