派遣会社が雇い、派遣先が仕事の指示をする人材派遣の三者の関係を、請負・BPOや人材紹介との違い、許可・期間制限・同一労働同一賃金・マージン率の公開という法律の決まり、派遣料金と賃金の関係、派遣で働く人の数と仕事、事務・製造・技術者の派遣会社の形で整理します。派遣会社の営業とコーディネーターの仕事、派遣で働く人が確かめておく決まりも分かる内容です。

「派遣」と書かれた求人には、2つの種類があります。派遣会社の社員として営業やコーディネーターをする内勤の求人と、派遣会社に雇われて派遣先で働く人の求人です。どちらでも、雇う会社と働く場所が分かれるのが派遣の特徴です。誰が雇い、誰が仕事の指示を出し、お金がどこからどこへ流れるかで、仕事の中身も、守られる決まりも変わります。

この記事では、労働者派遣法にもとづく労働者派遣を扱います。三者の関係、法律の決まり、派遣会社の稼ぎ方、派遣で働く人の数と仕事、会社の形、請負・BPO・紹介予定派遣との境目、派遣会社の内勤の仕事を順に確かめ、最後に派遣で働く人から見た点をまとめます。

会社名は仕組みを説明する例として掲載し、個別サービスの評価や順位付けには用いません。国の集計の平均額だけを、算出の仕方と一緒に示します。

人材紹介と求人広告・求人サイト・ハローワークは「人材紹介・求人サービスの業界地図」で扱います。派遣と紹介の両方にかかわる紹介予定派遣は、この記事で扱います。コールセンターや事務の業務を受託するBPOの料金と受託の形は「BPO・コールセンターの業界地図」、システム開発の請負・準委任と多重下請けの構造は「SIer・システム開発の業界地図」、警備の仕事は『警備の業界地図』で扱います。

派遣では、派遣会社が雇い、派遣先が仕事の指示をする

労働者派遣法では、労働者派遣は、自分が雇う労働者を、その雇用関係のまま、ほかの会社の指揮命令(仕事の指示)を受けて、その会社のために働かせることです(第2条第1号)。雇う会社を派遣元、働く場所の会社を派遣先と呼びます。この記事では、派遣元を「派遣会社」と書きます。

派遣には、2つの契約があります。派遣会社と派遣で働く人の雇用契約と、派遣会社と派遣先の労働者派遣契約(第26条)です。派遣先と派遣で働く人の間には、雇用契約がありません。給料を払い、社会保険の手続きをするのは雇用主の派遣会社です。日々の仕事の指示は派遣先から受けます。派遣先は、派遣の対価として派遣料金を派遣会社に払います(厚生労働省 令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果の定義)。

派遣では、雇う会社と指示する会社が分かれる

派遣・請負やBPO・人材紹介で、誰と誰が契約し、誰が仕事の指示を出すかを並べた。紹介予定派遣は、派遣から直接雇用へ移る形。

労働者派遣
派遣会社(派遣元)雇用主。賃金を払う
雇用契約:派遣会社 ⇔ 派遣で働く人
労働者派遣契約:派遣会社 ⇔ 派遣先。派遣先が派遣料金を払う
仕事の指示:派遣先 → 派遣で働く人
派遣先働く場所。雇用契約はない
請負・BPO
仕事を受けた会社雇用主
雇用契約:受けた会社 ⇔ 働く人
請負などの契約:発注者 ⇔ 受けた会社。業務の対価を払う
仕事の指示:受けた会社 → 働く人(発注者は直接指示しない)
発注者仕事を任せる会社
人材紹介
紹介会社雇わない。雇用成立を取り持つ
紹介:紹介会社 → 求人を出した会社と求職者。手数料は会社から(求職者からは原則受け取れない)
雇用契約:求人を出した会社 ⇔ 入社した人
仕事の指示:求人を出した会社 → 入社した人
紹介予定派遣:派遣の期間のあとに派遣先に雇用されることを予定する派遣。派遣会社が派遣先への職業紹介を行う、または行う予定で行い、派遣が終わる前に派遣先に雇われることを約束する場合も含む。派遣の間は左の「労働者派遣」の形で働き、直接雇用されると、右の「人材紹介」の後と同じく、派遣先が雇用主になる。
各行は、左端の線の色と太字の見出しで区別する(緑=雇用契約、橙=仕事の指示、灰=会社どうしの契約や紹介)。請負の形でも、受けた会社が指示や労働時間の管理を自ら行わなければ、労働者派遣事業とされる(昭和61年労働省告示第37号第2条)。
出典:労働者派遣法第2条第1号・第4号、第26条(e-Gov)、職業安定法第4条第1項・第32条の3第2項(e-Gov)、厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)、同「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」の派遣料金の定義。

