介護保険と障害福祉のお金の流れ、法律で定められた運営主体と実際に運営している法人の割合、人手と報酬改定を整理。求人で職場の種類、法人、加算を確認できます。

「介護」と書かれた求人には、特別養護老人ホームの介護職、訪問介護の登録ヘルパー、ケアプランを作るケアマネジャー、福祉用具を選んで届ける福祉用具専門相談員、事業所の管理者や本社の仕事まで幅があります。同じ介護でも、施設か在宅か、運営しているのが社会福祉法人か医療法人か株式会社かで、職場の形も、報酬の決まり方も、法律の決まりも変わります。

この記事では、介護保険法のサービス(居宅・地域密着型・施設・居宅介護支援)と、障害者総合支援法の障害福祉サービスを扱います。誰がいくら払い、お金が事業者にどう届くのか、どんなサービスがあり、どの法人が運営できるのか、障害福祉と福祉用具は介護保険とどこが違うのか、人手と報酬改定・法改正がどの仕事に届くのかを順に確かめます。

病院・診療所と医療保険の訪問看護、病院の療養病床は「医療提供の業界地図」で扱います。介護老人保健施設と介護医療院は、介護保険の施設としてこの記事で扱います。医療・医薬品・医療機器を含めた分野全体のお金の流れは「医薬品・医療・介護の業界地図」で扱います。

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介護保険は、市町村が保険を運営し、ケアプランでサービスをつなぐ

介護保険法では、介護保険を行う保険者は市町村と特別区です(第3条)。介護保険を運営してサービスの費用を払うのは、国ではなく市町村です。

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サービスを使う人と事業者をつなぐのが、介護支援専門員(ケアマネジャー)です。法律は、介護支援専門員を、要介護者などの相談に応じ、適切なサービスを使えるよう市町村や事業者と連絡調整をする人と定めています(第7条第5項)。在宅で使うサービスの計画(居宅サービス計画、いわゆるケアプラン)を作り、事業者との連絡調整をする事業を「居宅介護支援」と呼びます(第8条第24項)。

介護保険のお金は、市町村から国保連の審査を経て事業者に届く

上は保険から払う分(給付費)の財源、中はお金の流れ、下はサービスを決めるつながり。財源の割合は介護保険法の条文の値。

居宅サービスの場合:国20%+調整交付金5%、都道府県12.5%、市町村12.5%で公費50%(計算値)。施設などは国15%・都道府県17.5%。第2号被保険者の負担率27%は政令(介護保険の国庫負担金の算定等に関する政令第5条、2024〜2026年度)で決まり、残りの23%が第1号(厚生労働省「介護保険制度の概要」の令和7年度予算の割合)。第2号の割合は3年ごとに政令で決め直す(介護保険法第125条第2項)。市町村ごとの第1号の割合は調整交付金によって違う。
国・都道府県・市町村公費。給付費の50%(条文の割合の合計)
第1号被保険者65歳以上。保険料は市町村が条例で定めて集める
第2号被保険者40〜64歳。保険料は医療保険者が集め、機構が介護給付費交付金として市町村に交付
利用者多くのサービスで費用の1〜3割を事業者に直接払う
保険者市町村・特別区保険を運営し、給付費(費用の7〜9割)を払う
審査・支払国保連市町村の委託で、事業者の請求を審査して支払う
サービスの提供事業者・施設介護報酬の基準で計算した額を請求する
サービスを決めるつながり:在宅では、ケアマネジャー(介護支援専門員)が利用者の相談に応じてケアプランを作り、事業者や市町村と連絡調整する。介護報酬の基準は、厚生労働大臣が社会保障審議会の意見を聴いて定める。令和7年度の費用額は12兆2,208億円(利用者負担を含む。審査月ベースの実績で、全体地図で使う令和7年度予算の介護給付費13.2兆円とは別の数字)。
出典:介護保険法(e-Gov。第3条・第7条第5項・第8条第24項・第41条・第49条の2・第121条〜第125条・第129条・第176条)、介護保険の国庫負担金の算定等に関する政令第5条(e-Gov)、厚生労働省「介護保険制度の概要」(令和7年7月)、同「令和7(2025)年度 介護給付費等実態統計の概況」。公費の割合の合計は本記事で計算。

事業者が受け取る料金は、国が決める基準(介護報酬)で計算します。厚生労働大臣がこの基準を定めるときは、あらかじめ社会保障審議会の意見を聴かなければなりません(第41条第5項)。介護保険から払われるのは、原則としてこの基準で計算した費用の9割です。65歳以上の第1号被保険者(後で説明します)のうち所得が一定以上の人は8割、さらに高い人は7割になり、残りを利用者が払います(第41条第4項・第49条の2)。多くのサービスで、利用者の負担は1〜3割になります。

