退職の申し出を撤回したくなったら、誰へどの意思を伝え、会社から何と返答されたかを確認します。書面の名前だけで取り下げられると判断せず、口頭のやり取りも時系列に残しましょう。
相談段階だった場合と退職日まで合意した場合では、確かめる資料が異なります。撤回したい事情だけでなく、進んだ社内手続きや転職先との約束も整理します。
この記事では2つの架空例で会社へ相談する内容を示し、認識が違う場合の公的・専門相談へつなげます。
自分が伝えた意思と会社の返答を時系列にする
「退職も考えている」と相談したのか、「この日に退職する」と申し出たのかを確認します。自分の記憶だけで言い換えず、メールや書面があれば実際の文面を見ます。通話や面談だけなら覚えている発言とその後の返答を記録してください。
| 整理すること | 残す内容 |
|---|---|
| 本人の申し出 | 日時、相手、発言や書面の本文、示した日付 |
| 会社の返答 | 誰が何と答えたか。承認の通知や面談予定など |
| 進んだ手続き | 人事への提出、社内案内、後任への連絡など確認できる範囲 |
| 今回の希望 | 撤回したい理由、勤務を続けたい条件、次の期限 |
厚生労働省の退職願の撤回に関する説明は、合意退職の申込みについて会社が承諾する前の撤回と、承認後や任意退職の申入れ後の取り扱いを分けています。後者でどうしても撤回したい場合は会社の同意を得る必要があると説明されています。
自分のやり取りがどの意思表示に当たるかや、誰の返答が承諾に当たるかは、経緯を確認する必要があります。「退職願なら必ず撤回できる」「口頭だから何も成立していない」と名前や方法だけで決めないでください。
口頭で相談した段階の架空例
以下の日時と人物はすべて架空です。候補者は11月2日に上司へ「今後の働き方について悩んでおり、退職も考えています」と話しました。上司からは「来週また話しましょう」と返答があり、日付を記載した書面はまだ出していません。
11月5日、本人は勤務を続けたいと考えました。この時点で用意するのは、面談のメモと次回の面談予定、今回考えが変わった理由です。書面がないことだけで法的に撤回可能とは結論づけず、まず双方の認識を確認します。
11月2日に退職も考えているとお話ししましたが、その後検討し、現在は勤務を続けたいと考えています。前回のお話がどのように受け止められているかと今後の勤務について相談する時間をいただけますでしょうか。
上司から「既に退職する意思を受け取った」と返答された場合は、本人の理解との差を記録します。どの発言や返答を基にそう扱っているかを確認し、事実をそろえて次の相談へ進みます。強く言い直せば元に戻ると考えず、認識の違いを残してください。
書面を出し、退職日の確認まで進んだ架空例
別の候補者は11月2日に12月31日付の退職を申し出る書面を提出し、11月4日に人事から退職日を承認した旨の通知を受けました。11月10日になって現職に残りたいと考えた設定です。
この場合は提出した書面と承認通知に加え、転職先へ返答した内容や社内で既に進んでいる手続きも確認します。会社の承認の扱いを含めて経緯を示し、一方的に「退職を取り消します」と通知するのではなく、勤務を続けることを相談します。
11月2日に提出した退職の申し出について、撤回して勤務を続けることをご相談したくご連絡しました。12月31日退職の承認通知を受けていることは認識しております。検討の結果、勤務を続けたいと考えています。既に進んでいる手続きも含め、相談の担当者と必要な確認をご案内いただけますでしょうか。
この文面は会社が撤回を認めた例ではありません。返答と必要な対応を記録し、相談しただけで退職手続きが止まったと扱わないでください。会社から条件を提示された場合も、勤務の継続を認める返答と変更される仕事や待遇の内容を分けて確認します。
残りたい理由と実際に変わる条件を分ける
現職から昇給や異動の提案を受けて考えが変わった場合は、提案の決定者と実行時期、担当する仕事を確認します。口頭の期待だけで元の退職理由が解消したと判断すると、手続きを戻した後も同じ問題が残るおそれがあります。
家族の事情などで転職の予定を変えたい場合も、勤務を続けるために必要な条件を整理します。会社が認めるか分からない勤務時間や配置を既に決まった条件として説明しないでください。
転職先への入社を承諾している人は、その相手との合意と進んだ準備も別に確認します。現職に残る相談がまとまったからといって、転職先への連絡や返却などが自動的に終わるわけではありません。
認識や条件が合わないときの相談
会社が撤回を認めない、返答の意味が分からない、強い圧力の下で書面を出したなどの事情がある場合は、提出物とやり取りを保存して相談します。一般説明だけで自分の意思表示の効力を決めるより、契約と実際の経緯を確認してもらうことが必要です。
厚生労働省の総合労働相談コーナーは労働問題の相談に対応しています。撤回の希望と会社の返答、次の手続きの期限を示し、必要に応じて法律の専門家へつなげてもらいましょう。
相談中も何の予定が継続しているかを担当者へ確認します。出社や引き継ぎの予定を自己判断で止めず、分からない義務は相談先へ尋ねてください。退職申出の撤回では、自分の希望を伝えた記録と会社が返答した内容の両方を残すことから進めます。