似た言葉に、請負・BPOと人材紹介があります。請負やBPO(業務の外部委託)では、仕事を受けた会社が自分の社員を雇い、仕事の指示も自分でします。人材紹介は、求人企業と求職者の間に入り、雇用関係の成立を仲介することです(法律上は『あっせん』)。根拠は職業安定法第4条第1項です。紹介会社は、紹介した人を雇いません。

派遣と職業紹介を比べると、就業先の決め方だけでなく、誰が雇用主になるかの違いを確認できます。 人材紹介・求人サービス業界の地図

形雇う会社仕事の指示会社が受け取るお金主な法律
労働者派遣派遣会社派遣先派遣先からの派遣料金労働者派遣法(許可が要る)
請負・BPO仕事を受けた会社仕事を受けた会社発注者からの業務の対価民法の請負など。派遣との区分は厚生労働省の告示
人材紹介求人を出した会社(入社後)求人を出した会社求人を出した会社からの紹介手数料。求職者からは原則受け取れない(職業安定法第32条の3第2項)職業安定法(有料の紹介は許可が要る)
紹介予定派遣派遣の間は派遣会社、直接雇用された後は派遣先派遣先派遣の間は派遣料金。直接雇用には職業紹介がかかわる労働者派遣法・職業安定法

派遣の求人でよく見る「登録型」「常用型」は、法律の言葉ではなく通称です。登録型は、派遣会社に登録しておき、派遣先で働く期間に合わせて期間を決めて雇われる形を指します。常用型は、派遣会社に期間の定めなく雇われる形で、無期雇用派遣とも呼ばれます。国の統計は、「有期雇用派遣労働者」「無期雇用派遣労働者」の区分で数えています。

法律は、許可・禁止業務・期間制限・待遇の決まりを定めている

派遣会社を営むには、厚生労働大臣の許可が要ります(第5条)。許可の有効期間は3年で、更新後は5年です(第10条)。港湾運送・建設・警備などの業務には、派遣ができません(第4条第1項)。派遣会社は、事業所ごとの事業報告書と収支決算書を毎年国に出します(第23条第1項)。この記事の統計は、この報告を国がまとめたものです。

派遣で働ける期間には、2つの制限があります。1つは派遣先の事業所単位の制限で、同じ事業所で派遣を受け入れられるのは原則3年です。派遣先が過半数労働組合などの意見を聴けば、3年ずつ延ばせます(第40条の2)。もう1つは個人単位の制限で、同じ人を派遣先の同じ組織単位で受け入れられるのは3年までです(第35条の3、第40条の3)。無期雇用派遣で働く人は、どちらの制限の対象にもなりません。終わりの決まったプロジェクトの業務や、産休・育休・介護休業を取る人の代わりの業務なども対象外です(第40条の2第1項)。

期間制限に反した受け入れ、禁止業務への受け入れ、許可のない会社からの受け入れ、法律の適用を免れる目的で請負などの名目の契約を結んだ受け入れ(偽装請負)などがあると、派遣先がその人に労働契約を申し込んだものとみなされます。ただし、派遣先がそのことを知らず、知らなかったことに過失もなかった場合は除かれます(第40条の6)。このほか、日雇派遣は原則禁止で(第35条の4)、派遣先を辞めて1年以内の人を、同じ派遣先へ派遣で受け入れることも禁止されています(第40条の9)。

待遇は、同一労働同一賃金の2つの方式のどちらかで決めます。1つは派遣先均等・均衡方式で、派遣先の正社員などとの不合理な待遇の差を禁じます(第30条の3)。もう1つは労使協定方式で、派遣会社が労働者の代表と協定を結び、同じ種類の業務の一般の労働者の平均的な賃金と同じかそれ以上にするなどの決まりで待遇を決めます(第30条の4)。2025年6月1日時点では、派遣で働く人のうち約94%が労使協定方式の対象でした(協定対象の1,896,806人を、派遣で働く人2,009,094人で割った計算値)。