保険から払う分(給付費)は、公費と保険料でまかないます。条文では、国が給付費の20%(施設などは15%)を負担し、別に国の調整交付金が全体で5%あります。都道府県は12.5%(施設などは17.5%)、市町村の一般会計は12.5%を負担します(第121条〜第124条)。公費を足すと50%で(計算値)、残りの50%を保険料でまかないます。

保険料を納める人は、65歳以上の第1号被保険者と、40〜64歳の第2号被保険者です(厚生労働省 介護保険制度の概要)。第1号の保険料は、市町村が条例で定めて集めます(第129条)。第2号の保険料は、市町村は集めません。健康保険などの医療保険者が集め、医療情報基盤・診療報酬審査支払機構が介護給付費交付金として市町村に交付します(同じ制度の概要と、第125条)。

第2号被保険者の負担率27%は、政令(介護保険の国庫負担金の算定等に関する政令第5条。2024〜2026年度)で決まっています。残りの23%が第1号で、これは厚生労働省「介護保険制度の概要」が示す令和7年度予算の割合です。第2号の割合は、被保険者の見込み数の割合をもとに、3年ごとに政令で決め直します(第125条第2項)。市町村ごとの第1号の割合は、調整交付金によって違います。

事業者の請求を審査して支払うのは、市町村から委託を受けた国民健康保険団体連合会(国保連)です(第176条)。事業者は、介護報酬の基準で計算した額を国保連に請求し、利用者からは1〜3割の負担を受け取ります。

サービスは在宅・地域密着型・施設に分かれる。費用額は年12.2兆円

介護保険のサービスは、法律で次のように分かれています。

  • 居宅サービス:訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション、短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)、特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与、特定福祉用具販売(第8条第1項)
  • 地域密着型サービス:定期巡回・随時対応型訪問介護看護、地域密着型通所介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、定員29人以下の特別養護老人ホームなど(第8条第14項)
  • 施設サービス:介護老人福祉施設(定員30人以上の特別養護老人ホーム。以下「特養」)、介護老人保健施設(以下「老健」)、介護医療院(第8条第25項)
  • 居宅介護支援:ケアプランの作成と連絡調整(第8条第24項)

厚生労働省の令和7(2025)年度 介護給付費等実態統計によると、令和7年度(2025年5月〜2026年4月の審査分)の費用額は12兆2,208億円で、前の年度より2.4%増えました。費用額は、保険から払う額と公費の負担額、利用者の負担額を合わせた額です。市町村が利用者に直接払う福祉用具の購入費や住宅改修費は入っていません。

この12.2兆円は、保険から払われた額(給付費)ではなく、利用者の負担を含む額です。審査した月で数えるため、会計年度の給付費とも一致しません。国の介護保険事業状況報告の「給付費」は別の統計で、この記事ではその数字を使いません。「医薬品・医療・介護の業界地図」で使う令和7年度予算の介護給付費13.2兆円は、国の予算の見込みの額です。この記事の12.2兆円(審査した月で数えた実績の費用額。利用者負担を含み、総合事業や償還払いを含まない)とは物差しが違うため、2つを比べたり足したりしません。

介護予防のサービスを除いた介護サービスの費用額は11兆8,806億円です。その内訳は、居宅サービス5.4兆円(45.5%)、地域密着型サービス2.1兆円(17.4%)、施設サービス3.9兆円(32.4%)、居宅介護支援0.6兆円(4.7%)です(割合は計算値)。介護サービスの費用額の約3分の1が施設、半分近くが居宅サービスです。

サービス区分令和7年度の費用額
特養(介護福祉施設サービス)施設2兆1,925億円
老健(介護保健施設サービス)施設1兆3,990億円
介護医療院施設2,597億円
通所介護居宅1兆3,616億円
訪問介護居宅1兆2,820億円
認知症対応型共同生活介護(グループホーム、短期利用以外)地域密着型7,883億円
特定施設入居者生活介護(短期利用以外)居宅7,172億円
訪問看護居宅4,354億円
福祉用具貸与居宅4,087億円

表は介護予防を含まない介護サービスの値で、主なサービスだけを載せています。同じ統計で、2026年4月審査分の認定者は761.9万人、サービスを受けた人は585.9万人です。

高齢者向けの住まいには、介護保険の施設とは別の制度があります。有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は「住まい」で、介護保険の施設ではありません。有料老人ホームは、老人福祉法で、高齢者を入居させて介護や食事の提供などを行う施設で、老人福祉施設などではないものと定められています。設置する人は、あらかじめ都道府県知事に届け出ます(第29条第1項。届出制)。前払金を受け取るときの保全の措置や、権利金を受け取ることの禁止などの義務もあります。

サ高住は、高齢者住まい法で、状況把握や生活相談のサービスを提供する住宅として、都道府県知事の登録を「受けることができる」と定められています(第5条。任意の登録で、5年ごとの更新)。

どちらも介護保険の施設ではありません。住まいの届出・登録と、介護保険のサービスの指定は、別の法律による別の手続きです。会社の例では、ソラストは介護事業に「特定施設(介護付有料老人ホーム)」「住宅型有料老人ホーム」「サ高住」を分けて並べています(2025年度決算短信)。

誰が運営できるかは法律で決まる。施設は社会福祉法人・医療法人、在宅は会社が多い

介護のサービスは、どの法人でも運営できるわけではありません。運営できる法人の範囲は、サービスごとに法律で決まっています。

特養を設置できるのは、都道府県、市町村、地方独立行政法人、社会福祉法人です。社会福祉法人は都道府県知事の認可を受けて設置します(老人福祉法第15条)。株式会社は、この条の設置できる者に含まれていません。社会福祉法でも、特養の経営は第一種社会福祉事業で、国・地方公共団体・社会福祉法人が経営することを原則としています(第2条第2項・第60条)。都道府県知事は、区域の特養の定員が計画で必要とする数に達しているときなどは、社会福祉法人の設置を認可しないことができます(老人福祉法第15条第6項)。

老健と介護医療院は、都道府県知事の開設の許可が要ります。開設者が地方公共団体・医療法人・社会福祉法人その他厚生労働大臣が定める者でないときは、許可を与えることができません(介護保険法第94条第3項・第107条第3項)。また、営利を目的として開設しようとする者には、許可を与えないことができます(第94条第4項・第107条第4項)。

訪問介護や通所介護などの居宅サービスは、事業所ごとに指定を受けます。申請者が都道府県の条例で定める者でないときは指定されません(介護保険法第70条)。条例が定める要件の中身は、この記事では確かめていません。

施設は法律で運営できる法人が限られ、在宅は会社の運営が多い

上は介護サービスの費用額の区分別の割合。下は主なサービスごとの、法律上の参入の決まりと、実際の運営主体で最も多い法人の割合。

令和7年度の介護サービスの費用額11兆8,806億円(介護予防を除く):居宅サービス45.5%、地域密着型サービス17.4%、施設サービス32.4%、居宅介護支援4.7%(計算値)
サービス(費用額)法律上の参入の決まり最も多い運営主体(2024年10月)
特養施設・2兆1,925億円設置は都道府県・市町村・地方独立行政法人・社会福祉法人(認可)。株式会社は設置できる者に含まれない
95.7%社会福祉法人(社協以外)・開設主体
老健施設・1兆3,990億円開設は都道府県知事の許可制。地方公共団体・医療法人・社会福祉法人など以外には許可を与えられない。営利目的の開設には許可を与えないことができる
75.5%医療法人・開設主体
介護医療院施設・2,597億円老健と同じ許可制と開設者の限定。営利目的の開設には許可を与えないことができる
87.8%医療法人・開設主体
訪問介護居宅・1兆2,820億円事業所ごとに指定。申請者の要件は都道府県の条例で定める
73.2%営利法人(会社)・経営主体
通所介護居宅・1兆3,616億円事業所ごとに指定。申請者の要件は都道府県の条例で定める
55.0%営利法人(会社)・経営主体
グループホーム地域密着型・7,883億円指定を受けて運営
55.8%営利法人(会社)・経営主体
福祉用具貸与居宅・4,087億円事業所ごとに指定。申請者の要件は都道府県の条例で定める。国が決める価格がなく、商品ごとの上限価格がある
94.9%営利法人(会社)・経営主体
居宅介護支援居宅介護支援・5,633億円ケアプランの作成。事業所ごとに指定
50.3%営利法人(会社)・経営主体
出典:厚生労働省「令和7(2025)年度 介護給付費等実態統計の概況」(費用額は介護予防を含まない。割合は本記事で計算)、同「令和6(2024)年介護サービス施設・事業所調査の概況」(詳細票。事業所は複数のサービスを各々に数えるため合計しない)、老人福祉法第15条、社会福祉法第60条、介護保険法第70条・第94条第3項第4項・第107条第3項第4項(e-Gov)。グループホームは認知症対応型共同生活介護(短期利用以外)。