決まり守る人区分条文
労働者派遣事業の許可派遣会社許可第5条
港湾運送・建設・警備などへの派遣派遣会社禁止第4条第1項
事業報告書・収支決算書の提出派遣会社義務第23条第1項
マージン率などの情報提供派遣会社義務第23条第5項
派遣料金の額の明示(雇い入れ・派遣・料金の変更のとき)派遣会社義務第34条の2
待遇を2つの方式のどちらかで決める派遣会社義務第30条の3・第30条の4
待遇に関する説明派遣会社義務第31条の2
段階的・体系的な教育訓練派遣会社義務第30条の2
派遣元責任者の選任派遣会社義務第36条
雇用安定措置派遣会社原則は努力義務。同じ組織単位で3年働く見込みの人には義務第30条
労使協定の対象でない人の賃金の決め方、就業規則をつくるときの派遣で働く人の代表からの意見聴取、福祉の増進派遣会社努力義務第30条の5〜第30条の7
事業所単位・個人単位の期間制限派遣先・派遣会社制限(無期雇用派遣などは対象外)第35条の3、第40条の2、第40条の3
日雇派遣派遣会社原則禁止第35条の4

2026年10月1日施行の施行規則では、派遣会社が人を雇い入れるときに示す事項に、待遇の違いの内容と理由などについて説明を求められることが加わりました(第25条の16第5号)。同じ日に施行された改正のほかの中身は、この記事では扱いません。

派遣会社の売上は派遣料金で、そこから賃金を払う

派遣会社の売上は、派遣先から受け取る派遣料金です。派遣会社はその中から、派遣で働く人に賃金を払います。料金と賃金の差には、社会保険料の会社負担、有給休暇の費用、教育訓練の費用、営業や管理の費用、会社の利益などが入ります。この差の内訳を国がまとめた統計はありません。

この差の割合が、マージン率です。派遣会社は、事業所ごとに、前の事業年度の派遣料金の平均額と賃金の平均額から「(料金の平均−賃金の平均)÷料金の平均」を計算し、情報を提供しなければなりません(第23条第5項)。施行規則は、1人1日あたりの額で計算し、インターネットの利用その他の適切な方法で提供すると定めています(第18条の2)。あわせて、派遣料金の平均額、賃金の平均額、労使協定を結んでいるかどうかなども示します。令和6年度の報告では、インターネットで情報を提供した事業所は33,942で、報告を出した事業所の77.5%でした(複数回答)。

派遣料金から賃金を払い、差の割合を事業所ごとに公開する

上は派遣料金の分かれ方の概念図で、内訳の割合は描いていない。下は法律で決まった公開の仕組みと、国の集計の平均額。

派遣料金の分かれ方(概念図)
派遣料金:派遣先が派遣会社に払う
賃金派遣会社が派遣で働く人に払う
料金と賃金の差
  • 社会保険料の会社負担
  • 有給休暇の費用
  • 教育訓練の費用
  • 営業・管理の費用
  • 会社の利益 など
差の内訳を国がまとめた統計はない。箱の大きさは実際の割合を表していない。
法律で決まった公開(義務)
マージン率 =(派遣料金の平均 − 賃金の平均)÷ 派遣料金の平均
  • 事業所ごと・前の事業年度・1人1日あたりで計算
  • 派遣料金と賃金の平均額、労使協定の有無なども示す
  • インターネットの利用その他の適切な方法で提供。令和6年度はインターネットが提出事業所の77.5%(複数回答)
  • 派遣料金の額は、雇い入れ・派遣・料金の変更のときに本人へ明示
国の集計の平均(令和6年度、8時間換算)
派遣料金(消費税込み)26,257円
賃金16,735円
事業所ごとの平均を業務ごとに単純平均し、さらに全業務で単純平均した値。料金だけが消費税込み(賃金に消費税はかからない)。2つの差や割合は法律のマージン率ではなく、本記事では計算しない。
出典:労働者派遣法第23条第5項・第34条の2(e-Gov)、同法施行規則第18条の2(e-Gov、2026年10月1日施行版)、厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(表6・表7・表12)。