実際の運営主体は、厚生労働省の令和6年介護サービス施設・事業所調査(2024年10月1日現在)で確かめられます。特養の開設主体の95.7%は社会福祉法人(社会福祉協議会以外)で、老健は75.5%、介護医療院は87.8%が医療法人です。一方、営利法人(会社)の割合は、訪問介護の事業所で73.2%、通所介護で55.0%、認知症対応型共同生活介護で55.8%、居宅介護支援で50.3%、福祉用具貸与で94.9%です。この調査では、サービスによって「開設主体」と「経営主体」の別で数えています。事業所は、1つの事業所が複数のサービスを行うとそれぞれに数えるため、足し合わせることはできません。

施設の数は、同じ調査で特養8,621、老健4,214、介護医療院917です。事業所の数は、訪問介護37,264、居宅介護支援37,258、通所介護24,585、福祉用具貸与7,736です。

事業者の採算は、サービスで違います。厚生労働省の令和7年度介護事業経営概況調査は、抽出した事業所の決算から、介護サービスの収入に対する収支差(収入から、本部の費用の繰入れを含む支出を引いた額)の割合を出しています。令和6年度決算の税引前の値(物価高騰対策の補助金を含まない)は次のとおりです。

サービス令和6年度決算の収支差率
全サービス平均4.7%
特養1.4%
老健0.6%
介護医療院3.5%
訪問介護9.6%
訪問看護10.3%
通所介護6.2%
居宅介護支援6.2%
福祉用具貸与5.4%

これは回答した事業所の平均で、事業所の規模や地域によって差があります。赤字の事業所の割合などの分布は、この記事では確かめていません。訪問介護は令和5年度決算の11.1%から下がっています。この調査は改定の2年目に行う「概況調査」で、次の介護報酬改定の材料になる「実態調査」とは別のものです。

介護サービスの事業者は、事業所や施設ごとの収益・費用などの経営情報を都道府県知事に報告しなければなりません(介護保険法第115条の44の2。義務)。社会福祉法人は、計算書類などを公表しなければならず(社会福祉法第59条の2)、福祉医療機構の財務諸表等電子開示システムで見られます。

会社の例:保険グループの介護事業と、上場をやめた介護会社

ここでは、介護を手がける会社が何を開示しているかを1社ずつ確かめます。会社どうしの大きさは比べていません。数字の期・会計基準・利益の段階が会社ごとに違うためです。

SOMPOホールディングスは、損害保険を中心とする保険グループで、4つの報告セグメント(事業の区分)の1つに「介護事業」を置いています。2026年3月期の介護事業の収益は1,862億円、セグメント利益は80億円です(2026年3月期決算短信)。この利益は国際会計基準(IFRS)で、税金を引いた後の利益です。グループのSOMPOケアは、採用サイトで、在宅・訪問、施設、サ高住、デイサービス、福祉用具、本社スタッフという業態を分けて募集しています(SOMPOケア キャリア採用)。

ニチイホールディングスは、医療事務の受託・介護・保育を行うニチイ学館を中核とする会社で、2024年6月から日本生命グループに入っています(日本生命 株式取得完了のお知らせ)。上場しておらず、この記事では業績の公式な開示を確かめていません。

セントケア・ホールディングは、訪問介護・訪問看護を中心に、看護小規模多機能型居宅介護やデイサービス、有料老人ホームを運営しています。2025年4〜12月の9か月の介護サービス事業の売上高は432億円です(2026年3月期 第3四半期決算短信)。この短信では、人件費が採用と待遇の改善で増えたこと、新しく採用した人と同じくらいの人が辞め、増えた人員はM&Aで加わった分にとどまることを書いています。株式は、2026年3月13日に上場廃止となりました(日本取引所グループの決定)。会社の沿革も、2026年3月にMBOに伴い株式を非公開化したと記載しています。

ソラストは、医療事務の受託・介護・保育の3つの事業を持つ会社です。2025年度(2026年3月期)の介護事業の売上高は560億円、営業利益は27億5千万円で、2026年3月末の直営の介護事業所は688か所です(2025年度決算短信)。会社は増益の理由に、派遣などの外部の労働力のコストを減らしたことを挙げています。ソラストは2026年3月にMBO(経営陣が参加する株式の買い取り)を公表し、2026年8月6日に上場廃止になりました(日本取引所グループ 上場廃止等の決定)。ここで使った数字は、上場中の最後の通期の決算短信(2026年3月期)の値です。