国の集計にも、派遣料金と賃金の平均があります。令和6年度の報告では、8時間あたりに直した派遣料金の平均は26,257円、賃金の平均は16,735円です。ただし、料金は消費税を含む額です(賃金に消費税はかかりません)。業務ごとの値は、事業所ごとの平均を単純平均したもので、全業務の値は業務ごとの平均をさらに単純平均したものです。働く人の多い事業所も少ない事業所も、同じ重みで数えています。このため、この記事では2つの差や割合を「全国のマージン率」として計算しません。法律のマージン率は、事業所ごとに公開される数字です。

業務(令和6年度)派遣料金(8時間換算の平均、消費税込み)賃金(8時間換算の平均)
全業務26,257円16,735円
一般事務従事者18,112円12,231円
情報処理・通信技術者34,382円21,032円

業務ごとの値は、日雇派遣で働く人を除いて集計されています。

業務によって、料金も賃金も大きく違います。事務の派遣が多い会社と、IT技術者の派遣が多い会社では、1人あたりの売上も、払う賃金も変わります。

派遣会社の売上は、働く人の数と料金の単価で動きます。パーソルホールディングスは、国内の事務の派遣が中心のStaffing SBUの売上収益が6,081億円(2026年3月期、IFRS、セグメント間の取引を含む)で、増えた理由に派遣就業者数の1.8%増と請求単価の2.2%増を挙げています(2026年3月期決算短信)。同じ会社の中で、Staffingの営業利益は304億円、人材紹介と求人メディアのCareer SBUは売上収益1,529億円・営業利益287億円です。売上の大きさと利益の大きさは一致しません。ここでの営業利益は経営成績の説明に書かれた値で、会社が報告セグメントの利益として示すのは調整後EBITDA(Staffing 348億円、Career 349億円)です。Staffingには事務職の人材紹介も、Careerには求人メディアも入っています。

パソナグループは、人材派遣のエキスパートソリューションの売上高が1,363億円(2026年5月期、日本基準、セグメント間の取引を消去する前)です(2026年5月期決算短信)。会社は、新規の派遣登録者は前期から二桁増えたものの、成約率が下がって派遣で働く人の数は前期並みで、処遇の向上にあわせた派遣料金の単価の改定で売上が少し増えたと説明しています。パソナは派遣だけの利益を開示しておらず、委託・請負のBPOソリューションと合わせた営業利益が99.9億円です。

派遣で働く人は約201万人。事務・製造・ITの仕事が多い

厚生労働省の労働者派遣事業の令和7年6月1日現在の状況(速報)によると、2025年6月1日に派遣で働いていた人は2,009,094人(約201万人)で、前の年より5.0%増えました。無期雇用派遣が874,747人で43.5%、有期雇用派遣が1,134,347人です。集計した事業所は44,110です。

派遣で働く人は約201万人。無期雇用が4割余り、事務・製造・ITが多い

上は2025年6月1日時点の人数と内訳(速報)。下は令和6年度の報告の売上高と派遣先件数で、時点が違うため人数とは分けて示す。

派遣で働く人 2,009,094人(2025年6月1日、速報)
無期雇用派遣 874,747人(43.5%)、有期雇用派遣 1,134,347人(56.5%は本記事の計算値)。うち労使協定方式の対象は1,896,806人。
業務別の上位(日本標準職業分類の中分類、全体に占める割合)
一般事務従事者403,917人 20.1%
製品製造・加工処理従事者286,563人 14.3%
情報処理・通信技術者197,425人 9.8%
(別の数え方)製造業務に従事428,562人 21.3%
帯の右端は100%。紫の帯は「製造業務」に従事した人の別集計で、上の業務別の分類とは重なるため足さない。
令和6年度の報告(各派遣会社の事業年度。末日が2024年4月〜2025年3月)
労働者派遣事業の年間売上高9兆9,005億円前年度比9.4%増
派遣先件数861,926件前年度比7.9%増
出典:厚生労働省「労働者派遣事業の令和7年6月1日現在の状況(速報)」(2026年3月31日公表)、同「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(同日公表)。有期の割合は本記事で計算。

業務別では、一般事務従事者が403,917人(20.1%)で最も多く、製品製造・加工処理従事者が286,563人(14.3%)、情報処理・通信技術者が197,425人(9.8%)と続きます。業務の分け方とは別に、製造業務に従事した人は428,562人で、全体の21.3%です。

お金と取引先の大きさは、年度の報告で見ます。令和6年度の報告では、労働者派遣事業の年間売上高は9兆9,005億円で、前の年度より9.4%増えました。令和2年度(7兆6,477億円)から令和6年度まで、5年度続けて前の年度を上回っています。派遣先の件数は861,926件(約86万件)です。報告の対象期間は派遣会社ごとの事業年度で、6月1日の人数とは時点が違います。年度の報告にも人数がありますが、数える時点が違うため、この記事では6月1日の人数を使います。

事業所の大きさには幅があります。令和6年度に報告を出した事業所は43,812で、派遣の実績があったのは33,207です。実績のあった事業所のうち、売上10億円以上は1,985(6.0%)、1,000万円未満は4,671(14.1%)でした。数えているのは会社ではなく事業所です。

なお、総務省の労働力調査は、2013年1月から派遣社員を派遣先の産業に分類しています(労働力調査 用語の解説)。労働力調査の「職業紹介・労働者派遣業」の就業者は、派遣で働く人の数ではありません。

事務・製造・技術者で、派遣会社の形が違う

派遣会社は、どの仕事に人を派遣するかで形が違います。同じ会社が、派遣・請負・紹介を別の事業として持つことも多くあります。

事務の派遣では、パーソルホールディングスが、国内の事務の派遣を中心とするStaffing、受託請負のBPO、設計・開発の受託と技術者派遣のTechnology、人材紹介と求人メディアのCareerを、別のセグメントとして開示しています。パソナグループも、人材派遣、委託・請負のBPOソリューション、人材紹介・再就職支援のキャリアソリューションを分けて示しています。

リクルートホールディングスも、国内外で人材派遣事業を営んでいます(2026年3月期決算短信)。同社の人材紹介と求人サービスは、「人材紹介・求人サービスの業界地図」で扱います。この記事に出てくる各社の売上は、会計基準・決算期・含む事業が違うため、比べられません。

製造の現場では、派遣と請負が並びます。UTグループは、自動車業界の製造業向けのモーター・エナジー事業、半導体のセミコンダクター事業、地方の中堅・中小企業向けのエージェント事業、富士通・日立グループとの合弁会社によるネクストキャリア事業を報告セグメントにしています(2026年3月期決算短信)。会社は、半導体のセミコンダクター事業で、派遣の請求単価の交渉と、請負の職場からの人員配置の適正化を進めたと説明しています。派遣と請負の売上の内訳は開示されていません。2027年3月期からは単一のセグメントに変える予定です。

技術者の派遣では、テクノプロ・ホールディングスが、最後に公開した2025年6月期の決算説明資料で、技術者派遣と請負のR&Dアウトソーシング(売上高1,881億円)と、施工管理の技術者派遣と建設図面の作成の請負の施工管理アウトソーシング(同256億円)を示しています。国内の技術者は2万8,100人です(2025年6月期末)。会社は、派遣契約の期間は3か月か6か月が多く、3か月ごとに大きな更新の時期が来ると説明し、2025年6月の更新率を93.1%としています(2025年6月期 決算説明資料)。テクノプロは2025年8月に、公開買付けに賛同し、株主が応募するかどうかは株主の判断に委ねる(応募中立)意見を表明し、完全子会社化と上場廃止が予定されました(意見表明のお知らせ)。この記事では、2025年6月期を最後の公開された数字として使います。建設業務は派遣が禁止されている業務で、施工管理の派遣との線引きは、この記事では扱いません。

技術者の派遣では、派遣先との契約が短くても、雇用の形によって働き方が変わります。無期雇用派遣なら、派遣先との契約が終わっても派遣会社との雇用は続き、個人単位の3年の制限も受けません。派遣で働く人のうち、無期雇用は43.5%です(2025年6月1日)。技術者派遣の求人では、無期雇用か有期雇用かを求人票で確かめます。