障害福祉サービスは、指定と報酬で動く点は介護と同じ。財源と利用者が違う

障害のある人のサービスは、障害者総合支援法の障害福祉サービスです。法律は、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、療養介護、生活介護、短期入所、重度障害者等包括支援、施設入所支援、自立訓練、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助を挙げています(第5条第1項)。サービス等利用計画を作る計画相談支援などの相談支援もあります。

介護と同じように、事業者は都道府県知事の指定を受けます。市町村は、指定を受けた事業者のサービスについて給付費を支給し、事業者が利用者に代わって受け取ることができます(第29条)。違うのは財源です。障害福祉には保険料がなく、市町村が払った費用のうち、国が2分の1、都道府県が4分の1を負担します(第92条〜第95条)。利用者の負担は、家計の負担能力などを考えて政令で定める額で、費用の1割が上限です。

介護保険と重なるときは、介護保険が先です。介護保険の給付など相当する給付を受けられるときは、政令で定める限度で障害福祉の給付を行いません(第7条)。社会福祉法では、障害福祉サービス事業は第二種社会福祉事業で(第2条第3項)、特養のような第一種社会福祉事業の経営主体の原則(第60条)はかかりません。障害者支援施設の経営は第一種です。障害福祉サービスをどの法人がどれだけ運営しているかの内訳は、この記事では確かめていません。

障害福祉は保険料がなく公費で支え、福祉用具は国が価格を決めない

介護保険と、障害福祉サービス・福祉用具貸与の仕組みの違い。下の帯は障害福祉サービス等の総費用の内訳。

介護保険のサービス障害福祉サービス福祉用具貸与
根拠の法律介護保険介護保険法障害福祉障害者総合支援法(障害児の通所支援は児童福祉法)福祉用具介護保険法(居宅サービスの1つ)
財源介護保険給付費の半分が公費、残りが保険料障害福祉保険料はない。国1/2・都道府県1/4、残り1/4は市町村(計算値)福祉用具介護保険と同じ
利用者の負担介護保険1〜3割障害福祉負担能力に応じて政令で定める額。費用の1割が上限福祉用具介護保険と同じ(給付は原則9割)
価格介護保険国の基準(介護報酬)障害福祉国の基準(障害福祉サービス等報酬)福祉用具公定価格なし。月100件以上の商品は全国平均貸与価格+1標準偏差が上限
重なるとき介護保険介護保険が先障害福祉介護保険で相当する給付を受けられるときは、政令の限度で行わない福祉用具—
貸与と販売介護保険—障害福祉—福祉用具貸与が原則。入浴・排せつ用などは販売。一部の種目は貸与と販売を選べる
2026年6月の改定介護保険処遇改善加算の対象を介護従事者に拡大障害福祉処遇改善加算の対象を障害福祉従事者に拡大。B型・グループホームなどの新規指定事業所に引き下げた基本報酬福祉用具処遇改善加算の対象かどうかは、この記事では確かめていない
障害福祉サービス等の総費用(2026年1〜3月の月平均3,790億円):障害者サービス2,930億円(77.3%)、障害児サービス859億円(22.7%)。割合は計算値。国保連データで、会計年度の決算額ではない。
出典:障害者総合支援法第5条・第7条・第29条・第92条〜第95条、介護保険法(e-Gov)、厚生労働省「障害福祉サービス等の最近の動向について」(社会保障審議会障害者部会 第159回 参考資料7)、同「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」、同「福祉用具・住宅改修」(介護給付費分科会 第259回 資料7)、同「令和8年度介護報酬改定について」。太枠は介護保険と違う点。

お金の大きさは、厚生労働省の障害福祉サービス等の最近の動向(国保連のデータ、3か月ごとの月平均)で確かめられます。2026年1〜3月の総費用は月平均3,790億円で、利用した人は176.8万人です。この総費用には、児童福祉法の給付である障害児サービス(月平均859億円)が含まれます。障害者のサービスだけでは月平均2,930億円、113.4万人です。2025年度の4つの四半期から年間に直すと、総費用は約4兆5,571億円、うち障害者のサービスは約3兆5,342億円、障害児のサービスは約1兆229億円です(計算値)。会計年度の決算額ではありません。