紹介予定派遣・請負・BPOとの境目

紹介予定派遣は、派遣の期間のあとに派遣先に雇用されることを予定する派遣です。法律では、派遣会社が、派遣の始まる前か後に、派遣先への職業紹介を行う、または行う予定で行う派遣とされ、派遣が終わる前に派遣先に雇われることを約束する場合も含みます(第2条第4号)。派遣会社は、派遣と職業紹介の両方を行います。令和6年度の報告では、紹介予定派遣を行った事業所は2,322で、派遣の実績があった事業所の7.0%です。紹介予定派遣で派遣された人は25,535人、そのうち職業紹介まで進んだ人は18,219人、職業紹介を経て派遣先に直接雇用された人は13,881人でした。同じ年度の人数どうしを単純に割ると約54%です(計算値。同じ人を追った割合ではありません)。紹介手数料など人材紹介の仕組みは、「人材紹介・求人サービスの業界地図」で扱います。

請負と派遣の境目は、厚生労働省の労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)が示しています。請負の形の契約でも、仕事を受けた会社が次のことを自分で行わなければ、労働者派遣事業を行っているものとされます(第2条)。

  • 仕事の進め方の指示と評価
  • 始業・終業の時刻、休憩、休日、残業などの管理
  • 職場の規律や配置などの指示と管理
  • 資金の調達、法律上の事業主としての責任、自分の機械・設備・資材や企画・専門的な技術による仕事の処理

請負の形をとりながら実態が派遣になっている状態は、一般に偽装請負と呼ばれます。法律の適用を免れる目的で請負などの名目の契約を結び、実態が派遣になっている場合は、派遣先がその労働者に労働契約を申し込んだものとみなされる場合の1つです(第40条の6。派遣先が知らず、過失もなかった場合を除く)。パーソルホールディングスやパソナグループのように、同じ会社が派遣とBPOを別の事業として持つ場合、どちらの契約で働くかで、仕事の指示を受ける相手が変わります。BPOの料金と受託の形は、「BPO・コールセンターの業界地図」で扱います。

技術者が顧客の事務所で働くシステム開発の契約(SESと呼ばれることがあります)も、請負・準委任か派遣かで、指示を出す人が変わります。契約の違いと多重下請けの構造は、「SIer・システム開発の業界地図」で扱います。

派遣会社の内勤は、派遣先と派遣で働く人の両方に向き合う。分担は会社で違う

派遣会社の内勤の仕事は、派遣先の会社と、派遣で働く人の両方に向き合います。注文を受けてから人を選び、働き始めた後に支え、契約を更新するか決めるまでが一続きの流れです。誰がどの段階を担うかは、会社や組織で違います。

派遣会社の内勤の流れと、1社の求人票に書かれた分担の例

一般的な流れに、パーソルテンプスタッフの1つの求人票に書かれた分担だけを札で示した。分担は会社や組織によって違い、この求人票も、営業が企業とスタッフの両方に対応し、割合は配属組織で異なると書いている。

1 注文派遣先の課題を聞き取り、提案する営業禁止業務でないか
2 募集・登録働きたい人が派遣会社に登録する会社による登録型では、仕事が決まると期間を決めて雇われる
3 人選派遣先の条件と本人の希望を合わせる人選担当コーディネーター営業は原則として仕事の紹介をしない(1社の例)
4 就業開始雇い入れと労働者派遣契約雇用主として(会社による)派遣料金の明示、待遇の説明
5 フォロー就業中の派遣スタッフをフォローする営業教育訓練、派遣元責任者
6 更新・終了契約を更新するか決める会社による期間制限(有期は個人単位3年)、雇用安定措置
派遣契約の期間の区分ごとの割合:令和6年度は、2か月超3か月以下28.4%、1日以下25.7%、1か月超2か月以下20.9%、3か月超6か月以下10.2%。1年を超えるものは合わせて0.8%。原本は、件数と人数のどちらの割合かを示していない。派遣先との契約の期間で、派遣会社との雇用の期間ではない。
出典:パーソルテンプスタッフ「人材派遣営業」求人票(HRMOS採用、取得日時点)、労働者派遣法第4条・第30条・第30条の2・第31条の2・第34条の2・第36条・第40条の3(e-Gov)、厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(表10)。1年を超える割合の合計は本記事で計算。