障害者のサービスで費用が大きいのは、生活介護(月平均761億円)、就労継続支援B型(596億円)、共同生活援助(グループホーム)の介護サービス包括型(371億円)、居宅介護(262億円)です(2026年1〜3月)。就労継続支援は、通常の事業所に雇われるのが難しい障害者に働く機会を提供し、生産活動を通じて訓練などを行うサービスです。共同生活援助は、主に夜間、共同生活を営む住居で相談や入浴・排せつ・食事の介護などの援助を行うサービスです。

2026年度の障害福祉サービス等報酬の改定では、介護と同じ形で、障害福祉従事者を対象に月1.0万円の賃上げ措置が入り、処遇改善加算の対象が福祉・介護職員から障害福祉従事者に広がりました(令和8年度障害福祉サービス等報酬改定の改定事項。2026年6月施行)。生産性の向上などに取り組む事業者の福祉・介護職員には月0.3万円が上乗せされ、合計で最大月1.9万円(定期昇給の0.6万円を含む)です。

同じ改定で、収支差率が高く、事業所が急に増えている就労継続支援B型、共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)、児童発達支援、放課後等デイサービスは、2026年6月1日以降に新しく指定された事業所に限り、2027年度の報酬改定までの間、一定程度引き下げた基本報酬が適用されます。対象は、年間の総費用に占める割合が1%以上、2024年度の収支差率が5%以上、過去3年間の事業所の伸び率が5%以上という基準で選ばれました。重度の障害児者やサービスが足りない地域には、従前の単価を適用する配慮があります。すでに指定を受けている事業所の基本報酬を引き下げるものではありません。

福祉用具は貸与が原則で、国が決める価格がない

福祉用具貸与は、介護保険の居宅サービスの1つです(介護保険法第8条第12項)。厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会の資料(2026年6月)によると、福祉用具は貸与が原則です。貸与の種目は、車いす、特殊寝台、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、自動排泄処理装置です。腰掛便座や入浴補助用具など、再利用に心理的な抵抗感があるものなどは、販売(特定福祉用具販売)の対象です。固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、歩行補助つえ(松葉杖を除く)は、貸与と販売のどちらかを選べます(選択制)。

ほかのサービスと違い、福祉用具貸与には国が決める価格(公定価格)がありません。保険は、実際にかかった費用の額をもとに給付します(原則9割)。そのかわり、月平均100件以上の貸与がある商品には「全国平均貸与価格+1標準偏差」の上限があり、上限を超えると保険の対象になりません。

令和7年度の福祉用具貸与の費用額は、介護予防を含めて4,743億円で、介護保険の費用額の約3.9%です(計算値)。同じ統計で、福祉用具貸与の年間の実受給者数は300.0万人です。事業所の94.9%が営利法人で(2024年10月1日)、令和6年度決算の収支差率は5.4%でした。

指定を受けた福祉用具貸与・販売の事業所には、福祉用具専門相談員を常勤換算で2名以上置くことが義務づけられています。福祉用具専門相談員は、利用者の状況などを踏まえて用具を選び、利用者に合わせる調整(適合)や助言を行う専門職です。同じ資料によると、貸与事業所1か所あたりの常勤の従事者は4.6人(2024年10月1日)です。

フランスベッドホールディングスは、医療・介護用ベッドを作るメーカーで、福祉用具の貸与も自ら行っています。メディカルサービス事業の2026年3月期の売上高は418億円、セグメント利益(経常利益ベース)は34億円です(2026年3月期決算短信)。この事業には病院・ホテル向けのリネンサプライなども入っており、福祉用具貸与だけの売上ではありません。会社は、主力の福祉用具貸与で、営業員の採用と配送車両の増強、倉庫と整備の機能を持つサービスセンターの効率化、契約書類の電子化、他社からの顧客の引き継ぎを進めたと説明しています。グループには、福祉用具の販売・レンタルの会社と、介護福祉機器の保守・メンテナンスや保管を受託する会社があります(グループ会社採用情報)。貸与の会社とレンタルの卸の会社の分担は、この記事では確かめていません。

人手・報酬改定・法改正・外国人材が、介護の仕事を変える

介護の仕事を変える動きは、人手、報酬の改定、法律の改正、外国人材の受け入れの4つの面で起きています。

介護職員は212.6万人で横ばい。必要数の推計は2026年度に約240万人

上は介護職員数の実績と、第9期計画にもとづく必要数の推計。下は主な職場の介護職員の数と、国が進める手当て。

介護職員数(実績、各年10月1日)と必要数(推計)
2022年度実績215.4万人
2023年度実績212.6万人
2024年度実績212.6万人
2026年度必要数の推計約240万人
2040年度必要数の推計約272万人
帯の右端は280万人。斜線は需要の側の推計で、不足数の公表値ではない。実績は介護保険のサービスの介護職員(常勤・非常勤を含む実人員)で、障害福祉の職員を含まない。推計の方法は年によって変わっている。
主な職場の介護職員(2024年10月1日、実人員)
訪問介護訪問介護員52.1万人
特養29.9万人
通所介護22.1万人
老健12.4万人
帯の右端は60万人。介護サービス施設・事業所調査の値で、上の212.6万人とは調べ方が違うため、その内訳としては読まない。
処遇改善(2026年6月)加算の対象を介護従事者に拡大。介護職員は最大月1.9万円(定期昇給込み)。事業所が加算を取得して配分する
生産性の向上月0.7万円の上乗せ区分(加算Ⅰロ・Ⅱロ)の要件(どれか1つ):ケアプランデータ連携システムへの加入、生産性向上推進体制加算の取得、社会福祉連携推進法人への所属
外国人材介護分野の特定技能は約6.6万人(2025年11月末)。育成就労は2027年4月から
出典:厚生労働省「介護職員数の推移の更新(令和6年分)について」、同「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」、同「令和6(2024)年介護サービス施設・事業所調査の概況」、同「令和8年度介護報酬改定について」(概要)、同「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」(令和8年3月)。

厚生労働省の介護職員数の推移によると、2024年10月1日の介護職員数は2,126,227人で、前の年より487人増えました。2022年度は215.4万人、2023年度と2024年度は212.6万人で、ここ数年は横ばいです。この数は、介護保険のサービスの事業所と施設で働く介護職員(常勤・非常勤を含む実人員)で、障害福祉サービスの職員は入りません。推計の方法は途中で変わっているため、長い期間の比較には注意が要ります。総務省のサービス産業動態統計の「社会保険・社会福祉・介護事業」の従事者数は保育や障害福祉を含むため、介護の人数としては使いません。

一方、都道府県が第9期介護保険事業計画のサービスの見込み量から推計した介護職員の必要数は、2026年度に約240万人、2040年度に約272万人です(厚生労働省 介護職員の必要数)。これは需要の側の推計で、国が「不足数」として公表した数ではありません。必要数の約240万人は、2022年度の約215万人より約25万人多い数です。2024年10月の実績212.6万人は、2026年度の必要数より約27万人少ない数です(計算値)。必要数は2022年度を起点にした推計で、実績とは年度が違うため、この差を「不足数」とは読みません。

働く場所ごとの介護職員の数は、介護サービス施設・事業所調査(2024年10月1日、実人員)で、訪問介護の訪問介護員が52.1万人、特養の介護職員が29.9万人、通所介護の介護職員が22.1万人、老健の介護職員が12.4万人です。調べ方が違うため、212.6万人の内訳としては読めません。

2026年6月には、介護報酬の期中の改定が施行されました。2027年度の改定を待たずに行われたもので、改定率は+2.03%です(うち処遇改善分+1.95%)(令和8年度介護報酬改定について)。介護従事者を対象に月1.0万円の賃上げ措置が入り、生産性の向上や協働化に取り組む事業者の介護職員には月0.7万円が上乗せされます。合計で、介護職員について最大月1.9万円(定期昇給の0.2万円を含む)です。

処遇改善加算は、介護職員だけでなく介護従事者に対象が広がり、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援などにも新しく設けられました。2026年6月の施行です。加算は事業所が取得して職員に配分する仕組みで、取得するかどうか、どの区分を取るかは事業所によって違います。全員の給与が一律に1.9万円上がるわけではありません。

月0.7万円の上乗せを受ける区分(加算Ⅰロ・Ⅱロ)を取るには、2026年度の特例の要件のどれか1つを満たします(令和8年度介護報酬改定の概要)。訪問・通所のサービスなどはケアプランデータ連携システムに加入して実績を報告すること、施設のサービスなどは生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡを取得して実績を報告すること、または社会福祉連携推進法人に所属していることです。加算の申請の時点では、加入や取得の誓約でもかまいません。新しく加算の対象になった訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援などでは、この特例の要件が加算を取る道の1つになります。ケアプランをデータでやり取りする仕組みや、生産性の向上の取り組みが、賃金の加算と結びつけられました。