1社の例として、パーソルテンプスタッフの派遣営業の求人票があります。中部地区の製造の現場向けの事業部の求人票です。営業は、企業の人材の課題やニーズを聞き取り、派遣サービスを提案し、人選担当コーディネーターと企業のニーズを打ち合わせ、就業中の派遣スタッフをフォローします。求職者への仕事の紹介(マッチング)は、営業は原則として行わないと書かれています。一方で、企業とスタッフの両方に対応し、その割合は配属組織で異なるとも書かれています(パーソルテンプスタッフの求人票。2026年10月31日時点の掲載)。これは1社の1つの求人票の説明で、営業とコーディネーターの分け方は、会社や組織によって違います。

この求人票で、仕事の紹介(人選)を担うのは人選担当コーディネーターです。パソナグループは、新規の派遣登録者が増えても成約率が下がり、派遣で働く人の数が前期並みだったと説明しています(派遣会社の売上の章)。

契約の更新も、派遣会社の内勤の仕事の流れに入ります。誰が担うかは会社で違うので、求人票で確かめます。令和6年度の報告では、派遣契約の期間の区分ごとの割合は、2か月超3か月以下が28.4%で最も多く、1日以下25.7%、1か月超2か月以下20.9%、3か月超6か月以下10.2%でした。1年を超えるものは合わせて0.8%です(計算値)。原本は、件数と人数のどちらの割合かを示していません。これは派遣先との契約の期間で、派遣会社との雇用の期間ではありません。テクノプロは、3か月ごとに大きな更新の時期が来ると説明しています。

法律で決まった役割もあります。派遣会社は、派遣元責任者を選ばなければなりません(第36条)。また、雇用主として、派遣料金の額の明示、待遇の説明、教育訓練、期間制限の管理を行います。

仕事主な相手主な仕事の例関係する決まり
営業(求人票の例)派遣先の会社、就業中の派遣スタッフ聞き取りと提案、人選担当コーディネーターとの打ち合わせ、就業中のフォロー期間制限、派遣料金、禁止業務
人選担当コーディネーター(求人票の例)登録した人仕事の紹介(人選)待遇の方式と説明、料金の明示
雇用主としての管理(担う部署は会社による)派遣で働く人給与・社会保険・教育訓練、3年に近い人への対応教育訓練、雇用安定措置、派遣元責任者

表の営業とコーディネーターの行は、パーソルテンプスタッフの1つの求人票の例です。この求人票は、営業が企業とスタッフの両方に対応し、その割合は配属組織で異なると書いています。

派遣で働く人は、雇用の形・期間・待遇を確かめる

派遣で働くときは、次の点を確かめます。どれも法律や国の統計で確かめられる範囲のことです。

  • 雇用の形:有期雇用か、無期雇用か。無期雇用なら、派遣先との契約が終わっても派遣会社との雇用は続き、個人単位の3年の制限も受けない
  • 期間:有期雇用なら、同じ派遣先の同じ組織単位で働けるのは原則として3年まで。3年働く見込みの人で働き続けたい人には、派遣会社の雇用安定措置が義務になる
  • 待遇:派遣先均等・均衡方式か、労使協定方式か。待遇について説明を受けられ、雇い入れのときには、待遇の違いの内容と理由などの説明を求められることも示される
  • お金:派遣料金の額は、本人に明示される。派遣会社の事業所ごとのマージン率などは、インターネットなどで公開されている
  • 紹介予定派遣:直接雇用を予定した派遣だが、令和6年度は派遣された人より直接雇用された人の数が少ない

派遣会社の内勤の求人を見る人は、次の3点を確かめます。

  • 派遣の形:事務・製造・技術者のどれが中心か。派遣と請負・BPOの両方があるか
  • 分担:営業とコーディネーターの仕事がどう分かれているか。人選と派遣先の担当を一人が持つのか
  • 相手:派遣先の会社と、派遣で働く人の、どちらに向き合う時間が長いか

人材紹介の会社でも、企業の担当と求職者の担当の分け方が仕事を決めます。紹介会社の仕事の分け方と手数料の仕組みは、「人材紹介・求人サービスの業界地図」で扱います。

警備の仕事は労働者派遣の対象外であり、実際の雇い主側の契約、仕事、採用区分を見る場合は、警備の業界地図で確かめられます。