2027年度の介護報酬改定は、2026年10月19日の介護給付費分科会で訪問介護や居宅介護支援などのサービスごとの論点を話し合っている段階で、改定率は決まっていません(第271回介護給付費分科会)。2026年度の改定を決めたときの資料では、2027年度の改定で、経営の実態の調査をもとに物価や賃金の上昇を反映すると同時に、給付の効率化・適正化に取り組むとしています。

法律も変わります。2026年6月25日に「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)が公布されました。施行は原則2027年4月1日で、一部は公布から一定の期間内に政令で定める日です(厚生労働省 法律案の概要)。主な中身は次のとおりで、この記事を書いた時点では、ほとんどが施行されていません。各項目の施行日を定める政令は確かめていません。

  • 中重度の要介護者などを入居させる有料老人ホームについて、都道府県などへの登録制度を入れる
  • ケアマネジャーの研修の受講を要件とした更新の仕組みを廃止するなど、法定の研修を見直す
  • 中山間・人口減少地域で、人員の配置の基準などを柔軟にできる「特定地域サービス」をつくる
  • 准介護福祉士の資格を廃止する。2031年度(令和13年度)までの介護福祉士養成施設の卒業者は、卒業後5年間、介護福祉士の資格を持つ経過措置を設ける
  • 福祉人材の確保のための協議会の設置を都道府県の努力義務にし、生産性の向上と経営の改善の支援を国と都道府県の責務にする

外国人が介護の仕事に就く仕組みは、EPA(経済連携協定)、在留資格「介護」、技能実習、特定技能1号の4つです(厚生労働省 外国人介護人材の受入れの現状)。介護分野の特定技能の外国人は、2025年11月末で約6万6千人と過去最多です。ほかの3つの仕組みの人数は、この記事では確かめていないため、合計は書きません。技能実習は育成就労の制度に見直され、育成就労は2027年4月1日に始まる予定です。2025年4月からは、技能実習と特定技能の外国人が訪問系のサービスで働けるようになりました。そのための要件は、この記事では確かめていません。

求人票では、サービスの種類・運営主体・加算の取り方を確かめる

介護・福祉の仕事は、サービスの種類と運営主体によって、相手と働き方が変わります。

仕事主な相手主な仕事の例変化との関係
介護職(施設・在宅)、登録ヘルパー利用者、家族入浴・排せつ・食事などの介護、訪問先での支援処遇改善加算の引き上げと上乗せの区分、外国人材の受け入れ、訪問系での外国人材の就労
ケアマネジャー利用者、事業者、市町村ケアプランの作成、事業者との連絡調整居宅介護支援への処遇改善加算の新設、更新の仕組みの廃止(未施行)、ケアプランデータ連携
福祉用具専門相談員利用者、ケアマネジャー用具の選定・調整・助言貸与と販売の選択制、上限価格
管理者・本社スタッフ都道府県、国保連、職員指定の手続き、介護報酬の請求、加算の取得と実績の報告、経営情報の報告期中改定の特例要件、経営情報の報告、有料老人ホームの登録制(未施行)

職種の名前は、SOMPOケアのキャリア採用サイトの表記です。主な相手・仕事の例・変化との関係は、制度にもとづいて編集部が整理したもので、会社の募集要項の記載ではありません。同じサイトには、ほかにサービス提供責任者、生活相談員、看護師、理学療法士・作業療法士などのリハビリ関連の職種も並んでいます。2026年6月に処遇改善加算の対象が介護職員から介護従事者に広がったため、介護職員以外の職員も加算の配分の対象になりえます。ほかの会社の職種名は、この記事では確かめていません。管理者・本社スタッフの仕事の例のうち、どれをどの部署が担うかは会社によって違います。

求人票では、次の3点を確かめます。

  • サービスの種類:施設(特養・老健・介護医療院)か、在宅(訪問・通所)か、住まい(有料老人ホーム・サ高住)か、障害福祉か。夜勤の有無や、1人で訪問するかどうかが変わる
  • 運営主体:社会福祉法人、医療法人、株式会社のどれか。特養は社会福祉法人、老健・介護医療院は医療法人が多く、訪問介護や福祉用具貸与は会社が多い
  • 加算の取り方:処遇改善加算のどの区分を取得しているか、2026年6月からの上乗せの区分を取る予定があるか。賃金の上がり方は事業所の取り方で変わる

介護・福祉が、医療や医薬品を含めた分野全体のお金の流れのどこにあるかは「医薬品・医療・介護の業界地図」で、病院の経営と働き方は「医療提供の業界地図」で扱います。

保育所や学童保育と障害児の通所支援の接点は、保育・子育て支援の業界地図で確かめられます。